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1章 覚醒

21話 ボス戦

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僕たちが部屋の中に入るとボスたちが中央に集まっていました、これでは一気に攻められちゃうので僕たちは3つに分かれたんだ。僕が左でカッツェが正面、そしてアンジェたちが右です。


「ほらほらブタさんこっちだよぉー」


僕はにおい袋を振り回しながら走り誘導して、問題なくボアが走ってきていますオークキングが付いてこないか心配でしたが、さすがカッツェですねしっかりと引き付けてるよ。


『マスター!早く避けなくては危険ですよ』


巨大なボアがすごい速さで突進してきているのでハナが焦っています、でもまだ早いよ。


「ハナこういうのはね、紙一重で躱す物だよっ!」


僕はジャイアントボアの突進を横に飛んで避けました、相手は壁に激突です、でもボスですから少し怯んでるだけなんだよ。


『すごいですねマスターこれを狙ってたのですか』

「んふふ~そうでしょ、何も避けるだけじゃないんだよ、せっかくアンジェたちが僕に任せてくれたんだ、しっかりと役目を果たさないとね」


アンジェたち主力がフェニックスバードとオークキングを倒すまでですが、ダメージを当てておいてもいいもんね。


『どんどん行きましょうマスター』

「もちろんだよ、でもその前にとりゃっ!」


僕はジャイアントボアに向かって手榴弾を投げました、普通のボアならこれでお終いなのですが、さすがに倒せませんね、でもかなりヨロヨロしてますよ。


『マスターそれはやり過ぎなのでは?』

「走り回るのはみんなの邪魔になりそうだからね、このまま動かないならその方が良いんだよ」


そう言って僕は鋼鉄製の網を投げました、これでジャイアントボアは動けません、動き始めたら今度は冒険者たちに使うはずだった閃光手榴弾を使おうかな。


「さて、アンジェたちは人数がいるから問題ないとして、カッツェの方はどうなってるかな」


僕はチラッとカッツェの戦ってる方を見ました、こっちをおろそかにすると大変な事になりますからね、カッツェは中央で盾を巧みに使いオークキングの攻撃を防いでいるのが見えたんだ。


『さすがカッツェさんですね、オークキングの棍棒を盾て防ぎきってます』


ハナの言う通り盾で軽く防いでるよ、それに力任せに防いでるんじゃなくて、盾の角度をずらしたりとかして逸らしてるんだ、すごいね。


「僕も見習いたいね・・・これなら問題なさそうかな、アンジェたちが終われば問題なく倒せそうだよ」


そう言っているとジャイアントボアが網からノシノシ出始めたので、予定通り閃光弾と追加でこの世界にいる蜘蛛のモンスター、マーダラグモの糸玉を投げてまた動きを封じました、この糸玉は捕獲専用の物で森などで使います、ほんとはあの冒険者たちに使う予定でした、そしてファファナの魔法の衝撃が来たので向こうは終わったんでしょうね。


『すごい衝撃でしたねマスター』

「そうだねハナ、きっとファファナは今回あまり戦ってないから欲求不満だったんだよ、ここで全部爆発させたんじゃないかな」


離れてるのにこれだけの衝撃が来たって事は氷系の上位を使ったんだと思います、つまりは水蒸気爆発を起こしたんですよ。


「お待たせバイト・・・ねぇこれって、あなたが倒しちゃってもいいんじゃないの?」


しばらくしてアンジェたちが僕の所に来ました、オークキングを倒しているのも見てたんですが、やはりすごいですよみんな、揃ったらオークキングがタコ殴りでした。


「戦闘はみんなの仕事なので良いのですよ、僕はフェニックスバードとオークキングの処理をしてきます、とどめをお願いします」


そう言って僕は走って解体に向かいました、みんなが来るまでにあれから痺れ矢とかも使ったんだ、動けない以上にダメージも結構いったかもね。


『でもマスターほんとにどうして倒さなかったのですか?』

「ハナ、僕は冒険者のサポートをする仕事をしてるんだ、一緒に戦っていてもそれは変わらないよ」


正直な話すごく余裕でした、やっぱり僕ってチートなんだね、とか実感しましたよ。


「さてボスも倒したんだけど、ちょっとバイトに相談よ」


解体を僕が済ませ、みんなが集まっている所に向かうとアンジェが相談をしたいと言ってきました、今はカッツェも疲れて座り込んでいるので飲み物を渡しながら顔を向けました。


「しばらくこの階のボスを倒すことになると思うの、私たちだけだったら、どう動くか分かりにくいジャイアントボアと戦いながら、ファファナの魔法でフェニックスバードを倒そうと考えるわ」


そして動きの遅いオークキングをミリーとアイミが相手をして時間稼ぎをするそうです、確かにそうなるかな、そして炎耐性の指輪もないからダメージは確実に受けてたこともね。


「あなたの渡してくれた指輪のおかげでフェニックスバードの炎も大したことなく済んだの、だから買い取りたいのだけど良いかしら?」

「つまりこの階をしばらく攻略するから、ボスに対する対策装備を買い取るって事ですね」


確かに更に下の階だと次のボスはかなりきついです、今は僕も情報は持ってないです、敵はすごく強いでしょうから十分に調べておきたいね、ここから先は上位のクランでも慎重になり、進む場合は2PT以上で挑むくらいです、そしてここが今探索をしている最下層、60階よりも下はまだ遠征をしてないんです、つまりアンジェたちはそこまで来たって事です。聞いた話では61階からは森の広がる広範囲フロアらしいですよ、だから慎重になってるって噂でそろそろ一度目の遠征があるそうです。


「そうなの、この指輪のおかげで炎の攻撃がかなり平気だったのよ、これはかなり良い装備なのは分かるわ、金貨1枚でどうかしら?」


そう言われて僕は驚きましたよ、それほどの性能だったんですね、これは商業ギルドで高く売れそうです。


「アンジェ悪いけど買取はさせられない、それは貸し出すだけです、どうせ次の階からは使いませんからね」


貸し出しの料金は大銅貨5枚がいいかな、かなりの回数こなさないと金貨1枚は行かないけど、みんなからはお金を取る気が起きません、でもそれを言ってもだめだろうから金額は決めないとね。


「確かにボスだけだし、貸し出しならいいかな」


僕の予想通りアンジェも了承してくれたよ、でもここでボスを何度も倒すことを狙うって事はこのままの人数で進む気なんだね、他のクランに入るって気持ちはないのかな?


「はい、それじゃ隣の部屋に行って転移ポートフィアを使えるようにしましょう、そのあとはどうします?」

きっと僕が解体している時に決めてると思うんですよ、でもいつもの事なのできっと戻ると思います、だってアンジェたちはあまり急いでませんからね。


「もちろんボスを倒したって事でお祝いをするわ、いつものお店でね」


アンジェがウインクをしてそう言ったらみんなも嬉しそうに賛成していたよ、あそこの料理はかなり美味しいですからね、割高でも相当気に入ったんでしょう。


「それにしてもよバイト、そっちで使ってた道具すごかったな」

「当然だよカッツェ、僕は戦闘が全然だからね、色々使って行かないとやっていけないよ」


今回カッツェが一番疲れてるよ、ガードだから仕方ないんだけどオークキング相手だったからね。


「なるほどなぁ、俺も少し考えるかな、今回は少し堪えたぜ」

「オークキングが相手だもんね、でも遠くで見てたけどカッツェの盾さばきすごかったよ」


僕はチラチラ見てたんだ、さすがにオークキングを一人で対応はきついと思ったからね、でも時間稼ぎだけなら出来てたんだ。


「それはそうだ、力だけで来る奴なんて敵じゃねぇさ」


カッツェと話しながら転移ポートフィアまで来てみんなで転移しました。それにしてもアンジェたちは長年一緒にPTを組んでるんだろうね、最初に話し合う以外は何も決めてないもん。


「ん~!気持ちいいにゃ」

「そうだね~外の空気は美味しいね」


ダンジョンから出てきてみんなが深呼吸しています、ダンジョンの中は狭いですから窮屈に感じるんでしょうね。


「早く酒が飲みたいぜアンジェ」

「カッツェほどほどにするのよ、まぁお祝いだからいいんだけど、明日もあるのよ」


カッツェを宥めていますが、きっとこれは明日は休みになりそうだよ。僕はそんな事を思いながら歩き出しました。
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