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12章学園大会

278話 ヴェルティナたちに必要な物

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わたくしたちはとても疲れていますわ。

もうヘトヘトですわよ。



ケイト
「ヴェル様ぁ~つかれましたぁ~」

ヴェルティナ
「そうですわね、さすがにこれは過酷すぎますわね」


学園の勉学に訓練、休みは孤児院でスキル上げと競技の練習と休みなく行って来ましたわ。


過酷すぎるとその日、学園に来たケイイチたちに進言することを皆に伝え、全員でケイイチたちの所に向かいましたわ。


ネスティ
「でもさーそんなこと言って平気かな?」

ケーラ
「どうしてよ、わたしたち頑張ってるんだからそれ位平気でしょ」


そうですわ、訓練も順調に行っていますし、休息も大事ですわ。

ネスティ
「いやさー頼んだのはこっちだろ?根を上げるなーって怒られそうじゃん、普通は」


ネスティの話を聞いてケイイチが怒った顔を想像しましたわ・・・想像できませんでしたわ。


ヘキル
「あの笑顔が怒った顔になるなんて、僕怖いよぉー」

バニラ
「へ、平気よ当然の要求だもの」

ネスティ
「それは俺たちの意見だろバニラ・・・例えばさ領主にバニラがなるとするだろ、村の住人が私たちは頑張っています、だから税が高くて生活が苦しいので下げてくださいって言ってきたら素直に聞くのか?」

バニラ
「そ、それは」

ネスティ
「だろ!民たちの生活の為に税は下げるしかない、でも税を下げると収入が減る、それのせいで自治領が衰退するかもしれないんだぜ」


そうですわね、その可能性はありますわ、わたくしたちは強くなりましたが大会競技でなにが起こるか解りませんわ、努力してし過ぎることはないでしょうね。


ディル
「でも僕限界だよぉ~」

ケイト
「ヴェル様ぁ~」


二人が潤んだ目で見てきました。

ヴェルティナ
「ネスティの言いたいことも分かります、ですがわたくしたちは限界ですわ、それに自分の意見を言わないでおくことなんてできませんわ」


わたくしたちはそんな話をしながら決意して訓練場に着きました。


ケイイチ
「お!来たな、それじゃあ別れて訓練をしようか」

ヴェルティナ
「あのケイイチ、その前に少しお話がありますわ」

ケイイチ
「ん!なにかな?」


みんながわたくしの後ろにピッタリ付いてきました、みんなズルいですわよ⁉︎わたくしだって怖いですのに。


ヴェルティナ
「あ、あのケイイチ、怒らないでくださいましね」

ケイイチ
「ああ、もちろんさ」

ヴェルティナ
「そのですわね、訓練をずっと続けて酷使し過ぎのようなのですわ、だから次の休みは体を休めたいのですわ」


最後の方は目を瞑って言っていましたわ、怒らないと言っていましたが怖い物は怖いのですわ。


ケイイチ
「そうか」


ケイイチが一言そう言った後わたくしの頭にケイイチの手の感触が来ましたわ、ケイイチの手に撫でられるととても気持ちが良いのですぐに分かるのですわ。


ケイイチ
「よく言ったね、偉いぞ」

サーニャン
「予想よりも掛かりましたねマスター」

ケイイチ
「ああそうだね、君たち頑張り過ぎだよ、もう少しでこっちから言うことになって勉強にならないところだった」


私たちは訳がわからなかったので聞いてみました。


ヴェルティナ
「ケイイチ、勉強ってなんのですか?」

ケイイチ
「ん?上に立つ者としての勉強だよ」


説明されて驚きましたわ。


ケイイチ
「君たちは将来人の上にたつだろ、働いている人が頑張っているから報酬や休みをくださいって言ってきても解りましたってすぐ答えられないよね、その時進言してきた人と話し合わないといけない、けどこっちと向こうの要求が同じとは限らない」


ネスティと似たようなことを言われましたわ、そして更にケイイチが言ってきましたわ。


ケイイチ
「両方の意見を統合させ丁度いい場所を探さなくてはいけない、これはとても難しいんだ、進言してきた人と補佐官を交えて話し合い、最後には自分が決めるけど進言者が納得しないかもしれないよね、そしたらその後どうなる?そしてもし一番上の人が頑固で進言すら聞いてくれなかったら、進言もしてこなくなってしまうよね、そうなったらその後どうなる?それを君たちに実際に体験してもらって知ってほしかったんだ」


そこまで考えていたのですわねケイイチは、確かにあのままわたくしたちが黙って訓練をしていたら、誰かが倒れていたかもしれませんわ、それにないとは思いますがケイイチに怒りをぶつけるかも知れませんわ。

わたくしは目の前の学園大会の事しか見ていなかったですわ。


ヴェルティナ
「すごいのですわねケイイチは」


ケイイチが頬を指でかきながら言ってきましたわ。


ケイイチ
「教えるのは大人の務めだよ、俺は教師を任されたからできることをしてるだけだよ」

ヴェルティナ
「でも他の教師はそこまで教える人はいませんわよ」

ケイイチ
「まあそうだね、ここは貴族や商人の子供たちの顔合わせみたいな役割が主だからね、教師もそこまでは立ち入らないよ」


そうですわね、屋敷に戻ってお母さまと話す際も勉学のことはあまり話題になりませんわ、ケイトたちの話をすることが多いですわ、教師の授業では初歩的な勉学や戦闘技術しか教えてくれませんから当然と思ってお話していましたけど、そう言った意図があったのですわね。


ケイト
「た、確かにそうです、お父様も貴族様たちの友人を作ってきなさいって言ってきました、でも勉学もちゃんと教えてくれてますよね」


わたくしが考えているとケイトがわたくしの後ろから顔を出して言ってきましたわ、全くこの子はケイイチが相手でも怖いのでしょうか?。


ケイイチ
「うんそうだね勉学もしっかり教えてるね、でも簡単なことだけでしょ、その先のもっと難しい専門の事は教えないよね」

バニラ
「だってその先って研究所とかでやることじゃない、普通は必要ありませんよ」


バニラもわたくしの後ろから顔だけ出して言ってきましたわ、あなたたちわたくしを盾にしないでほしいですわ。


ケイイチ
「まあそうだね、そこから先は専用の場所に行って習うね、研究所とか商人の店や領主の親とかさ」

バニラ
「そうですよ・・・ああそうか!」


バニラがなにか分かったような顔をしました、バニラも解ったのですわね。


ケイイチ
「分かったようだね、俺は君たちにはその先が必要だと思ったから教えてるんだよ、丁度体験できる場面があるんだ、使わないのはもったいないだろ?それに知識は早い内に得られるならその方がいいし、持ってて損はないからね」

ヘキル
「で、でも知識があっても使えるか解りませんよ補佐官が優秀とは限りませんし、それに進言者や補佐官が怖い顔の人だったら僕嫌ですよ、怖いもん」


やっとわたくしの後ろからみんなが出てきた時、ヘキルがケイイチに言っていました、ヘキルは怖い顔の人とあまり会わないので気持ちはわかりますわ、わたくしはお兄様や団長たちがそういった人たちなので平気ですわね。


ケイイチ
「ん!そうなのかい?でもヘキルはバニラには言えてるだろ、あれだけ怒られてるのにさ」

ヘキル
「そ、それはそうですよ、よくケンカはしますけどバニラは友達です、怖いなんて・・・あ!」

ケイイチ
「気づいたかな?進言者はともかく補佐官や悩みを聞いてくれる友人を学園で見つけ増やしていき、卒業後一緒に仕事をしたり意見を貰うんだ、その為の学園なんだよ、勉学は二の次さ」


なるほど、今のうちにそう言った方々を作って置くのですわね、わたくしはてっきり優秀な者たちを選抜するものと思っていましたが、そう言った方向の方たちもいるっということですわね・・・だから戦闘を主に教えているあの国が優勝を勝ち取っているんですのね。


ネスティ
「そこまで考えてたなんて、ケイイチさんってすごいんだな」

ケイイチ
「教えているだけだよ、それに気づいて自分の物にするのはその人の力さ、さあ訓練を始めよう」

ケイトたち
「「「はい!?」」」


いい返事をみんながした後ケイイチがすぐに言ってきましたわ。


ケイイチ
「次の休みは飛空艇の中で遊ぶから開けとくようにね」

ケイトたち
「「「ヒクウテイ?」」」


授業の後わたくしはみんなから質問攻めに合いましたが、わたくしが知っていることは少なかったのでその日を待つように言いましたわ。

それからの訓練はとても楽なものになりましたわ。


ヴェルティナ
「早く進言すれば良かったですわね」


そう思った後、それもまた勉強なのだと思いましたわ。
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