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1章 旅立ちの一歩

29話 秘密裏に

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「どうもこんにちは・・・私は今、メリーナの胸元にいて村長とのお話を聞いています」


メリーナの交渉をカバーするために隠れる所が、豊満な(私が入る為にかさまし)ボディーだったんです。決してお約束とか入ってみたかったとか、ここしかなかったからではないですよ、おほほほ。


「ちょ、ちょっとラリーファ、あまり動かないでくださいっす」


私が服の中で少し動くたびに、メリーナが体をピクって動かすの、ごめんって謝ったけど仕方ないのよ、開発でかさましパットを作ったとは言え、狭いんだからね。


「やっと終わったっすよラリーファ、早く出てほしいっす」


村長との話し合いが終わり、応接室を出るとメリーナが言ってきたわ、でも私は胸の谷間から顔を出し左右に振って断ったわ、まだやることがあるでしょって言ってね。


「なにも自分の胸元から出さなくても良いと思うっすよ、見えなくするコウガクメイサイと言うのを使えば、後ろからでも良いっす」

「何を言ってるのメリーナ!あなたが出したと確実に言えるから良いのよ、それに謎があった方がモテるわ」


全然違う話になっているような気もしますが、これを言うとメリーナは嬉しそうにしてくれるの、貴族にも色々あるのね。


「それで、これからそのビニールハウスと言うのを建てるっすよね?」


ペルーロたちのいる広場に向かいながら、今後の事を聞いてきたわ、これは事前に話した事で段階に分けて行う予定よ。まず村人には食事と栄養剤を投与します、そして村長と交渉し罠の設置、次が食料提供です。でも普通に建てるんじゃないわよ、取られちゃうからね。


「建てると言うか、掘るって感じかしら?カメラシールドで見たんだけど、設置できそうなのが食料庫の地下と村長の家の地下、後は畑の地下なのよ」


カメラ付きシールドを村に飛ばし、私は敷地を調べておいたの、もちろん倒れている村人を見つける為でもあるわ、一度に調べないと時間が掛かるので、ちゃっちゃっと済ませました、そして調べた結果、搾取されないようにするには、地下に施設を作るしかないと言う結論に至ったわ。


「地下にそんな物を作れるっすか?」

「まぁ普通は大変で出来ることじゃないわね、私がいてこそよ」


そう言って向かう方向を変えてもらい、まずは畑にやってきました、畑は見事に枯れきっています。メリーナが言うには、今の時期には麦がなっていて1月後には収穫だそうよ、きっと種まき用の麦も取られてしまったんでしょう。


「それで、どうするっすか?」

「んふふ~まぁ見てなさいって」


私はメリーナにしゃがんでもらい周りから見えないようにしてもらったわ、村長の監視とかがあるかもしれないし、メリーナが行っていると見せかける為よ。

私はメリーナの胸元から出て、畑の外側の地面に手を置いたわ、そして魔力を流したの、それも大量にです。


「まずは土魔法で地下100m地点に空間を作ってと」


部屋を作るには、まず通路を掘ったりするのが普通ですが、魔法を使えば部屋からできます、それに土が圧縮されどうなっているかが感覚で分かります、更に部屋の壁を高質化し崩れないようにしてから道を繋げるの。でもその前に畑の一部分を持ち上げられるようにするわ、そこを入り口にするの、もちろんレバーとかを使って全自動、これは開発で作った物ね。


「500m四方の部屋が出来たわ、次は収穫した物を運ぶ、コンベアー用通路を森に伸ばしてっと」


部屋が見つかった場合、そこにある収穫物は全て取られると思います、なので収穫した物を村に置くのは危険です、なのでコンベアーを森に伸ばすの、もちろん領主とかが来ない方向でそこも地下に作るわ、運ぶときは収納鞄を渡す予定よ。


「何をやってるのか良く分からないっす、どうなってるっすか?」


私は地面に手を置いてブツブツ言っているだけなので、しゃがんで待ちぼうけしているメリーナが何か言ってます、でももう少しで完成するわよ。


「こんな感じかしらね・・・じゃあメリーナそこのレバーを引いて」


私は手をパンパンはたいて土を落とし、またメリーナの胸元に入り顔だけを出したわ、くすぐったそうにしているメリーナが、地面に生えているタンポポを手前に倒すと、畑の一部分が静かに開きました、中には螺旋階段があるのよ。


「こ、これを降りるっすか?」

「そうよ、さぁ行きましょ」


5階分の階段を降りると、そこには大型のエレベーターを設置する空間になっています、ここからは私が収納からエレベーターや施設に必要な物を出して設置して行くの、私の作った物だから簡単に設置できるけど、本当は無理よね。エレベーターはまだ動力が来てないんだけど、私の魔力を使って代用し更に50m降りて行って、500m四方の何もない部屋に出たわ、メリーナが驚き過ぎて声も出せないでいるわね。


「さて、ここから地中の魔力を使った発電施設を設置ね、照明とコンベアーとエレベーターに接続するコードは、この子たちに頼むわ」

「な、なんなんすか!?」


私はメリーナの胸元から出て、せっせと施設を完成させていきます、今メリーナが驚いているのは、施設整備用のシールド型補修機です、丸いカニみたいだけど、その子たちに細かな物は任せ、私は大まかな物を置くだけなの、もちろんこの子たちも全自動よ、地中から魔力を補充するの。


「こんな物かしら、ビニールハウスも普通のより強度があるし、作物は1週間で実をつける、後は腐らないようにもしたから問題はないっと」


考え得ることは全てやったと、私は顔の汗をぬぐう感じで満足気です、横にいるメリーナがあきれ顔なのはスルーします、私と一緒にいるのだからこれくらいは慣れてもらうわ。


「上で使った簡易台所や旅で使っている家の使用魔力もそうっすけど、ラリーファ一体この空間を作るのに、どれだけの魔力を使ったっすか」


やっと覚醒したメリーナが聞いてきたけど、そんなに使ってないわ、ほんの1億くらいよ。

でも、それを素直には言えないわねぇ。


「うふふ、それは内緒よメリーナ、さぁ次の施設を作りに行くわよ」

「りょ、了解っす」


人差し指を口の前に立てて私は言ったわ、秘密があるのも良い女の特権よねって意味だったんだけど、メリーナはどうやら違う意味に捕らえたみたい、顔が引きつっていたわ。


「めめ、メリナ殿!?これは一体」


夕方になり準備が出来たので、村長の家の地下施設に重要人物たちを集めました。今代表で村長が声を荒げています。


「そう驚かないでくださいましローデニア殿、これが約束の前金なのですからね、使い方をお教えしますわ、まずはこちらに来てください」


メリーナが先導して村長の家の施設を説明しています、そしてここ以外の2つはまだ教えません、もしかしたらこの重要人物たちの中に裏切り者がいるかもですからね、もちろんコンベアーもありません、つまりこれは囮です。この間に他の2つでは食料がわんさか生産され、裏切り者も追い出せるというわけです。


「ありがとうございましたメリナ殿、これで村は生き返ります」

「わたくしはたまたまここに来ただけですわ、助けられて何よりです、ではまたお会いしましょう」


こうして私たちは村を出発しました、元気になった村人たちに手を振ってもらってね。でも大変なのはこれからよね、きっと色々あると思うわ。


「はぁ~これでやっと王都に向かえますね、急ぎましょう」


キャミカルが村を離れると気持ちをいち早く切り替えてきました、ペルーロたちはまだ手を振っているのに、この空気が分からないって、ちょっと改善が必要だわ。

私は残りの2日間でキャミカルの改善にいそしみました、その後からは他種族に対して対応は良くなったの、内容は・・・まぁ後のお楽しみね。
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