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5章 2年1学期
131話 11歳の誕生日会
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「はぁ~お腹空いたわ」
わたしは今、自分の誕生日パーティーを眺めていて、お母様が演説をしているから暇なのよ。
この後、わたしもしないといけませんけど、面倒でならないわ。
「や、やっと終わったわ」
永遠と続くんじゃないかと思っていた、貴族たちからの挨拶もやっと終わり、わたしはやっと食事を取れること新田の。
エミリーに運んでもらっていたお皿を受け取り、美味しそうだから直ぐに口に入れたのだけど、期待は崩れてしまったわね。
「冷めてて美味しくないわね」
「申し訳ありません姫様」
「エミリーのせいじゃないわ、暖かい食事が美味しいのは当たり前だもの」
お母様も、隣に座って美味しくない食事に手を付けてて、何だが凄く寂しそうよ。
遠く離れたテーブルでは、アレシャスの獣魔や他の騎士たちが楽しそうに話しているから、当然と言えばそうね。
「シャルティル様、こちらなら少しは」
「ありがとエイミー【パク】・・・美味しいけど、やっぱり冷めちゃってるわ」
一口食べて、お肉は堅いし、野菜はしなしなで文句しか出ないわ。
エミリーが運んでくれたから、それなりにマシな方だけど、遠くのテーブルを見てしまうと、やっぱりあそこに行きたいわね。
「あそこだけ、湯気が出るほどの暖かそうな食事があるわ」
「仕方ないですよシャルティル様、あれは魔道具を使って温めているんです」
そうなのよねぇっと、わたしはガッカリです。
わたしたちの方にもそれが欲しいのだけど、あれはまだ試作品でこの後献上する予定だからダメなのよ。
「仕方ないですよシャルティル様、こちらのスープはまだ暖かいですよ」
エミリーがスープを差し出して来て、ほんと暖かったわ。
どうしてなのかと思ったら、鍋の下に魔法陣が刻まれていて、これは少しだけマシな方なのよ。
「これがもっとホカホカならね、これが他国の力かしら?」
「いえ違いますよシャルティル様。これは我が国の魔道具で、最近話題になっていて手に入らないんです」
エミリーはその板を見せてくれたのだけど、制作者の名前はわたしは知らないモノだったわ。
「イケダ・タカミチ・・・変わった名前ね」
「そうなんですよ、他にも小さなランプや腕に付ける時計と、いろいろ作っています。他国のあそこが探しているようですよ」
エミリーがちょっとうっとりしていますけど、わたしはそれを見て憧れてるのねって優しい目をしました。
そして、しばらく冷めた料理と少しだけ暖かいスープを交互に食べていると、やっとわたしの待っていた人が来て、会場もかなり騒がしくなったわよ。
「お待たせして申し訳ありませんマリア様、シャルティル様」
顔の変わったアレシャス(白騎士)と、後ろにはブルーが一緒です。
他の鬼神たちは、いまだにテーブルで待機してて、外ではレッドドラゴンたちが警備をしているわ。
かなり厳重で、ウルフやコボルトも城の中を巡回しているそうです。
「頭を上げてください白騎士ノヴァ」
「はっ」
白騎士が頭を下げて謝ったので、お母様が許し頭を上げたのだけど、その仕草を見てわたしは笑いそうよ。
これは、周りに見せる為で挨拶みたいな物なのよ。
笑いを堪えてたら、ブルーが長細い箱をアレシャスに渡し、それを見てわたしはちょっと緊張しましたよ。
「シャルティル様、遅れましたが11歳のお誕生日おめでとうございます」
「ええ、ありがとう白騎士ノヴァ」
緊張しているわたしは、その箱を受け取り中をあけると、そこから漏れる光で会場は包まれたのよ。
そこには予想通りネックレスが入っていたのだけど、横でのぞいてたお母様が驚き過ぎてつぶやいたわね。
「七色ルビーだわ、信じられない」
「お母様?」
わたしはどう言った物なのか分からなかったので、疑問系でお母様を見たのです。
その顔は驚きを通り越している顔で、これがそれほどの物なのかが分かったわね。
「そんなにすごいの?」
「それは、千年亀というモンスターの甲羅からとれる宝石ですよ姫様」
「そうなのエメローネ?」
お母様の横で見ていたエメローネが、なんだかうっとりしています。
あまり宝石とかに興味のないエメローネでもこれですから、きっとそれだけ珍しいものなのでしょうね。
「ええ、カメなのにとても素早く、捕まえるのに苦労するんです。乱暴に捕まえようとすると、甲羅に引っ込んでしまい飛んで逃げるんですが、そうなったらまず倒せません」
わたしは「飛ぶの!?」って驚きました。
アレシャスを見ると、無言で頷いていますね。
「そんなに大変な宝石をわたしに、ありがとう白騎士ノヴァ」
「僕の場合は飛ぶ瞬間をねらいましたから、それほど難しくありませんでした、気に入ってもらえましたか?」
ネックレスをじっと見ていて、アレシャスがニッコリとしてそんな事を言ってきたわ。
これが気に入らないとかいう人はいないわよね。
「ありがとうノヴァ、大切にするわね」
「それはよかった、11歳は特別な歳ですからね、すごく悩んだんですよ」
笑顔で笑っていたのだけど、その顔でなくアレシャスの顔で見たかったと、少し不満が残ったわ。
でも、それはわたしのわがままですし、それを知ってる仲なのだからそれだけでもうれしかったのよ。
「いいわねぇシャルティル、わたくしも何かほしいわ」
エメローネにネックレスを掛けてもらっていたら、お母様がアレシャスにおねだりを始めたわ。
前もそう言って料理を出して貰った事があるのだけど、今回も同じ感じになる予感よ。
アレシャスは「またですか!?」って顔に出てますけど、きっと断る事はしないのよ。
「良いじゃない白騎士、シャルティルも食べたいと思っているわ、お腹空いたわよねシャルティル」
お母様がわたしに振ってきて巻き込まれたと、ため息を付きながら頷きました。
正直な所、お腹は満足していませんし、アレシャスの料理なら是非食べたいのよ。
「仕方ないですね、でもここの料理ももったいないので、これを使ってみたいと思います」
収納魔法のモヤに手を入れたアレシャスは、その手には大きな泡が握られていました。
わたしはなんなの?って不思議に見ていましたわね。
「これは温暖バブルと言って、溶岩の中にいるバブルボブルと言う魚モンスターの泡です。これに冷めてしまった料理を入れると」
テーブルの取り皿の上に泡を乗せると、切り分けた一口サイズの肉をフォークに刺し、そのまま泡に入れました。
すると泡が肉にまとわりつきキラキラと光り出したんです。
泡から離しても、肉の光は消えず肉が包まれている感じですよ。
「綺麗ね白騎士」
「マリア様、これは綺麗だけじゃないんですよ、一口食べてみてください」
アレシャスに「あ~ん」って感じにお母様がして貰ってて、ズルいと正直思ったわね。
でも、お母さまはそんな事気にしないで一口食べてしまい、ほっぺを押さえてうれしそうですよ。
「ふぁっ!?なにこれ!おいしいなんて物じゃないわよ、さっきと全然違うわ」
お母様の口から少し湯気が出ていて、わたしも食べたいとアレシャスにおねだりしたんです。
でも、お母さまと違ってフォークだけを差し出してきたわよ。
「違うでしょ白騎士」
「ああ、やっぱりですか?」
「分かってるなら早くしなさいよ」
はいはいっと、アレシャスは泡に肉を通し「あ~ん」ってしてくれたわ。
それだけでも幸せだったんだけど、口の中もすごく幸せよ。
「すごいわねこれ、どうなってるの白騎士?」
「溶岩に住んでる魚なので、そいつの泡は高温になっているんです。簡単に言うと再加熱したんですよ」
アレシャスは、更にうまみを凝縮しているとも言っています。
さきほどの味よりも、更においしかったのはそれのおかげらしいわ。
「暖かい物はなによりもおいしいですからね、それにシナシナになった野菜の方も、ハブルホブルという海底に住んでいる魚モンスターの泡に通せば、シャキシャキに新鮮さを取り戻します」
水の入った泡を新たに出すと、野菜をお皿ごと入れて見せました。
そして泡から出すと野菜はきらきらと光り、なんともおいしそうです。
「これを他のテーブルにも出したいと思いますが、マリア様許可を頂けますか?」
アレシャスはお母さまの許可を貰い、他にも4つ出してくれたので会場の人たちは大喜びでした。
でも、そんな空気を壊す人が会場に入って来て、アレシャスが反逆者とか言い出したのよ。
わたしは今、自分の誕生日パーティーを眺めていて、お母様が演説をしているから暇なのよ。
この後、わたしもしないといけませんけど、面倒でならないわ。
「や、やっと終わったわ」
永遠と続くんじゃないかと思っていた、貴族たちからの挨拶もやっと終わり、わたしはやっと食事を取れること新田の。
エミリーに運んでもらっていたお皿を受け取り、美味しそうだから直ぐに口に入れたのだけど、期待は崩れてしまったわね。
「冷めてて美味しくないわね」
「申し訳ありません姫様」
「エミリーのせいじゃないわ、暖かい食事が美味しいのは当たり前だもの」
お母様も、隣に座って美味しくない食事に手を付けてて、何だが凄く寂しそうよ。
遠く離れたテーブルでは、アレシャスの獣魔や他の騎士たちが楽しそうに話しているから、当然と言えばそうね。
「シャルティル様、こちらなら少しは」
「ありがとエイミー【パク】・・・美味しいけど、やっぱり冷めちゃってるわ」
一口食べて、お肉は堅いし、野菜はしなしなで文句しか出ないわ。
エミリーが運んでくれたから、それなりにマシな方だけど、遠くのテーブルを見てしまうと、やっぱりあそこに行きたいわね。
「あそこだけ、湯気が出るほどの暖かそうな食事があるわ」
「仕方ないですよシャルティル様、あれは魔道具を使って温めているんです」
そうなのよねぇっと、わたしはガッカリです。
わたしたちの方にもそれが欲しいのだけど、あれはまだ試作品でこの後献上する予定だからダメなのよ。
「仕方ないですよシャルティル様、こちらのスープはまだ暖かいですよ」
エミリーがスープを差し出して来て、ほんと暖かったわ。
どうしてなのかと思ったら、鍋の下に魔法陣が刻まれていて、これは少しだけマシな方なのよ。
「これがもっとホカホカならね、これが他国の力かしら?」
「いえ違いますよシャルティル様。これは我が国の魔道具で、最近話題になっていて手に入らないんです」
エミリーはその板を見せてくれたのだけど、制作者の名前はわたしは知らないモノだったわ。
「イケダ・タカミチ・・・変わった名前ね」
「そうなんですよ、他にも小さなランプや腕に付ける時計と、いろいろ作っています。他国のあそこが探しているようですよ」
エミリーがちょっとうっとりしていますけど、わたしはそれを見て憧れてるのねって優しい目をしました。
そして、しばらく冷めた料理と少しだけ暖かいスープを交互に食べていると、やっとわたしの待っていた人が来て、会場もかなり騒がしくなったわよ。
「お待たせして申し訳ありませんマリア様、シャルティル様」
顔の変わったアレシャス(白騎士)と、後ろにはブルーが一緒です。
他の鬼神たちは、いまだにテーブルで待機してて、外ではレッドドラゴンたちが警備をしているわ。
かなり厳重で、ウルフやコボルトも城の中を巡回しているそうです。
「頭を上げてください白騎士ノヴァ」
「はっ」
白騎士が頭を下げて謝ったので、お母様が許し頭を上げたのだけど、その仕草を見てわたしは笑いそうよ。
これは、周りに見せる為で挨拶みたいな物なのよ。
笑いを堪えてたら、ブルーが長細い箱をアレシャスに渡し、それを見てわたしはちょっと緊張しましたよ。
「シャルティル様、遅れましたが11歳のお誕生日おめでとうございます」
「ええ、ありがとう白騎士ノヴァ」
緊張しているわたしは、その箱を受け取り中をあけると、そこから漏れる光で会場は包まれたのよ。
そこには予想通りネックレスが入っていたのだけど、横でのぞいてたお母様が驚き過ぎてつぶやいたわね。
「七色ルビーだわ、信じられない」
「お母様?」
わたしはどう言った物なのか分からなかったので、疑問系でお母様を見たのです。
その顔は驚きを通り越している顔で、これがそれほどの物なのかが分かったわね。
「そんなにすごいの?」
「それは、千年亀というモンスターの甲羅からとれる宝石ですよ姫様」
「そうなのエメローネ?」
お母様の横で見ていたエメローネが、なんだかうっとりしています。
あまり宝石とかに興味のないエメローネでもこれですから、きっとそれだけ珍しいものなのでしょうね。
「ええ、カメなのにとても素早く、捕まえるのに苦労するんです。乱暴に捕まえようとすると、甲羅に引っ込んでしまい飛んで逃げるんですが、そうなったらまず倒せません」
わたしは「飛ぶの!?」って驚きました。
アレシャスを見ると、無言で頷いていますね。
「そんなに大変な宝石をわたしに、ありがとう白騎士ノヴァ」
「僕の場合は飛ぶ瞬間をねらいましたから、それほど難しくありませんでした、気に入ってもらえましたか?」
ネックレスをじっと見ていて、アレシャスがニッコリとしてそんな事を言ってきたわ。
これが気に入らないとかいう人はいないわよね。
「ありがとうノヴァ、大切にするわね」
「それはよかった、11歳は特別な歳ですからね、すごく悩んだんですよ」
笑顔で笑っていたのだけど、その顔でなくアレシャスの顔で見たかったと、少し不満が残ったわ。
でも、それはわたしのわがままですし、それを知ってる仲なのだからそれだけでもうれしかったのよ。
「いいわねぇシャルティル、わたくしも何かほしいわ」
エメローネにネックレスを掛けてもらっていたら、お母様がアレシャスにおねだりを始めたわ。
前もそう言って料理を出して貰った事があるのだけど、今回も同じ感じになる予感よ。
アレシャスは「またですか!?」って顔に出てますけど、きっと断る事はしないのよ。
「良いじゃない白騎士、シャルティルも食べたいと思っているわ、お腹空いたわよねシャルティル」
お母様がわたしに振ってきて巻き込まれたと、ため息を付きながら頷きました。
正直な所、お腹は満足していませんし、アレシャスの料理なら是非食べたいのよ。
「仕方ないですね、でもここの料理ももったいないので、これを使ってみたいと思います」
収納魔法のモヤに手を入れたアレシャスは、その手には大きな泡が握られていました。
わたしはなんなの?って不思議に見ていましたわね。
「これは温暖バブルと言って、溶岩の中にいるバブルボブルと言う魚モンスターの泡です。これに冷めてしまった料理を入れると」
テーブルの取り皿の上に泡を乗せると、切り分けた一口サイズの肉をフォークに刺し、そのまま泡に入れました。
すると泡が肉にまとわりつきキラキラと光り出したんです。
泡から離しても、肉の光は消えず肉が包まれている感じですよ。
「綺麗ね白騎士」
「マリア様、これは綺麗だけじゃないんですよ、一口食べてみてください」
アレシャスに「あ~ん」って感じにお母様がして貰ってて、ズルいと正直思ったわね。
でも、お母さまはそんな事気にしないで一口食べてしまい、ほっぺを押さえてうれしそうですよ。
「ふぁっ!?なにこれ!おいしいなんて物じゃないわよ、さっきと全然違うわ」
お母様の口から少し湯気が出ていて、わたしも食べたいとアレシャスにおねだりしたんです。
でも、お母さまと違ってフォークだけを差し出してきたわよ。
「違うでしょ白騎士」
「ああ、やっぱりですか?」
「分かってるなら早くしなさいよ」
はいはいっと、アレシャスは泡に肉を通し「あ~ん」ってしてくれたわ。
それだけでも幸せだったんだけど、口の中もすごく幸せよ。
「すごいわねこれ、どうなってるの白騎士?」
「溶岩に住んでる魚なので、そいつの泡は高温になっているんです。簡単に言うと再加熱したんですよ」
アレシャスは、更にうまみを凝縮しているとも言っています。
さきほどの味よりも、更においしかったのはそれのおかげらしいわ。
「暖かい物はなによりもおいしいですからね、それにシナシナになった野菜の方も、ハブルホブルという海底に住んでいる魚モンスターの泡に通せば、シャキシャキに新鮮さを取り戻します」
水の入った泡を新たに出すと、野菜をお皿ごと入れて見せました。
そして泡から出すと野菜はきらきらと光り、なんともおいしそうです。
「これを他のテーブルにも出したいと思いますが、マリア様許可を頂けますか?」
アレシャスはお母さまの許可を貰い、他にも4つ出してくれたので会場の人たちは大喜びでした。
でも、そんな空気を壊す人が会場に入って来て、アレシャスが反逆者とか言い出したのよ。
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