心を掴むのは冒険者の心得!だから俺は引退前に指導する。

まったりー

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1章 知名度アゲアゲ

3話 可愛いは正義

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ドラドンが選んだ種族は人種とエルフで、人気を集めるにはうってつけの人材だが、不安な事があったんだ。


「エルフの子供が2人も奴隷になってるはすがない、これはとても悪い理由があるはずだな」

2人をチラッと見ると、同じ顔が並んでいる様に見える為、おそらくエルフの世界で呪われた双子として売られたんだろう。
そんな簡単に子供も捨てるなんて信じられないが、今回俺としては助かったので何も言わなかった。


「それに、問題としては捨てたなら無いから、こちらとしてはバンバンザイだ」


人種の2人も似た様な理由と想像し、宿の部屋で装備を並べている4人を見ていた。
奴隷特有の目をしていて、これから何をされるのかを心配しているが、俺はそんな事しないし、冒険者として一人前になってもらうのが目的であるから、まずそこを訂正する事にしたよ。


「そんな顔しないでくれ、君たちが奴隷に落ちた理由はしらないが、生活は保証するよ」
「ほ、本当ですか?」
「騙されちゃダメだよメメル、大人なんてみんな嘘つきなのよ」


青髪の子がピンクの髪の子を守ってきたが、その意見には俺も同意してしまった。
大人は利益を考えて行動していて、嘘は誰もが付いていたんだ。


「ブラヌの言う通り、大人は嘘つきだが、俺は良い嘘つきだぞ」
「ほら、やっぱり嘘つきじゃない、何が良い嘘つきよ、バカにしないで」
「そうだな、まずお互い知らない人では信じられないな、じゃあ自己紹介をしようじゃないか」


話が進まなそうだったので、俺はリューブと名乗り頭を下げた。
主が奴隷に頭を下げる事はないから、今まで黙っていたエルフの二人が変とか言ってきた。


「ミルにコル、別に俺は変ではないぞ、礼儀と言うのは相手の身分は関係ない、誠意を見せる為に行うんだ」
「でも」
「私たちは奴隷」
「俺の持ち物と言いたいんだな」


奴隷は人ではないと言うのが二人の見解で、俺の言っている事には当てはまらないと指摘したい様だった。
だから変と言うのが正しいのかもしれないが、それが俺の誠意と言い切ったんだ。


「だから、君たちを物として扱う気はない」
「じゃ、じゃあ何で買ったのよ、やっぱり身体目当てなんでしょう」
「君たちは10歳だから、身体目当てにしても若すぎるぞ」


そういった趣味の者はいるし、貴族や王族はそれくらいでも子供を作るから、はっきりとそこは拒否して4人を買った目的を話した。
さっきも言ったからか、冒険者として一人前にする意味が分からないと、1番心配しているブラヌにツッコまれたよ。


「まぁ説明してないから当然だな、じゃあまずそこから話すから、みんな椅子に座ってくれるか」
「分からなくても文句言わないでよね」
「別に難しい事じゃない、むしろ分からない事は聞いてほしいな」


4人を買った理由は、他の新人冒険者たちに見せる投稿用の映像を作る為で、みんなが分からない事は新人冒険者も分からないから助かると伝えたんだ。
そして、俺ではダメな理由も教えたんだが、それを聞いてブラヌが確かにとか納得してきたよ。


「アタシだって、かっこいい人が映ってた方が見るわね」
「そういう事だ、だから4人がしっかりとした容姿でないと困るんだよ」
「だから生活は保障するってことですか?」
「そうだぞメメル、だから遠慮はいらないし、好き嫌いは無くしてもらうつもりだ」


冒険者は身体が資本であり、嫌いな食べ物があると栄養が偏り戦闘で動けなくなる事もあると注意した。
嫌いな食べ物は、食べやすくすることも約束し、それも映像に残すと伝えたんだ。


「嫌いな物はイヤ」
「うん、ミルは食べたくない」
「ミルにコル、そこは俺が何とかするから、これから色々教えてくれ」


代わりに俺はみんなを一人前にすると誓い、一番警戒していたブラヌも了承して来た。
そこで、採取の映像を取る事を伝え、明日はダンジョンだから気を引き締める様に伝えたよ。


「い、いきなりね」
「怖いですワタシ」
「それが冒険者だし、危険を回避する為にも俺の映像は必要なんだ」


みんなが怖がる様に、冒険者は危険が付き物だから俺は映像を残したかった。
その為に人気の出そうな可愛い子を集めたと言ったら、4人がびっくりした顔をしてきたよ。


「なんだよ、みんな自覚なかったのか?」
「だって・・・ねぇメメル」
「そそそ、そうですよ、ワタシたちの様な子供で奴隷が、可愛いなんてありえません」
「それは投稿してみれば分かる」


正直な話、俺が出るよりも絶対に人気になると思っていて、4人には見栄えの良い服は勿論、髪や肌も良くしようと思っていた。
だから生活は保障する訳で、変な事は一切ないと締めくくったんだ。


「どうかな、分かってもらえたか?」
「わかったけど、アタシたちが冒険者になる事を世界に流すの?」
「そういう事だぞブラヌ、何か問題かな?」
「いいえ、むしろ好都合よ」


ブラヌがニヤリとして見返してやると言ってきて、他の3人も頷き奴隷になった理由を話してくれた。
4人とも親から捨てられた様で、やる気はかなり上がり、早く教えてほしいと言うほどになったぞ。


「まてまて、明日からだと言っただろう、冒険者には休みも大切だぞ」
「そうかもしれないけど、今のを聞いたら待ってられないわ」
「そうですよ、教えてください」
「うん」
「何でもする」


気持ちがかなり高ぶっている様で、これをそのまま鎮静化するのは勿体ないと思い、俺は予定を変更して採取の前に投稿する映像を作る事にした。
それはダンジョン内で行う事ではなく、宿や休憩している場所で行う装備の点検で、みんなには床に広げた装備の横に座る様に伝えたんだ。


「それで、これをどうするのよ」
「まぁ待てブラヌ、ここからは俺の事を師匠と呼ぶんだ」
「どうしてよ?」
「良いかブラヌ、みんなは奴隷ではなく、新人冒険者となるんだ、呼び方ひとつで印象は変わる」


自分で買った奴隷ではなく、冒険者の志願者が俺に指導を要望して来た事にした方が良いと思ったんだ。
それは嘘であり、ブラヌは嫌そうにして来たんだが、これは良い嘘だと教えたよ。


「嘘に良いも悪いもないわ」
「世間はそう思わない、良いかブラヌ、なんでも真実を言えば良いというものではないんだよ」
「それは分かるけど・・・分かったわよ」
「よし、じゃあこれからはリューブ師匠と呼べ」


みんなから返事を貰い、俺は最初の投稿用に説明を入れる為、魔法玉を起動させた。
前の投稿を見て、新人志願者が俺の所に来たと説明し、今日から投稿の内容は彼女たちの成長を伝えるモノと説明したんだ。


「そして、今日は冒険者の誰もが持っている装備の点検の仕方だ」


俺は横にずれて、装備を並べて座っている4人を映してみせた。
床に座っていた4人の名前をそれぞれ呼び、投稿を見るであろう人たちに紹介したんだ。


「さて、みんなも気づいているだろうが、今4人が並べている装備は、初心者が良く使う革装備だが、職業で変えるのは常識だが、買えないのに無理をする必要はない」


使いやすさで装備を決めた方が良いと伝え、職業で違う装備を着けるとしても点検箇所は同じと伝えたんだ。
壊れ易い部位はどれも同じと言う事で、俺は早速説明を始めたんだ。


「まず、製品は糸や金属で繋いでいるから、そのほころびがあると直ぐに壊れる、だから繋ぎの部分をよく確認するんだ」
「「「「はい」」」」
「次は、穴や傷がないかの確認だ、革製品はひび割れにも気を付けろよ」


分かってしまえば簡単で、革製品は買い替えるのも容易だから、悪くなったら変える事を勧めた。
そして、次は武器の点検だが、刃こぼれしてないかを見させたよ。


「錆も見て置くんだ、切れ味が変わるからな」
「「「「はい師匠」」」」
「良い返事だ、これで装備の点検は終わりだ、次は前回の予告通り採取をするが、俺ではなく急遽教える事になった彼女たちが行う、良ければ見てくれ」


自分たちの糧にしてくれと伝え、魔法玉を切って記録を終わらせた。
編集の必要がなかったので、宿の端末から投稿して昼食を宿の食堂でみんなで取り、4人は凄く嬉しそうにしていたよ。


「奴隷になって初めてしっかりした食事が摂れたわ」
「まぁ普通はパン一個とかだからな、みんな遠慮しないで良いが、よく噛んで食べるんだぞ」
「「「「はいリューブ師匠」」」」
「良い返事だ、追加したければ言えよ」


必要経費と言う事で4人には沢山食べて貰い、元気が残っている内に冒険者登録に行こうとギルドに向かった。
しかしだ、映像の人気を確認してなかった俺は、自分の時とは違うのを目のあたりにして、完全な敗北を味わう事になったんだ。
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