心を掴むのは冒険者の心得!だから俺は引退前に指導する。

まったりー

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2章 知名度広がる

25話 弟子入り拒否

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俺の予定通り、メメルが3人の気を受け取り覚醒し、ブラヌが横に移動して勝ちを確信したのか笑っていたよ。


「気の操作が一番上手いメメルだから出来たんだが、それを見れたみんなも出来る様になるのに時間は掛からないだろう」


後ろに倒れる3人は戦闘不能になってしまうからダンジョンでは使えないが、3人を守る為にブラヌが動いても良いし、この作戦を俺は高く評価したよ。
俺の考えた作戦の中で最高の得点であり、仲間を犠牲にするような作戦をみんなが取らなくて安心もしていた。


「ご褒美に目がくらんで最低の策を選ぶとか、普通ならありそうだからな」


4人の気を1人に集め、血を吐きながら戦うと考えそうだが、欲にも負けない子たちで、俺は本当に嬉しくて残り時間が少ない事を忘れるほどに感動していた。
しかし、これは遊びと称した訓練であり、残り1分と少しだから俺も本気で追いかける事にした。


「じゃあ、行くぞ二人とも」
「「はい、リューブ師匠」」


正直に言うと、5秒あれば捕まえる事は容易だったんだが、みんなで話し合って困難を乗り越える訓練は成功だから、手加減してみんなにご褒美をあげる事にした。
5分間逃げ切る事に成功し、みんなは大喜びしたんだが、無理をしたメメルが限界を迎え倒れてしまい、俺は直ぐにキャッチして抱き上げたよ。


「メメル、やっぱり無理をしてたのね」
「ちょっと疲れただけよブラヌ、少し休めば治るわ」
「今後の課題ではあるが、本当に良くやったな」


メメルを撫でて今日はゆっくり休むように伝えたんだが、それを見ていたキンブルは感動して泣いていたよ。
光の剣のメンバーも横で座って見ていたんだが、声にもならない様で驚きの表情をしたまま固まっていた。


「凄いです、さすがリューブさんのお弟子さんですね」
「自慢の弟子たちだよ、ちょっと休ませるから、今日は解散だ」
「はい、明日色々聞かせてください」
「そうだな、皇女様にも教えるだろうし、キンブルには聞いてもらうかな」


魔族が気の初歩を使っていて、気功術はそれだけ凄い力を秘めていた。
それを現実に見て、何も思わない奴は強さを求めない者で、光の剣のメンバーが我に返って俺に頭を下げて来た。


「な、何だよお前たち、俺たちは今から部屋で休むんだがな」
「その前に、頼むから俺たちにも訓練をしてくれ」
「お願いおじさん」
「わたくしたち、もっと強くなりたいのです」


全員から頼まれ、キンブルからもお願いされてしまった。
気功術はギルドでも指導したが、頭を下げられても教えられないと伝えたよ。


「そこを何とか、金なら払う」
「金の問題じゃないんだ、これは俺の気持ちの問題だ」
「何よそれ、あたいたちが気に入らないの」
「ああ気に入らない、君たちは護衛も出来ない8つ星だからな」


痛い所を言われたからか、光の剣のメンバーは何も言い返せなくなっていた。
簡単に強さを身に付けては、慢心してしまうのは目に見えていて、メメルたちはそんな中でも慢心しない特別な子たちだった。


「君たちは大人なんだから、自分たちで強くなれ」
「それが出来れば苦労はない」
「そうなのですわ、今わたくしたちは壁に当たっているんです」
「だから、ちょっと人気が上がってるあなたたちがうらやましくて、ごめんなさい」


やっと謝罪の言葉を貰え、根は良い奴らなのがなんとなく伝わって来て、焦っていた理由もキンブルから聞く事が出来た。
今、王都のある島では不作が続いていて、故郷の村に資金を多く送りたくて依頼を沢山受けたが、無理をしていたから失敗が続いてしまったんだ。


「だから、今回も失敗したわけだな」
「ああ、そこは俺たちのせいだから何も言わない、だが俺たちはようやく気付けたんだ」
「確かに、その差は大きいな」
「だから頼む、あの子たちの様に指導してくれ」


島に着くまでの短い期間で良いと言われたが、その場で即答は出来ず考える時間を貰う提案をした。
自分たちの事だけを思ってる奴らなら、その時苦しそうにしてるメメルに気づかずにお願いしてくるんだが、彼らはそうはならなかった。


「じゃあ、今夜結果を教えるから、食堂にいてくれ」
「分かった、期待してるぜ」
「言っておくが、力をモノにできるかはお前たち次第だぞ」
「分かってる、だが俺はあんたに希望を見たんだ」


失敗してもただでは起きない精神はなかなかで、キンブルが目を掛けるだけの事はあると考えを改めた。
しかし、最初の態度は悪すぎたから、部屋に向かいながらどうしても教える気にならなかった。


「さて、どうしたものかな」
「リューブ師匠」
「ミルたちが教えても良い?」
「それ良いわね、丁度暇だし、やってやるわよ」


応用まで教えているみんななら出来なくはないし、メメルはしばらく安静にさせる必要もあった。
だから良い経験と思い、みんなに頼む事にしたが、光の剣がそれを了承するかは別問題だった。


「断られても気にするなよ」
「分かってるわ、もしそうならそれまでの人たちって事よね」
「そういう事だ、大人はプライドを持ってるからな」
「だからアタシたちも捨てられたけど、それも今となっては幸運だったわ」


俺に買われたから言えるとかブラヌは嬉しそうで、メメルをベッドに寝かせた後もみんなは楽しそうだった。
決まった事を知らせに行くにも早かったので、俺はメメルの治療に入ったよ。


「ねぇリューブ師匠、それってもしかして」
「良く気づいたなブラヌ、これはさっきマリューナたちが行った気の供給だ」
「「「「え」」」」
「あれにも色々あるんだ、回復を促す様に気を送れば、メメルは明日には起き上がれる」


回復功という応用技で、今後の為にも教える事を約束した。
メメルを回復させるにも必要だし、船の中での訓練には丁度良いので、みんなの行う訓練がそれに決まったんだ。


「じゃあ、俺は投稿用の映像を編集するから、みんなはメメルを見ててくれ」


それが済んだら、夕食を取って休むように言ったんだが、みんなは俺の編集に興味津々だったよ。
自分たちがどうやって戦っていたのかを見て、ちょっと恥ずかしそうにして来たが、改善点を話し合い始めて俺は安心した。


「本当に勉強熱心だな」
「そうでしょうか?これくらい普通だと思いますけど」
「マリューナ、その普通が出来ないのがプライドと言うもので、みんなもいつか持つことになる厄介なモノだ」


持たないと世間で問題になる事が多いのに、持ちすぎると素直になれない状態になる。
だからこそ、今の内に意見を言い合いそれを受け入れる仲間を作っているんだが、失敗例ばかりで心配だった。


「まぁみんなは素直だし、俺の言う事は聞いてくれるから心配はしてないな」
「そうなんですね・・・それで、ご褒美の事ですけど」
「そうだったな、みんなで考えてくれ」
「良かった、2人だけだと思って心配しました」


全員の協力があってこその勝利だったし、俺もそこは理解して全員のお願いを1つ聞く事にした。
それは夕食後の予定だったんだが、困ったお願いをその場でされてしまった。


「あのな、確かに俺はなんでもと言ったが、それは街にいた時に解決しただろう」
「でも、心を許せるのはリューブさんだけなんですよ」
「そうよ、アタシたちは子供として登録はしたけど、大好きなのは今後も変わらないわ」
「しかしな、全員を妻にするのは問題だ」


王族や貴族ではないのだからっと、俺は他のお願いをするように言ったが、約束を破るのは良くないとミルとコルに突っ込まれ、渋々ながら了承するしかなくなった。
しかし、肉体関係を持つことだけは反対し、成人してからと言う約束を取り付けたんだ。


「あの、私はもう成人してるんですけど」
「マリューナには悪いが、みんなを待っていてくれないか」
「それは良いですけど、5人を相手にするのは平気なんですか?」
「ああ、それは気の操作でどうにでもなる」


年齢操作も出来るから、最悪俺が若返れば良いだけで、変な方向に話が進んでしまったから、食堂で例の話をする為部屋を退出した。
みんなは楽しく夜のお話をするんだろうが、俺はそれには反対したかったよ。


「っという訳で、お前たちを教えるのは俺の弟子たちだ」
「つまり、弟子の弟子と言う事ですか?」
「俺はもう弟子を取りたくなかったからな、勿論俺も手伝うぞ」
「それなら問題はない、感謝するよ」


話はまとまり、明日から弟子の弟子の訓練が始まる事になったが、ギルドで行った事をそのままみんなが行うので、俺の心配はそれほどなかった。
後6日だが、退屈はしないし投稿も持続出来て言う事は無かったよ。
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