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2章 発展競争

42話 女子会は怖い

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シャークスと養殖地を見て戻った俺は、どうしてかキョーカたちに囲まれてしまう。みんなとても怒った顔をしているのが怖いんだが、どうしたのかと聞いても誰も応えず、俺の顔をジッと見て来るだけだった。
どうして見て来るのか聞く前に、キョーカに背中を押され、他のメンバーには両手を引っ張られ連行されて行ったんだ。その行き先は、馬車の居住区(4階)に上がった俺の部屋というわけだが、俺は床に正座させられていて訳が分からない。
ここで説明するが、魔力馬車は1階が4人乗りの車と同じ大きさで、助手席にある天井の蓋を開けると螺旋階段が伸びている。2階は1000人が座れる広い食堂で、3階は同じ位広い風呂場となっている。
4階から居住区で、個室から10人部屋と3000人は住める仕様で30階まで伸びている。今後増えれば更に増設する事も出来る仕様になっている。


「さて、聞かせてもらうわよジルベルト、どうやって商業ギルドのクソ野郎を蹴落とすのかしら?」


みんなが俺を囲んで来た案件はそれだったらしい。みんなの威圧はほんとに怖くて、作戦なんて無いぞっと正直に話してしまった。みんなはそれを聞いて更に怒った顔だ。
どうしてこんな事になっているのか、それは現場を見ていたシャルーがみんなに教えてしまったからだ。人型ロボットを使い、接客などをするのがシャルーの最近の趣味になっていて、ライーネ版以外も沢山あるんだが、接待をその姿でしてくれている。それはありがたいんだが、今回はそれのせいで俺に矛先が向けられた。
商業ギルドの長は、俺の隣に控えていたメイド版シャルーをチラチラと見て、数回の接触を実行していた。そのせいもありシャルーは怒っていたんだ、そこに俺を貶す言い回しをしてしまい、こいつは敵とシャルーが判定してしまった。


「じゃあアタシたちが決めるわ、良いわよねジルベルト」

「キョーカ、あいつには王族の接待という大事な仕事があるからな、それが出来ないと困るぞ」


王族に説明するのはシャークスと俺だとしても、その後の食事や接待はアイツの仕事となり、俺は正直なところ面倒だからしたくない。その説明はキョーカたちを納得させるのに十分で、どうしてか喜んでくれた。
死なずに済んだと思っている俺だが、キョーカたちはアイツの悪口を言い始める。会ってもいないのにどうして?っと思って聞いていると、どうやら街の女子たちからの情報だった。


「顔は良いけど、あれが小さいとか嫌よねぇ~」

「そうにゃよ、男は体も大事にゃ」

「性格も大事、優しくないとダメ」

「そうそう、アイツ絶対自己中だよ」


悪口がとめどなく出て来て、いつの間にかお菓子まで食べ始める。テクニックはまあまあだから、大きいだけの男や顔の悪い奴らよりはマシ、そんな程度で一番と思っている本人は、とても誇らしげに言ってると、街の女性たちは裏で笑っているらしい。
子供が欲しい時の第一候補というだけらしく、仕事も街を回らないから大雑把になり、なにも知らずに書面にサインをするだけの偉い人。他の街で大きな商会のボスをしてる親のコネを使い、ここのギルド長に抜擢されたから候補になってるだけらしいぞ。


「騎士なら、確実に相手にもされないわね、そうですよねサンセット様」

「そうねミーシュ、学園を出てもその程度なら沢山いるわ」

「だから男は嫌いなんだ、バカで考えなしでさ」

「あらキョーカ、アタシの弟はそうじゃないわよ」


シャルーがラーハルの話をし始める。それはゲームを作り帰って来るまでのお話で、シャルーもそれを手伝っていたことが語られた。それは向こうの世界での大変つらい生活を語るモノで、キョーカたちは涙して聞いていた。
そして俺がこちらに一緒に来たことが知らされたんだが、そこで流れが変わってしまう。みんなが俺に注目する中、シャルーはまた余計な事を口走ったんだよ。


「ジルベルトは、弟の尊敬する目標であり英雄なのよ」

「ちょっ!?」


俺の止める声は、みんなの視線の変化に止まる事になった。それは前に見た事のある熱いまなざしで、ベッドを共にする時に見ている。
既に時間は夕方になっているから、このままではまずいと思った。しかしシャルーは更にハードルを上げてしまい、なんと戦いに勝利したのは俺の知識のおかげとか言って来たんだ。


「鉱山に作物と色々やったものね、納得だわ」

「そうでしょキョーカ、だからジルベルトは好物件なのよ」

「ジルにゃ~ん」


チャンミーが俺に抱き付いて来て、もうこれは止まらないと思ったが、俺もこのままでは終わらない。何とかしたくて向こうの世界の話を始める、みんなはとても興味を持ってくれて、俺はしめしめと酒を出し始める。
ある程度酒が回るとみんなが眠りだし、俺は助かったとホッとした。ベッドにみんなを寝かせ、俺だけで外に出て空き室のベッドに倒れたよ。


「明日が夜の日なのに、今日それをしたら俺の身が持たない」


ただでさえ、3人の相手から4人に増えてしまったのにと、俺はため息が出る。ハーレムとか喜ぶ奴はいるだろうが、限度というモノがある。
皆は好きだし、子供が欲しいと言われればそれに答えたい。しかし人数が人数なんだ、さすがに多すぎると俺は声を大にして言いたい。
早く男が欲しいと、街の有望株の顔を思い出した。みんななかなか頑張っている職人の青年たちで、ひと段落したら勧誘するつもりでいる。


「まぁ、一番問題なのは、俺の身体年齢なんだよな」


新人傭兵の設定だったゲームのアバターはみんな13歳だった。だから俺もその年齢で、見た目そのままガキと言われても仕方なかったのを最近知った。
サポートキャラのくせに、全然サポートをしないシャルーのせいだと文句を飛ばしておく。アイツがもっと説明してくれれば、夜の相手も少しは減っていたんだ。年上好きのサンセットやミーシュがそれに辺り、元兵士の女子たちの半数がそれだ。
ジャクソたちが成人する前に何とかしたい、そう思って目を閉じた。しかし考え事をしているのでなかなか寝付けず、製作魔法で、とあるアイテムを作ったんだ。


「子作りの腕輪、これなら精力剤とは違って服用制限はない」


ある物語の中で存在していたアイテムで、精通のしてない男性に使ったり、100人の相手をする為の物だ。まさに俺の為にあるアイテムだと、薄い本の情報に感謝したよ。
みんなの事は好きだからこれで抵抗は無くなったと、明日からの仕事にも力が入りそうだ。
いつの間にか見た夢では、男性が仲間に入ってくれていて、喜んだ俺は夢だったことにかなりショックを受けた。
それでも今日から頑張るぞっと、ベッドから起きて食堂に向かい、後1月を切った王族の来訪の為に最終調整を頑張ったんだ。
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