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2章 戦争の第一歩

40話 来ちゃった

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「いよいよです、いよいよ私はラリーファファ様の所に・・・う、うふふ、うふふふふ」


どうもカリーサです、私は今酒場で一人笑っています、それと言うのも一月前にラリーファファ様たちが街に来た時、私に砦に来てくださいって言ってもらえたんです、ついでに砦に移籍したい人がいれば誘うようにとも言われました、そして今日やっとその作業が終わり、明日出発します。


「何を一人で笑ってるのカリーサ、怖いわよ?」


私が喜んでいるのに、アガセマが横から顔を見せてきたわ、でも私は今機嫌がいいので許すわ。


「明日に出発だからね、アガセマもしっかりと準備しなさいよ、遅れても待たないわよ」


明日この街を出る人は100人です、ヒューマンがほとんどなのが私の功績です、ラリーファファ様ならそれを分かってくれます、それがとても楽しみですよ。


「遅れないわよ、あなたも飲み過ぎて遅れないでよね」

「分かってるわよ、今だってそれほど飲んでいるわけじゃないわ、うふ、うふふふ」


思い出すとまた笑ってしまうわ、この移動の為に私がどれだけ苦労したか、もう大変でしたよ、出張ギルドの申請に副ギルドマスターの試験、もうほんと一生分勉強しました。


「それにしても楽しみねぇ~どんなところなのかしらね」


お酒を飲んでアガセマがちょっとウットリしているわ、私もそれは楽しみって話したの、ラリーファファ様やそこの傭兵たちの話を聞くと、ほんとに天国に聞こえたのよ。


「まぁアタシはぁ~お酒さえ美味しければいいわぁ~」

「アガセマはもう少し食べ物も入れなさい、ちょっと飲み過ぎよ」


アガセマにおつまみを渡して私も食べたの、そして結局盛り上がってしまって気づいたら朝ね。


「うぅ~気持ち悪・・・馬車は何処よぉ~」


ラリーファファ様の話では、門の前で馬車が待っているという話です、でも見回しても馬車がありません、あるのは変わった鉄の箱です。


「カリーサ~今日はやめない?この状態で馬車になんて乗ったら、アタシ死ねそうよぉ~」


アガセマもかなり気分が悪いようです、ラリーファファ様が来てくれれば気分も変わるのですが、今日は来ない日なのよ、でも次の馬車は数日後ですから私は待てません。そう思っていると鉄の箱が開き、中から獣人が出て来たわ、集まってる人達全員で驚いたわよ。


「皆さんお集まりですかみゃ?遅刻している人はいなそうみゃね」


ネコ獣人のメイドが数を聞いていますがそれを見て私は驚いたわ、手に何か持ってボタンの様なものを押しているの、数を数えていないのよ。


「みゃみゃ~102人聞いてる数みゃ、じゃあ皆さん乗ってみゃ~」


私が気持ち悪い中、何とか数を数えた数値と合致しています、それで更に驚いたわ、ラリーファファ様は変わった道具を持っていますから、きっとあれはそういった道具なんでしょう。


「くふ、くふふふ・・・行く前でこれなのね、楽しみだわ」


少しテンションを上げて酔いが覚めてきました、アガセマはまだ気持ち悪そうだけど、平気かしらね。


「って・・・これってもう動いてるのよね?アガセマ分かる?」

「止めてよカリーサ、今のアタシに揺れの話をしないでぇ~」


アガセマはフカフカの椅子で顔を青くしているわ、変な椅子だとか思う余裕はないのね。


「あみゃみゃ~気分が悪いみゃ?」


アガセマに水を渡し、外の景色を見ようとカーテンに手を掛けたタイミングで、あのネコ獣人メイドが来ました、私は事情を話してそっとしてもらうように言いました。

自業自得なのよ、私に言ってた事そのまま自分に行ったのだからね。


「そうでしたみゃ~じゃあ椅子を倒して寝ていると良いみゃ~」


ネコメイドが椅子の下の方に手を入れ何かすると、アガセマの座っている椅子の背もたれが倒れたの、私はギョッて見ちゃったわ。

こんな椅子初めて見たわ。


「では、ごゆっくりどうぞみゃ~」

「ね、ねぇちょっと聞きたいんだけど、この椅子すごくない?」


わたしたちのやり取りを見ていた、他のヒューマンたちが椅子を倒し始めたわ、だから後ろの席が離れていたんだと知りましたよ。


「そうみゃね~ウチも最初はそう思ったみゃ・・・でも向こうではもっとすごい椅子があるみゃ」

「そ、そうなの!?」

「んみゃ、体をモミモミしてくれたり、座ったままで移動したりみゃ、ほんとすごい所みゃ」


ネコメイドがそう言って、何だか遠い場所を見ているわ、そんなにすごいのにどうして噂にならないのかしらね。


「もしかして、ラリーファファ様があまり情報を流してない?・・・この馬車だって、いつも来てるはずなのに見た事なかったのよね」


ネコメイドが離れて行ったので、私はそう言いながらカーテンを開けたの、そして景色を見て訳が分からなくなったわ。


「な、何だか景色がすごい速さで動いてるわ、これってどういう事?」


近くにあった森が、後ろに遠く離れて行きます、あの森が見えなくなるには馬車で2日掛かるはずなのにです。


「ちょ、ちょっとアガセマ!外を見てよ・・・って、無理だわ寝てる」


いつの間にかアガセマは気持ちよさそうな顔をして寝ていました、それほど経ってないのに寝つき良いわね。

私は、もうそれどころではないわ、景色を見てるだけでとても楽しいのよ。


「もうアルファロ山が見えて来たわ、それにあの森って隣の領地との間にあるリリフォトの森よね、もうここまで来ているの?」


まだ昼食も取ってないほどの時間です、ちょっとお腹は空いたけど馬車は止まらないと食事は摂れないわ、でもネコメイドが止まると告げてきません。


「そう思っていたらネコメイドが来たわ、きっと昼食ね、何が出るのか楽しみだわ」


そう思ってアガセマを揺らして起こしました、でもネコメイドが言ったのは信じられない言葉でした。


「お疲れさまでしたみゃ~!他種族砦、ラリーファクトリーに到着ですみゃ」

「え!?」


私は声に出して驚いたわ、他の人達は声にもなってません、馬車で4日も掛かる距離を昼食前に着いてしまうなんて、頬を抓って夢なのかと思ってしまったわ。


「あら?もう着いたのぉ~昼食を食べ損ねてしまうほど寝てしまったのねアタシ、じゃあ降りましょカリーサ」

「え、ええ・・・そうねアガセマ」


私はアガセマに事情を説明したいのだけど、それどころではありません、前から順番に降りていて私たちの番になる前に窓の外を見てるんだけど、何も見えないのよ。


「ど、どうなってるんだ!俺たちは騙されたのか、おいネコ獣人!説明しやがれ」


一人のヒューマンがそう言ってネコメイドに突っかかっています、他に人は怖がってるわ。

まだあんな奴がいたのね、私の人選したメンバーにあんな事を言う人はいなかったはずだけど、おかしいわね。


「みゃ~またこういった人が入ってるみゃ・・・あのみゃ~これしきで文句を言う人は帰ってもらう為にしてるみゃ、説明はするみゃが気分が悪くなるみゃ」


ネコメイドがそう言って手を上げると、私たちがさっきまで座っていた椅子が馬車から勝手に出てきました、そしてあの男を捕まえて馬車に戻って行きましたよ、男は叫んでいますが馬車の扉が閉まり聞こえなくなりました。


「お騒がせしましたみゃ、ウチの後に着いて来てくださいみゃ」


ネコメイドが前を歩くと、少しして姿が消えました。


「つまりこういう事よねカリーサ、あそこまで歩くと見えない砦にたどり着ける」

「そうねアガセマ、他の人達は怖がって歩かないわ、私たちが先頭で行かなくちゃ、行きましょ」


私たちは先頭で歩き、さっきネコメイドが消えた場所まで行くと視界が少し歪み、それが収まると門が見えます、それにすごく高い壁もありました。


「これが楽園の扉?」

「そうねアガセマ」


一言ずつしか言えないほど、凄く立派な門と壁です、ネコメイドがその門の前にいます、私たちはそこまで歩き他の人達も入ってきました。


「あの、ラリーファファ様に会えますか?」

「んみゃ?ラリーファファ様の知り合いみゃ?」


ネコメイドに私は頷きました、するとネコメイドは首の辺りを触って何かを言っています、そしてその後すぐに門が開き、魔法レンガで建てられていない建物が沢山建っていたの。


「すごいわね」

「そうみゃね~ウチもそう思うみゃ、なんでもセラミックと言うのが資本だと言っていたみゃ、細かい事はラリーファファ様に聞くと良いみゃ」


ネコメイドが空を見たので私も上を見上げたわ、そうしたら私の憧れの人が降りてきたの、変わった丸い盾に乗っているわ。


「お待たせカリーサ、驚いたわ、まさかあなたが来るなんてね」

「は、はいラリーファファ様、私はここに傭兵ギルドの支部を作る為に来ました、許可を貰えますか?」


私はどうしてか跪いてきたそう言っていました、本当はもっと違った再会をする予定だったの、でも体が勝手に動いてしまいました。


「もちろん良いわよ、でもそんな堅苦しい話は食事の後にしましょ、まずは休んでねカリーサ」

「はいラリーファファ様」

「カリーサ、ここに来たのだから私の事はラリーファと呼びなさい、もう他人行儀は止めて仲良くしましょ」


ラリーファファ様が笑顔でそう言ってくれました、私はどうしてか涙が出ました、とても嬉しいかったんです、これからももっと頑張りますよ。
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