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2章 発展競争
43話 首宣告
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ボクはララフォート、ボーボル国の王都ボサボルテの病院で働く医師です。でも、ボクはもう仕事に行きたくないと、トボトボと仕事場に向かい歩いてるんです。
それと言うのも昨日の事が原因で、ボクの上司が貴族の治療に失敗し、そのミスをボクのせいにして来たんだ。
誰に言っても信じてくれないし、このままじゃボクの将来は無くなってしまう、考えただけでも暗くなるけど、それは既に現実になっていました。ボクの職場にボクの席と名前が無くなっていたんだ。
「ど、どうして!?」
やり直すチャンスも声すら掛けて貰えず、ボクは仕事を失いました。勿論上司に話をしに走ったボクだけど、お前のせいと言われるだけで、取り巻きの医師たちがボクを外に投げ捨てたんだ。
どうしたらいいのか分からず家に帰ると、ボクの婚約者であるシュティーナがいました。ボクは彼女に抱きしめてもらおうとしたけど、彼女はボクの顔を叩いて来た。
「な、何するんだよシュティーナ」
「気安く呼ばないで頂戴、あなたはもう婚約者じゃないわ、さようなら」
「そ、そんな・・・どうしてなんだよシュティーナ」
理由なんて決まっていたけど、ボクは聞かずにはいられなかった。彼女は病院を運営しているゴルーリアス家の長女様で、ボクは跡取りになる予定だった。だけど貴族に睨まれたボクは邪魔でしかなくなったんだ。
それでもボクは彼女を愛していた、彼女もそうだと思っていたのに、そうじゃなかったんだと、ボクは更に落ち込んだよ。
落ちる所まで落ちてしまったと、ボクは膝を付いて泣いたんだ。誰も助けてはくれない、シュティーナは部屋を出る時、顔を見たくないから国を出ろと言って来た。
「ボーボルを出るか・・・でも、国を出て何をすればいいんだよ」
ボクにはもう何もないと、しばらくボクはベッドから動けないでいました。それから2日が経ち、お腹が限界だったので食堂に向かい食事を取ったけど、食べ物の味がしなくてまた泣きそうだよ。
ストレスで味覚を失ったんだと、ボクはまた無くしてショックを受けます。もうどうでも良いと思ったけど、死ぬ勇気が無かったボクは、身支度を簡単に済ませ目についた馬車に乗り旅に出ました。目的地も決めないままで、ただ馬車に揺られる日々を過ごしたんだ。
「仕事で忙しかったけど、こういったのも良いかも」
風が気持ちが良かったし、失う物が何もないからかもしれません。所持金がソコソコあるボクは、しばらく旅を楽しむことにした。一人旅なら誰にも文句は言われないし、裏切られることもないからです。
見た事のない村や街を見て、何もしないでのんびりと過ごす、そして飽きたら次の場所に移動したけど、楽しそうに見えるボクはどこか表情が暗いんだ。
「ねぇあんた、もう少し楽しそうな顔したら?」
そんなボクだったからかな、酒場で食事を取っていると、横で食事をしていた集団の女性からそんな言葉をもらった。ボクは謝罪の言葉だけを伝え直ぐに酒場を出たけど、その時女性が怖く見える事を知った。
上司も女性だったし、女は怖い生き物だと認識して、ボクの体が拒絶してしまったんだ。また失った物が増えて暗くなり、その街は直ぐに出たんだよ。
「次はどこに行くのかな」
どこに向かうのか、それを聞くのは出発してからなんだ、じゃないと怖くて決められない。もうボクは自分で道を進む事も出来ないんだよ。
御者席のお爺さんに目的地を聞くと、次はフェリトス国に行くらしく、ボクは大陸の端に来たのだと、自分の運命がお終いに感じました。そこで海にでも落ちようかと考えて暗くなっていったんだ。
「でも、もうボクはそれでも良いかも」
旅は十分に楽しんだし、これ以上生きていても仕方ないと、ボクは馬車から降りるのを忘れ暗くなった。馬車はフェリトスに着くと、まずは王都に入り、大抵の客はそこて降りるけど、ボクはまだ降りる気になれなかった。次の街エンドエを通り村を3つに山を2つ越えたけど、ボクはそれでも降りない。
馬車の終点までボクは降りなかったけど、馬車を降りた先はとても綺麗な街が広がってた。ここがボクの死に場所かと、少し気持ちが楽になったよ。
「人はこんなにも笑顔になるんだね、ボクとは大違いだ」
すれ違う人は誰もが笑顔で楽しそうです。ボクはそれが凄く胸に刺さり、もう死にたいと思って海に向かったんだ。歩いて海に入るのは怖くなりそうなので、飛び降りる事が出来る港に向かった。そこには沢山の人がいて、さすがにここでは駄目だと引き返そうとしたけど、いい匂いが鼻を通り足が止まったんだ。
「久しぶりに食べたいって思う匂いだ」
屋台が何件も並んでいて、どこも行列だったけどボクは並んで買い物をした。どうせ味はしないけど、匂いはとても良かったし、最後の晩餐に丁度良いと思ったんだ。一口食べて味がしないから、やっぱりと全部を食べて暗くなった。
海に落ちるなら他に行くしかないと、遠くに見えた高い崖に向かった、そこは誰もいないくて丁度良い場所だったよ。
「良い景色だね、ここならほんとに悔いはないよ」
ここから落ちればすべてが終わると、思い出を振り返って来て涙が出たんだ。
別に悔いが残ってるから泣いたんじゃなくて、ボクに仕事以外の思い出が無かった事がショックだった。
元から何もない空っぽなボクは、ここで死んでも当然だと足を踏み出しました。だけどそこからは落ちなくて、何かを踏んだ感触があって下を見ると、そこには黄色い雲が浮いてたんだ。
「ななな、なんだよこれ!!」
雲から足を離しボクは後ろに下がった。だけど気になって仕方なかったから、もう一度だけ崖を見下ろしたんだ、そこには黄色い雲が沢山浮いていたんだよ。
何だよこれって思って見ていたら「まいったな」っと後ろから声が聞こえた、ボクが振り返るとそこには少年が立っていて、後頭部に手を置いて困った感じを出してた。ボクは見てはいけない物を見たんだと、彼に命を取られる想像をしました。
崖から落ちるよりも楽だし、彼に任せようと、ボクはどうぞっと目を瞑って待ったんだ。
「君、何をしてるんだ?」
「ボクは見ちゃいけない物を見たんでしょ?だから殺してよ」
「そうか」
少年は一言だけを呟き近づいて来る。足音がしなくなって彼が目の前に立ってるのが分かった。いよいよかと思って痛みが来るのを待ったけど、一向にそれは訪れません、ボクは目を開けて状況を確認したんだ。
ボクの顔の前に少年の顔があってびっくりしていると、少年は前の自分の目だと言ってきてボクの頭を撫でて来た。その手は優しくてとても気持ちが良かったよ。
「君の気持ちは分かるよ、この世に絶望して何も信じられなくなってるんだよね」
「それが分かってるのに、どうして君はそんな目をしてるの?ボクと一緒ならそんな目はしないよ」
「やりがいのある物を見つけたからね、死ぬならそれをやり遂げてからと決めてるんだ」
少年の目の奥には、ボクと同じ暗い物が見えた、だから少年が嘘を言ってない事が分かったんだ。彼はやり遂げた時、自分で命を絶つつもりなんです。
ボクにはそんな物はない、そう言い返そうとした時、少年に手伝ってと言われた、ボクは直ぐに分かったと返事を返したんだ。
どうして断らなかったのか、ボクは自分の事なのに分からなかったよ。だけどね、答えを聞いた少年の笑顔を見て、死ぬのは手伝った後でも良いかと考え直したんだ。
「俺はジルベルト、傭兵をしてるんだ」
「ボクは元医者のララフォートです・・・医者と言っても、あまり期待しないでください」
「分かった。期待はしないけど信じる事にするよ。君が直ぐに答えてくれたようにね」
少年に手を引かれ、ボクは街に案内されます。その間、彼の信じるという言葉が頭から離れませんでした。ボクは彼を信じたから即答したんでしょうか?良く分からないけど、それは胸が暖かくなる答えで、これからが少し楽しみになったんです。
だけどね、ボクはその後彼の仲間に紹介されたんだけど、意識が遠のき気を失ってしまった。ジルベルトの仲間は全員ボクの苦手な女性だったんだよ。ボクは彼を手伝う前に死んじゃうかもしれない、それはだけは絶対嫌だと思ってしまったよ。
それと言うのも昨日の事が原因で、ボクの上司が貴族の治療に失敗し、そのミスをボクのせいにして来たんだ。
誰に言っても信じてくれないし、このままじゃボクの将来は無くなってしまう、考えただけでも暗くなるけど、それは既に現実になっていました。ボクの職場にボクの席と名前が無くなっていたんだ。
「ど、どうして!?」
やり直すチャンスも声すら掛けて貰えず、ボクは仕事を失いました。勿論上司に話をしに走ったボクだけど、お前のせいと言われるだけで、取り巻きの医師たちがボクを外に投げ捨てたんだ。
どうしたらいいのか分からず家に帰ると、ボクの婚約者であるシュティーナがいました。ボクは彼女に抱きしめてもらおうとしたけど、彼女はボクの顔を叩いて来た。
「な、何するんだよシュティーナ」
「気安く呼ばないで頂戴、あなたはもう婚約者じゃないわ、さようなら」
「そ、そんな・・・どうしてなんだよシュティーナ」
理由なんて決まっていたけど、ボクは聞かずにはいられなかった。彼女は病院を運営しているゴルーリアス家の長女様で、ボクは跡取りになる予定だった。だけど貴族に睨まれたボクは邪魔でしかなくなったんだ。
それでもボクは彼女を愛していた、彼女もそうだと思っていたのに、そうじゃなかったんだと、ボクは更に落ち込んだよ。
落ちる所まで落ちてしまったと、ボクは膝を付いて泣いたんだ。誰も助けてはくれない、シュティーナは部屋を出る時、顔を見たくないから国を出ろと言って来た。
「ボーボルを出るか・・・でも、国を出て何をすればいいんだよ」
ボクにはもう何もないと、しばらくボクはベッドから動けないでいました。それから2日が経ち、お腹が限界だったので食堂に向かい食事を取ったけど、食べ物の味がしなくてまた泣きそうだよ。
ストレスで味覚を失ったんだと、ボクはまた無くしてショックを受けます。もうどうでも良いと思ったけど、死ぬ勇気が無かったボクは、身支度を簡単に済ませ目についた馬車に乗り旅に出ました。目的地も決めないままで、ただ馬車に揺られる日々を過ごしたんだ。
「仕事で忙しかったけど、こういったのも良いかも」
風が気持ちが良かったし、失う物が何もないからかもしれません。所持金がソコソコあるボクは、しばらく旅を楽しむことにした。一人旅なら誰にも文句は言われないし、裏切られることもないからです。
見た事のない村や街を見て、何もしないでのんびりと過ごす、そして飽きたら次の場所に移動したけど、楽しそうに見えるボクはどこか表情が暗いんだ。
「ねぇあんた、もう少し楽しそうな顔したら?」
そんなボクだったからかな、酒場で食事を取っていると、横で食事をしていた集団の女性からそんな言葉をもらった。ボクは謝罪の言葉だけを伝え直ぐに酒場を出たけど、その時女性が怖く見える事を知った。
上司も女性だったし、女は怖い生き物だと認識して、ボクの体が拒絶してしまったんだ。また失った物が増えて暗くなり、その街は直ぐに出たんだよ。
「次はどこに行くのかな」
どこに向かうのか、それを聞くのは出発してからなんだ、じゃないと怖くて決められない。もうボクは自分で道を進む事も出来ないんだよ。
御者席のお爺さんに目的地を聞くと、次はフェリトス国に行くらしく、ボクは大陸の端に来たのだと、自分の運命がお終いに感じました。そこで海にでも落ちようかと考えて暗くなっていったんだ。
「でも、もうボクはそれでも良いかも」
旅は十分に楽しんだし、これ以上生きていても仕方ないと、ボクは馬車から降りるのを忘れ暗くなった。馬車はフェリトスに着くと、まずは王都に入り、大抵の客はそこて降りるけど、ボクはまだ降りる気になれなかった。次の街エンドエを通り村を3つに山を2つ越えたけど、ボクはそれでも降りない。
馬車の終点までボクは降りなかったけど、馬車を降りた先はとても綺麗な街が広がってた。ここがボクの死に場所かと、少し気持ちが楽になったよ。
「人はこんなにも笑顔になるんだね、ボクとは大違いだ」
すれ違う人は誰もが笑顔で楽しそうです。ボクはそれが凄く胸に刺さり、もう死にたいと思って海に向かったんだ。歩いて海に入るのは怖くなりそうなので、飛び降りる事が出来る港に向かった。そこには沢山の人がいて、さすがにここでは駄目だと引き返そうとしたけど、いい匂いが鼻を通り足が止まったんだ。
「久しぶりに食べたいって思う匂いだ」
屋台が何件も並んでいて、どこも行列だったけどボクは並んで買い物をした。どうせ味はしないけど、匂いはとても良かったし、最後の晩餐に丁度良いと思ったんだ。一口食べて味がしないから、やっぱりと全部を食べて暗くなった。
海に落ちるなら他に行くしかないと、遠くに見えた高い崖に向かった、そこは誰もいないくて丁度良い場所だったよ。
「良い景色だね、ここならほんとに悔いはないよ」
ここから落ちればすべてが終わると、思い出を振り返って来て涙が出たんだ。
別に悔いが残ってるから泣いたんじゃなくて、ボクに仕事以外の思い出が無かった事がショックだった。
元から何もない空っぽなボクは、ここで死んでも当然だと足を踏み出しました。だけどそこからは落ちなくて、何かを踏んだ感触があって下を見ると、そこには黄色い雲が浮いてたんだ。
「ななな、なんだよこれ!!」
雲から足を離しボクは後ろに下がった。だけど気になって仕方なかったから、もう一度だけ崖を見下ろしたんだ、そこには黄色い雲が沢山浮いていたんだよ。
何だよこれって思って見ていたら「まいったな」っと後ろから声が聞こえた、ボクが振り返るとそこには少年が立っていて、後頭部に手を置いて困った感じを出してた。ボクは見てはいけない物を見たんだと、彼に命を取られる想像をしました。
崖から落ちるよりも楽だし、彼に任せようと、ボクはどうぞっと目を瞑って待ったんだ。
「君、何をしてるんだ?」
「ボクは見ちゃいけない物を見たんでしょ?だから殺してよ」
「そうか」
少年は一言だけを呟き近づいて来る。足音がしなくなって彼が目の前に立ってるのが分かった。いよいよかと思って痛みが来るのを待ったけど、一向にそれは訪れません、ボクは目を開けて状況を確認したんだ。
ボクの顔の前に少年の顔があってびっくりしていると、少年は前の自分の目だと言ってきてボクの頭を撫でて来た。その手は優しくてとても気持ちが良かったよ。
「君の気持ちは分かるよ、この世に絶望して何も信じられなくなってるんだよね」
「それが分かってるのに、どうして君はそんな目をしてるの?ボクと一緒ならそんな目はしないよ」
「やりがいのある物を見つけたからね、死ぬならそれをやり遂げてからと決めてるんだ」
少年の目の奥には、ボクと同じ暗い物が見えた、だから少年が嘘を言ってない事が分かったんだ。彼はやり遂げた時、自分で命を絶つつもりなんです。
ボクにはそんな物はない、そう言い返そうとした時、少年に手伝ってと言われた、ボクは直ぐに分かったと返事を返したんだ。
どうして断らなかったのか、ボクは自分の事なのに分からなかったよ。だけどね、答えを聞いた少年の笑顔を見て、死ぬのは手伝った後でも良いかと考え直したんだ。
「俺はジルベルト、傭兵をしてるんだ」
「ボクは元医者のララフォートです・・・医者と言っても、あまり期待しないでください」
「分かった。期待はしないけど信じる事にするよ。君が直ぐに答えてくれたようにね」
少年に手を引かれ、ボクは街に案内されます。その間、彼の信じるという言葉が頭から離れませんでした。ボクは彼を信じたから即答したんでしょうか?良く分からないけど、それは胸が暖かくなる答えで、これからが少し楽しみになったんです。
だけどね、ボクはその後彼の仲間に紹介されたんだけど、意識が遠のき気を失ってしまった。ジルベルトの仲間は全員ボクの苦手な女性だったんだよ。ボクは彼を手伝う前に死んじゃうかもしれない、それはだけは絶対嫌だと思ってしまったよ。
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