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1章 天職が不遇
20話 狙撃も出来ます
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これから行う事は、まだまだみんなには早いとシャルー以外に教えていない戦法だ。俺の狙っている目標は10キロ離れた撤退中の敵軍、その中の一人の男だけが標的だ。
草木が生えていない山の頂上で、俺は幾つものクリエイトブロックに魔力を注ぐ、その量は今までで最大だ。俺がやろうとしている事は、ジャルダル傭兵記の未来編で使っていた俺だけの戦法、超長距離からの狙撃だ。
「目標は中間にいる馬車の中か」
超圧縮された魔力を蓄えたクリエイトブロック、それを左目に着け照準器として使う。更に残りのクリエイトブロックは、俺の指先から肩に掛けて並んでいるが、そこから更に螺旋状に上に伸びている。螺旋状の1番上には弾が装填され、クリエイトブロックの中を超高速で進み目標に向かって発射される。
本来この狙撃に使う武器はライフルだが、それを使わないのが俺の戦法でクリエイトブロックカタパルトと命名している。
「未来編は、発見されないためにこれを使ってたが、こちらでも使う事になるとはな」
弾は【ルナバレット】と言う未来の金属で出来た弾丸だ。打ち出す際は、大気や風などを考えるのが普通だが、クリエイトブロックカタパルトは、それを必要としない膜を弾にに纏わせる、更にどんな物も撃ち抜く強度と索敵の出来ない速度を生み、打ち出せば必ず当たる。
今回もそれは実現し、馬車にはとても小さな穴が開き、中のジャヒーは倒れ誰にも気づかれないで馬車は進んで行き、次の砦に入って行った。
「これで約束は守ったけど、果たしてそいつだけで済むのだろうか」
腐って行くのがそいつだけのはずはないと、進軍しているみんなの元に戻りながら心配した。そしてこちらにもいそうだと違う不安が出てきて、みんなを守る方法を考えてしまったよ。
ササージュの隊に入って来た兵士の時もそうだったが、そんな輩を探す為に色々罠を張ったんだ。今回も秘密で行う為、わざわざ遠く離れた山に走り暗殺を行ったが、いない俺を探す不自然な動きの奴はいなかったと報告を聞いてホッとした。こちらにはいなかったと嬉しくなったぞ。
注意する様にお願いしたキョーカたちは、仕事をしたんだからと両手を出してくる。約束の品を早くと子供みたいに目を輝かせてきたぞ。
「行軍中だし、休憩の時で良いんじゃないか?」
「何言ってるにゃジルにゃん!!」
「仕事の報酬は、報告して得られるんだぞジルベルト、だから今くれ」
「そう、即断即決」
ネーシュ、それは違うんじゃないか?そう思っているが3人が引く気が無いので、俺は渋々用意する。3人にお願いされたのは、とても甘い甘味と言う曖昧なモノだった。
俺の中でとても甘い物に入るのは、アンコがたっぷり入ったあれだ、魚の形をした食べ物を渡すと、3人は裏切られたって顔をしてくる。
「なんだよ3人とも、これはほんとに甘くて美味いんだぞ」
騙されたと思って食べて見ろと俺の言葉を聞き、3人は同時に尻尾にかぶりついた。モグモグと数回噛む3人は、だんだんと表情を変えながら食べすすめ、あっという間にたい焼きは無くなったぞ。
「美味!!これは美味!!」
「すごいにゃー!!美味いにゃよジルにゃん!!」
「お代わりだ、おかわりくれよジルベルトッ!!」
3人の表情は、俺が断る事の出来ないマジな目をしていた。ご褒美なのだからと、俺は抵抗しないでたい焼きの追加請求に答え、受け取った3人の凄い勢いを見て笑ってしまった。
主食となる食料だけでなく、甘味などもこの世界では足りないのかと、訓練のご褒美はこれだと確定した瞬間だ。目的の位置に着いたら、早速みんなに与えようと陣を構えいよいよ敵との戦いかと思うだろうがそれはない。しかし俺たちの今することは狙撃の練習とご褒美の提供だ。
切り立った山を背に作られた相手の砦が500m離れた場所にあるが、今俺たちはそれに背を向け草原を見ている。俺たちの陣は平原の真ん中にあり、相手が進軍してくれば直ぐに分かる位置取りだ。
新兵の中に裏切り者はいなかった、だから今から最悪を想定した訓練を始める。50m離れた位置には丸い的が並び、それをみんなには狙ってもらう。
「なぁジルベルト、これは武器なのか?」
「そうだぞキョーカ、火薬の力を使い鉛の弾を飛ばす狙撃用の単発銃だ」
弓よりも遠くに飛び殺傷性は比較にならない。射撃練習で上位になった人には、たい焼きをご褒美として用意している、そう言うと全員の目の色を変わった。早く使い方を教えてとみんなに迫られてしまう程で、俺は他にも用意しようと決めたんだ。
努力賞もある、そんな言葉は誰も聞いていない、耳栓をしているからでもあるが、みんな的に向かって撃ちまくり始めたのも理由だ。銃声が響きサンセットたちは耳を押さえ怖がっているよ。
「これが俺たちの力だサンセット、よく見て明日はそれを伝えてくれ。そして休戦を約束させるんだ」
「大きな岩を飛ばしてきた兵器にも驚いたが、こんな隠し玉もあったのだな」
勝てるわけがない、サンセットはそう言って震える体を両腕で抑え始めた。サンセットたちは凄いというが、銃はクリエイトブロックカタパルトを隠すための武器でしかない。
連射式の弓やクナイの方が本来は有用で、それを相手が使って来た方が苦戦するだろう。銃を使って見せたのは、音と破壊力で脅威と思わせ量産させる為だ。
「門を壊す武器もあるぞ、明日交渉が上手く行かなかったら見れるかもな」
大きなクイが突撃する滑車付き破城槌に、爆薬が入った樽爆弾とまだまだ色々ある。俺の本当の力が発揮する戦いだが、サンセットたちがそれは見る事はない。
射撃訓練が終わり、参加賞のチョコレートを皆に配った後、上位10名にはたい焼き進呈した。拍手を貰った10名は、照れながらたい焼きを受け取りしばらくは口に入れなかった。
しかし、一人だけは貰って直ぐに口に入れた強者がいたんだ、トップの成績を出したネーシュだな。
「カスタードも良いけど、サツマイモも良かった、イチゴもなかなか・・・でも、やっぱりアンコが至高」
ネーシュにしては長文を話した、ここにいる全員がそう思った事だろう。それだけ美味しかったんだと、他の9人が食べ始め満面の笑顔だ。
参加賞のチョコレートもなかなか好評で、テーブルには一口サイズのチョコを追加で用意した。みんなが喜んでくれて良かったが、俺は本来の目的を成績上位者10名に話す。
「ここから砦を射撃するの?」
「そうだぞシャシャール、距離は10倍だが当てなくても良い、砦の中に打ち込んでほしいんだ」
明日の交渉が終わる時、俺が合図をした場合のみ狙撃する予定で、この場合は俺たちが逃げる時間を稼いでもらう為だ。
報酬はどら焼きを提示すると、また違う甘味だとみんな喜んでくれた、しかし合図があった場合のみだと聞いてちょっとがっかりだな。
「え~それはないよ兄ちゃん」
「そう言うなよチャーズ、無い方が良いんだぞ」
交渉が失敗すれば、戦争はここでは終わらないし、戦いが激化するのが確定する。俺たち傭兵はどちらでも撤退するが、両国の為にもここで終わらせたい。
その為にサンセットたちが説得に向かうんだが、果たして聞く耳を持ってくれるだろうか、心配になるが相手次第なんだ。
「でも、無理だとジルは思ってる?」
「まあな、だけど諦めたわけじゃないぞネーシュ」
銃を見せたのは音で相手にも知らせる為だ。サンセットたちが明日それを知らせれば、少しかは可能性が上がる。しかし頭の悪い奴が残っていれば、それは叶わず俺たちは攻撃されサンセットたちは絶望するだろう。
俺としてはそっちを救う方が大変だ、国の為に戦った彼女たちは裏切り者と言われ攻撃される。逃げる事は出来るが、心の傷は深く残るんだ。
「そうならないで欲しいが・・・きっとそうなるんだよな」
砦には、今まで操り人形だった王子がいる。分かってくれるのならサンセットたちはこちらにいないし、しんがりを務めた彼も死ななかった。
今日は眠れない夜になりそうだと、家を建てながらため息が漏れた、普通にゲームがしたいと挫けそうだ。
草木が生えていない山の頂上で、俺は幾つものクリエイトブロックに魔力を注ぐ、その量は今までで最大だ。俺がやろうとしている事は、ジャルダル傭兵記の未来編で使っていた俺だけの戦法、超長距離からの狙撃だ。
「目標は中間にいる馬車の中か」
超圧縮された魔力を蓄えたクリエイトブロック、それを左目に着け照準器として使う。更に残りのクリエイトブロックは、俺の指先から肩に掛けて並んでいるが、そこから更に螺旋状に上に伸びている。螺旋状の1番上には弾が装填され、クリエイトブロックの中を超高速で進み目標に向かって発射される。
本来この狙撃に使う武器はライフルだが、それを使わないのが俺の戦法でクリエイトブロックカタパルトと命名している。
「未来編は、発見されないためにこれを使ってたが、こちらでも使う事になるとはな」
弾は【ルナバレット】と言う未来の金属で出来た弾丸だ。打ち出す際は、大気や風などを考えるのが普通だが、クリエイトブロックカタパルトは、それを必要としない膜を弾にに纏わせる、更にどんな物も撃ち抜く強度と索敵の出来ない速度を生み、打ち出せば必ず当たる。
今回もそれは実現し、馬車にはとても小さな穴が開き、中のジャヒーは倒れ誰にも気づかれないで馬車は進んで行き、次の砦に入って行った。
「これで約束は守ったけど、果たしてそいつだけで済むのだろうか」
腐って行くのがそいつだけのはずはないと、進軍しているみんなの元に戻りながら心配した。そしてこちらにもいそうだと違う不安が出てきて、みんなを守る方法を考えてしまったよ。
ササージュの隊に入って来た兵士の時もそうだったが、そんな輩を探す為に色々罠を張ったんだ。今回も秘密で行う為、わざわざ遠く離れた山に走り暗殺を行ったが、いない俺を探す不自然な動きの奴はいなかったと報告を聞いてホッとした。こちらにはいなかったと嬉しくなったぞ。
注意する様にお願いしたキョーカたちは、仕事をしたんだからと両手を出してくる。約束の品を早くと子供みたいに目を輝かせてきたぞ。
「行軍中だし、休憩の時で良いんじゃないか?」
「何言ってるにゃジルにゃん!!」
「仕事の報酬は、報告して得られるんだぞジルベルト、だから今くれ」
「そう、即断即決」
ネーシュ、それは違うんじゃないか?そう思っているが3人が引く気が無いので、俺は渋々用意する。3人にお願いされたのは、とても甘い甘味と言う曖昧なモノだった。
俺の中でとても甘い物に入るのは、アンコがたっぷり入ったあれだ、魚の形をした食べ物を渡すと、3人は裏切られたって顔をしてくる。
「なんだよ3人とも、これはほんとに甘くて美味いんだぞ」
騙されたと思って食べて見ろと俺の言葉を聞き、3人は同時に尻尾にかぶりついた。モグモグと数回噛む3人は、だんだんと表情を変えながら食べすすめ、あっという間にたい焼きは無くなったぞ。
「美味!!これは美味!!」
「すごいにゃー!!美味いにゃよジルにゃん!!」
「お代わりだ、おかわりくれよジルベルトッ!!」
3人の表情は、俺が断る事の出来ないマジな目をしていた。ご褒美なのだからと、俺は抵抗しないでたい焼きの追加請求に答え、受け取った3人の凄い勢いを見て笑ってしまった。
主食となる食料だけでなく、甘味などもこの世界では足りないのかと、訓練のご褒美はこれだと確定した瞬間だ。目的の位置に着いたら、早速みんなに与えようと陣を構えいよいよ敵との戦いかと思うだろうがそれはない。しかし俺たちの今することは狙撃の練習とご褒美の提供だ。
切り立った山を背に作られた相手の砦が500m離れた場所にあるが、今俺たちはそれに背を向け草原を見ている。俺たちの陣は平原の真ん中にあり、相手が進軍してくれば直ぐに分かる位置取りだ。
新兵の中に裏切り者はいなかった、だから今から最悪を想定した訓練を始める。50m離れた位置には丸い的が並び、それをみんなには狙ってもらう。
「なぁジルベルト、これは武器なのか?」
「そうだぞキョーカ、火薬の力を使い鉛の弾を飛ばす狙撃用の単発銃だ」
弓よりも遠くに飛び殺傷性は比較にならない。射撃練習で上位になった人には、たい焼きをご褒美として用意している、そう言うと全員の目の色を変わった。早く使い方を教えてとみんなに迫られてしまう程で、俺は他にも用意しようと決めたんだ。
努力賞もある、そんな言葉は誰も聞いていない、耳栓をしているからでもあるが、みんな的に向かって撃ちまくり始めたのも理由だ。銃声が響きサンセットたちは耳を押さえ怖がっているよ。
「これが俺たちの力だサンセット、よく見て明日はそれを伝えてくれ。そして休戦を約束させるんだ」
「大きな岩を飛ばしてきた兵器にも驚いたが、こんな隠し玉もあったのだな」
勝てるわけがない、サンセットはそう言って震える体を両腕で抑え始めた。サンセットたちは凄いというが、銃はクリエイトブロックカタパルトを隠すための武器でしかない。
連射式の弓やクナイの方が本来は有用で、それを相手が使って来た方が苦戦するだろう。銃を使って見せたのは、音と破壊力で脅威と思わせ量産させる為だ。
「門を壊す武器もあるぞ、明日交渉が上手く行かなかったら見れるかもな」
大きなクイが突撃する滑車付き破城槌に、爆薬が入った樽爆弾とまだまだ色々ある。俺の本当の力が発揮する戦いだが、サンセットたちがそれは見る事はない。
射撃訓練が終わり、参加賞のチョコレートを皆に配った後、上位10名にはたい焼き進呈した。拍手を貰った10名は、照れながらたい焼きを受け取りしばらくは口に入れなかった。
しかし、一人だけは貰って直ぐに口に入れた強者がいたんだ、トップの成績を出したネーシュだな。
「カスタードも良いけど、サツマイモも良かった、イチゴもなかなか・・・でも、やっぱりアンコが至高」
ネーシュにしては長文を話した、ここにいる全員がそう思った事だろう。それだけ美味しかったんだと、他の9人が食べ始め満面の笑顔だ。
参加賞のチョコレートもなかなか好評で、テーブルには一口サイズのチョコを追加で用意した。みんなが喜んでくれて良かったが、俺は本来の目的を成績上位者10名に話す。
「ここから砦を射撃するの?」
「そうだぞシャシャール、距離は10倍だが当てなくても良い、砦の中に打ち込んでほしいんだ」
明日の交渉が終わる時、俺が合図をした場合のみ狙撃する予定で、この場合は俺たちが逃げる時間を稼いでもらう為だ。
報酬はどら焼きを提示すると、また違う甘味だとみんな喜んでくれた、しかし合図があった場合のみだと聞いてちょっとがっかりだな。
「え~それはないよ兄ちゃん」
「そう言うなよチャーズ、無い方が良いんだぞ」
交渉が失敗すれば、戦争はここでは終わらないし、戦いが激化するのが確定する。俺たち傭兵はどちらでも撤退するが、両国の為にもここで終わらせたい。
その為にサンセットたちが説得に向かうんだが、果たして聞く耳を持ってくれるだろうか、心配になるが相手次第なんだ。
「でも、無理だとジルは思ってる?」
「まあな、だけど諦めたわけじゃないぞネーシュ」
銃を見せたのは音で相手にも知らせる為だ。サンセットたちが明日それを知らせれば、少しかは可能性が上がる。しかし頭の悪い奴が残っていれば、それは叶わず俺たちは攻撃されサンセットたちは絶望するだろう。
俺としてはそっちを救う方が大変だ、国の為に戦った彼女たちは裏切り者と言われ攻撃される。逃げる事は出来るが、心の傷は深く残るんだ。
「そうならないで欲しいが・・・きっとそうなるんだよな」
砦には、今まで操り人形だった王子がいる。分かってくれるのならサンセットたちはこちらにいないし、しんがりを務めた彼も死ななかった。
今日は眠れない夜になりそうだと、家を建てながらため息が漏れた、普通にゲームがしたいと挫けそうだ。
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