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3章 第1次世界大戦

54話 我が軍は最強

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僕は今ソワソワしていて、戦いたいと横で抱き着いているライーネを見て、僕は無言でお願いした。僕たちは今3つの国を一度に相手取る事になり、陣を張って対峙しているんだ。
こちらの数が2000の所を相手は9000と、ありえない程の数の差が報告され、普通なら逃げるのも大変な状況なんだよ。でもね、兵器を使えばそれは全然余裕の戦いに変わる。だから僕も参加したくてソワソワしてるけど、ライーネは戦ったらダメと止めて来る、隣にいてと寄り添うだけなんだよ。


「のんびりするのも好きだし、良かったんだけど・・・ねぇライーネ」

「ダメよラーハル、あなたはワタシの隣にいるのよ」


ずっと離れていたからというけど、僕もそろそろ戦いたいとお願いする。ライーネに寄り添っているだけでも、とても幸せを感じるから好きなんだけど、僕はやっぱり戦いたいとニヤケているライーネにまたお願いした。
相手がこちらの4倍以上の数であってもまだまだ余裕で、僕の出る幕はないとライーネは真剣な顔に変わって返して来る。確かに兵士のみんなは強く一人で敵兵士10人分は働くし、量産した兵器は100人を一瞬で倒してしまう程の威力がある。だから僕たちが負ける事は絶対ないんだけど、それでも僕は戦いたいんだと、またまたお願いしたよ。


「なによラーハル、そんなにワタシの傍を離れたいのね」

「そうじゃないよライーネ。僕は君の為に戦いたいんだ、君の為に何かしたいんだよ」

「言い方は色々ねぇ・・・でもそうね、そんなに言うならちょっとお願いしようかしら」


ニヤつき始めたライーネが言ったお願いは、砦を落としてほしいというモノで、それも僕一人でという無理難題だったんだよ。ここの戦いに他の国が加わっているのなら、遠くに見える砦にそいつらの本隊がいるのは確実、その確認もしたいという事らしいよ。
僕はそれを即答して了承し、やっぱり愛されてると凄く嬉しかったんだ。戦いたいって言う、僕の気持ちを分かってくれてる楽しい答えで、ライーネをぎゅっと抱きしめたよ。


「そんなに喜んで、やっぱり離れたいんじゃないのよ」

「ちがうよライーネ、僕をそこまで信じてくれたのが嬉しいんだ。絶対落として帰って来るよ」


この場の戦いの音が響く中、僕は遠くに見えた砦に走ったんだ。この場の戦いに勝つかどうかもまだ分かってない中だから、僕もライーネが心配ではあるけど、それは僕が一番信頼しているジルベルトさんを信じないのと同じなんだ。
だから僕は迷いもなく戦いに向かう、多くの兵士が戦う横を走り砦の前に立った僕は、門を開ける様に聞いてみた、その答えは毎度同じなのにね。


「敵兵と名乗るお前が前にいるのに、開けるわけがないだろうがっ!!弓を引け」


僕に向かって砦から沢山の矢が放たれたのは、その声の少し後でした。突然の事で誰も弓を用意してなかったし、それを僕が待っていた事もあったからだね。
その矢は、僕の作る風の流れに巻き込まれ飛ぶ方向が変わり、僕の前に閉じている門にすべてが突き刺さり貫通した。本来はその程度では門は貫通しないし壊れないけど、僕の奥義である【逆流風車】は、矢を貫通させその穴から風が通る事で圧力を掛けて破壊したんだ。


「て、敵襲っ!!」


門が壊れた事で、敵側は大声で警戒を始めた。僕が1人だった為、弓を持った兵士だけしか見えず、武器をそいつらが持つ前に僕は突き進む。
追うように誰かが叫ぶけど、僕には追いつけず誰も僕は止められない。なぜならジルベルトさんの結婚祝い品を全て装備しているからだよ。
素早さが2倍になる疾風のスカーフに星降りの腕輪、それとエルフのブーツという3倍にする装備をしているからだ。目的のリーダーたちがいる場所に戦わずして来れた僕は、声を出している分隊長クラスの兵を背中に、僕は部屋の男たちに告げたんだ。


「ライーネの予想通りだった、いるとは思ってたけど、見つけたよ」


ユーリユとブイロンとペシャンの貴族はいると思ってたけど、ほんとにいて呑気にも食事を取ってたんだ。僕が入っていっても、ソイツらは礼儀がなってないと怒るだけだったよ。
自分たちが討たれる事を考えないで、ただ文句を言うだけで武器すら持たず、僕は相手をするのが少しめんどくさくなっていたよ。後ろにいた兵士に蹴りを入れ、こいつらを相手にするなら他に行った方が楽しいと、投降するよう伝えるだけしたんだ。


「な、何を言うかきさま」

「ワシたちを誰だと思っている、無礼なお前は何者だ」


僕がその気なら、この場にいる3人は一瞬で終わってたけど、僕は名乗って投降を進めた。兵器を使って勝利を収めたライーネたちが進んでくるからね。
だけどこいつらはそれを聞き笑って来た、3国を相手に勝てるわけないと信じてないんだ。


「僕がここにいるのに、呑気だねあんたたち」

「ここに来ただけだろうが馬鹿者。それにお前は知ってるのか?サーティンもワシたちと同じ様に、2つの国と共闘してそちらを攻めているのだ、投降するのはお前たちだ」


複数の国に攻められて落ちないはずがないと笑って来たけど、何を言うかと思えばと言いたいのはこちらだよね。ここに僕がいる時点で、それ位分かって欲しかったと、こいつらの投降をキャンセルする為、僕は腰の刀を抜いて3人を斬りつけた。
男たちは胸から上がずるっとずれてそのまま床に落ちたんだ。僕はそれを見て、まだまだ訓練が足りないと技術の低さを反省した。熟練者は斬られた事も分からせいで喋ったりする、ジルベルトさんはきっとそれが出来るんだ。


「族はここかっ!!」


やっと兵士たちが来たかと、僕は振り返り遅かったねと返事をします。相手は部屋の惨状を見て、声にならず立ち尽くしてしまってる、だから僕はトップがいなくなったから降参する様に提案したんだ。
その答えは武器を向けられて決まったんだけど、僕はやれやれっと刀を握った。相手は部下をけしかけて来たけど、部屋に入るなり僕に斬られて行く。どんどん兵士が積まれて行き、相手はある事に気づいて兵士を止めた、僕が動かないのを見て弱点だと指摘してきたよ。


「確かに、この居合斬りはその場に留まる事で繰り出す技だけど、それがどうしたのさ?」

「分からんのか?この部屋の出入り口はここだけ、後は窓があるだけでここは砦の6階だ、つまりお前に逃げ道は無いんだよ」


偉そうな兵士が笑って、僕が疲れるのを待つと言って来た。部屋に入らなければ良いと思うのは当たってるけど、居合斬りだけが僕の技じゃない。
他の技もあるけど、相手の出した答えを崩すのは好きだから、僕あえてそれを潰してやると、ある物を呼ぶために窓に近づいた。男は諦めて飛び降りるのかと聞いて来たけど、そんな訳ないでしょっと笑って見せたよ。


「じゃあどうするつもりだ?遠くの仲間にでも助けを求めるか?」

「そんな事しないよ、僕たちにはこれがあるんだ【筋斗雲~】」


空に向かって名前を発する事で、空から黄色い雲が降りて来た。それに乗り、これで動きながら居合斬りが繰り出せるよっと筋斗雲の上で構えたんだ。
男たちはかなり青くなったけど、筋斗雲の速度は伊達じゃない。男たちが次の動作に移る前に、天井ぎりぎりを飛び部屋を抜けたんだ、勿論僕は居合斬りを繰り出し、通りすぎる時に男たちを斬りつけて倒して行った。


「そらそらぁーどんどん行くぞっ!!」


竜巻の様に筋斗雲を上に下にとサーフィンの様な動きをマネて、通路にいる兵士たちを出合い頭に倒して行く。ライーネとの約束はこれで達成できると、筋斗雲を操り楽しい戦いを堪能したんだ。
通路を出ると、次の標的は中庭と壁の上にいる兵士たちだ。廊下の時とは違い更に速度を上げ、斬られた兵士たちが斬られた事に気付かなくなってきた。僕はそれにも気づかず、どんどん斬り付けて行き、砦を一周する頃に兵士が倒れるのを見て、僕は納得したんだ。


「人を300人斬って初めて半人前ってどこかで聞いたけど、ほんとにそうだったよ」


僕はもう嬉しくて仕方なかった、ジルベルトさんに少しは近づけた気がしたんだ。合流したライーネにもそれを報告すると、良かったねと抱きしめてもらえた。
僕は勝利以上の物を得られとても嬉しかった、僕たちには敵はいないと自信を持ったんだよ。僕たちの国はこのまま勝ち進む事が出来る、その時はそう思って疑わなかった。だけどそれは、下位の種族同士で戦っている間だけだったんだ。
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