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10章動き出す者たち

204話 やっと帰って来た

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「来た来た、スイちゃんリサたちやっと帰って来たよ」


カッシュからの連絡から1か月、なかなか帰ってこなかったから心配してました。


「ホントだ、よかったねーマコッチ、マリン3枚チェンジだよ」


「はいスイ様」


スイちゃんの反応が冷たいです、まあ気持ちはあっちに行ってるのよね。


「スイちゃん、話すときはちゃんと顔を見る」


私はスイちゃんの顔をこっちに向かせました、最近集中し過ぎてるのよ。


「ああ!?何するのさマコッチ」


「ポーカーもいいけど、ダンジョンでしょスイちゃん、ほらほら」


ホント、ゲームが絡むとダンジョンがおざなりねスイちゃん。


「もうわかったよ・・・あれ?なんだか動きが変じゃないかな」


やっと画面を見たと思ったらスイちゃんがそう言ってきたわ、鋭いわね。


「アンナがちょっとね」


「ふぅ~ん、その言い方だと知ってるんだね、どうしてなの?」


「今日はギルドの転移の日なのよ、きっとカッシュからの手紙を早く受け取りたいんだわ」


向こうですごく親しくなったらしいわ、だから手紙のやり取りをするって報告があったの。


「そうなんだ、でもそれだけであんな感じになるの?相当急いでるけど」


アンナが素早く動いてモンスターを倒しているわ、これはオーバーワークよ。


「リサたちがカバーしてるから平気よ、でもこれはちょっと心配ね」


空回りしてみんなに迷惑を掛けてるって感じなのよ、まあ今日だけかもしれないから平気だと思いたいわね。


「他のPTは順調だねマコッチ」


「ええ、あと少しで70階のボスね、楽しみだわ」


ガラングランが先だけど大体同じね、まあチーチャムちゃんの装備の差かな。


「うんうん、順調順調、さぁポーカーやろうか」


「スイちゃん!・・・まあ順調なのはそうだけどね、もういいわよ!私が見るから」


そう言って私だけで画面を見始めました、ほんとに順調なのよ。

不測の事態も起きないしね、でも普通の冒険者は今低迷しているのよね。


「さてと他の冒険者はっと」


一番先に来ている普通の冒険者はやっと50階のボス前ね、もう少ししたら挑むんじゃないかしら、後はもっと上ね。


「新人たちはまだ20にも来てないか、アルエドたちが先頭って感じ・・・それにしても隠し通路には誰も気づかないわね」


気付かない方が良いんだけど、これだけ気付かないとつまらないわ。


「まあスキルで見つけられないからしょうがないけど、もう少し探さないのかしら」


上の階だからなのかな?まあ変える気は無いからしょうがないわね。

気長に見るしかないわよね、いま一番心配なのはやっぱりリサたちよ。




《63階では》


「リン!早くそいつを抑えろ、俺がとどめを刺す」


「もう!アンナちゃん早いよ」


「はぁ~やっぱり今日はやめるべきだったわ」


リサです、私は今後悔しています、最初から分かっていたの。


「リサ、サポート出来ない」


「ごめんねヴェル」


ヴェルが詠唱をするんだけど、アンナが敵を倒してしまって魔法をキャンセルすることが頻繁に起きてるわ。

魔法のキャンセルは使う魔法の魔力が戻るわけでは無く半分くらい使ってしまうの、だからすごく怒ってるわ。


「もう!アンナいい加減にしてよ」


「そうだよアンナちゃん」


「だってよぉ・・・そうだな焦ってもしょうがねぇか」


ティアとリンに怒られてすぐ反省してるわ、でもまだ落ち着きがないの、こうなるってわかってたのにここに来たのは、アンナに頼まれたからなのよ。


「じゃあそろそろ下の階に降りて帰りましょ」


「いや待て待て!もう少し付き合ってくれよリサ」


アンナは今カッシュに勝ちたくてがむしゃらに戦ってるの、そして今日送られてくる手紙も待ってるから、もうどうしようもないって感じね。


「じゃあ少し休憩しましょ、丁度あそこにオアシスがあるわ」


私たちは休憩の為にオアシスに立ち寄り、少し話をしたわ。


「全く、そんなにいい男なの?」


「な!?」


「私も聞きたいなぁアンナちゃん」


「ん、聞きたい、聞かせて」


みんなはまだあまり知らないの、旅の途中で話はしたけど断片的だし、そもそも知り合って1ヶ月くらいしか一緒にいなかったのよ。



「い、いいじゃねぇかそんな事」


「良くないわよ!その人のせいで今大変なんでしょ、聞く権利があるわ」


「そうだよアンナちゃん、ダメって言っても聞くからね」


「ん、絶対聞く」


アンナに詰め寄って聞こうとしてるわ、私に名前を聞いて来た時と同じね。


「あ、あいつは優しい奴だ」


「フンフンそれで」


「強さも相当だな」


「それは今のアンナちゃんを見れば分かるよ、それで」


ティアとリンがすごく食いついてるわ、ヴェルは少し飽きてるわね、旅の途中で聞いた内容だものね。


「村にいた時に何度か相手をしたんだが、勝てなかった」


「「「え!?」」」


3人が驚いてるわ、まぁそうよね今の私たちはすごく強いものね。


「嘘だー!アンナちゃん、その人が好きだからって顔を立てたんでしょ」


「んなことするかよリン、ほんとに強いんだって」


リンがアンナと言い合いをし始めたわ、でもティアとヴェルは考え込んでるわね、きっと気付くわね。


「リサもしかして」


「説明」


「やっぱり解るわよね、そうよそのカッシュって人はマコッチ関係よ」


「「やっぱり」」


2人が納得しているわ、アンナは気付いてないの、恋をしてるからそれどころじゃないのよ、旅の途中でも手紙の書き方をどうしようか聞いてきて大変だったんだから。


「じゃあその人とはうまく行くのかしらリサ」


「ん、気になる」


「そうねぇ~告白はしたから」


「「え!?」」


あら、私口が滑ったかしら?


「も、もうしたの!?あのアンナが」


「ジュジュにしなかったのに?」


ヴェルは知ってたのね、まあ一緒の時にでも聞いたのかな。


「ええ、だから手紙のやり取りをしてるのよ」


「なるほどねぇ」


「ん、納得」


2人が頷いてるわ、分かってくれて良かったわ。


「だから温かい目で見ててあげてね二人とも」


「まぁ」


「ん、アンナが幸せならそれでいい」


良かったわ、これなら心配しなくても良さそうね。


「でもリサ、こんなことが続くと困るわよ」


「それは私も感じてるわティア、だから帰ったら忠告をするつもりよ」


それでダメならマコッチにお願いして、カッシュをこっちに移動してもらうわ、一番いいのは私たちのPTに入る事だけど、あのアツアツをずっと見てないといけないのよねぇ。


「よろしくねリサ、ほらリン!そろそろ休憩しなさい」


ティアがリンを呼んでアンナも来たわ、少しは話したのかしらね。


それから私たちは少し落ち着いて狩りをして街に戻りました、ちなみに手紙は私たちの前で音読させたわ、罰としてね。
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