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1章 生き甲斐

5話 昼食を食べてボスに挑戦

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「ななな、なんですかそれ!」


昼食の準備で、俺はスープを温めようと準備をしているんだが、ドールソが驚いて声をあげた。
なんの変哲もないただの加工石だったが、ドールソが驚いたのは使い方で、わざわざ加工石の使い方を解説して来たよ。


「なんで使えるんですか!」
「職人が使うのは俺も知ってるが、だからって冒険者が使ってはいけないなんて誰も決めてないだろう?」
「いやいや先生、普通は使えないんですよ、扱いが難しいんですってば」
「まぁ俺のユニークスキルのおかげだな」


簡単に話しを済ませるが、本当はかなり扱いやすい品になっていて、普通とは違い属性を付けた加工石だ。
普通の加工石は、使用者が集中して色々な作業に使う為、属性はその都度付ける物だが、俺の場合は用途を決める事で、事前に付与出来るから扱いが簡単になっている。


「良し温め終わったぞ」
「美味しそう」
「アケミ、熱いからな」


木のカップを貰って嬉しそうにサイカルの横に座るアケミだが、みんなも暖かいスープが嬉しいようだ。
更に味の方も良かったのか、直ぐに飲み干してお代わりを貰いに来たよ。


「そんなに美味しかったな?」
「もう最高、イモはホクホクだし、ニンジンは甘いし、こんなの初めて」
「そ、そうか・・・アケミが長文を話すのを初めて聞いたな」


それだけ美味しかったと言ってくれたので、ソーセージを多めに入れてやった。
他のみんなにもお代わりを渡すと、ほんとに美味しいと言葉を貰ったよ。


「そこまで素直に言われるとテレるな」
「昨日言っていたけど、ほんとでした」
「まぁ暖かい料理は、それだけでも美味いよな」


後はボスを倒すだけだが、ここは更に気を付けないといけないので、食べながらでも良いから解説を聞いて貰ったんだ。
ボスは、ツインヘッドスネイクと言うモンスターで、ラミアとナーガの上半身を持ったモンスターだ。


「全長10mはある上に、両方の頭が個別で攻撃して来る」
「そ、そんな奴をどうやって倒すんですか」
「ジャケルもう忘れたのか、あいつらは所詮ヘビなんだよ」
「も、もしかして、尻尾を狙うんですか?」


そういう事っと、今までの集大成を見せろと結論を出した。
勿論、危なかったら逃げるんだが、そうならない様に頑張れと激励したんだ。


「わ、分かったぜ先生」
「その意気だが、その前に手順を伝えるぞ」
「そ、そうだったな、お願いします」


そういう事で、俺の簡単な手順を教えるが、実は物凄い簡単な方法があって、それを聞いたみんなは、身体の力が抜けてしまったな。
それと言うのも、ヘビは体温で相手を見ているので、氷系魔法は見えないんだ。


「つまり、氷の弾を鋭利にして尻尾を狙うんですね」
「そうだぞリーシア、一発で動けなくなり倒せるという訳だ」


そんなバカなとみんなは言うが、それに気づく冒険者はそうそういない。
ラミアとナーガが睨んでいる間に試さなくてはならないし、そんな余裕がない戦闘になるからで、レベルが余裕になると次の階層に飛んでしまう為だ。


「ボス部屋を通ると、地上に通じる魔法陣があってな」
「それは知ってるぜ先生、一度でも起動させていると、ダンジョン入り口にある部屋の端の魔法陣と繋がるんだよな」
「ジャケルの言う通り、俺は全部の魔法陣が起動してるのが見えるが、使わなくても良いわけだ」


しかし、わざわざそんな事をする者はいないから、この方法を知る者は俺だけと教えた。
同時に内緒にする様、指を口の前で立て【しー】っとジェスチャーも加えたんだ。


「まぁそういう事だから、アケミが頼みだな」
「が、頑張る」
「それがダメなら、俺が囮になっている間に、ジャケルとサイカルが尻尾を狙うんだぞ」
「「は、はい」」


準備が出来たので、早速ボスの部屋に入ったが、戦闘はアケミのおかげで尻尾の切断出来て難なく倒した。
そして、ドロップ品がツインヘッドスネイクの大肉と、レアドロップのライデンズソードだった。


「雷の付与が付いた双剣か、これはジャケルのだな」
「い、良いのかな?」
「今のショートソード2つより断然いいぞ」


ダンジョンで手に入った装備はどれも強いので、遠慮する必要はない。
俺の使っている短剣とショートソードもそうだが、見た目は普通でも実はとてつもない性能だ。


「これ、売った方が良いんじゃ」
「それは勿体ないぞジャケル、戻って査定だけでも良いが、中銀貨10枚はするレアドロップ品だ」
「そ、そんなにかよ」


レアドロップ品はそんな物で、中銀貨位なら分けなくても良いし、レベルを考えるともう使いこなせるレベルだ。
そんなに直ぐには上がらないと、全員が不思議そうだが、ステータスを出して見てみんなが驚いていたよ。


「20に上がってる」
「わ、ワタシもよ」
「どうして?」
「それはな、俺が1レベルだからだ」


普通モンスターを倒すと経験値が貰えるが、得られる数値はレベルに応じて減っていく。
ここまで来る為には、それなりにレベルが上がっているのが普通だが、俺が1のままなのでその数値は変わらず、永遠と最大数値を貰えると教えたんだ。


「ずっと自分たちよりも強い相手と戦っている事になり、毎回500を得ていた」
「た、確かレベルアップって1000だったよね」
「その通りだサイカル、だから2体倒せばレベルは上がるんだが、2レベルになると300に下るのが普通で、ドンドン減って行くモノだが俺がいるから数値は落ちない。


更に11レベルからは、レベルアップに必要な数値が2000になり、上がるのさえ稀になってしまう。
ここまでボスも合わせて61匹倒していて、その経験値は全て500だった事明かしたら、流石に誰も反論して来なかったよ。


「どんどん得られる数値が下がるからだが、これで良く分かっただろ?」
「な、納得しましたけど、上がった感覚が無いぞ?」
「それはなジャケル、数値が繁栄されるのは外に出て寝た後だからだ」
「そ、そうなんですか?」


ステータスが身体に馴染むには、身体を十分休ませる必要があり、それは睡眠を取らなくてはならない。
長期でダンジョンに挑戦する時は、ダンジョン内で睡眠を取るので反映されるが、その時にはレベルアップに必要な数値は万を超えていて、なかなか体験は出来ない。


「おまけにスキルも沢山覚えてるだろ?」
「「「「「ほ、ほんとだ!?」」」」」
「普通はそうなんだが、これにもデメリットがあってな・・・明日はお前たちは、筋肉痛で動けない」
「「「「「えっ!!」」」」」


レベルアップ症と言うモノで、5レベル以上上げると反動で動けないんだ。
なので、寝る前に準備が必要で、食べ物を買って宿の引き籠る事になるから、自分たちの宿は解約して、一昨日から泊まってる俺の宿に来る様に伝えた。


「宿って・・・そうか、オレたちあそこの宿以外に寝泊まりしてたんだよな」
「忘れてました」
「今後一緒の方が良いだろうから、既にベッドを用意してもらっているぞ」


広いからあの宿で寝泊まりの提案をして、了承を貰って俺たちはダンジョンを出た。
そして、冒険者ギルドに入ると、受付に直行してドロップ品をジャケルたちが提出したら、受付嬢に驚かれた。


「す、凄い」
「これも先生のおかげなんだ」
「せ、先生ですか?」
「ああ、後ろにいるベルトロン先生だ」


引退した冒険者が指導をするのは珍しくなく、そうですかっと納得して査定を始めてくれた。
ヘビの肉が60個(600キロ)で、1つ中銅貨2枚だから120枚、小魔石が60個銅貨300枚で買取りが行われ、問題の薬草で受付の女性が二度見してきたよ。


「こ、この薬草って」
「そうだぜ姉ちゃん、最高品質の薬草だ」
「それを50束も、凄いですね」


そうだろうっとジャケルが得意げで、中銅貨100枚が机に置かれた。
ここまでの総額は、中銅貨220枚と銅貨300枚(中銀貨2枚と銀貨5枚相当)になったが、これで終わりではなく、ボスの品が追加で机に置かれ、受付嬢の表情が固まったよ。
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