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2章 歩み
21話 新しいダンジョンの噂
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「やっと上手くなってきたなポチ」
エレミナがポチの背中を叩き、褒めていたのだけど、聖女であるワタクシはまだまだ納得していないわ。
それもそのはず、アレストとはまだまだ差があるからで、慣れと言うのは素晴らしいとか思っていたわ。
「でも、髪と体を洗う石鹸がダメなのよね」
これだけはどうしても許せなくて、ワタクシはエレミナの様には思えなかったわ。
それはフィンも一緒で、アレストを知らないジェミナとアラートは、そんなに凄いのかと興味を持っていたわ。
「ん、髪はツヤツヤで肌はツルツル」
「そうなんですね」
「会ってみたいわ」
「でも、何処にいるのか分からない」
あの街に行けば会えるだろうけど、ワタクシたちはもう入れないからフィンはがっかりしていたわ。
だからこそ、ポチには頑張ってもらわないといけないのに、相変わらず戦闘では使えない状態だったの。
「レベルを上げるのに効率の良い場所があれば」
「それならよ、新しく出来たっていうダンジョンに行ってみるか?」
「アラート、何処でそんな話を聞いたの?」
アラートは酒場で聞いたらしく、村で見つけられたから発展はしてないそうです。
それを聞き、ワタクシはそこしかないと思ったわ。
「イーシン、本気か?」
「エレミナ、レベルを上げるにはそこしかないわ」
「だけどよ、村なんだろう?」
「近くに街はあるわ、ワタクシたちなら移動も早いし、今よりはいいはずよ」
エレミナも依頼の成功率や生活の辛さを考え、今よりも良いのならと賛成してくれたわ。
そして、場所は何処なのかとアラートに聞いたら、今いる場所に近くて、5日でその街に行けるのが分かったわ。
「これは、行くしかねぇなイーシン」
「そうねエレミナ、みんなも良いわよね」
フィンたちは頷いたのだけど、ポチは相変わらず嫌そうな顔をしてきたわ。
毎回そうだけど、その顔をワタクシはとても嫌いで、せっかく期待して嬉しい気持ちなのに落ちてしまったわ。
「ポチ、どうして嫌そうなのよ」
「いえ、イーシン様がそう言うなら従います」
「許可するから言ってみなさい」
「では言わせてもらいますが、レベルを上げてどうする、聖剣を取りにいかないんだろう?」
もっともな意見ではあったけど、それはワタクシがアレストの言葉に引っかかっているからでした。
使えなくてもポチは勇者候補で、強さがそこそこあってもダメなんです。
「またその話なのポチ?」
「当然だ、俺が聖剣を持てばレベルなんて上げなくても良いからだ」
「抜く事が出来ればでしょうポチ、あなたには無理よ」
「そ、そんな事は無い!」
自信を持っているポチですが、このイヌも本当は分かっているんです。
アレストを追放してから、3ヵ月が経とうとしていて、その期間で起きた事がアレストの言った内容と大体合っていたの。
「いえ、それだけではなく、ワタクシは知っていたのよ」
「な、何を言っている」
「あなたは勇者じゃないわポチ」
「そ、そんなはずはない!」
聖女は古来より、純潔を勇者に捧げるモノで、ワタクシもそうしたのですが、それには力を上げる効果があったからでもありました。
「いいえ、あなたは勇者じゃないわ」
「な、なんでそう言い切れる」
「簡単ですわよ、ワタクシの力が上がらずに下がったからです」
「な、何を言っている」
勇者に純潔を捧げると、回復魔法が聖魔法に代わり威力が上がります。
でも、ポチと寝た事でそれは起きず、ずっと悩んでいました。
「それにポチ、あなた勇者が使える極闘気を使えますか?」
「な、なんだそれは」
「言い伝えを知らないの?」
物語でも記されていますが、勇者は虹色のオーラに包まれて魔王を倒すとあり、それは魔力や闘気ではなく別のモノと教会では伝わっています。
それこそが聖剣を抜く為に必要な力で、それを使えないポチは勇者ではなかったの。
「そ、そんな話、俺は信じないぞ」
「ワタクシも、最初はそんな気持ちで、レベルさえ上がればもしかしてと思ったのだけど、どうやらそれも間違いみたいですわ」
「そ、そんな事は無い、俺は勇者だ」
「もういいですわよポチ、あなたは勇者じゃなくても強いのですから、これからワタクシたちの手足となって戦えば良いの」
もうそれ以上を求めず、最低限の仕事をすれば処刑にならない様、ワタクシから教会に伝えるとまで言ってあげたの。
そして、ダンジョンに行く事が決まり、ポチはその場に膝をついて落ち込んでいたわ。
「これからもっと励みなさいポチ、じゃないと奴隷に落としますよ」
「そ、それだけは勘弁してくれ」
「だったら、もう嫌な顔をしないで仕事をしなさい、これは聖女としての命令よ」
「わ、わかった」
あの顔を見ずに済むようになったと、ワタシは安心しました。
これで、後は生活を良くするだけで、高難易度の依頼を成功させてお金を稼ぐだけとなったわ。
「5つ星も達成できない今、最低でもそのラインはクリアしたいわね」
付与魔法士をもう一人加える案も出ましたが、取り分がこれ以上減るから却下している今、レベルを上げるのが今は先決です。
旅の準備をポチに言い渡し、ワタクシたちは就寝したのですが、起きても朝食が用意されていなかったのよ。
「またかよ、昨日褒めたばかりなのによ」
「エレミナ、ポチはそんな物よ、アレストとは違うのよ」
「そうだな、もう褒めないぜ」
ワタクシは褒めてないし、これから力を入れる様に言ったばかりなのに、簡単な仕事もできないとか最悪で、もう奴隷にしてしまおうかと思ったわ。
勇者としての最後の希望も折る事が出来たので、もう冒険者としての彼だけだからもうそこに抵抗はなく、チャンスを与えたのにそんな態度ならと、ワタクシは決める事にしたわ。
「とはいえ、奴隷紋を刻むのもお金が掛かるし、ダンジョンでお金が入ってからね」
「そうだな、今はダンジョンだよな」
「ん、賛成」
みんなの意見も一致したので、寝ているポチを叩き起こし朝食を作らせました。
不味いと文句はいつも通り言いましたが、それよりも遅れたから出発を急いだのよ。
「まったくよぉ~ポチのせいで次の村には行けないな」
「ん、野営はしっかり」
「す、すみません」
みんなが怒る中、ワタクシも同じ気持ちだけど、実はそれどころではなかったわ。
次の街に着きたかったのに、既にそれが叶わず村にも行けないとか、予定が全てくるってしまい、目的の街に着くのはかなり遅れてしまったわ。
エレミナがポチの背中を叩き、褒めていたのだけど、聖女であるワタクシはまだまだ納得していないわ。
それもそのはず、アレストとはまだまだ差があるからで、慣れと言うのは素晴らしいとか思っていたわ。
「でも、髪と体を洗う石鹸がダメなのよね」
これだけはどうしても許せなくて、ワタクシはエレミナの様には思えなかったわ。
それはフィンも一緒で、アレストを知らないジェミナとアラートは、そんなに凄いのかと興味を持っていたわ。
「ん、髪はツヤツヤで肌はツルツル」
「そうなんですね」
「会ってみたいわ」
「でも、何処にいるのか分からない」
あの街に行けば会えるだろうけど、ワタクシたちはもう入れないからフィンはがっかりしていたわ。
だからこそ、ポチには頑張ってもらわないといけないのに、相変わらず戦闘では使えない状態だったの。
「レベルを上げるのに効率の良い場所があれば」
「それならよ、新しく出来たっていうダンジョンに行ってみるか?」
「アラート、何処でそんな話を聞いたの?」
アラートは酒場で聞いたらしく、村で見つけられたから発展はしてないそうです。
それを聞き、ワタクシはそこしかないと思ったわ。
「イーシン、本気か?」
「エレミナ、レベルを上げるにはそこしかないわ」
「だけどよ、村なんだろう?」
「近くに街はあるわ、ワタクシたちなら移動も早いし、今よりはいいはずよ」
エレミナも依頼の成功率や生活の辛さを考え、今よりも良いのならと賛成してくれたわ。
そして、場所は何処なのかとアラートに聞いたら、今いる場所に近くて、5日でその街に行けるのが分かったわ。
「これは、行くしかねぇなイーシン」
「そうねエレミナ、みんなも良いわよね」
フィンたちは頷いたのだけど、ポチは相変わらず嫌そうな顔をしてきたわ。
毎回そうだけど、その顔をワタクシはとても嫌いで、せっかく期待して嬉しい気持ちなのに落ちてしまったわ。
「ポチ、どうして嫌そうなのよ」
「いえ、イーシン様がそう言うなら従います」
「許可するから言ってみなさい」
「では言わせてもらいますが、レベルを上げてどうする、聖剣を取りにいかないんだろう?」
もっともな意見ではあったけど、それはワタクシがアレストの言葉に引っかかっているからでした。
使えなくてもポチは勇者候補で、強さがそこそこあってもダメなんです。
「またその話なのポチ?」
「当然だ、俺が聖剣を持てばレベルなんて上げなくても良いからだ」
「抜く事が出来ればでしょうポチ、あなたには無理よ」
「そ、そんな事は無い!」
自信を持っているポチですが、このイヌも本当は分かっているんです。
アレストを追放してから、3ヵ月が経とうとしていて、その期間で起きた事がアレストの言った内容と大体合っていたの。
「いえ、それだけではなく、ワタクシは知っていたのよ」
「な、何を言っている」
「あなたは勇者じゃないわポチ」
「そ、そんなはずはない!」
聖女は古来より、純潔を勇者に捧げるモノで、ワタクシもそうしたのですが、それには力を上げる効果があったからでもありました。
「いいえ、あなたは勇者じゃないわ」
「な、なんでそう言い切れる」
「簡単ですわよ、ワタクシの力が上がらずに下がったからです」
「な、何を言っている」
勇者に純潔を捧げると、回復魔法が聖魔法に代わり威力が上がります。
でも、ポチと寝た事でそれは起きず、ずっと悩んでいました。
「それにポチ、あなた勇者が使える極闘気を使えますか?」
「な、なんだそれは」
「言い伝えを知らないの?」
物語でも記されていますが、勇者は虹色のオーラに包まれて魔王を倒すとあり、それは魔力や闘気ではなく別のモノと教会では伝わっています。
それこそが聖剣を抜く為に必要な力で、それを使えないポチは勇者ではなかったの。
「そ、そんな話、俺は信じないぞ」
「ワタクシも、最初はそんな気持ちで、レベルさえ上がればもしかしてと思ったのだけど、どうやらそれも間違いみたいですわ」
「そ、そんな事は無い、俺は勇者だ」
「もういいですわよポチ、あなたは勇者じゃなくても強いのですから、これからワタクシたちの手足となって戦えば良いの」
もうそれ以上を求めず、最低限の仕事をすれば処刑にならない様、ワタクシから教会に伝えるとまで言ってあげたの。
そして、ダンジョンに行く事が決まり、ポチはその場に膝をついて落ち込んでいたわ。
「これからもっと励みなさいポチ、じゃないと奴隷に落としますよ」
「そ、それだけは勘弁してくれ」
「だったら、もう嫌な顔をしないで仕事をしなさい、これは聖女としての命令よ」
「わ、わかった」
あの顔を見ずに済むようになったと、ワタシは安心しました。
これで、後は生活を良くするだけで、高難易度の依頼を成功させてお金を稼ぐだけとなったわ。
「5つ星も達成できない今、最低でもそのラインはクリアしたいわね」
付与魔法士をもう一人加える案も出ましたが、取り分がこれ以上減るから却下している今、レベルを上げるのが今は先決です。
旅の準備をポチに言い渡し、ワタクシたちは就寝したのですが、起きても朝食が用意されていなかったのよ。
「またかよ、昨日褒めたばかりなのによ」
「エレミナ、ポチはそんな物よ、アレストとは違うのよ」
「そうだな、もう褒めないぜ」
ワタクシは褒めてないし、これから力を入れる様に言ったばかりなのに、簡単な仕事もできないとか最悪で、もう奴隷にしてしまおうかと思ったわ。
勇者としての最後の希望も折る事が出来たので、もう冒険者としての彼だけだからもうそこに抵抗はなく、チャンスを与えたのにそんな態度ならと、ワタクシは決める事にしたわ。
「とはいえ、奴隷紋を刻むのもお金が掛かるし、ダンジョンでお金が入ってからね」
「そうだな、今はダンジョンだよな」
「ん、賛成」
みんなの意見も一致したので、寝ているポチを叩き起こし朝食を作らせました。
不味いと文句はいつも通り言いましたが、それよりも遅れたから出発を急いだのよ。
「まったくよぉ~ポチのせいで次の村には行けないな」
「ん、野営はしっかり」
「す、すみません」
みんなが怒る中、ワタクシも同じ気持ちだけど、実はそれどころではなかったわ。
次の街に着きたかったのに、既にそれが叶わず村にも行けないとか、予定が全てくるってしまい、目的の街に着くのはかなり遅れてしまったわ。
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