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1章 異世界

閑話 探しなさい

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どうも初めまして、わたくしはマリアンナ・ドルマドル。


ドルマドル公爵です、わたくしはその時故郷から帰っている最中でしたの、ちょっと急用が出来てしまったの、5年ぶりだったのにとても残念だったわ。

そして帰り道の途中で盗賊に襲われたの。


「どうしてです!こんなところに盗賊がいるなんて聞いたことないわよ」


「マリアンナ様窓から離れてください!危険です」


メイドのランがわたくしを馬車の窓から離しました、彼女は元冒険者でわたくしの護衛も兼ねていますのよ、そしてわたくしの代わりにランが窓を見張っています。


「外の状況が気になります、騎士たちは平気ですか?」


「そ、それは」


ランの顔色が悪いです、きっとダメなのね。


「こんなことは考えたくないけど、これはオリーナが仕組んだことですわね」


「ま、まさか伯爵様がですか!?」


可能性の問題だわ、わたくしの領地を狙っている者はまだまだいますもの、でも確率が高いのはオリーナなのよ。

彼女は王都の南に領地を持っています、王都から離れているのに公爵のわたくしが気に入らないのね。


「きっとそうよ、それにオリーナは最近良からぬ噂が絶えないわ」


「人族との悪い噂ですか、ですが信じられませんあの情報は国の極秘です、もしそれがほんとなら私たちの優位性が無くなり人族が攻めてきます」


そうです、わたくしたちでもまだそれほど生産が整っていません、それに乗り手もやっと学園で育成し始めた所、もし人族がそれに乗ってきたらわたくしたちはまた奴隷に戻るでしょう、それに噂ですが勇者が召喚されたとか、もうゾっとしますわね。


「そんな事はさせませんわよ!ランあなたも外に出て戦うのです」


「はっ」


ランが外に出ようと扉を開けると白銀の髪をした少年が戦っているのが目に入ってきました、とても綺麗でしたわ。


「あ!?閉められてしまいました、でも美しかったわね、何者かしら?」


ランがいなくなったので窓からのぞいてみましたが凄い強さです、それに護衛騎士のディラと踊りながら戦っているわ。


「なんだか少し羨ましいわね、でもこれで心配なさそう、後はあの子をわたくしの護衛に・・・いえ娘に付けて訓練させた方が良いかしら?でも見た所人族かも、それにタイミングが良すぎるわね」


わたくしが考えている間に戦いは終わっていました、急ぎ扉を開け言ったのです。


「お待ちなさい!」


そうです、人族だとしてもとりあえずはお礼をしなくてはなりません、そしてあの者が当然とばかりの態度を取った場合、それ相応の対処で終わるでしょう、なのでどうかハーフでありますようにと願いました。


「お礼もしないでお返しするわけにはまいりません、どうぞこちらに」


わたくしはそう思いながら男性を引き留めました、さぁどっちですの。


「いえ結構です」


それだけ言って走って行きました、みんなで茫然としてしまいましたわ。


「ど、どういうことですかディラ!?」


「あの強さです、可能性はあったかと」


ディラがそう告げました、あの速さは尋常ではないわよ!それにしても何も求めないなんてわたくしたちでさえあり得ませんわよ。


「無欲の救世主・・・これはなにがなんでも見つけて娘の護衛に、いえ人族でないでしょうからわたくしに精を」


男性の精はとても貴重です、そしてあの強さならわたくしも欲しいわ。


「マリアンナ様、幸い私のスキルで彼の魔力色は確認済みです、そして走った方角にはアラトイがあります、ギルドに行けば見つかるでしょう」


「そうね、頼むわディラ」


ディラのスキルがあって助かったわ、だけどアラトイに入り報告を聞いてわたくしは驚愕しています。


「ど、どういうことですかディラ!?」


「申し訳ありません、一日冒険者を見たのですが同じ魔力、容姿の者はいませんでした」


ディラがそう言って何かを悩んでいますわ、となると街を通らなかった可能性がありますわね。


「ん?ちょっと待って!同じ魔力と容姿の者はいなかったのよね、どうしてそんなに悩んでいるの?」


「はい、少し気になる人物はいまして・・・その者は人族でユーヤと名乗っていました」


人族、それに髪の色も黒髪だったという話です、でもおかしいわね。


「その者がなにかあるのかしら?ディラ」


「はい、アラトイのCランク冒険者をあっさり倒し冒険者になったというのです、私の勘なのですがあの者ではないかと」


髪の色も魔力色も違うらしいのだけど、ディラの勘はすごく当たるの、恐らく固有スキルを所持しているんでしょうね。


「でも人族だったんでしょそのCランク冒険者、それならそれほどの腕ではないわよディラ」


「私もそう思います、ですがかなり圧倒していたとギルドの者が言っていました」


登録時に人族とはいえCランク冒険者を圧倒ですか、確かにありえませんね。

Cランクまでならしっかりとクエストをしていれば上がります、そして人族はそこから悪くなるの、上がれなくてイライラするのね。


「八百長って可能性はないのかしら?同じ人族でしょ」


「それはありません、Cランクの冒険者が中級戦技まで使ったと言っていました」


「せ、戦技を使ったの!?」


しかも中級、それなら相当実力に差がないと圧倒なんて出来ませんわ。


「はい、それに私が食事を済ませギルドに戻ると丁度その者がいまして、その・・・とても似ていました」


顔を赤くして言ってるわ、まぁあんなに近くで見てるものねぇ。


「羨ましいわね、でもわたくしたちは補給が済んだらすぐに出なくてはいけません、悔しいですがあきらめましょう」


「そうですね、容姿も魔力も違うのです恐らく別人でしょう、私の勘が気になりますがそれよりも国の極秘兵器です」


そうです、魔導巨神を人族に漏らす何てとんでもない事です、早く国に報告しなくてはなりません、ギルドの転送を使いたいところですが相手はオリーナ、油断は禁物です。


こうしてわたくしたちは恩人を見つけることが出来ませんでしたわ、でもそれから数週間後アラトイでとんでもない事が起こりある者が英雄となったのです。
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