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3章 第1次世界大戦

52話 イースラム国の報告会議

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占領は順調に進んでいる、会議に参加した王族たちは誰もが笑いをこぼしています。ですがラーハルとワタシは暗い表情を崩しません。
初戦の相手である、ドルドンは降伏しヴィローもそれを知って降伏した。しかしガルカルは壊滅し、復興にはかなりの時間がかかるでしょう。それは次の戦いに支障をきたすのは言うまでもなく、今笑っている者たちは分かっていないのです。


「皆さん戦いはこれからです、笑っている場合ではありませんよ」


降伏し味方になったとは言っても、直ぐに協力的とは言えないのです。それなのにその国は統治しなければいけない、戦線は更に広くなる一方なのです。
そこで提案されるのは、ワタシたちが秘密にしている製作魔法です。国を上げて生産すれば広がった戦線も維持できると、派閥争いを仕掛けてきている者たちがニヤニヤしているわ。
そんな考えだから教えられないのに、呑気なモノだとワタシは公表を断ったわ。生産はワタシたちだけでも十分だし、既に約束をしている商人たちもいると、遠回しにあなた達は信用できないと選別してあげました。


「そう言うライーネはどうなんだ?オレはかなり心配だぞ」


第一王子であるアルステル兄様が、言葉で睨み合うワタシたちの間に入って来ます。ワタシに力が集中し過ぎていると、周りの者たちが不信感を持っていると言葉に出してきたのです。
本来そんな本音は言わないのが定石ですが、それだけ重要だと強調させたいんでしょう。
ワタシはどうしたものかと考えますが、もう黙っていられないと諦め、製作魔法を使っていると発表します。勿論クリエイトブロックは伏せましたが、兄様は何を言ってるんだと言い出し、他の者たちは笑ってきました。


「信じないのですか?」

「それはそうだろうライーネ、製作魔法は魔力を無駄に消費する最悪な魔法だ、それを使っていたと言われても嘘を言っているとしか思えない」

「だったら見せましょう」


ワタシは誰にも分からない様にクリエイトブロックを瞬時に生成し、上層部が見たがっていたキントウンを机の上に作ったのです。
誰の目もキントウンに注目し、それでも嘘かと言ってやりましたわ。お兄様は信じられないって顔ですが、実物がそこに出来上がったので仕方なく信じたようです。


「これがワタシたちの力です、これは熟練した者でないと作れませんが、それがクリア出来れば誰にでも作れるのです。その意味がお兄様なら分かりますよね?」


誰にでも使えるという事は、敵国も勿論使えるという事で、それが知られれば戦争が激化する事になるのです。そして知ってる者が安易に増えれば、それだけ裏切る可能性が増してしまい、それがありそうな奴らは今ここで言い寄って来た奴らなのです。
遠回しにそう言ってクギを差しましたが、はははっと笑うだけです。ほんとに分かっているのかと追及してやりたいですね。


「兎に角、生産はワタシたちに任せてください、遅れる事は絶対にありません」

「ふんっ!もし遅れでもしたら許さんからな」

「心に刻みますわ」


刻まなくてもそんな事はあり得ませんのよ、何せ味方になっている者はかなりの数いますし、次の手は打ってあります。
次の議題である戦いの相手は、ヴィローとガルカルとドルドンに隣接している国が対象です。ヴィローに隣接しているハーメルとユーリユとブイロンの内、戦いに興味のないハーメルは除外されています。
そしてヴィローとガルカルに隣接しているペシャン国は注意し、ガルカンとドルドンに隣接しているサーティンと、ドルドンに隣接しているドロン国もまた注意が必要と上げられましたわ。


「何処も小国ながらも、今すぐにでも攻めようと準備していると情報が上がっている、至急傭兵を集め進軍を開始しなくてはいけない」


物資と兵器を出せと、ワタシをじろっと見てきますが、もう荷物は準備出来ています。兵士の募集などはワタシの管轄外だと、遅くて待ってたくらいです。ここに名前の挙がらなかった、ドルトンとパーススに隣接しているドワーフの国が重要なのだと、ワタシは心の中だけでガイロウディンという名を呟いたのです。
そこでは、何時動くのか分からない中規模国に対する兵器を製造中で、こちらが終わったタイミングであってほしいと願っている問題です。
なので早く会議が終わってほしいと、あまり話が入って来ません。正直小国との戦いで負ける要因が見当たりません。


「やはり戦力を集中するのはサーティンだろう、あそこはドロンとトンズルを纏めている国だ、3つの国が一気に押し寄せて来るぞ」

「それならユーリユも侮れないわよセリド、あそこは金等級の傭兵が唯一滞在している小国よ」


龍殺しのハーベストという大剣使いの傭兵がいるので、誰もが納得をして第一王女のアマンサ姉様の話を聞き、最悪ヴィローを捨て石にしようと考えています。そんな事が出来る状態ではないのがワタシたちの位置取りなのに、ほんとに分かってないとため息が出てしまいます。
友好国を合わせれば、ワタシたちは既に中規模国に匹敵している。それを実感していない者たちだから警戒心が無いのです。


「兎に角だ、我が国の隣国は全て掌握した、それはかなり大きいだろう。今後は兵士を各地に送り対応する、王族のそなたたちは分担して各地の戦いを進めるのだ」

「「「「「国王様の御心のままに」」」」」


最後は国王のお父様が締めくくり会議は終了したのですが、第4王女のワタシは生産も担当しているのに、どうしてか一番遠くのユーリユが担当になりました。
ワタシはラーハルと一緒ならそれだけで幸せですが、生産を滞ってしまえば処罰されるでしょう。それが狙いでお父様まで危険だと思っていると、ワタシはかなり心配になりました。


「これじゃジルベルトさんに顔向けできないね」

「そうねラーハル・・・でも、王都を離れるのなら好都合な事もあるわ、ハネムーンを楽しみましょうよラーハル」


お父様やお兄様たちの狙いは、ワタシが外出中に生産力の掌握だと考えられます。王族に逆らう商人はいないと勘違いをしているのですよ。
ワタシの仲間は他国に渡っているので、その者と話を付けるにはそれだけ時間が掛かってしまう。そいつは、ただ各国をたらいまわしにされて終わるのがワタシの秘策で、その間にワタシは幸せな旅行をするのです。ラーハルの腕に寄り添い、これからどうしようかと予定を話合い、それは寝室に着いても終わることなく、ワタシはとても幸せな時間を過ごしました。


「そう言えば、金等級の傭兵ってどうしてユーリユに住み着いてるのかな?」

「あらラーハル知らなかったのですか?あそこにある変わった匂いのするお湯が目的なのですよ」


そのお湯に浸かると、疲れは取れ若返ると噂なのです。ラーハルはそれを聞き、オンセンがあるのかと喜んでいますが、ワタシには良く分かりませんでした。
ですがラーハルが行く気になっているので、ワタシは分からなくても賛成します。これからは戦争の回避は難しく、航空爆撃も後処理を考えて使えません。戦いはどんどんと広がり後処理に追われる。ですがワタシたちは止まるわけにはいかないのです。
世界を平和にする為に、ラーハルと声を揃えて誓いを思い出し、ラーハルと一緒にベッドに寝たのです。
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