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1章 異世界

11話 ギルドの定番

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「まったく、坊やこれが代金よ」


説教が終わり俺に革袋をくれた、中には500円玉くらいの銀貨が沢山入っている。

仮の身分証発行が銀貨1枚もするのかとガルマノに聞いたら、ここで借金をさせて監視する為だそうだ、持ってないのはかなりの田舎から来た者で街に来ると騙されたりと色々あるらしい。

そして身分証を作ってここに来ると半額を返してくれる、監視と言うより保護だな簡単なお使い的なやつだ。


「銀貨がこんなに、あの革と鉱石そんなに価値があったんですね」


「何言ってるの、それは銀貨じゃなくて大銀貨よ、100枚入ってるわ、確認して」


な、なんだと!?あれだけで金貨1枚と同じだと!じゃあ今収納に入っている物を売ったら相当な額になるじゃないか。


「どうしたの?ここの代金は銀貨2枚だからね」


「はい、分かりました」


俺は大銀貨を1枚出してお釣りを98枚貰った。


「仮の身分証は10日で期限が過ぎるからね、それまでにちゃんと正式なものを作るのよ、そうしたらまたここに来なさい、半額を返すからね」


「わかりましたありがとうございます、ガルマノさんもありがとうございました」


正座のガルマノに手を振った、しょんぼりしているが返してくれたぞ、少し歩いて振り返ってみたらまた説教が開始されていた。


「ユーヤこれからどうするの?」


「そうだな、まずは身分証を作りに行くか」


俺はまずガルマノに教えて貰った冒険者ギルドに向かった、中央の広場の正面にあるレンガの建物だそうだ。


「高いのー」


「4階はあるんじゃないか?これ崩れないよな?」


中央広場に着いて建物を見たが、どうやらここに他のギルドが揃っているようだ、商業に鍛冶、料理に木工と色々あるな。

それにこの街はかなり広い、気を探ると分かるが直径5キロはあるのではないだろうか、人の数は数え切れんな。


「ようこそ冒険者ギルドへ、依頼の申請でしたら向こうの窓口ですよ坊や」


ギルドに入って正面の受付に行った、正面の受付で冒険者登録やクエストを受けることが出来ると、ガルマノに言われたんだ。

俺の年齢を察して村とかの依頼申請に来たのだと思っているのかもしれない、そんなに今の俺って幼く見えるのだろうか?


「いえ冒険者として登録をお願いします」


「そうなの、身分証がほしいの」


俺の肩に乗ったままのファラも言ってくれた、周りがヒソヒソ話している、気の感じから良からぬことを考えているな。


「そ、そうでしたか、でも試験があるのですけど平気ですか?」


「僕は平気ですけど、ファラは少し心配ですね」


俺がファラを見ると頬を膨らませて言ってきた。


「むーユーヤ!ファラも戦えるの、魔法で戦うの」


「そうだったのかい?じゃあ平気かな」


俺たちがそんな会話をしているとヒソヒソ話していた奴らが近づいてきた。


「おいおい!じゃあ俺たちが試験をしてやるよ、バニラいいよな」


「ダメです!たしかに試験は受付の者が選んだ冒険者の人を使いますが、あなた達はやり過ぎるのでダメです!」


ふむ、あまりよくない冒険者なんだな、それにこいつらの気を探ると分かるが、恐らく人族だ。


「いいじゃねぇか、なあガキ俺たちでもいいよな」


俺に振ってきたな、ファラが威嚇している、俺だけならそれでもいいがファラは心配だ。


「何心配いらねぇぞ、二人まとめて俺たちが相手してやる、どうだ?」


「あ!?一緒ならいいですよ、じゃあやりましょう」


俺の軽い反応を聞いて受付の女性と絡んできた二人の男が固まっている。


「どうしました?早くやりましょう、あ!?何か必要事項の記入とかがあるんですかね?」


俺が受付の女性に聞いていると男が復活してきた。


「てめぇーいい度胸だな、おいバニラ!向こうの訓練場にいるからな、絶対連れて来いよ!」


2人の男が奥に入って行った、向こうに訓練場があるのか。


「ぼ、坊や平気なの、あの人たちは人族なのよ、絶対大怪我をするわ、早く謝ってきた方が良いわ」


「僕も人族ですよ、でも一緒にしてほしくないですね、それにファラが平気なら僕に問題はないです」


「ファラあいつら嫌いなの、やっつけてやるの!」


ファラがやる気だ、気のオーラではない何かが体を纏い始めた、これは魔力だな。


ファラがやる気なのをため息をつきながら見て、受付の女性が紙を出してきた。

何かの皮なのか?羊皮紙って紙か初めて見たな。


「それに必要事項を書いてください、そうしたら訓練場で試験です」


顔に手を置いて言ってきた、まあ普通の奴なら大変な事になるんだろうな。

必要事項を書いて提出した、内容は名前と年齢、それと得意な武器だった、簡単でいいな。


「あら綺麗な字ね、それに格闘士なのね坊や」


この世界の文字は何故だか書ける、恐らく読み書きが何かしているのだろう、文字の綺麗さはまあ教師だったからな、綺麗には書けるようにしている。


「はい、後は試験に合格してからね、じゃあ行くけどくれぐれも気を付けるのよ、危なくなったら逃げなさいね」


凄く真剣に言われてしまった、そう言えば弱くも見られているのかもな。
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