上流階級はダンジョンマスター!?そんな世界で僕は下克上なんて求めません!!

まったりー

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3章 1年2学期

76話 スタンピードバトル

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「かわいそうに」


僕の後ろでシャンティが小さく呟きました。
僕もそれには同意しますけど、予定通りなので彼女たちには頑張ってもらいます。


「いいですわよ!そのまま押し込みなさい」


言いがかりをつけてきた生徒たちと門を合わせたバトルは、スタンピードバトルというもので、ダンジョンのモンスターを戦かわせるモノです。


「最後の階層にある出口に相手モンスターが着けば勝ちになる形式。しかも追加設置が可能でドンドンモンスターを召喚し、ポイントが尽きない限りこの戦いは続く」


僕のダンジョンのモンスターたちは強いから、シャンティは相手にかわいそうと言ったんだ。
今は押し込まれてるけど、それは最初だけなんだよ。


「それに、僕のポイントは30兆あるからまず勝てない。まぁ追加なんてしないけどね」


相手がそれで勝てるなら、僕の作戦はそっちに移行する。
どんどん僕のダンジョンに攻めてきて、嬉しそうにしてる彼女たちも必死なんだ。


「1階の中間まで攻められていますね」
「そうだねシャンティ、すごい数と勢いだから、流石のスライムナイトもすぐにやられてる。普通の騎士たちの戦いとも違ってて面白いよ」


大多数との戦闘が見られ、強さよりも数の差の戦いが映像に映った。
あれなら僕が戦ってもダメージを受けるかもしれない。


「100体以上の大人数を相手にしたバトルか、今度やってみようかな」
「どうしましたの?この程度かしら」


先頭の一番偉そうな生徒が何か言ってきています。
彼女たちのモンスターも減っているけど、最初から数が違うのでこちらは減る一方だよ。


「まだ始まったばかりだよ君」
「ふんっ、強がっていられるのも今の内ですわ」


先頭の子は画面に視線を戻し、他の子たちと一緒に応援を再開です。
でも、ここら辺から強くなってくるのが僕のダンジョンで、彼女たちのモンスターは段々と勢いがなくなって行ったよ。


「な、なぜですの!?どうして1階層がこれほどに広いんですのよ」


他の生徒も驚いていて、中間地点にいたスライムナイトが階層の最後だと思い、2階層に突入と勘違いしていたようで、モンスターはまだまだ1階層のマップを染めていきます。


「え、エマル様問題ないですよ、ただ広いだけです。わたしたちが優勢なのは変わりませんわ」
「そ、そうですわね」


少しひきつった顔をして画面を見始める頃、相手のモンスターの撃侵は少しずつ止まり始める。
まだ少しの差だから分からない様だけど、違和感は持ってる感じに見てるよ。


「それにしても、上位種だけでも数がいると結構やるもんだね」


相手は強くても上位種のモンスターたちで、1000体いてもそれほど脅威じゃありません。
スライム騎士ともう1体が出て来て、その勢いは弱まってきたんだ。


「何を言ってるんですかアレシャス様、あのような下位のモンスターいくら集まっても無駄です。魔法を使われたらおしまいですからね」
「まぁそうだけど、実力以上に成果を出してるのはほんとでしょ」
「それはそうですけど、まだ1階じゃないですか」


それはそうだと、1階の終盤にいるスライム騎士とスライムマジシャン、それとスライム重騎士とスライム槍騎士4体が相手になると、相手の勢いはぴたりと止まりモンスターが減っていきます。


「ど、どうしてですの!?たかだか4匹のモンスターに、あれだけの数がやられていますわ」
「ま、まずいですよエマル様」


生徒たちが動揺を隠せず慌てだします。
もうどうしたらいいのかわからないって感じで、モンスターはどんどん減っていく。
逆にこちらのモンスターたちが進み始め反撃が始まった。


「あらら、これでお終いかな」
「そうなると思います。今までこちらは配置された場所で数体が相手をしていましたから、ここからは進軍して数もどんどん増えます」


ただでさえ強かったモンスターが数を増やす。相手の利点を今度はこちらが使う事になるんだ。
もう勝ち目はない、それが分かるほどの撃侵をこちらは見せ始めた。


「え、エマル様!押されています」
「おお、落ち着きなさい!追加召喚ですわよ、みなさんキングクラスを10体で召喚するのですわ」
「「「「「はい!」」」」」


向こうからそんな声がして、ゴブリンキングやアルラウネやナーガと言ったキングクラスが姿を現した。それに昆虫型のヘラクレストってカブトムシの武者が登場して、僕は少し興味を持ったね。


「あの刀は良いかも」
「刀好きですよねアレシャス様」
「うん、あれを見るとね、昔を思い出すんだ」


自分でダンジョンを攻略していた時、力の無さに苦戦していたあの時です。
刀を手にして突破口が開けた、あれはとても助かったんだ。
彼女たちのモンスターも同列の強さを手に入れ、おかげで相手は少しずつ前進して来た、僕はそれを見てちょっとガッカリです。


「キングクラスまでしか知らないのは、ちょっと可愛そうだね」
「仕方ないですよアレシャス様、皆さんは普通の10歳のお貴族様ですからね」
「そうだね、このままだと、またさっきの大部屋で接戦だ・・・シャンティ、相手側のポイントっていくつかわかる?」


ムクロスには色々調べてもらっていて、生徒の事情なんかも分かってる。彼女たちは長女で家を継ぐから、このままだと没落するから困ってるんだ。
シャンティに聞けば大体の事は知る事が出来て、相手側の数値は平均20万だそうです。


「となると、キング種は大体1体1万だから10体召喚で5万ずつ消費するんだね」
「はいアレシャス様、ですので1人大体4回召還すれば、ポイントがなくなります」


つまり、今拮抗している状態が関の山ということです。
計算を早く出来たとシャンティをえらいえらいと撫でて褒めます。


「孤児院でしっかりと勉強をしている証拠だね、偉いよシャンティ」
「はうぅ~」


尻尾を振って喜ぶシャンティはとても可愛い、もっと撫でていたいけど、相手が騒ぎ出したのでそちらに集中です。


「ど、どうしてですの!?」


相手側からそんな声が響き、また僕のモンスターが押し始めた。ポイントも使い果たし成す術がないと言った感じです。
もう終わりかと、僕はちょっと心配になります。


「これからの教育が大変かも」


彼女たちには、ボスを使えるようになってもらう予定で、数日前にケリーさんの誘導をしていた。
それに気づくことなく僕に言いがかりを付けに来た訳です。


「こちらはキングクラスですわよ、相手は小さなウサギじゃありませんの」
「2階層のモンスターは、力押しだけでは勝てないんだよエマルさん」
「くっ偉そうに」


ウサギ型はそういった者たちが主流で、足が速かったりふわふわの毛で攻撃を無力化したりと色々です。
一番は厄介なのが状態異常になることで、麻痺やスタンを食らって動けなくなっています。


「ま、まだまだですわよ」
「強がりは良しなよエマルさん、今なら降参も受け入れるよ」
「そ、そんな事しませんわ」


わたくしたちは負けてないっ!!そう言って必死で設置と応援を始めた。
こちらは更に援軍が到着して進軍を開始する。後ろから遠距離タイプのウサギ、ラビットマジシャンとラビットアーチャーが狙い撃ちです。


「エマルさん、キングは確かに一撃は強いよ。でもね、その攻撃もそれを超える防御力には勝てないんだよ」
「う、上からの物言いですわね、これからと言いましたわよ」
「皆さままだ分からないのですか?こちらはまだまだ余裕があるのですよ。正直私は3階層までは進むと思っていました。ですがとても残念です」


シャンティが話しに入って来て、もう終わりだと言うのを教えた。
こちらは6階層まであるダンジョンで、まだポイントもモンスターも沢山いる、最初から勝ち目がなかったんだ。


「メイドの分際で何様ですのあなた」
「おい君、シャンティがメイドだからって侮辱するのは許さないよ」


シャンティを撫でるのを止めて、僕は相手を睨み少しだけ圧を掛けた。
エマルたちはそれだけで怯えだしたよ。


「君たちの敗因は、そうやって相手の意見を聞かない事だよ。それにキングまでしか出さないことも1つの敗因。その上にはまだまだいるんだよ」


キングクラスの上、ハイエンダクラスとレジェンドクラスがある。それ以上に、今使ってるキングクラスも、下の方に位置してる存在で、中か上のモンスターを召喚しないとダメなんだ。


「エンシェントなんてもっとすごいけど、まぁあれは規格外だからね」
「な、何を独り言を」


威嚇に何とか抗い、エマルが怒鳴り返してきた。
僕は星の数を例に出して説明してあげたよ、ゴブリンキングとかよりもオーガを出せばいいと言ってやったんだ。


「え、偉そうに」
「偉いとかじゃないんだよエマルさん、僕たちは生徒で学ぶ為にここにいる。みんな平等なんだよ」
「な、何が平等ですか!わたくしたちは上に立つ者ですわよ」


これだからダメなんだと言ってやりたい。
騎士たちの忠告も、休み前には言われていたはずで、それを聞かなかったから今困ってるんだ。


「え、エマル様!そろそろポイントが」
「ふっふっふ・・・分かりましたわ、もうお遊びはお終いですわ」



エマルさんが黒い鎧のモンスターを1体召喚して、僕の巨大ウサギたちが吹き飛ばされ消滅しました。
生徒たちは歓声を上げたけど、僕はそれほどでもない。


「モンスターが武技を!?アレシャス様!これはもしかして」
「シャンティの考えは合ってるよ、召喚されたのはハイエンダクラスのモンスターだ」


画面には3mくらいのモンスターが立ち、大剣を地面に刺して仁王立ちです。いかにも強そうだけど、あれは僕の中ではそうでもないんだ。


「どうですの、このモンスターはデスウォーリア、ゴブリン種最強の戦士モンスターですわよ」
「最強ねぇ~」


エマルの言う通り、書物の中では最強種で、僕の2階層のモンスターはどんどん倒されていき、エマルたちが勢いを取り戻す様に見えた。
相手側もそれを見てかなり湧き上がり、さすがとエマルを褒め始めたね。


「このモンスターは1体10万Pですのよ。あなたの忠告通り、キングクラスではなくハイエンダクラスですわ。さぁどうしますの」
「残ったポイントを全部使っての反撃、アレシャス様」
「そうだねシャンティ、もうこの戦いは終わりだ」


僕の2階層のボスである大玉ウサギが武技で弾かれ、勢いをなくしたところに大剣で両断やられました。
エマルたちは降参するなら今だと、さっきの僕の言葉を返して来た。


「申し訳ないけど、これしきじゃ降参は出来ないね」
「ふんっ!強がりも今の内ですわ、デスウォーリアは数で押し込んで勝てる相手ではないのですわよ」


鋼鉄ウサギよりも強固で回転を止めないと倒せないはずのウサギ、それがさっき倒されたウサギで、さすがハイエンダだと思ったよ。
でも、僕の感想はその程度で勝てないとは思ってない。


「アレシャス様、武技はやっぱりすごいのですね」
「そうだねシャンティ、冒険者のシーラたちでやっとじゃないかな?」


シーラたちは30レベルまで上がっていて、スキルも相当に使いこなせるようになってる。武技もそこそこでランクも着実に上げているんだ。
エマルたちを無視していたからか怒って来たけど、事態はそれどころじゃない事になったんだよ。
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