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3章

40話 今後の為に

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「5人一組?」


僕の作戦案を見て、テシャンはみんなの代表で聞いて来たよ。頷きながら冒険者はそうしているとお話をし、詳しく解説を始めます。彼らは1人ではなく、仲間と協力して自分たちよりも強いモンスターと戦って勝つんだ。
みんなは【おお~】っと、感心して聞いてたけど、そんなに簡単ではないんだ。子供だからそう言ったのが好きなのかもだけど、訓練とは辛いものなんだ。
みんなにそんな思いはしてほしくない、それに実戦をする時はもっとつらいんだ。出来ればみんなには使ってほしくないけど、これはやっておかないといけません。


「その訓練の為に、新しいダンジョンに入ります」


そんな僕の願いが叶い、クイーンのダンジョンから少し離れた場所にあたるダミー村建設地、そこに新しいダンジョンが出来ました。それは、僕の要望に応えてくれてる、僕たちの為のダンジョンで、初めて入った時は凄く驚いたよ。
最初はアスレチックの様に遊べて、体を動かせる広場になってます。木のモンスターがアスレチックの機材になってていて、動く運動器具になってるんだ。
襲って来ない?と不思議だったけど、彼らの攻撃は身体を動かす事で、みんなは楽しそうに進んで行った。失敗しても笑顔が絶えず、床にもマットが敷かれて痛くないんだ。そのダンジョンを5人1組になって協力して進んで行くのが、僕の考えた訓練なんだよ。


「楽しく訓練出来てるね」

「にいちゃ、ちょっと怖い」


僕も小さい子たちに手を貸して進むと、次のモンスターたちが待っていたよ、名前は踊る木の人形です。
木の人形たちと同じ動きをして、合格を貰えると先に進めます。その動きと言うのは、子供たちは楽しそうだけど、もちろん戦闘技術で、ちゃんとした訓練なんだよ。
正拳突きや蹴りをマネして僕たちは技術を覚えます。誰も気付いてないけど、遊んでるわけじゃないんだよ。


「スキルの存在してる世界だからこそだね」


スキル万歳!!僕はダンジョンを作ってくれた人にも感謝して訓練に励みます。そして人形たちが親指を立てて合格をくれたんだよ。
最初なので初歩の型だけ、これからどんどん難しくなっていきます。
次はみんなの喜びの声が響く訓練が待っています。それは昼食の時間だね、でもタダでは食べれないんだ、料理を教えてくれるエプロン姿のオークが相手です。僕たちに料理の手ほどきをしてくれるんだよ。


「にいちゃ、皮全部取れない、難しい」


小さな子たちは、刃物を使わないトウモロコシの皮むきです。だけど途中で切れてしまい、全部剥けないと泣きそうだね。
僕もそれほど得意じゃないのでオークさんを呼ぶと、笑顔が怖いオークさんが寄って来て、皮を器用に剥いてくれた、その笑顔を見てみんなは嬉しそうです。
怖くないのかな?っとちょっと不安だけど、みんなはオークさんと一緒に皮を剥いてて変な光景です。


「ブホブホ」

「こ、こうかな?」


僕にも1体のオークさんが付いて教えてくれます。言葉が分からないけど、彼はとても丁寧に教えてくれる、何だかモンスターって感じはしませんよ。
みんなで作った食事は、ちょっと焦げていたりしててあまりおいしいとは言えません。だけどオークさんたちも合格をくれたんだ、これからどんどん上達していくと期待だね。


「さて、次が問題なんだよね」


次はお昼寝タイムです。普通に考えれば休めるから楽なんだけど、問題は夢の中なんだよ。
僕は布団に入って眠りに付いたけど、その光景を見てガッカリです。なんと夢の中では学校にいるんだよ!!机とイスが並び、僕はその一つに座るんだ。そして正面にはスーツを着た先生がいます。
とても小さい羊だから可愛いんだけど、三角形の眼鏡をクイクイさせて怒った風です。


「メメ!メメメ~」

「良く分からないけど、これから勉強を始めたいのかな?」


メメ~っと頷いた羊の手から、チョークが飛んで行き、黒板に文字が刻まれ僕はそれを読みました。最初は国の成り立ちです。
授業は歴史に文字書きに算数と順番に行われます。夢の中なので逃げられず、みんなはとてもつらい体験をしていることでしょう、僕は簡単なので楽ですけどね。


「きっと、今頃みんなうなされてるんだろうね」


これをダンジョンにお願いした時、僕はみんなに勉強を教える大変さから逃げたんです。勉強と聞くと、みんなは必死で逃げてしまうんだ、何とかしてっと泣きそうになったんだよ。
ここでは逃げられず、それでいていつの間にか覚えてる、何せ夢の中だからね。


「これでみんな勉強できる」


一言呟いて僕は目を覚まします。それは夢の中だけなのか、それとも口に出していたのか分かりません。だけど予想通り周りではみんながうなされていました。
みんなは、僕と違い起きるとそれは忘れてしまうんだ。勉強した内容は覚えてるのに不思議ですよね。
いつの間にか訓練場。それがこのダンジョンに付けた名前で、辛いと思わないで済む訓練場なんです。
みんなが起きると次の訓練の始まりです。部屋を移動したその先では、ケンタウロスが沢山いる広い牧場になっているんだ。次は乗馬の訓練だよ。


「足をそこに掛けるのだ」

「は、はい」


ケンタウロスに誘導されながら背中に乗せてもらいます。みんなはとても緊張してる、大人に見えるケンタウロスたちが相手だから、ちょっと怖いんだろうね。
僕担当のケンタウロスさんは誰だろう?顔を動かしていると、胸の大きな女性のケンタウロスさんが走ってきました。迫力もすごいけど、胸の揺れもすごいです。


「そなたがリーダーだな、アタシはセイレーンだ」


よろしくっと握手を求められたので、僕は勿論手を伸ばしたけど届きません。前足を倒してくれたから何とか握手を出来たけど、胸から目が離せませんよ。
セイレーンさんも僕が相手で少し不満げです。早速訓練と言われ背中に乗ろうとするけど、高くて乗れません。変な所に足が当たったりして、セイレーンさんも変な声を上げるんだ。


「ちょっと、そなたもう少し優しくしないか、くすぐったいだろう」

「ご、ごめんなさい、でも難しいんですよ」


セイレーンさんの腰を掴めば乗れるんです。だけど、それは失礼と思い出来ないでいるんだよ。なるべく後ろに乗ろうとして足が胸に当たったりしちゃう、前世でも馬に乗ったことは無かったから、どうすれば良いのか分からないんだよ。
腰をつまんで何とか乗ると、セイレーンさんはまた変な声を出します。どうして僕の相手は、いつも変な声を出すんだろうっと恥ずかしくなります。


「乗れたな」

「そうですね、この後は?」

「そうだな、歩いてみるか」


パカパカと良い音をたてながらゆっくり歩いてくれるセイレーンさん。僕は景色が良かったらもっと楽しかったのにと外で乗りたくなりました。だけどそれはまだまだ先です。
その時が楽しみ、セイレーンさんにそれを伝えると、急に指導にも熱が入ったんだ。とても大変だったけど、楽しい時間に変わっていたからあっという間で、後になって股が痛くなり歩けなくなったのは仕方ない事なんだよ。
こうして僕たちの訓練の日々が続きます。これを始めた理由、それは言うまでもないけど、あいつらが動き始めたからだ、きっと攻めて来るんだよ。
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