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1章 生き甲斐

18話 のんびりとした1日

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カードダスでカードを補充した俺は、念話で村の戦いを聞く事になった。
勝つのが分かっていたから、紅茶とクッキーを用意して余裕を持っていたが、予想よりもかなり楽だったんだ。


「ふむ、ウサミナルたちの村に来たのは500人か」


念話をしてきたのは蒼雪女で、村を囲むように陣取ってきて、いつでも戦えるから合図が欲しいとお願いされた。
他の村にも数日後に到着する感じで、最初だったが囲んでいるから戦力は分散していた。


「全てを囲む事も出来ないのに、わざわざ別れてくてるとは、しかもレベルも20前後なのかよ」


話にならない程の戦力差を聞き、俺は呆れた感じを受けたが、相手の合図が先にきて戦闘が開始され、実況を蒼雪女に頼んだよ。
本来は、蒼雪女が指揮官として戦いに参加するが、それでは他のメンバーの訓練にならないと止めたんだ。


「ですが、よろしいのですか?」
「ああ、他のモンスターでも余裕だから、俺に報告を優先してくれ」
「分かりましたわ」


こうして蒼雪女から実況と言う形で報告を聞く事になり話しを聞きながら紅茶を飲んでいた。
包囲を縮める敵側に対し、雪女部隊が初撃の氷広範囲魔法を放ち、500人がそのまま氷漬けになったと報告され、俺は飲んでいた紅茶をこぼしてしまったよ。


「あちち、倒せるとは思っていたけど、まさかこんなにあっさりとは思わなかったよ」
「どうしますかマスターアレシュ様」
「そうだな・・・まず、仮死状態の兵士を至急保護し、送って来た奴らに帰してやろう」


何で返すのかという蒼雪女の疑問に俺は簡単に答え、蒼雪女の【はい?】っという声を貰った。
一人も死ぬことなく送り返して見せれば、相手はこちらを脅威と考えより一層の準備をしようとするから、それまでのんびりみんなの訓練ができると俺が言ったから驚いたんだ。


「それなら命を奪った方が」
「蒼雪女、それだと憎しみを生み勢いは増すばかりだよ」
「ですが、準備をされては敵が強くなってしまいますわ」
「それで良いんだよ蒼雪女、俺たちもその間に強くなるし、その強さを測れる」


良い訓練相手が出来るから、そのままにしようと伝えると、なんだか深いため息が聞こえたんだ。
でも、そのため息は呆れているからではなく、さすがと言う理由だったよ。


「わたくし、何だか相手が可哀そうになってきましたわ」
「簡単な挑発に乗ったのがいけないのさ」
「それもそうですわね・・・では、わたくしは部下たちに知らせて絨毯で敵兵を運びます」
「お願いするよ、俺は偵察部隊を追加で動員する」


相手の出方を見て置きたくて、ラットたちを相手の建物に侵入させる事を考えた。
本来はウサミナルたちも活躍するはずだったが、相手があまりにも弱くて出番が無くなってしまったのは痛く、出番はまだかと待っていたウサミナルたちに魔法カード【メッセージ】を発動させた。


「あ~
聞こえるかな?」
「は、はいウサ、アレシュ様聞こえるウサ」
「ウサミナル、そっちの戦闘は終わったから、村長たちに知らせてくれ」
「え?・・・でも、戦いの鐘が鳴って数分ですウサ?」
「そうだけど、相手が弱くて一撃で終わってしまったんだよ」


村長たちに知らせたら、そのまま帰ってくるように伝えると、ウサミナルは喜んで返事をしてきた。
メッセージを切り、俺は紅茶を一口飲んで終わった事にホッとしていたけど、これでは魔王が攻めてきたら終わりと感じていたよ。


「イースズたちもそうだが、戦略もなにもあったものじゃない」


冒険者の様に陣形は組むけど、その戦い方は直線的であり、もっと考えて戦ってほしいと思った。
その勉強にも使えそうだから生かして帰したが、果たして理解するのかとても心配だったよ。


「これじゃあ、飛車角落ちどころじゃないよ」


雪女たちは、俺の中ではそれほど強者ではなかったのに、他の村でも同じ結果になると予想できた。
これではみんなの訓練にならないので、次はみんなで動く事を考えたよ。


「失敗する事も考えて、俺が瞬時に行ける様にすればいいよな」


魔法カードの【転移】があるので、奥の手として用意する事にした。
とはいえ、みんなに知らせると危機感が無くなり訓練にならないので、そこは秘密にしてみんなが戻って来た時に話をした。


「あ、あたしたちだけでウサ」
「そうだウサミナル、村をモンスターに守らせ、最悪の事態は避けるが、村から出て戦うのは君たちと君たちが使うカードだけだ」


それはかなりの試練であることは、俺の言葉の重みで分かってくれたが、作戦を話し終わり食事にしたら、空気が重いままでみんなが不安そうだったんだ。
緊張感があるのは良かったが、これでは楽しくないのでみんなが強い事を知らせたよ。


「そ、そうなのかにゃ?」
「ああ、その証拠にウサミナルの村は圧勝だったよ、そうだよなウサミナル」
「はい、あたしたちの出番がないほどでした」


モンスターはそれだけ強いので、みんながしっかりと役目を果たし、作業的にカードを使えば勝てると断言したんだ。
それが良かったのか、みんなから笑顔が復活し、その後の食事は和やかに進んだよ。


「でもにゃ~」
「そうみゃよアレシュ、とても心配みゃ」
「トーニャ、俺はやり過ぎる方が心配だ」


今回の戦いをみんなに語ると、そんなに弱かったのかと笑いが起きたんだ。
それだけ瞬殺だったからだが、みんなが戦うほどの相手ではないと俺はガッカリしていたんだ。


「だからさ、訓練をしてるみんななら楽勝さ」


気楽に行こうと皆のコップにお茶を淹れて行き和ませたんだが、不安を全て拭う事は出来なかった。
そこで、ゴールデンメタルスライムの時と同じ作戦を取る事にしたが、知ってる者たちの目の色が変わったよ。


「な、何でもって、本当に何でもウサ?」
「子供とかはダメだぞウサミナル」
「わわわ、分かってますよアレシュ様、まだ早いです」


ウサミナルは、3年後とブツブツ言って来るが、皆も同じ感じで今度こそ達成すると力が入っていた。
それでも分からない新入団者のネムミケたちは、どうしようと困っていたよ。


「マッサージや料理でも良いんだぞ、なんでも言ってくれ」
「マッサージって何ですか?」
「そうか、ネムミケたちはまだ受けて無かったんだな」


今日はその体験も兼ねて、皆のマッサージを行う事にしたんだが、ミニャルたちが我先にと手を上げて来たんだ。
その勢いを見て、ネムミケたちはタジタジだったから、まず新人たちだろうと注意したよ。


「「「「「そんな~」」」」」
「ミニャルたちは定期的にしてただろう、今日は最後にしてくれな」
「仕方ないにゃ」
「その代わり、ゆっくりして欲しいのみゃ」
「仕方ないな、ちょっとゆっくりほぐしてあげるよ」


そんな約束をしたんだが、ネムミケたちもマッサージを気に入ってくれて、時間がすっごくかかってしまった。
全員を終わらせた時には既に夜も遅い時間で、俺はちょっと疲れてしまったよ。
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