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2章 戦争の第一歩

閑話 後方の戦い

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「うぅ~いでぇ~俺は死ぬのかぁ~」

「痛いのは生きてる証拠よ、まだ死なないわ男でしょ!」


私はそう言って、担架に乗った男性兵士の腕に白い布を巻きました、これは軽傷者の印で重傷者は赤い布を巻くの。


「ちょっとカリーサ!こっちを手伝ってよぉ」

「はいは~い、アガセマ今行くわ」


男を他の人に任せ、私は重傷者を担当しているアガセマの手伝いに向かったわ、そこではかなりボロボロな兵士たちがいたわ、意識も無い人ばかりよ。


「カリーサ、そこのポーションを掛けてちょうだい、アタシは包帯を巻いて行くわよぉ」


アガセマに言われるがままに、私は作業をして行きます、ポーションはこの為に沢山用意されています、なんでも輸送されてくるそうですよ。


「うぅ~・・・ここは?」

「気づいたわね、もう大丈夫よぉ」


アガセマがそう言って男に声を掛けています、そして男はアガセマを見てるわ、これはあれね。


「ちょっとアガセマ、次の人を見るわよ!」

「そうねぇ、あなたしっかりね」

「は、はい~」


あの男は確実にアガセマに惚れたわ、これで何人目よ、もう嫌になっちゃうわ。


「カリーサ、何だか機嫌悪いわねぇ」

「そんなことないわ、ちょっと忙しいからそう見えるのよ」


そう言って作業をしていると、後ろからアガセマが抱き着いてきたわ、私はそれを拒否しないで受けてるの。


「もう、そんなに嫌がらないでアタシはあなたの物なのよ」

「だから怒ってないし、嫌がってもいないわ・・・でも今日の夜は一緒に寝ましょ」


アガセマの手を優しく握って私はちょっと照れたわ、アガセマは嬉しそうにしているけど、また治療した男が来るのよ。


「ほらほら痛くないわよ」

「な、何を言ってるんだ!腹が切れてるんだぞ、はっ早く治療を!」


私がアガセマを引きはがし、新たな重傷者を担当したらその男は意識があって何か言ってるの、ポーションを準備しているとけど、傷口が大きく開いている時は、そこを抑えて閉じながらじゃないとダメなのよ。


「だから準備をするのよ、ほら自分でお腹を押さえなさい、私はポーションを掛けてあげるわ」

「た、頼むぅ~」


男性のお腹にポーションを掛けて行くと、段々治って行き、少し安心したのか寝始めたわ。そして私たちの今日の作業は終わり、お酒タイムよ。


「それで、あの男はどうなったのよ」

「だからぁ~あれはただの治療なのぉ~アタシにそんな気はないって断ったわぁ」


アガセマがそう言ってテーブルに倒れてるわ、私はアガセマの持ってるグラスにお酒を注いで自分のにも注いで飲んだの。


「その割には嬉しそうだったじゃないのよアガセマ、私しっかりと見てるのよ」

「それは、ちょっと違うのよぉ・・・あれはね、あなたがまた嫉妬してくれてるって喜んでいたの」


私をジッと見てそう言ってきたわ、私は顔が赤くなってしまったわよ、そんな臭い事言わないでよね。


「それなら・・・まぁ良いんだけど、明日はその人たちも移動するんでしょ、しっかりと話しなさいよね」

「分かってるわぁ・・・でもアタシはあなたの方が心配よ、カリーサは押しに弱いものぉ~」


アガセマが私に抱き着こうとしたので、顔を抑えて阻止したわ、私は押しに弱いわけじゃないわよ。


「それで、これは何でしょうか?」


次の日に兵士たちのお見送りの為に門に集まりました、そしてみんなで並んでいたんだけど、私たちの所に兵士たちが集まってきたのよ。


「いえ、俺たちの命を救ってもらったのでお礼を言いたくて、ありがとうございました」


他の兵士たちも同じ感じでお礼を言ってきたわ、私たちは仕事だと言ったんだけど、それでも助けてもらったのはほんとだと言ってきています。


「今度は気を付けてくださいね、死んでしまってはもう治せませんよ」

「はい・・・それで、その・・・今度食事でも一緒に行きませんか?」


私はそれを聞いて「はい?」って顔しちゃったわ、この人って確か、数日前にアガセマが治療した人です、私はあまり接触してなかったんですよ。


「どうして私なんですか?」

「俺が苦しんでる時に、あなたが横で頑張っているのがとても綺麗で、一目惚れです・・・ダメでしょうか?」


男の目がすごく真剣です、でもそんなお誘いは困ります。


「申し訳ないのですが」

「そこを何とか!必ずここに無事に戻ってきます、その時に是非」


私の手を握ってきて、かなり近づいてきました、でも私はなんとか断ったわ、名前も知らないし仕事上の関係よ、私にはアガセマがいるんだからね。


「さて、ちょっと大変だったけどお見送りは終わったわ、また仕事に・・・ってアガセマ、何よその顔は」

「別にぃ~カリーサが男に言い寄られて、まんざらでもなかった感じを見て怒ってないわよぉ~」


アガセマが拗ねています、私はそんな気はなかったんだけど、そう見えたのね。


「もう、アガセマだって昨日そうなってたでしょ、ほら仕事行きましょ」

「は~い」


今日の夜に埋め合わせをしないといけないかも、っと思いながら私は仕事に行きました、そして今日はギルドの受付です。


「アーオニド王都に輸送の護衛ですね、ではカードのご提示をお願いします」


獣人の傭兵からカードを受け取り、処理魔法で依頼を受理してカードを返却しました、傭兵たちは笑顔でギルドを出て行きましたよ。


「こうやって普通に獣人やエルフと話すと、普通だったんだって思い知らされるわね、アガセマはどう思う?」


隣でムスッとしているアガセマに聞きました、あれからずっとこうなのよ、もう直ぐ昼だし、いい加減機嫌を直してほしいわ。


「お昼奢るから機嫌直しなさいよアガセマ」

「まあ仕方ないわぁ・・・でもカリーサ、こっちの依頼書見てくれる?ちょっと大変かも」


アガセマが転送機から新しく出て来た依頼書を私は見ました、すると知らない名前の砦に物資の輸送って書いてあったんです。


「これって、ラリーファファ様たちが進軍してるって事よね」

「きっとそうねぇ、この国の砦ではないのはたしかよぉ・・・しかもかなり大掛かりだわよぉ」


依頼書の内容を見てもかなりの量が書かれています、これは収納持ち優先でしょう。

それに傭兵たちまで呼んでるわ、これはほんとに大掛かりよ。


「となると、また負傷した兵士たちが来るのかしら?」

「そうかもねぇ・・・カリーサはこれを見て行かないの?」


アガセマがちょっと心配そうです、きっとラリーファファ様の事を私が好きだと思っているんでしょう、でも私は信仰しているだけです、あの人に私は釣り合いません。


「今回はパスね、アガセマと一緒に仕事をするわ」

「んっもう!嬉しい事言ってくれちゃってぇ」


隣の受付からアガセマが抱き着いてきました、私は拒否をしないでヨシヨシってしたわ。


「ほら、昼食に行きましょ」

「はーい、何を食べようかしらねぇ、おごりだから沢山食べたいわぁ」


アガセマのそんな言葉を聞いて、私はお手柔らかにって思ったわ、彼女はかなり食べるのよ。
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