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3章 知名度戦争でもアゲアゲ

61話 金のタマゴは次元が違った

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あれだけ拮抗していた試合だったのだけど、マリューナ選手が出て来て魔族を圧倒した事で、アタシも旦那様も見てて驚きました。


「な、なぁケロル、彼女は人間なのか?」
「失礼よ旦那様、気持ちは分かるけど、それは流石に失礼よ」
「だってな、魔族って不思議な力で体を守っていて、力も魔力も強い者だろう?」
「そうなんだけど、同じ力を使う様になったから、彼女たちは強いんでしょうね」


だとしてもあれは凄すぎるっと、旦那様は驚いていてアタシも同じだったわ。
ロベリア選手も凄かったけど、対戦相手のケントス選手は、アタシたちでも見える攻撃をしていたので、明らかに実力が低かったんです。


「リューブ選手の解説が貰えないから分からないが、あれは凄すぎたよな」
「そうね、いまだにアシャラ選手の治療をしているので解説にはこれませんから、ちょっとアタシたちだけでは難しいかもしれないわ」


ちょっと困っていたら、魔族を圧倒したマリューナ選手がこちらに来て、ニコリとして解説に参加すると言ってくれました。
凄く怖い人に見えた戦いだったのに、今は凄く優しそうな人で喜んで受け入れましたよ。


「ありがとうございます、リューブさんがまだ掛かるので、変わりが出来る様に頑張りますね」
「よろしくお願いします」
「早速なんだが、次の魔族側は武将の中でも四天王よりも強いと噂の暗黒騎士で、名前はヴァリアル選手だ」
「それに対するは、エルフの少女ミル選手ですけど・・・これまた体格差が凄いですね、平気なのでしょうか?」
「お二人の心配も分かりますが、彼女は私よりも強いですよ」


強いと言う一言を聞き驚いたのだけど、更に驚くべき事実を耳にしてしまい、開いた口が閉じれませんでした。
なんと、金のタマゴの中で一番弱いのがマリューナ選手で、あれだけ圧倒したのに弱いと笑ってきたんです。


「し、信じられない、本当なのかそれは」
「まぁ後衛と言う事もありますから、前衛のメメル選手とブラヌ選手に勝てないのは当然として、エルフのお二人は魔力が凄いですからね」
「そうか、魔法使いの戦いと言う事は弱い事になるんだな」
「そういう事です・・・まぁ接近戦でもあの二人には勝てませんけどね」


あははっと笑うマリューナ選手は、さっきまでその接近戦で相手を翻弄していたのに、ほんとに?っとミル選手の試合を見る事になったんです。
開始直後、ヴァリアル選手の大剣が振り下ろされ、小柄なミル選手はまともに受けたから目を手で抑えたけど、ミル選手は大剣を持っていた鉄扇と言う武器で受け止めていて、ミル選手は無傷だったわ。


「そう言えば、あの舞台って凄い丈夫ですね、普通なら今のでかなり下がへこみますよ」
「「気にするのそっち!」」
「何を驚いているんです、あれくらい私でもできますし、相手はまだ様子見の様ですよ」


そうなのかっと、次の攻撃はどうなるのか見ていたら、ミル選手が強化魔法を自分に掛けて高速で動き出しました。
全身鎧のヴァリアル選手は、大剣で守る体勢になり、あらゆる方向から金属音がしてきたんです。


「見えないが、ミル選手が攻撃しているんだな」
「その通りですよイバラス君、鉄扇の攻撃は鉄なんて簡単に切れるのに、あの鎧はとても丈夫ですね」
「情報によると、あの鎧は魔攻鉄と呼ばれる特殊なもので、オリハルコンの次に硬いらしいぞ」


旦那様が解説してくれて、これは突破出来ないと盛り上げましたが、そんな鎧が壊され破片が吹き飛び観客の歓声が上がったんです。
ブーツにバックラーに鎧と段々と剥がされていき、ヴァリアル選手も焦り始めたのか大剣を振りかぶって応戦し始めたわ。


「でも、当たってないわね」
「これは、一方的だな」
「ミルちゃんは、魔力と気功術を一緒に使っていますからね」
「あれ?今までの選手も使ってましたよね」
「言い方が悪かったですね、同時に使うのではなく、二つの力を編み上げてるんです」


それを聞き、どれだけ強力になったのかが想像できませんでした。
解明したばかりの気功術を使うだけでも強かったのに、それを魔力と合わせるとか、もう最強じゃないっとアタシは断言しましたよ。


「だからワタシが敵わないんです、あれは反則ですよ」
「そうだったのか、これは結果が見えたか?」
「それはどうでしょう、ミルちゃんはリューブさんに良い所を見せようとするから調子に乗るんです、だからそろそろ」


マリューナ選手がそう言うと、ミル選手が舞台の端に現れ、変わった構えをして魔力を溜め始めました。
大技を出そうとしている様で、これでフィニッシュとアタシは伝えたんですが、魔力と気功術の力が強すぎたのか、ミル選手の足元が溶けてしまい場外に落ちて頭を打ち、溜めていた力が暴発してしまったんです。


「あああ、あれは平気なのか?」
「も、もしかして死んでしまったんじゃ」
「それは心配ないんですけど、やっぱりやっちゃいましたね」


マリューナ選手は困った顔をしていて、ミル選手は無事なのかと心配してたら、目を回して気絶していました。
なんとも締まらない結果ですが、勝者はヴァリアル選手と決まり試合は終わってしまったわ。


「あれが決まっていれば勝てたんですけど、ダメでしたねぇ」
「そういう問題か?舞台が溶けるって相当だぞ」
「た、確かあの舞台って、凄腕の鍛冶屋に作ってもらったオリハルコン製って話でしたよね」
「そうだったんですね、でも結果は結果です」


仕方ないっと、マリューナ選手はとても清々しい感じで、アタシと旦那様は「それで良いのか」っとツッコんでしまったわ。
試合結果も3勝3敗となり、次の試合に入ったんです。


「次は、いよいよ残りの四天王が出て来るぞ」
「ケントス選手の上司で師匠、ラオシェン選手ですね」
「ああ~そうなんですね、じゃあコルちゃんは容赦しませんね」
「どういう事だ?」


試合なのだから普通だとは思ったけど、なにかあったのかとマリューナ選手のお話に耳を傾けました。
試合前に鉢合わせした時、呪われた子供と言われたらしく、怒っている理由を解説を貰いました。


「そうか、そう言えばエルフは双子を呪われた存在としていたな」
「そうだったんですね、じゃあこの試合は」
「そうですね、きっと相手はボコボコにされてしまいます」


ゾクッとしながら開始の合図を行うと、その直後にラオシェン選手が上空に打ち上げられ、ミル選手の時の様に見えない攻撃がラオシェン選手は何も出来ずに襲わました。
ミル選手と違い、コル選手は姿を見せずにそのまま攻撃を続け、ラオシェン選手は上空で意識を失い、そのまま舞台に落ちて終了してしまったわ。


「こ、これはまた」
「一瞬でしたね」
「すみません、もう少し盛り上げる戦いを見せても良かったですね」
「「そういう問題じゃない!」」


さっきも言ったけど、今戦っているのは前戦争で恐れられた魔族であり、こんなに圧勝できる相手ではなかったんです。
教会の超化人種を圧倒した存在で、10つ星冒険者が束になっても敵わない存在とアタシは解説しましたよ。


「あなたたち金のタマゴは、いったいどれほどの訓練をしているんですか」
「まぁ厳しい事は確かですけど、リューブさんは出来ない事はしない人で、とっても優しいんですよ」
「そうですか、なんだかごちそうさまなお話ですね」


惚気になりそうだったので、アタシは早々に切り上げて次の試合の紹介に入りました。
次は、あの4刀流のシロウジャの師匠、四天王のシャバラサジャ選手でした。


「彼は、なんと8本の剣を使うそうですよ」
「ほう、シロウジャが4本で3本が見えなかったから、そいつも見えないのか?」
「そうみたいです、2本見えて6本が見えないそうですよ」
「それはそれは、少しはブラヌちゃんを楽しませてくれそうね」


既に勝った気でいるマリューナ選手は、どんな相手か見るだけでブラヌ選手を応援し初め、アタシは2本の鉄扇でどうにか出来るのかと心配でした。
ギリギリの戦いで余裕はなく、本当に平気なのかと聞いてしまったわ。


「そうですねぇ・・・見えない6本が60本なら良い勝負になりますかね」
「「はいっ?」」
「実は、6本の見えない腕は見えてるんですけど、見えないってだけで普通の腕なんですよ」
「普通って、見えない時点で普通じゃないぞ」


旦那様の言う通りで、どうしてそんな答えになるんだと質問したのよ。
マリューナ選手は、見えてしまえば対応は出来るから問題なく、手数が8つでは足りないと言って来たわ。


「ブラヌちゃんは、手数では家の中で一番なんですよ」
「手数って、2本の鉄扇で連打するだけだろう、それでは足りないんじゃないか?」
「そう思うかもしれませんが、気と言うのは放出する形を決められるんですが、ブラヌちゃんは手数を増やす方に特化してるんです」


アタシたちには見えないけど、既にブラヌ選手は気を鉄扇から伸ばしていて、それが8本以上のツルになっているそうです。
広げた鉄扇の折られた部分から伸びているらしく、全部で30本あるそうですよ。


「そ、それは凄いですね」
「実は、あれはリューブさんに一撃を入れた唯一の攻撃なんです」
「「え」」
「もう凄いんですよリューブさん」


リューブ選手の惚気を喋り始めるマリューナ選手は、試合そっちのけで語りだし、その間にブラヌ選手は圧倒的な手数で勝利してしまいました。
この人達は本当に規格外だと、旦那様と意見を揃えてしまいましたね。
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