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2章
19話 取り残された勇者
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「あ、あなたは」
僕が部屋に入ると、傷を治してあげた勇者は起きていました。
僕を見てビックリしてるから、状況を話す為、取り敢えずの言葉を口にしたよ。
「僕はリキト、悪い玉ねぎじゃないから安心して」
「きゅっ球根が喋った?」
彼女は、僕に聞いていた訳じゃなく、どうやら僕を抱いていたフィナに聞いていたみたいで、ちょっと驚いていたよ。
ちょっと変な空気になったけど、そんな空気を打ち消す為に話を進めたんだ。
「倒れていた君を僕が見つけてここで治したんだ」
「治すって、アタシの怪我ってもう」
「うん、かなり重症だったね、でも僕なら治せたんだ」
普通に薬草や水薬草じゃダメで、凝縮した薬草液を作って使用したんだ。
薬草液を満たした球体型の水槽に彼女を入れて、欠損部も腐敗した臓器も復元できたんだよ。
「だから、失った右腕も治ってるでしょ」
「た、確かにそうだけど、アタシはもう」
「まだ動かない方が良いよ、感覚は戻ってるだろうけど、失ったばかりだからね」
気絶していたから、感覚的には平気だと思う。
でも、それ以上に彼女は傷ついてるのが見て取れたよ。
「でも、アタシは」
「事情は知らないけど、今は休んだ方が良いよ」
「でも、アタシいかないと」
彼女は、恐らく他の勇者に見捨てられたんだ、だから悩んでいて落ち込んでる。
それでも、彼女は使命を感じてるのか、立ち上がろうとして来た、だから僕は手を伸ばして抑えたよ。
「まだフラフラでしょ、今は休むことを考えようよ」
「でも、アタシは勇者で」
「勇者だって休息は必要だよ」
さぁ横になってと、僕は彼女の肩を押して寝てもらったんだ。
あそこで何があったのかは聞かず、僕たちは食事を持って来る事を伝え、何か欲しい物があるかの質問をしました。
「何もいりません」
「何かお腹に入れた方が良いよ、おかゆとか持って来るね」
「はい・・・ありがとうございます」
何も聞かずにフィナと部屋を出て、扉の外で彼女が泣いていたのが聞こえたんだ。
今は一人にしてあげるべきと、フィナに伝えたんだよ。
「ねぇリキト、あの子平気なの?」
彼女を見つけた時、フィナよりも重傷で右腕が肩から下を全て失ってて、更に臓器の数ヵ所も腐敗してた。
それは何とか治ったけど、心の傷はやっぱり治せない。
「自分で解決するしかないよ」
「そこも気になるけど、あの子勇者なんでしょ、報告しなくて良いの?」
「ああそっちね、そんなの言わないよ」
まだ正確には分からないけど、向こうが探してない時点で言う気はない。
仲間のはずなのに、絶対に変だとフィナに説明したんだ。
「じゃあ、ミエカルたちみたいに、お仕置きすれば良いんじゃないの?」
「フィナさんや、ミエカルたちと勇者はちょっと違うんだよ」
「そうなの?」
「そうなんだ、もし僕の思ってる様な理由で彼女に怪我をさせていたら、その時は許せることじゃない」
ミエカルたちも許せなかったんだけど、それ以上に許せないと思う事で、そんな所に彼女を戻すのは絶対拒否したかった。
虐待なんて絶対にさせない、早く出て行けと怒ったんだ。
「怒らないでリキト」
「虐待はね、とても許せることじゃないんだよフィナ、だから僕はそいつらにチャンスなんて与えない」
「そうよね、その気持ちはアタシも分かる、あの子が受けた痛みは謝っても許せないわね」
「ほんとにそうだったかは分からないけど、あの子が怪我をした理由と見捨てられた事を考えれば、もっとひどいかも知れない」
仲間と思っていた人たちに裏切られただけでもショックで、もう会いたくもないはずなんだ。
それなのに、それ以上に何かあれば、彼女は生きているのが辛くなってしまう、それなら助けないといけないじゃないか。
「リキトならそうよね」
「僕がと言うよりも、辛い思いをしたなら、それと同じくらいの安らぎもあって良いじゃないか」
「そうね、ここならそれが叶うわね」
だから、彼女はここで保護して上には報告しない。
勇者たちがここに来なければバレないし、もう会う気もなくなったよ。
「隕石でも何でも壊しに行けばいいんだ」
「支援はしてあげるのね」
「それは国が決める事だよ、僕がしゃしゃり出る事じゃない」
ミエカルたちに任せてるし、僕はここでのんびりとする事に変わりはない。
そんな事をすれば、そののんびりが出来なくなるのは言うまでもない。
「だから黙ってる訳ね」
「そうだよフィナ、あの船が降りた位置を考えれば分かるけど、きっと見られるとマズイ事でもしたかったんでしょ」
「リキトが突然どこかに行ったのはそのためだったのね」
「船が降りたのは見えたからね」
森から凄く遠くに降りたから、僕はおかしいと思って向かったんだけど、森から出る時あの子が倒れるのが見えて、枝を出来るだけ伸ばして時間を短縮し、台車を付けた自転車で助けたんだ。
その時、船に乗る人も見えて、それが笑っている様に見えたんだよ。
「あいつらは人じゃない」
「勇者が聞いて呆れるわね」
「そうだよフィナ、世界を救おうとする人のやる事じゃない」
だから僕は会わないと決めた、世界を救っても僕は絶対に許さないよ。
彼女が安心して暮らせるように、どう対処しようかと廊下を歩きながら話し合ったんだ。
「やっぱり、食事を良くしようよリキト」
「そうだね、召喚されたという事は、向こうの世界の食べ物が恋しいだろうしね」
「リキトはそんなモノも作れるの?」
「勿論だよ、色々作ってみるからね」
何が好きなのかも聞きたいけど、まずは心を開いて貰わないといけません。
その為の何かを作る為、僕は台所に立って考えたんだ。
「女子高生と言ったら、甘い物だと思うんだけど、何を作ろうかな」
機材は作ってあるから、マカロンにシュークリームと色々考えます。
その中から数種類を作り、彼女の待つ部屋に向かったんだ。
僕が部屋に入ると、傷を治してあげた勇者は起きていました。
僕を見てビックリしてるから、状況を話す為、取り敢えずの言葉を口にしたよ。
「僕はリキト、悪い玉ねぎじゃないから安心して」
「きゅっ球根が喋った?」
彼女は、僕に聞いていた訳じゃなく、どうやら僕を抱いていたフィナに聞いていたみたいで、ちょっと驚いていたよ。
ちょっと変な空気になったけど、そんな空気を打ち消す為に話を進めたんだ。
「倒れていた君を僕が見つけてここで治したんだ」
「治すって、アタシの怪我ってもう」
「うん、かなり重症だったね、でも僕なら治せたんだ」
普通に薬草や水薬草じゃダメで、凝縮した薬草液を作って使用したんだ。
薬草液を満たした球体型の水槽に彼女を入れて、欠損部も腐敗した臓器も復元できたんだよ。
「だから、失った右腕も治ってるでしょ」
「た、確かにそうだけど、アタシはもう」
「まだ動かない方が良いよ、感覚は戻ってるだろうけど、失ったばかりだからね」
気絶していたから、感覚的には平気だと思う。
でも、それ以上に彼女は傷ついてるのが見て取れたよ。
「でも、アタシは」
「事情は知らないけど、今は休んだ方が良いよ」
「でも、アタシいかないと」
彼女は、恐らく他の勇者に見捨てられたんだ、だから悩んでいて落ち込んでる。
それでも、彼女は使命を感じてるのか、立ち上がろうとして来た、だから僕は手を伸ばして抑えたよ。
「まだフラフラでしょ、今は休むことを考えようよ」
「でも、アタシは勇者で」
「勇者だって休息は必要だよ」
さぁ横になってと、僕は彼女の肩を押して寝てもらったんだ。
あそこで何があったのかは聞かず、僕たちは食事を持って来る事を伝え、何か欲しい物があるかの質問をしました。
「何もいりません」
「何かお腹に入れた方が良いよ、おかゆとか持って来るね」
「はい・・・ありがとうございます」
何も聞かずにフィナと部屋を出て、扉の外で彼女が泣いていたのが聞こえたんだ。
今は一人にしてあげるべきと、フィナに伝えたんだよ。
「ねぇリキト、あの子平気なの?」
彼女を見つけた時、フィナよりも重傷で右腕が肩から下を全て失ってて、更に臓器の数ヵ所も腐敗してた。
それは何とか治ったけど、心の傷はやっぱり治せない。
「自分で解決するしかないよ」
「そこも気になるけど、あの子勇者なんでしょ、報告しなくて良いの?」
「ああそっちね、そんなの言わないよ」
まだ正確には分からないけど、向こうが探してない時点で言う気はない。
仲間のはずなのに、絶対に変だとフィナに説明したんだ。
「じゃあ、ミエカルたちみたいに、お仕置きすれば良いんじゃないの?」
「フィナさんや、ミエカルたちと勇者はちょっと違うんだよ」
「そうなの?」
「そうなんだ、もし僕の思ってる様な理由で彼女に怪我をさせていたら、その時は許せることじゃない」
ミエカルたちも許せなかったんだけど、それ以上に許せないと思う事で、そんな所に彼女を戻すのは絶対拒否したかった。
虐待なんて絶対にさせない、早く出て行けと怒ったんだ。
「怒らないでリキト」
「虐待はね、とても許せることじゃないんだよフィナ、だから僕はそいつらにチャンスなんて与えない」
「そうよね、その気持ちはアタシも分かる、あの子が受けた痛みは謝っても許せないわね」
「ほんとにそうだったかは分からないけど、あの子が怪我をした理由と見捨てられた事を考えれば、もっとひどいかも知れない」
仲間と思っていた人たちに裏切られただけでもショックで、もう会いたくもないはずなんだ。
それなのに、それ以上に何かあれば、彼女は生きているのが辛くなってしまう、それなら助けないといけないじゃないか。
「リキトならそうよね」
「僕がと言うよりも、辛い思いをしたなら、それと同じくらいの安らぎもあって良いじゃないか」
「そうね、ここならそれが叶うわね」
だから、彼女はここで保護して上には報告しない。
勇者たちがここに来なければバレないし、もう会う気もなくなったよ。
「隕石でも何でも壊しに行けばいいんだ」
「支援はしてあげるのね」
「それは国が決める事だよ、僕がしゃしゃり出る事じゃない」
ミエカルたちに任せてるし、僕はここでのんびりとする事に変わりはない。
そんな事をすれば、そののんびりが出来なくなるのは言うまでもない。
「だから黙ってる訳ね」
「そうだよフィナ、あの船が降りた位置を考えれば分かるけど、きっと見られるとマズイ事でもしたかったんでしょ」
「リキトが突然どこかに行ったのはそのためだったのね」
「船が降りたのは見えたからね」
森から凄く遠くに降りたから、僕はおかしいと思って向かったんだけど、森から出る時あの子が倒れるのが見えて、枝を出来るだけ伸ばして時間を短縮し、台車を付けた自転車で助けたんだ。
その時、船に乗る人も見えて、それが笑っている様に見えたんだよ。
「あいつらは人じゃない」
「勇者が聞いて呆れるわね」
「そうだよフィナ、世界を救おうとする人のやる事じゃない」
だから僕は会わないと決めた、世界を救っても僕は絶対に許さないよ。
彼女が安心して暮らせるように、どう対処しようかと廊下を歩きながら話し合ったんだ。
「やっぱり、食事を良くしようよリキト」
「そうだね、召喚されたという事は、向こうの世界の食べ物が恋しいだろうしね」
「リキトはそんなモノも作れるの?」
「勿論だよ、色々作ってみるからね」
何が好きなのかも聞きたいけど、まずは心を開いて貰わないといけません。
その為の何かを作る為、僕は台所に立って考えたんだ。
「女子高生と言ったら、甘い物だと思うんだけど、何を作ろうかな」
機材は作ってあるから、マカロンにシュークリームと色々考えます。
その中から数種類を作り、彼女の待つ部屋に向かったんだ。
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