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1章 生き甲斐

3話 これからの俺

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これからはモフリ放題、そんな考えが頭にあり、俺はミニャルの提案に了承したんだが、それを見ていた者がいて俺はそいつと視線を合わせてゾッとした。


「み、ミーナ、これはな」
「アレシュさん、良かったですねぇ~若い女性にモテモテですねぇ~」
「ち、違うんだ、誤解だぞミーナ」


俺の弁解は聞いてもらえず、笑顔のミーナはそのまま階段を降りて行ってしまった。
別に誤解されたままでも良かったんだが、この後PT申請もするのでミーナとは顔を会わせるから、腰にミニャルがくっついたままで直ぐに誤解を解きに受付に向かったよ。


「あらあら、まだ見せつけるんですかアレシュさん」
「だから違うんだよミーナ、これはな」
「ワタシじゃダメなんですか?」
「はい?」


とても小さな声だった為、俺の説明している声と重なり聞こえなかったが、聞き返してもミーナは何も答えてくれなかった。
普通に話しても納得してもらえないと思い、ギルドカードを差し出してPT申請を急いでもらったんだ。


「はいはい、今後は可愛いネコちゃんたちとダンジョンですねぇ~」
「棘があるなぁ何が気に入らないんだ」
「別に、あのアレシュさんも、しょせん男だったんだなぁと思っただけです」


なんだよそれっと俺は返事をしたんだが、ミーナは25歳がおばさんとか自分を責め始めた。
冒険者でも25歳はまだまだ現役で、そんな事は無いと言ったら睨まれてしまった。


「な、何で睨むんだよミーナ」
「いえ・・・これで登録は終了です、フェニックスフェザーでどうぞ頑張ってください」


凄く冷たい挨拶をされ、俺はミーナからギルドカードを返してもらったが、ミーナの表情はとても暗かった。
俺が何かしたのは確実なので、ギルドハウスの選定をお願いしたよ。


「アレシュさん、それって」
「ああ、本腰を入れるって事だよ、その管理はミーナに任せたい」
「わ、分かりました、直ぐに手配します」


出世をプレゼントすれば喜ぶと思って提案したが、思いのほか喜んでくれて、俺もホッとしたんだ。
明日には下見をする事になり、俺は腰にくっ付いているミニャルに2階に上がるように指示を出したよ。


「また続きをするのにゃ?」
「違うぞミニャル、ギルドに迷惑だから、宿に戻って休めと言ってるんだ」
「じゃあ、宿で続きをするのにゃ」
「へぇ~続きですか~へぇ~」


せっかく機嫌が直ったのに、ミーナがまた怒った顔をし始めてしまい、俺はそんな事はしないと焦って二階に上がった。
会議室に入ってため息をついたが、どうしてミーナはあんなに怒るのか分からなかったよ。


「彼女の機嫌を取れる何かをしないとかなぁ」


やれやれっと、俺はミニャルにみんなを起こすように伝え、ベッドをインベントリにしまって行った。
眠そうにするみんなの手を取り、1階に降りるとミーナは笑顔だったから、もう平気と安心したよ。


「じゃあ、明日昼に来てくださいね」
「ああ頼むよミーナ」
「はい、頑張ってお父さんしてください」


ミーナにニヤニヤと言われてしまったが、手を繋ぐ感じがお父さんだったのは、自分でもそんな感じを受けてて納得してしまった。
それだけの年齢差があり、異世界では許容範囲ではあるが、俺にとって女性としての対象ではなかったんだ。


「そう考えると、そんな子たちを集めるのも良いかもな」


ギルドを出る時、そんな事が頭に浮かんだので、ギルドハウスをモフモフハウスにしてしまおうと考えたんだ。
自分の趣味に走る楽しみが決まり、獣人を集めるクランを目指す事にした。


「さて、ミニャルたちの泊ってる宿は何処だ?」
「あっちだにゃ」
「あっちって・・・宿なんてあったか?」


ミニャルが指差した方角は、廃墟が多い場所であり、まさか宿なしだったのかと心配になった。
しかし、俺の心配は空振りに終わり、本当に宿屋はあったんだ。


「だが、これはボロすぎる」
「仕方ないのにゃアレシュ、獣人が普通に泊まれる宿なんてないのにゃ」
「そうか・・・何かすまん」
「良いのにゃ、アレシュがそんな人じゃないのは、ギルドでよ~く分かったのにゃ」


獣人を捕まえて奴隷にしようとする者は多く、ギルドで絡んだ男たちも女遊びに使おうとした。
だからこそ、ミニャルが俺を警戒して来たし、その流れは簡単には断絶できない。


「誰も来ない場所の宿は、獣人専用って事にゃ」
「獣人以外が来たら、捕まえて懲らしめるって訳だな」
「そうなのにゃが、アレシュは平気なのにゃ」


果たしてそうだろうかっと、少し心配して宿に入ったら、早速番頭に座っていた丸い耳をした少女に威嚇された。
フシャーっと、毛を逆立てて来て、俺は可愛いと思ってしまったよ。


「パンネル、落ち着くにゃ」
「ミニャルさん、ここは獣人専用ですよ、そんなケダモノ連れてこないでください」
「アレシュはケダモノじゃないのにゃ、優しい人なのにゃよ」
「ふんっ!どうだか」


かなり警戒されてしまい、ミニャルはそれを証明してほしそうに見つめて来て、俺は仕方なく少女に話しかける事にした。
かなり警戒して睨んでくる少女に、部屋が余っているかを聞いたら、食い気味に無いと即答されてしまった。


「満室か」
「馬小屋ならタダで良いし開いてるわよ、あなたたちケダモノに丁度良いでしょ」
「そうか、ミニャルたちの近くにいたいからそこで良い、貸してくれてありがとう」
「うっ!・・・本当に泊まる気?」
「勿論だ、仲間が心配だからな」


宿が襲撃されたら、それこそみんな一緒に捕らえられてしまうし、それは絶対にさせないと真剣に話した。
それが良かったのか、少女は帳簿を出して来て、ミニャルたちの部屋に名前を入れる様に言ってきたんだ。


「悪いんだが、男の俺が一緒だとミニャルたちが安心して休めない、だから馬小屋で良い」
「ほ、本気なの?」
「その変わり、寝やすいように少し変える事を許可してくれ」
「まぁそれくらいなら」


言質を取り、俺はその場で魔法のカード【修復】を取り出し使用した。
このカードは、壊れている場所を修復し、新品同様にしてくれるから、急に宿が綺麗になって少女はびっくりだ。


「良し、これで少しは休みやすいだろう」
「ちょっちょっと」
「ん?許可は貰っただろう」
「あたいが言ったのは小屋の方よ、宿に何かしても良いなんて言ってないわ」


そうだったか?っと誤魔化し、料金は取らない事を約束した。
故意にしてしまったのだから当然と少女も納得し、これくらいなら言い訳の度合いで出来そうと、しめしめと俺は思っていたんだ。


「にゅふふ、やっぱりアレシュは違うのにゃ」
「なんだよミニャル、俺は間違って直しただけだぞ」
「良く言うのにゃ」
「「「「うんうん」」」」


いつの間にかしっかりと起きていたトーニャたちにまで頷かれ、みんなと別れて馬小屋を直しに向かった。
みんなの部屋を良くする事も考えたが、宿の備品を変えるのはまずいし、同じ失敗をすると怪しまれるので諦めたよ。


「それに、こちらが優先だよな」


馬小屋と言うだけあり、匂いもそこそこ悪くボロいのは変わらなかった。
宿と同じように修復を使い、更に【浄化】を使って清潔にしたんだ。


「さて、後は寝床だが・・・もう贔屓しなくても良いんだよな」


俺の販売していた品は、こちらにもある物ばかりで、資金の為にほどほどに抑えていた。
しかし、もうそんな事をする気はない為、手に入れていたチートアイテム【テントハウス】を小屋の中に出したんだ。


「中がホテル並みに広く、それでいて設備も整ってるから、ここで休むとするかな」


中に入り、俺はとても広いスイートルームに泊まる事になったよ。
襲撃があれば、テントハウスに警報が鳴り俺は飛び出せるんだが、その日はちょっと変わった客が来て驚いたよ。
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