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3章
57話 こっちは最終決戦
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「ねぇ千穂」
「しっ静かにしぃや学、もう直ぐ合図が」
黒い特殊戦闘スーツを着込み、僕たちは今とある山奥に来ています。でも僕はまだ魔法を使えないんだ、3ヶ月頑張ったけど無理だった。出来れば魔術を覚えてから来たかったと、緊張でバクバクですよ。
遠くから光の合図が来て、千穂が部下の人達に突撃を指示します。僕たちも一緒に走ったんだけど、見るからに速度が違うんだ。僕に合わせる千穂もゆっくりなんだよ。
完全に足手まとい、そう思っているのに千穂と前線にいます。それはボスを倒せるのが僕たちだけだからと吾郎さんが教えてくれたからなんだ。
「ねぇ千穂、ほんとに僕も行く必要があるの?」
「またその話かいな、吾郎さんが言ってたやろ、竣さんに気に入られてる学は切り札なんや」
それなら魔術を覚えてからにしてほしかった。遠くでは既に戦いの音がし始めてる、爆発の音が凄くて怖くなってきたよ。
守る術でも良かったのに、千穂は初歩しか教えてくれなかった、魔力の操作だけじゃ分からないよ。
ウチが守るとか千穂は言ってきますけど、守られてばかりじゃダメだよね。進むにつれて、どんどん周りの音が激しさを増して来てる。僕たちを進ませる為にみんなが頑張ってるんだと感じる、失敗したらどうしようとプレッシャーがのし掛かるよ。
「千穂、せめて僕にも何かさせてよ」
「それは最後や・・・一つだけ助言するとな、学は魔力を溜めていればいいんや」
なるほどっと、その時は言いました。千穂の辛そうな顔を見たら言えるわけない。
僕は言われた通り魔力操作をして体内に魔力を溜めます。いくら溜めても使えないのに良いのかな?そう思って進んでいると、ボスの前まで来ていたみたいです。千穂はかなり緊張して扉のノブに手を掛けた、でも開けるまでには行きません。
「千穂?」
「ごめんな学、ここにあいつがいると思うと怖いんや」
元親友が敵なんだ、気持ちは凄く分かる。もし僕が向こう側で、千穂と戦わないといけなかったら、そう思っただけでも胸が苦しくなる、絶対に戦いたくないよ。
怖がってる千穂の手に僕は手を添えます。一緒に開ければ怖くないと目を合わせたんだ。そして一緒に扉を引くととても広い部屋になってた、まるで王宮の玉座の間だと思ったよ。
「やっと来たか、待ってたぞ」
「三ツ矢」
金髪を逆立てた男性が階段の壇上にいました。白い服が部分的に赤くなってもいた。よく見ると右手が血まみれだったんだ。
僕たちの位置では見えないけど、きっと仲間の誰かがやられたんだ。そしてそれが誰なのか千穂には分かってるみたいで、怒りに満ちた表情でその人の名前を叫んだよ。
「吾郎なら、まだかろうじて生きているぞ、こいつには生まれ変わった世界を見てもらう。その役目を終えてから始末する」
三ツ矢が足を上げ踏みつけると、その場所から血が飛び散ったんだ。唸り声が聞こえなかったから、もしかしたら吾郎さんは気を失ってるのかもしれない。
それを見て千穂は吾郎さんを助ける為、階段を凄い速さで駆け上がった。僕は点々としか見えない千穂を止める事が出来なかった。
ダメだっと叫んだ時には、千穂は返り討ちに合い、僕たちが入って来た扉の遥か上の壁に激突したんだ。僕はその衝撃を受けて何が起きたのか理解した。
「っち、また致命傷にはならないのか、俺の力は上がってるはずなのにどうしてだ」
相手は何か考え呟いてる。でも僕はそんな事を気にしてる場合じゃない!!千穂は無事なのか心配で相手に背を向けて叫んでいたんだ。三ツ矢はそれが気に入らないのか、一瞬で僕の目の前に現れた、睨らまれて僕は硬直したよ。
それでも僕は睨みつけ、どうしてこんな事をするんだって言ったんだ。三ツ矢はそれを聞いて笑ったよ。
「何を言うかと思えば、きさまっ!この偉業の偉大さを分かっていないのか?」
三ツ矢はそこから魔術のすばらしさを話し出した。世界に魔術が溢れれば世界は変わる、これは革命だと空を見上げだしたよ。
でも僕は知ってる、魔術を使うには魔力が必要で、今は存在しないそれを世界にバラまく事は危険なんだよ。それに耐えられなかった生物は絶滅する、昔恐竜が絶滅した様にね。
「生きれない生き物はどうなるんだ」
「ふんっ!そんなもの死ねばいいのだ、進化とはそう言うモノだろう」
犠牲は付き物だと、簡単に済ませて良い事じゃないのに三ツ矢は言ってきた。僕は叫んで否定したよ、それにこいつは知らないんだ、その犠牲には人も入ってる、全員が耐えられるとは限らないんだ。
僕のそんな言葉もこいつには響かない。仕方ないとか言って来るだけで、例え数十億が犠牲になっても成し遂げるとか逆にやる気を出して来た。僕の肩に手を置き宣言してきたんだ。そして三ツ矢の手が僕のお腹を貫いた。
「まぁ何を言っても、お前はそれを見る事はない」
三ツ矢にここで死ねと言われた僕は、それよりも驚いてる事があるんだ。お腹に三ツ矢の腕は確かに刺さってる、でも痛くないんだよ。どうして?っと顔を下に向けると三ツ矢の腕が消えていたんだ。
三ツ矢本人は気づいていない、痛くないんだろうか?と聞いちゃったよ。何を言ってると三ツ矢は手を引き抜いたけど、僕に刺さっていた部分から綺麗に無くなっていたよ。
「ど、どうなってるんだ!?きさま何をした」
「な、何もしてないよ、僕だってビックリしてるんだ」
なにかをして来たのはそっちでしょっ!!僕は三ツ矢を突き飛ばそうと両手で相手の肩を押したんだ、すると肩が消えて行って、三ツ矢の腕が地面に落ちた、さすがの三ツ矢も悲鳴を上げてしまったよ。
後ろに下がる三ツ矢が僕の見て来る。その目はとても恐怖に満ちていて、どうして僕にこんな事が出来るのか考えてしまった。でも、僕はこの為に来たんだって直ぐに頭に浮かんだよ。
「千穂、これはどういう事だよ」
僕が三ツ矢と話している間、千穂は壇上に密かに移動してた、吾郎さんを助ける為に動いていたんだよ。
注意を引いていた隙を突き吾郎さんを救出した。僕が視線を移すと立ち上がる吾郎さんが見え、無事でよかったとホッとしました。
三ツ矢がそれを見て怒り出し、自分たちだけ守られていてズルいとか言い出した。それは先輩のお守りの事なのは吾郎さんによって説明されたけど、だから何だよって言いたいね。
「だからとどめを刺せなかったのか、これもきさまの仕業だな」
「オレたちは何もしてないよ三ツ矢、お前の腕が落ちたのは、お前自身のせいだ」
吾郎さんは魔道具を体内に取り込んだ事が原因だと言った。三ツ矢はそんな訳ないと反論し、取り込んだ事で強くなり、どんな攻撃にも耐えれるのが自分だと言ったんだ。でも吾郎さんはそれが原因だと繰り返した。
身体を急激に変えた事が原因で、魔力に耐える体にする為にそうなったと吾郎さんの説明はされた。三ツ矢はそんなバカなと叫び僕を睨んで来たけど、僕を睨んでも分からない。
「お前はいつもそうだ三ツ矢、失敗したら誰かのせいにする、お前は失敗したんだよ」
死んで反省しろと吾郎さんは呟き、いつの間にか三ツ矢の身体は光になって消え始めていました。その光は僕に飛んで来て少しずつある場所に吸い込まれていた。
先輩から貰ったお守り、それが三ツ矢を吸い込んでいたんです。どうしてなのか分からないけど、千穂が守ってくれてると教えてくれた。吾郎さんもそれに同意したよ。
「オレの貰ったお守りもそうだった、だから三ツ矢に殺されずに済んだよ。千穂もあれだけの攻撃を受けたのにほとんど無傷だ」
「そうやね、元々学を連れて来たのは、魔術を使わせない為やったけど、貰ったお守りのおかげで倒せたんやな」
僕がここに連れてこられた理由は魔術を無効化させる為だったんだ。通りで自分では使えないわけだよっとガックリです。
それでも魔力の集合体と化していた三ツ矢には、一番の天敵だったと吾郎さんは教えてくれました。
これで戦いは終わったと千穂が泣いて僕に抱き付いて来たよ。世界の危機はこれでなくなったけど、何だかあっけなくて実感がない。だけど千穂の嬉しそうな顔はとても良かった。
「しっ静かにしぃや学、もう直ぐ合図が」
黒い特殊戦闘スーツを着込み、僕たちは今とある山奥に来ています。でも僕はまだ魔法を使えないんだ、3ヶ月頑張ったけど無理だった。出来れば魔術を覚えてから来たかったと、緊張でバクバクですよ。
遠くから光の合図が来て、千穂が部下の人達に突撃を指示します。僕たちも一緒に走ったんだけど、見るからに速度が違うんだ。僕に合わせる千穂もゆっくりなんだよ。
完全に足手まとい、そう思っているのに千穂と前線にいます。それはボスを倒せるのが僕たちだけだからと吾郎さんが教えてくれたからなんだ。
「ねぇ千穂、ほんとに僕も行く必要があるの?」
「またその話かいな、吾郎さんが言ってたやろ、竣さんに気に入られてる学は切り札なんや」
それなら魔術を覚えてからにしてほしかった。遠くでは既に戦いの音がし始めてる、爆発の音が凄くて怖くなってきたよ。
守る術でも良かったのに、千穂は初歩しか教えてくれなかった、魔力の操作だけじゃ分からないよ。
ウチが守るとか千穂は言ってきますけど、守られてばかりじゃダメだよね。進むにつれて、どんどん周りの音が激しさを増して来てる。僕たちを進ませる為にみんなが頑張ってるんだと感じる、失敗したらどうしようとプレッシャーがのし掛かるよ。
「千穂、せめて僕にも何かさせてよ」
「それは最後や・・・一つだけ助言するとな、学は魔力を溜めていればいいんや」
なるほどっと、その時は言いました。千穂の辛そうな顔を見たら言えるわけない。
僕は言われた通り魔力操作をして体内に魔力を溜めます。いくら溜めても使えないのに良いのかな?そう思って進んでいると、ボスの前まで来ていたみたいです。千穂はかなり緊張して扉のノブに手を掛けた、でも開けるまでには行きません。
「千穂?」
「ごめんな学、ここにあいつがいると思うと怖いんや」
元親友が敵なんだ、気持ちは凄く分かる。もし僕が向こう側で、千穂と戦わないといけなかったら、そう思っただけでも胸が苦しくなる、絶対に戦いたくないよ。
怖がってる千穂の手に僕は手を添えます。一緒に開ければ怖くないと目を合わせたんだ。そして一緒に扉を引くととても広い部屋になってた、まるで王宮の玉座の間だと思ったよ。
「やっと来たか、待ってたぞ」
「三ツ矢」
金髪を逆立てた男性が階段の壇上にいました。白い服が部分的に赤くなってもいた。よく見ると右手が血まみれだったんだ。
僕たちの位置では見えないけど、きっと仲間の誰かがやられたんだ。そしてそれが誰なのか千穂には分かってるみたいで、怒りに満ちた表情でその人の名前を叫んだよ。
「吾郎なら、まだかろうじて生きているぞ、こいつには生まれ変わった世界を見てもらう。その役目を終えてから始末する」
三ツ矢が足を上げ踏みつけると、その場所から血が飛び散ったんだ。唸り声が聞こえなかったから、もしかしたら吾郎さんは気を失ってるのかもしれない。
それを見て千穂は吾郎さんを助ける為、階段を凄い速さで駆け上がった。僕は点々としか見えない千穂を止める事が出来なかった。
ダメだっと叫んだ時には、千穂は返り討ちに合い、僕たちが入って来た扉の遥か上の壁に激突したんだ。僕はその衝撃を受けて何が起きたのか理解した。
「っち、また致命傷にはならないのか、俺の力は上がってるはずなのにどうしてだ」
相手は何か考え呟いてる。でも僕はそんな事を気にしてる場合じゃない!!千穂は無事なのか心配で相手に背を向けて叫んでいたんだ。三ツ矢はそれが気に入らないのか、一瞬で僕の目の前に現れた、睨らまれて僕は硬直したよ。
それでも僕は睨みつけ、どうしてこんな事をするんだって言ったんだ。三ツ矢はそれを聞いて笑ったよ。
「何を言うかと思えば、きさまっ!この偉業の偉大さを分かっていないのか?」
三ツ矢はそこから魔術のすばらしさを話し出した。世界に魔術が溢れれば世界は変わる、これは革命だと空を見上げだしたよ。
でも僕は知ってる、魔術を使うには魔力が必要で、今は存在しないそれを世界にバラまく事は危険なんだよ。それに耐えられなかった生物は絶滅する、昔恐竜が絶滅した様にね。
「生きれない生き物はどうなるんだ」
「ふんっ!そんなもの死ねばいいのだ、進化とはそう言うモノだろう」
犠牲は付き物だと、簡単に済ませて良い事じゃないのに三ツ矢は言ってきた。僕は叫んで否定したよ、それにこいつは知らないんだ、その犠牲には人も入ってる、全員が耐えられるとは限らないんだ。
僕のそんな言葉もこいつには響かない。仕方ないとか言って来るだけで、例え数十億が犠牲になっても成し遂げるとか逆にやる気を出して来た。僕の肩に手を置き宣言してきたんだ。そして三ツ矢の手が僕のお腹を貫いた。
「まぁ何を言っても、お前はそれを見る事はない」
三ツ矢にここで死ねと言われた僕は、それよりも驚いてる事があるんだ。お腹に三ツ矢の腕は確かに刺さってる、でも痛くないんだよ。どうして?っと顔を下に向けると三ツ矢の腕が消えていたんだ。
三ツ矢本人は気づいていない、痛くないんだろうか?と聞いちゃったよ。何を言ってると三ツ矢は手を引き抜いたけど、僕に刺さっていた部分から綺麗に無くなっていたよ。
「ど、どうなってるんだ!?きさま何をした」
「な、何もしてないよ、僕だってビックリしてるんだ」
なにかをして来たのはそっちでしょっ!!僕は三ツ矢を突き飛ばそうと両手で相手の肩を押したんだ、すると肩が消えて行って、三ツ矢の腕が地面に落ちた、さすがの三ツ矢も悲鳴を上げてしまったよ。
後ろに下がる三ツ矢が僕の見て来る。その目はとても恐怖に満ちていて、どうして僕にこんな事が出来るのか考えてしまった。でも、僕はこの為に来たんだって直ぐに頭に浮かんだよ。
「千穂、これはどういう事だよ」
僕が三ツ矢と話している間、千穂は壇上に密かに移動してた、吾郎さんを助ける為に動いていたんだよ。
注意を引いていた隙を突き吾郎さんを救出した。僕が視線を移すと立ち上がる吾郎さんが見え、無事でよかったとホッとしました。
三ツ矢がそれを見て怒り出し、自分たちだけ守られていてズルいとか言い出した。それは先輩のお守りの事なのは吾郎さんによって説明されたけど、だから何だよって言いたいね。
「だからとどめを刺せなかったのか、これもきさまの仕業だな」
「オレたちは何もしてないよ三ツ矢、お前の腕が落ちたのは、お前自身のせいだ」
吾郎さんは魔道具を体内に取り込んだ事が原因だと言った。三ツ矢はそんな訳ないと反論し、取り込んだ事で強くなり、どんな攻撃にも耐えれるのが自分だと言ったんだ。でも吾郎さんはそれが原因だと繰り返した。
身体を急激に変えた事が原因で、魔力に耐える体にする為にそうなったと吾郎さんの説明はされた。三ツ矢はそんなバカなと叫び僕を睨んで来たけど、僕を睨んでも分からない。
「お前はいつもそうだ三ツ矢、失敗したら誰かのせいにする、お前は失敗したんだよ」
死んで反省しろと吾郎さんは呟き、いつの間にか三ツ矢の身体は光になって消え始めていました。その光は僕に飛んで来て少しずつある場所に吸い込まれていた。
先輩から貰ったお守り、それが三ツ矢を吸い込んでいたんです。どうしてなのか分からないけど、千穂が守ってくれてると教えてくれた。吾郎さんもそれに同意したよ。
「オレの貰ったお守りもそうだった、だから三ツ矢に殺されずに済んだよ。千穂もあれだけの攻撃を受けたのにほとんど無傷だ」
「そうやね、元々学を連れて来たのは、魔術を使わせない為やったけど、貰ったお守りのおかげで倒せたんやな」
僕がここに連れてこられた理由は魔術を無効化させる為だったんだ。通りで自分では使えないわけだよっとガックリです。
それでも魔力の集合体と化していた三ツ矢には、一番の天敵だったと吾郎さんは教えてくれました。
これで戦いは終わったと千穂が泣いて僕に抱き付いて来たよ。世界の危機はこれでなくなったけど、何だかあっけなくて実感がない。だけど千穂の嬉しそうな顔はとても良かった。
応援ありがとうございます!
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