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3章 1年1学期後半
60話 相談
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「どうしたのよザード、プラチナソードでしょ?もしかして3つとか入ってた?」
ロロフィが、他の剣を使ってるメンバーに視線を向けました。
仲間を増やそうとしたんだけど、どうやらそうではないみたいで、ザードは顔を青くしているよ。
「ちょっとザード、そんな風になられたら怖いじゃない」
ロロフィは見れば分かるのに近づきません。
ザードも箱から出さないから、何が入ってるのか分からないけど、僕とツィーネは頑張って近づいたんだ。
「こ、これってプラチナメイルよね?」
僕がどうしたら良いのか分からない時、ツィーネが先に聞いてきます。
うなずくだけで答えた僕を見ていた他のメンバーは、声も出さないでビックリしていました。
大きな尻尾を持ってるメンバーはボサボサにして、笑いそうになって少し落ち着いたんだよ。
「ま、まぁ剣が出るんですもの、そそそれくらいは入っていても良いんじゃない?」
「ツィーネ、声が裏返ってるよ、君だって知ってるでしょ」
知っての通りプラチナソードは見習い騎士から士官たちも持っている装備で、メイルの方は士官しか装備してない高級品です。
値段は、剣よりも杖よりも高いジャール金貨5枚はします。
「こんな高価な物、どうすれば良いだろうねツィーネ」
「しし、知らないわよ!?こっちが聞きたいわラーツ」
「あ、あの~おかしくないですかね?」
唸っていた僕とツィーネに、ネサートがそろそろっと手を挙げました。
またなにか気づいたのかもしれないけど、もう勘弁してよっとツィーネと頭を抱えました。
「どうしたのかなネサート」
「先に行ったヒューマンのPTは普通の鉄装備でしたよ?おかしくないですよ、アタシたちがこれだけ手に入れてるのに持っていなかったのは変です」
「確かにそうね・・・まるでこのことを隠してるような、そんな感じね」
僕達は「確かに」っと声を揃えました。
先に入ったヒューマンのメンバーは学園支給の鉄装備で、誰もプラチナなんて装備していません。
「アレシャス殿に聞かないとかな」
「そうね、そうしましょ、訳が分からないわ」
どうしてそんな事を?っと思うけど、きっと何か理由があるんだ。
またアレシャス殿に聞くことが増え、それ以上に僕は今一番の問題を抱えているんだ。
「それでさ、みんな・・・誰が装備するかな?」
今一番の問題は、出てしまった装備で、僕は嫌だからねと表情で伝えました。
だけど全員が僕を指差して来て、嫌だと再度言います。
「しかしだなラーツ、前衛で1番はお前だ、それならお前が装備するのは当然だろう」
「それならツィーネだって」
「次出たらね」
一言貰った僕は、さっき自らが宣言した事を思い出し、諦めて装備の交換を始めます。
これからこんな装備が沢山出てくる、これは始まりなんだよ。
「じゃあラーツの準備も出来たし、先に進みましょ」
それでも、僕はガッカリしてみんなの前に立ったけど、ほんとは装備の凄さに嬉しかった。
そんな僕に変わり、ツィーネが仕切り始めてくれたので気付かれなかったけど、すごい力を感じていたんだ。
「次が出たら、絶っ対ツィーネに装備させる」
これは八つ当たりではなく、力を手に入るからなんだ。この先に進むには必要な装備なんだよ。
その思いを胸に、僕はダンジョン1階層を進んで行きました。
「レベル幾つになった?」
「僕は10だよツィーネ」
「そう、このダンジョン凄いわね」
着実に装備を新調していき、レベルも上がって行く僕たちは、危険もソコソコに進めてます。
あれからハンマーを持ったスライム騎士が出たり槍持ちだったりと、ほんとに僕達を強くする為にあるようなダンジョンで強くなっていくのを感じたんだ。
「あれ、階段だよ姉さん」
「そうねネザート、何だか最後って感じしないわ」
1階層最後の部屋をクリアする頃には、余裕も出てきた。
それもそのはず、半数以上が新たな装備を使っていて、午前中のお終いの時間になったんだ。
「お帰り皆さん、どうでしたか?」
僕達が装備を元に戻してダンジョンの天井に合図をすると、僕達の前に門が現れました。
そこから出るとアレシャス殿が笑顔で迎えてくれて、噂の欠片も感じる事は無く、その顔はすごく清々しかったです。
「ね、ねぇラーツ、あの人たち」
「そうだねツィーネ」
先に出ていたサイラスと言う1年たちは、学園支給の装備で、傷があまりなかったんだ。
もし、あの装備のままだったら、そう思ってならなかったけど、僕たちの感想は決まっていて笑顔で返したんだ。
「と、とてもすごいダンジョンでした、もうほんといろいろと」
僕はみんなを代表して言いましたが、それを聞いてアレシャス殿も頷いてくれた。
そして僕達にしか聞こえない様に近づいてきて、耳元である提案してきたから尚更でした。
「装備を戻したのは正解だよラーツ、これからもそうしてね。後、ドロップしていらない物は僕が全部処理するから、お金の交渉をしようか」
食事を一緒に取りながらっと、アレシャス殿は僕たちを食事誘ってきます。
他種族を食事に招待するなんて信じられなかったけど、アレシャス殿のメイドが笑顔で頷いてくれて、その誘いを受けたんです。
「じゃあ、僕の部屋に行こうか、サイラスたちも来るでしょ?」
「もちろんだ」
「久しぶりですわね」
食事はアレシャス殿の部屋と聞いて、僕は何となく理解しました。
これは周りの目をごまかすための口実で、僕たちがこの先に進む為の儀式です。
アレシャス殿は、僕たちの答えに笑顔を見せて離れていった、誤魔化すように午後もがんばってとも言ってましたね。
「ね、ねぇ平気かしら?あたしたち口封じとかされちゃうんじゃ」
離れていくアレシャス殿の代わりに来たのはツィーネでした。
僕はその可能性はないって即答しましたよ、何故からあの笑顔がそれを伝えてきたんです。
「もし、僕達があの装備のままここから出てきていたら、きっとダメだったろうけどね」
ダンジョンにはずっと入れるだろうけど、きっとこれ以上の話は無かった。
そんな視線をアレシャス殿からではなく、メイドの子から伝わって来たんだ。
メイドは僕が頷くと、笑顔でとても優しそうにして来た。
「アレシャス殿が差別をしない人だよ、だから平気さ」
彼女の目は、僕たちを助けようとしていると教えてもくれた、彼女には感謝したい気持ちでいっぱいだよ。
「ね、ねぇラーツほんとに平気?」
「う、うん・・・たぶん」
不安がない訳じゃなく、全員で食卓を囲んでやっと落ち着いたんだ。
テーブルには、僕たちが食べた事のない料理が並び、美味しそうで楽しみに思った。
「さて、食事の前に少し良いかな」
そんな気分は一変させたのはアレシャス殿で、少し離れた場所のイスに座り、後ろには異様な殺気を発している黒服の者が立っているんです。
これでは食事をしてても味がしないと、緊張してしまっているんだよ。
「ははは、そんなに緊張しないでよ、僕の後ろにいる子は君たちに危害をくわえないよ、ほら下がって」
アレシャス殿がそう言うと黒服の者が礼をして、その後急に姿が消えました。
僕達は唖然として見てるだけで気配もないし、あの一瞬でどこに行ったのさって突っ込みました。
「さて、これで話しは聞けるかな」
「あ、あの聞いてますか、今のは誰なんです?」
アレシャス殿もサイラス殿たちも返事をしてくれません。
何もなかったかのように挨拶が済んでしまい食事が始まった。
「美味しい!!こんなの食べた事ないわ」
「あのあの、そっちもお肉も美味しいですよツィーネ」
「僕はこっちのパンが好き」
初まりはそんなだったけど、皆が遠慮なくどんどんと食事を進め、僕たちは久しぶりの満腹を堪能しました。
そして一息つくとここに集まった本題が始まろうとしてる。
メイドのシャンティ殿がお茶を配り、僕たちは少し緊張してきました。
「まず君たちは分かってると思うけど、僕のダンジョンで手に入れた装備はまだ公表しないようにね、大変な騒ぎになるからさ」
最初に忠告されてしまい、僕達は頷く事しか出来ませんでした。
そして更に言われたんですが、装備を戻さないで出てきた場合、次のダンジョン進出は許可しなかったとそうです。
「で、でもどうしてなの?公表すればあなたの評価なんて爆上がりよ。それだけのダンジョンだったと思うし、入ってくれる人なんて引く手あまたじゃない、それなのにどうして秘密にするの?」
僕達全員の疑問をツィーネがぶつけましたが、いつも通りの口調で僕はヒヤヒヤしています。
アレシャス殿は、顔色を変えずに聞いてくれて、後ろのシャンティ殿も顔色を変えない。これが他のダンジョンヒューマンだったら、注意だけでは済まないくらい怒られます。
「理由は色々あるけど、一番は評価されたくないんだ」
「「「「「はい?」」」」」
僕達全員の声がそろって部屋に響いてしまいます。
そしてみんなどうして?って顔してアレシャス殿を見たんです。
「あはは、やっぱりそんな顔になるよね」
アレシャス殿本人は笑っているけど、横に待機してるシャンティ殿はやれやれって顔してる。
どう言うことなのかな?って答えを待ちました。
「僕はね、自由のないダンジョン貴族になりたくないんだ。みんなは知ってるでしょ、優秀な男性のダンジョンヒューマンがどう言った生活をしているのか」
答えを聞いても分からない事ってあるのだと、僕は頭が混乱しています。
分かる人がいる訳がない、なに不自由なく暮らせるんですよっとツッコミを入れました。
「やっぱり君たちも同じ顔するんだね、まぁ無理もないか・・・要するに、僕は目立ちたくないんだよ。だから成績に残ってしまう試験はもっとも注意してて、良い装備が出るとか噂が流れると困るんだ」
「じゃ、じゃあ」
「そうだよラーツ、だから僕は観戦画面を隠蔽もしてて、装備を見せるのは試験が終わった後にしてほしいんだ。分かってくれるかな?」
僕たちの試験は基本実技と筆記の2つで、実技は木の剣と皮の鎧を装備した模擬戦だから、装備をしないのは問題ありません。
僕達はとりあえず頷き悪い人ではないし、テストにも支障はないと考えた。
「分かってくれたところで、ドロップ品の買い取りをしようか、シャンティお願い」
「はいアレシャス様」
アレシャス殿がそう言うと、シャンティ殿が僕達に羊皮紙を配ってくれけど、僕達はそれよりもビックリする事が起きて、一斉にアレシャス殿に視線を向けます。
「い、今あの子」
「そうだねツィーネ、名前で呼ばれてた」
普通貴族たちはメイドを名前で呼びません。
それどころか、言葉もほとんど話さないのが普通で、今更ながら教室での対応と違う事に気付いたんだ。
「どうしたのかな?もしかして買い取り額が少ないとか言わないよね、その値段は標準だからね」
僕は違うと頭を左右に振る事しか出来なくて、まだ内容を読んでないから当然です。
そして、僕はまずそっちの疑問をぶつけた、アレシャス殿は少し困った顔をしたけど、メイドを笑顔で見て普通だよっと返してきます。
「普通って、変じゃないかな?」
「僕はいつもそうしてるよラーツ、名前で呼ばないと相手に伝わらないでしょ」
貴族の使用人は、それでも対応できるようになる事で一流と判断されます。
主が無言で手を出せば、それがなにをほしいのかを考えそれを渡す。それが必要なとても大変な職業なんです。
「それなのに、どうしてよ」
サイラス殿たちも僕の疑問に頷いていたけど、どうやらこれがいつものアレシャス殿の様で、頭を押さえて悩んでいました。
「みなさま、アレシャス様はそう言うお方なんです。誰にでも平等に接してくれる、そんな優しい方なんですよ。だから、どうか変な目で見ないであげてください」
シャンティ殿が小声で僕たちに教えてくれたけど、それって不敬にならないのかなって心配になったよ。
でも彼女が離れる時、頭を下げ笑顔でアレシャス殿の横に戻っていったから、僕はこの人なら助けてくれると信じられたんだ。
「ね、ねぇラーツ、そんな顔してる場合じゃないわよ、この紙見た方がいいわ」
「え?」
安心している僕にツィーネが肘打ちして来て、僕も紙に視線を動かします。
そして、紙に書いてあるドロップ品の買い取り額を見て、これは間違いじゃないかと二度見しちゃったよ。
「あ、アレシャス殿、これって間違いじゃ」
アレシャス殿に聞こうとしたけど、彼はにこやかにお茶を飲んでいて間違いではないと言って来ました。
こうしてオイラ達はアレシャス様の専属になり、今までの生活が一変したんですよ。
ロロフィが、他の剣を使ってるメンバーに視線を向けました。
仲間を増やそうとしたんだけど、どうやらそうではないみたいで、ザードは顔を青くしているよ。
「ちょっとザード、そんな風になられたら怖いじゃない」
ロロフィは見れば分かるのに近づきません。
ザードも箱から出さないから、何が入ってるのか分からないけど、僕とツィーネは頑張って近づいたんだ。
「こ、これってプラチナメイルよね?」
僕がどうしたら良いのか分からない時、ツィーネが先に聞いてきます。
うなずくだけで答えた僕を見ていた他のメンバーは、声も出さないでビックリしていました。
大きな尻尾を持ってるメンバーはボサボサにして、笑いそうになって少し落ち着いたんだよ。
「ま、まぁ剣が出るんですもの、そそそれくらいは入っていても良いんじゃない?」
「ツィーネ、声が裏返ってるよ、君だって知ってるでしょ」
知っての通りプラチナソードは見習い騎士から士官たちも持っている装備で、メイルの方は士官しか装備してない高級品です。
値段は、剣よりも杖よりも高いジャール金貨5枚はします。
「こんな高価な物、どうすれば良いだろうねツィーネ」
「しし、知らないわよ!?こっちが聞きたいわラーツ」
「あ、あの~おかしくないですかね?」
唸っていた僕とツィーネに、ネサートがそろそろっと手を挙げました。
またなにか気づいたのかもしれないけど、もう勘弁してよっとツィーネと頭を抱えました。
「どうしたのかなネサート」
「先に行ったヒューマンのPTは普通の鉄装備でしたよ?おかしくないですよ、アタシたちがこれだけ手に入れてるのに持っていなかったのは変です」
「確かにそうね・・・まるでこのことを隠してるような、そんな感じね」
僕達は「確かに」っと声を揃えました。
先に入ったヒューマンのメンバーは学園支給の鉄装備で、誰もプラチナなんて装備していません。
「アレシャス殿に聞かないとかな」
「そうね、そうしましょ、訳が分からないわ」
どうしてそんな事を?っと思うけど、きっと何か理由があるんだ。
またアレシャス殿に聞くことが増え、それ以上に僕は今一番の問題を抱えているんだ。
「それでさ、みんな・・・誰が装備するかな?」
今一番の問題は、出てしまった装備で、僕は嫌だからねと表情で伝えました。
だけど全員が僕を指差して来て、嫌だと再度言います。
「しかしだなラーツ、前衛で1番はお前だ、それならお前が装備するのは当然だろう」
「それならツィーネだって」
「次出たらね」
一言貰った僕は、さっき自らが宣言した事を思い出し、諦めて装備の交換を始めます。
これからこんな装備が沢山出てくる、これは始まりなんだよ。
「じゃあラーツの準備も出来たし、先に進みましょ」
それでも、僕はガッカリしてみんなの前に立ったけど、ほんとは装備の凄さに嬉しかった。
そんな僕に変わり、ツィーネが仕切り始めてくれたので気付かれなかったけど、すごい力を感じていたんだ。
「次が出たら、絶っ対ツィーネに装備させる」
これは八つ当たりではなく、力を手に入るからなんだ。この先に進むには必要な装備なんだよ。
その思いを胸に、僕はダンジョン1階層を進んで行きました。
「レベル幾つになった?」
「僕は10だよツィーネ」
「そう、このダンジョン凄いわね」
着実に装備を新調していき、レベルも上がって行く僕たちは、危険もソコソコに進めてます。
あれからハンマーを持ったスライム騎士が出たり槍持ちだったりと、ほんとに僕達を強くする為にあるようなダンジョンで強くなっていくのを感じたんだ。
「あれ、階段だよ姉さん」
「そうねネザート、何だか最後って感じしないわ」
1階層最後の部屋をクリアする頃には、余裕も出てきた。
それもそのはず、半数以上が新たな装備を使っていて、午前中のお終いの時間になったんだ。
「お帰り皆さん、どうでしたか?」
僕達が装備を元に戻してダンジョンの天井に合図をすると、僕達の前に門が現れました。
そこから出るとアレシャス殿が笑顔で迎えてくれて、噂の欠片も感じる事は無く、その顔はすごく清々しかったです。
「ね、ねぇラーツ、あの人たち」
「そうだねツィーネ」
先に出ていたサイラスと言う1年たちは、学園支給の装備で、傷があまりなかったんだ。
もし、あの装備のままだったら、そう思ってならなかったけど、僕たちの感想は決まっていて笑顔で返したんだ。
「と、とてもすごいダンジョンでした、もうほんといろいろと」
僕はみんなを代表して言いましたが、それを聞いてアレシャス殿も頷いてくれた。
そして僕達にしか聞こえない様に近づいてきて、耳元である提案してきたから尚更でした。
「装備を戻したのは正解だよラーツ、これからもそうしてね。後、ドロップしていらない物は僕が全部処理するから、お金の交渉をしようか」
食事を一緒に取りながらっと、アレシャス殿は僕たちを食事誘ってきます。
他種族を食事に招待するなんて信じられなかったけど、アレシャス殿のメイドが笑顔で頷いてくれて、その誘いを受けたんです。
「じゃあ、僕の部屋に行こうか、サイラスたちも来るでしょ?」
「もちろんだ」
「久しぶりですわね」
食事はアレシャス殿の部屋と聞いて、僕は何となく理解しました。
これは周りの目をごまかすための口実で、僕たちがこの先に進む為の儀式です。
アレシャス殿は、僕たちの答えに笑顔を見せて離れていった、誤魔化すように午後もがんばってとも言ってましたね。
「ね、ねぇ平気かしら?あたしたち口封じとかされちゃうんじゃ」
離れていくアレシャス殿の代わりに来たのはツィーネでした。
僕はその可能性はないって即答しましたよ、何故からあの笑顔がそれを伝えてきたんです。
「もし、僕達があの装備のままここから出てきていたら、きっとダメだったろうけどね」
ダンジョンにはずっと入れるだろうけど、きっとこれ以上の話は無かった。
そんな視線をアレシャス殿からではなく、メイドの子から伝わって来たんだ。
メイドは僕が頷くと、笑顔でとても優しそうにして来た。
「アレシャス殿が差別をしない人だよ、だから平気さ」
彼女の目は、僕たちを助けようとしていると教えてもくれた、彼女には感謝したい気持ちでいっぱいだよ。
「ね、ねぇラーツほんとに平気?」
「う、うん・・・たぶん」
不安がない訳じゃなく、全員で食卓を囲んでやっと落ち着いたんだ。
テーブルには、僕たちが食べた事のない料理が並び、美味しそうで楽しみに思った。
「さて、食事の前に少し良いかな」
そんな気分は一変させたのはアレシャス殿で、少し離れた場所のイスに座り、後ろには異様な殺気を発している黒服の者が立っているんです。
これでは食事をしてても味がしないと、緊張してしまっているんだよ。
「ははは、そんなに緊張しないでよ、僕の後ろにいる子は君たちに危害をくわえないよ、ほら下がって」
アレシャス殿がそう言うと黒服の者が礼をして、その後急に姿が消えました。
僕達は唖然として見てるだけで気配もないし、あの一瞬でどこに行ったのさって突っ込みました。
「さて、これで話しは聞けるかな」
「あ、あの聞いてますか、今のは誰なんです?」
アレシャス殿もサイラス殿たちも返事をしてくれません。
何もなかったかのように挨拶が済んでしまい食事が始まった。
「美味しい!!こんなの食べた事ないわ」
「あのあの、そっちもお肉も美味しいですよツィーネ」
「僕はこっちのパンが好き」
初まりはそんなだったけど、皆が遠慮なくどんどんと食事を進め、僕たちは久しぶりの満腹を堪能しました。
そして一息つくとここに集まった本題が始まろうとしてる。
メイドのシャンティ殿がお茶を配り、僕たちは少し緊張してきました。
「まず君たちは分かってると思うけど、僕のダンジョンで手に入れた装備はまだ公表しないようにね、大変な騒ぎになるからさ」
最初に忠告されてしまい、僕達は頷く事しか出来ませんでした。
そして更に言われたんですが、装備を戻さないで出てきた場合、次のダンジョン進出は許可しなかったとそうです。
「で、でもどうしてなの?公表すればあなたの評価なんて爆上がりよ。それだけのダンジョンだったと思うし、入ってくれる人なんて引く手あまたじゃない、それなのにどうして秘密にするの?」
僕達全員の疑問をツィーネがぶつけましたが、いつも通りの口調で僕はヒヤヒヤしています。
アレシャス殿は、顔色を変えずに聞いてくれて、後ろのシャンティ殿も顔色を変えない。これが他のダンジョンヒューマンだったら、注意だけでは済まないくらい怒られます。
「理由は色々あるけど、一番は評価されたくないんだ」
「「「「「はい?」」」」」
僕達全員の声がそろって部屋に響いてしまいます。
そしてみんなどうして?って顔してアレシャス殿を見たんです。
「あはは、やっぱりそんな顔になるよね」
アレシャス殿本人は笑っているけど、横に待機してるシャンティ殿はやれやれって顔してる。
どう言うことなのかな?って答えを待ちました。
「僕はね、自由のないダンジョン貴族になりたくないんだ。みんなは知ってるでしょ、優秀な男性のダンジョンヒューマンがどう言った生活をしているのか」
答えを聞いても分からない事ってあるのだと、僕は頭が混乱しています。
分かる人がいる訳がない、なに不自由なく暮らせるんですよっとツッコミを入れました。
「やっぱり君たちも同じ顔するんだね、まぁ無理もないか・・・要するに、僕は目立ちたくないんだよ。だから成績に残ってしまう試験はもっとも注意してて、良い装備が出るとか噂が流れると困るんだ」
「じゃ、じゃあ」
「そうだよラーツ、だから僕は観戦画面を隠蔽もしてて、装備を見せるのは試験が終わった後にしてほしいんだ。分かってくれるかな?」
僕たちの試験は基本実技と筆記の2つで、実技は木の剣と皮の鎧を装備した模擬戦だから、装備をしないのは問題ありません。
僕達はとりあえず頷き悪い人ではないし、テストにも支障はないと考えた。
「分かってくれたところで、ドロップ品の買い取りをしようか、シャンティお願い」
「はいアレシャス様」
アレシャス殿がそう言うと、シャンティ殿が僕達に羊皮紙を配ってくれけど、僕達はそれよりもビックリする事が起きて、一斉にアレシャス殿に視線を向けます。
「い、今あの子」
「そうだねツィーネ、名前で呼ばれてた」
普通貴族たちはメイドを名前で呼びません。
それどころか、言葉もほとんど話さないのが普通で、今更ながら教室での対応と違う事に気付いたんだ。
「どうしたのかな?もしかして買い取り額が少ないとか言わないよね、その値段は標準だからね」
僕は違うと頭を左右に振る事しか出来なくて、まだ内容を読んでないから当然です。
そして、僕はまずそっちの疑問をぶつけた、アレシャス殿は少し困った顔をしたけど、メイドを笑顔で見て普通だよっと返してきます。
「普通って、変じゃないかな?」
「僕はいつもそうしてるよラーツ、名前で呼ばないと相手に伝わらないでしょ」
貴族の使用人は、それでも対応できるようになる事で一流と判断されます。
主が無言で手を出せば、それがなにをほしいのかを考えそれを渡す。それが必要なとても大変な職業なんです。
「それなのに、どうしてよ」
サイラス殿たちも僕の疑問に頷いていたけど、どうやらこれがいつものアレシャス殿の様で、頭を押さえて悩んでいました。
「みなさま、アレシャス様はそう言うお方なんです。誰にでも平等に接してくれる、そんな優しい方なんですよ。だから、どうか変な目で見ないであげてください」
シャンティ殿が小声で僕たちに教えてくれたけど、それって不敬にならないのかなって心配になったよ。
でも彼女が離れる時、頭を下げ笑顔でアレシャス殿の横に戻っていったから、僕はこの人なら助けてくれると信じられたんだ。
「ね、ねぇラーツ、そんな顔してる場合じゃないわよ、この紙見た方がいいわ」
「え?」
安心している僕にツィーネが肘打ちして来て、僕も紙に視線を動かします。
そして、紙に書いてあるドロップ品の買い取り額を見て、これは間違いじゃないかと二度見しちゃったよ。
「あ、アレシャス殿、これって間違いじゃ」
アレシャス殿に聞こうとしたけど、彼はにこやかにお茶を飲んでいて間違いではないと言って来ました。
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この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
元剣聖のスケルトンが追放された最弱美少女テイマーのテイムモンスターになって成り上がる
ゆる弥
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剣を持てば最強だ。
最弱テイマーにテイムされた最強のスケルトンとの成り上がり物語。
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