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2章 知名度広がる
35話 ダメダメ村長
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今頃、ダンジョンではリューブさんたちが頑張っているんだろうなぁっと、倒れていた村人を集めてスープを配りながら思っていました。
「あ、ありがとうございます」
「良いんですよ、僕たちは冒険者ギルドからご依頼を受けてきました」
「そうだったんですね・・・じゃあ、村長が」
「いえ、ご依頼は薬草の採取で、村には様子を見る為に寄ったんですよ」
スープを受け取った女性は、何やらホッとしている感じでした。
普通は村長が出した依頼を受けている方が良いはずなのに変と思って、どうしてそんな顔をするのかと聞く事にしたんです。
「僕は商人のキンブルと言います、村長とお話は出来ますか?」
「それが・・・この村の村長は逃げてしまったんです」
「逃げた・・・じゃあ今の責任者は」
「ワタシです、ティターナと申します」
年齢は僕と同じで20代前半で、とても苦労しているのか疲れた顔をしています。
他の村人もそうですが、食糧難と言うのが良く分かるほどに痩せていたから、スープ以外にリューブさんが用意したパンも追加したんです。
「今は食べましょう、食料は沢山持ってきましたからね」
「でも、ワタシたちには報酬を払うほどの余裕はありません」
「ティターナさん、僕らは様子を見に来たんですよ、これは奉仕です」
貰えるのならそれでも良かったけど、何もないなら今後に期待するのが商人のやり方で、僕は今村を1つ手に入れたのと同じになりました。
ニッコリとしながらどうしてこうなったのかを聞いたのですが、村長は食糧難が始まった初期の頃にいなくなり、それでも頑張っていたら魔素が溢れて倒れてしまったんだ。
「まさに、泣きっ面にハチと言う事ですか」
「はい、村長がいなくなった後も何とかしていたのですが、急に動けなくなってしまったから何も出来ませんでした」
「そうでしたか、じゃあ責任者のティターナさんと取引です」
今、村には世界で1箇所しか採取が出来ない希少な品が取り放題で、それを売ってほしいとお願いしました。
ダンジョンのせいで魔素が溢れた事もお話して、今後は国が優先的にこの村を管理するから、その前に稼ぎたいと僕の心境を伝えたんだ。
「国が管理・・・それって保護と言う事ですか」
「元からそうだったんだけど、そういう事です」
リューブさんが咲かせたあの花は、ダンジョンのある場所で取れると言う訳ではなく、勇者が作り出した奇跡の品だったんです。
その花からは魔力の籠った蜜が取れ、色々な薬の材料として広まっています。
「いまだに誰も代わりの物が作れない奇跡の花、それがここで取れるようになったんですよ」
「だから国が管理するのは分かりましたけど、ワタシが責任者と言っても、正式に引き継いだわけじゃないので、それを聞いたらあの村長は戻って来ると思います」
「ああ、利益を独占されそうなんですね、それなら問題ありません」
既に王族であるサリーヌ様が管理することが決まっているし、元村長が何を言っても逆らえません。
僕が先に採取しようとしているのは、リューブさんに許可を貰い生産体制を作る為であり、村を救う口実だったんだ。
「王都に戻れば書面も作られますし、手順だけが残っているだけですよ」
「王族って、そんな偉い人がここに来ていたんですね」
「たまたまでしたが、最初にこちらに来て良かったです」
予定では、4ヶ所の村に行くはずだったので、他の村の援助をここでする事になりそうです。
魔素花の蜜は人ではいるので、他の3ヶ所から労働者を借りると言う事も考えたよ。
「そういう事なので、ご安心くださいティターナさん」
「そうなんですね・・・でも、他の村はとても遠いですから、宿泊施設とか大変な建設が待っていますよ」
「それも問題ありませんし、移動もこれを使います」
リューブさんから貰った紙で、ペーパークラフトと言うそうです。
変わった鳥の形をしているそれは、僕を乗せて飛ぶ事が出来たんだ。
「そそそ、空を飛ぶんですか飛空馬車でもないのに?」
「これで僕は王都に戻ります、今の責任者のあなたも来ていただけますか?」
「それは問題ありませんが、これに2人は乗れませんよ」
「2人なら余裕ですし、労働者を運ぶのはまた別のペーパークラフトです」
さぁ行きましょうっと、ティターナさんに手を貸して僕はペーパークラフトを操作して空を飛びました。
この旅の間にリューブさんに教えて貰っていたけど、今思えばリューブさんはこの旅が始まる前にこうなると知っていたのが良く分かったよ。
「凄い、これなら王都まで直ぐですね」
「そうですねティターナさん、1時間といった所なので、これからの流れでも決めましょう」
「はい、まずは商業ギルドですよね」
「そうです、そこで生産の件をお話して、工場などの申請をします」
同時に、サリーヌ様が管理する書面も申請し、ダンジョンと村がサリーヌ様の物となるんだ。
それさえ出せば、国王様ですらも簡単には手を出せなくなり、村を捨てた村長が出てきたら笑ってやろうと思っていたよ。
「まぁ王都にいればだけどね」
そんな事は無いと思っていたけど、僕たちが王都に到着して商業ギルドに申請を済ませて帰る時、偶然にもその元村長と入り口で鉢合わせしたんだ。
ティターナさんが驚いて村長と呼んだ事で気づかれたけど、それで済むわけもなくティターナさんが怒って叫んだんだ。
「な、何を言う、ワシは村を助けるために一人でここに来ただけじゃ」
「2月も経ってるんですよ、冒険者ギルドに申請もしないで何を助けるんですか」
「お、お前の様な小娘には分からぬ、ワシはもっと複雑な事をしているのじゃよ」
準備が出来て商業ギルドに訪れたと主張してくるけど、明らかに目が泳いでいるし嘘なのが分かりました。
もう関係ない者なので、ティターナさんにも無視してほしかったけど、怒りの感情が抑えられなかったのは分かるので助ける事にしたよ。
「ちょっと良いですか」
「なんだお前は」
「僕はキンブルと言う商人ですが、そもそもあなたには関係ないんですよ」
「ど、どういう事だ、ワシはあの村の村長だぞ」
それは逃げる前の話であり、もう申請したので違うとしっかり伝えました。
そんな物が受理されるわけがないと言うけど、王族からの申請なので絶対に受理されるし、王都周辺の街や村は管理者のいない国専属だったんだ。
「国から王族のサリーヌ様個人になったんですよ」
「そ、そんな話聞いてないぞ」
「それはそうです、先ほど決まりましたからね」
「そ、そんな馬鹿な」
自分の物を取られたように悔しがってくるので、元村長が村の為に考えた政策を提示する様に聞きました。
ここに来た理由がそれだと先ほど言っていたので、何も無い訳がないと追及したら、何も言わずに顔を赤くして怒ってきたよ。
「怒っても変わりませんよ、早く言ってみてください、それがないなら今までの事が嘘であなたは逃げた事になります、それは責任問題ですから処罰は覚悟してくださいね」
「そ、それは」
「そもそもですね、誰にも言わずに村を出たら不審に思われるのは当たり前です」
2月前の出来事なら尚更であり、結果が出てないから何も言えないと指摘しました。
歩きで片道1日の場所なのだから、依頼を出すなり出来たはずと更に言ってやったんだ。
「そんな人は、サリーヌ様が管理する村には必要ありません、もうティターナさんがいるのであなたは王都で勝手に暮らしてください」
「い、言われなくても、ワシはもう関わらない」
「それを聞いて安心しました、じゃあ魔素花の件はティターナさんと話しますね」
「な、何だと、今なんと言った」
ワザと聞こえる様に言ったら、見事に釣れて僕はニヤニヤして説明をしました。
莫大な利益を得られると知り、元村長は話が違うと言って来たけど、関係ないと突き放してやったんだ。
「わ、ワシは村長だぞ」
「元が抜けていますし、そもそも村人を見捨てる様な人、僕が許しませんよ」
「お、お前に許して貰う必要はない」
「いいえ、サリーヌ様が管理するあの村は僕が取り扱う事が決まっていますから、商人としてあなたは許せないんですよ」
誰かの為に動くのなら、誰にも言わずに一人で動く事はあるかもしれませんが、こいつは自分が助かる為に逃げ出したんだ。
商業ギルドに来たと言う事は、何らかの商売をしているのが予想され、僕はそれを潰す為に今こいつを釣ったんだよ。
「先ほどから何事ですかな?」
「ああ、商業ギルドの方ですね、この方がなにやら言いがかりをつけてきまして、王族のサリーヌ様が管理する政策に歯向かおうとしているんですよ」
「それは問題ですね、ちょっとあなたこちらに同行してもらえますか」
「ななな、何故ワシが」
「それは当然です、王族に歯向かうと言う事は国に歯向かうと言う事ですよ」
元村長が連れていかれ、僕は作戦が成功してせいせいしていました。
これで懸念していた邪魔者はいなくなり、迅速に進めるのが確定したんだ。
「あ、ありがとうございます」
「良いんですよ、僕たちは冒険者ギルドからご依頼を受けてきました」
「そうだったんですね・・・じゃあ、村長が」
「いえ、ご依頼は薬草の採取で、村には様子を見る為に寄ったんですよ」
スープを受け取った女性は、何やらホッとしている感じでした。
普通は村長が出した依頼を受けている方が良いはずなのに変と思って、どうしてそんな顔をするのかと聞く事にしたんです。
「僕は商人のキンブルと言います、村長とお話は出来ますか?」
「それが・・・この村の村長は逃げてしまったんです」
「逃げた・・・じゃあ今の責任者は」
「ワタシです、ティターナと申します」
年齢は僕と同じで20代前半で、とても苦労しているのか疲れた顔をしています。
他の村人もそうですが、食糧難と言うのが良く分かるほどに痩せていたから、スープ以外にリューブさんが用意したパンも追加したんです。
「今は食べましょう、食料は沢山持ってきましたからね」
「でも、ワタシたちには報酬を払うほどの余裕はありません」
「ティターナさん、僕らは様子を見に来たんですよ、これは奉仕です」
貰えるのならそれでも良かったけど、何もないなら今後に期待するのが商人のやり方で、僕は今村を1つ手に入れたのと同じになりました。
ニッコリとしながらどうしてこうなったのかを聞いたのですが、村長は食糧難が始まった初期の頃にいなくなり、それでも頑張っていたら魔素が溢れて倒れてしまったんだ。
「まさに、泣きっ面にハチと言う事ですか」
「はい、村長がいなくなった後も何とかしていたのですが、急に動けなくなってしまったから何も出来ませんでした」
「そうでしたか、じゃあ責任者のティターナさんと取引です」
今、村には世界で1箇所しか採取が出来ない希少な品が取り放題で、それを売ってほしいとお願いしました。
ダンジョンのせいで魔素が溢れた事もお話して、今後は国が優先的にこの村を管理するから、その前に稼ぎたいと僕の心境を伝えたんだ。
「国が管理・・・それって保護と言う事ですか」
「元からそうだったんだけど、そういう事です」
リューブさんが咲かせたあの花は、ダンジョンのある場所で取れると言う訳ではなく、勇者が作り出した奇跡の品だったんです。
その花からは魔力の籠った蜜が取れ、色々な薬の材料として広まっています。
「いまだに誰も代わりの物が作れない奇跡の花、それがここで取れるようになったんですよ」
「だから国が管理するのは分かりましたけど、ワタシが責任者と言っても、正式に引き継いだわけじゃないので、それを聞いたらあの村長は戻って来ると思います」
「ああ、利益を独占されそうなんですね、それなら問題ありません」
既に王族であるサリーヌ様が管理することが決まっているし、元村長が何を言っても逆らえません。
僕が先に採取しようとしているのは、リューブさんに許可を貰い生産体制を作る為であり、村を救う口実だったんだ。
「王都に戻れば書面も作られますし、手順だけが残っているだけですよ」
「王族って、そんな偉い人がここに来ていたんですね」
「たまたまでしたが、最初にこちらに来て良かったです」
予定では、4ヶ所の村に行くはずだったので、他の村の援助をここでする事になりそうです。
魔素花の蜜は人ではいるので、他の3ヶ所から労働者を借りると言う事も考えたよ。
「そういう事なので、ご安心くださいティターナさん」
「そうなんですね・・・でも、他の村はとても遠いですから、宿泊施設とか大変な建設が待っていますよ」
「それも問題ありませんし、移動もこれを使います」
リューブさんから貰った紙で、ペーパークラフトと言うそうです。
変わった鳥の形をしているそれは、僕を乗せて飛ぶ事が出来たんだ。
「そそそ、空を飛ぶんですか飛空馬車でもないのに?」
「これで僕は王都に戻ります、今の責任者のあなたも来ていただけますか?」
「それは問題ありませんが、これに2人は乗れませんよ」
「2人なら余裕ですし、労働者を運ぶのはまた別のペーパークラフトです」
さぁ行きましょうっと、ティターナさんに手を貸して僕はペーパークラフトを操作して空を飛びました。
この旅の間にリューブさんに教えて貰っていたけど、今思えばリューブさんはこの旅が始まる前にこうなると知っていたのが良く分かったよ。
「凄い、これなら王都まで直ぐですね」
「そうですねティターナさん、1時間といった所なので、これからの流れでも決めましょう」
「はい、まずは商業ギルドですよね」
「そうです、そこで生産の件をお話して、工場などの申請をします」
同時に、サリーヌ様が管理する書面も申請し、ダンジョンと村がサリーヌ様の物となるんだ。
それさえ出せば、国王様ですらも簡単には手を出せなくなり、村を捨てた村長が出てきたら笑ってやろうと思っていたよ。
「まぁ王都にいればだけどね」
そんな事は無いと思っていたけど、僕たちが王都に到着して商業ギルドに申請を済ませて帰る時、偶然にもその元村長と入り口で鉢合わせしたんだ。
ティターナさんが驚いて村長と呼んだ事で気づかれたけど、それで済むわけもなくティターナさんが怒って叫んだんだ。
「な、何を言う、ワシは村を助けるために一人でここに来ただけじゃ」
「2月も経ってるんですよ、冒険者ギルドに申請もしないで何を助けるんですか」
「お、お前の様な小娘には分からぬ、ワシはもっと複雑な事をしているのじゃよ」
準備が出来て商業ギルドに訪れたと主張してくるけど、明らかに目が泳いでいるし嘘なのが分かりました。
もう関係ない者なので、ティターナさんにも無視してほしかったけど、怒りの感情が抑えられなかったのは分かるので助ける事にしたよ。
「ちょっと良いですか」
「なんだお前は」
「僕はキンブルと言う商人ですが、そもそもあなたには関係ないんですよ」
「ど、どういう事だ、ワシはあの村の村長だぞ」
それは逃げる前の話であり、もう申請したので違うとしっかり伝えました。
そんな物が受理されるわけがないと言うけど、王族からの申請なので絶対に受理されるし、王都周辺の街や村は管理者のいない国専属だったんだ。
「国から王族のサリーヌ様個人になったんですよ」
「そ、そんな話聞いてないぞ」
「それはそうです、先ほど決まりましたからね」
「そ、そんな馬鹿な」
自分の物を取られたように悔しがってくるので、元村長が村の為に考えた政策を提示する様に聞きました。
ここに来た理由がそれだと先ほど言っていたので、何も無い訳がないと追及したら、何も言わずに顔を赤くして怒ってきたよ。
「怒っても変わりませんよ、早く言ってみてください、それがないなら今までの事が嘘であなたは逃げた事になります、それは責任問題ですから処罰は覚悟してくださいね」
「そ、それは」
「そもそもですね、誰にも言わずに村を出たら不審に思われるのは当たり前です」
2月前の出来事なら尚更であり、結果が出てないから何も言えないと指摘しました。
歩きで片道1日の場所なのだから、依頼を出すなり出来たはずと更に言ってやったんだ。
「そんな人は、サリーヌ様が管理する村には必要ありません、もうティターナさんがいるのであなたは王都で勝手に暮らしてください」
「い、言われなくても、ワシはもう関わらない」
「それを聞いて安心しました、じゃあ魔素花の件はティターナさんと話しますね」
「な、何だと、今なんと言った」
ワザと聞こえる様に言ったら、見事に釣れて僕はニヤニヤして説明をしました。
莫大な利益を得られると知り、元村長は話が違うと言って来たけど、関係ないと突き放してやったんだ。
「わ、ワシは村長だぞ」
「元が抜けていますし、そもそも村人を見捨てる様な人、僕が許しませんよ」
「お、お前に許して貰う必要はない」
「いいえ、サリーヌ様が管理するあの村は僕が取り扱う事が決まっていますから、商人としてあなたは許せないんですよ」
誰かの為に動くのなら、誰にも言わずに一人で動く事はあるかもしれませんが、こいつは自分が助かる為に逃げ出したんだ。
商業ギルドに来たと言う事は、何らかの商売をしているのが予想され、僕はそれを潰す為に今こいつを釣ったんだよ。
「先ほどから何事ですかな?」
「ああ、商業ギルドの方ですね、この方がなにやら言いがかりをつけてきまして、王族のサリーヌ様が管理する政策に歯向かおうとしているんですよ」
「それは問題ですね、ちょっとあなたこちらに同行してもらえますか」
「ななな、何故ワシが」
「それは当然です、王族に歯向かうと言う事は国に歯向かうと言う事ですよ」
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