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1章
14話 先輩、僕会社辞めます
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「いやぁー助かったよ佐々木君」
仕事をしただけなのに、僕は部長に呼ばれ部屋で褒められています。謙遜ではなく、僕は本当に普通に仕事をしただけだと伝えたんだ。
褒めてあげるのは、僕ではなく頑張った先輩の方なんですよ。そうしっかりと付け足すけど、部長は謙遜するなと言って、今後も期待してると聞いてません。
仕方なく、僕は返事をして頭を下げ退出しました。ドアを開ける時、例の話もよろしくなって言われ、返事をしないで部屋を出で、僕はため息を付いてグッタリです。
「はぁぁ~~・・・まったく部長にも困るよ、僕には恋人がいるんだ。何処の誰か知らないお嬢さんと、結婚なんてしないよ」
何処かの社長令嬢が相手だと言われ、お見合い写真も貰った僕は、しっかりと断ったんです。でも、お見合いだけでもとゴリ押しされ、仕方なく受けました。
相手は僕を気に入っているそうで、前向きに検討してとか言われてます。
だから嫌だったんだと部長にも伝えたよ、でも仕事の為だと、何度も考え直してとか言われてるんだ、千穂と別れるなんて、僕には考えられない。
「もうこの会社を辞めるしかないかも、先輩の事が気になるから、今回の仕事まで待ってたけど、もういいかな」
自分のデスクに戻り、先輩の設計したビルを窓から眺めます。どこかの漫画で見たような、顔に見える建物だけど、それがまたいいんです。
先輩の設計を見て満足した僕は、机の横の引き出しを開けます、そこには辞表の文字が書かれた封筒があるんだ、いつでも渡せるように用意していました。
「先輩に伝えたら、これの出番だろうね・・・先輩はなんていうかな」
もう分かっている答えを思い浮かべ、僕は笑います。
先輩なら喜んで賛成してくれます、だって先輩はそう言った人なんだ、僕の憧れの人で命の恩人です。
先輩はそれを知りません、僕がネットに投稿されていた先輩の絵を見て、勝手に感じただけです。
この会社に先輩が雇われる前、先輩はネットの有名人でした。設計した建物を絵にして公表してた、それが独創的ですごいって評判だったんだよ。
それを見て、僕は感動してこの会社に入りました。
「この会社に何かあるのかと思って入社したけど、全然普通だった。きっと先輩はどこでも良かったんだ、そう言った人だもん」
課長の机に辞表の封筒を置いて、僕は会社を出ます、そしてある人に連絡を取り、直ぐに来てくれると言う事なので、いつものレストランで待ちました。
「っで、どうして千穂がいるんだよ、呼んだのは吾郎さんだけだよ・・・っと言うか千穂、先輩の弟さんといつ親しくなったのさ」
僕がレストランでワインを飲みながら待っていたのは、先輩の弟さんで、名前は吾郎さんと言います。
釣り目の先輩と違い、少しタレ目で優しそうな人なんだ。その人がどうしてか、僕の恋人で幼馴染の千穂と一緒に来た、僕が嫌そうな顔をしていると、千穂はしてやったりって顔してます。
「良いやん学、ウチとあんたの仲やろ、ウチだって竣さんに会ってみたいんよ、ウチの恋人がいつもお世話になってますってな」
僕はすごくいやな顔をして聞いてます。今までもそう言ってきたのを断って来たんだ、先輩は人見知りで、人嫌いだから当然だよ。
僕だって会えるようになるまで大変だったんだ、先輩の家の前で、ずっと待ったりもしたんだよ。雨だろうと雪だろうと先輩が出てくるまで待った、あの時はほんとに死ぬかと思った、そのおかげで家に上げてもらったけど、普通だったら車に退避していたよ。
千穂と僕が言い合っていると、吾郎さんがまあまあって感じで間に入ってくれました、そして食事を始めたんだけど、僕は二人に会社を辞めた事を伝えました。ビックリするかと思ったけど、全然そんな表情は見せず、2人は食事を進めます。
さすが先輩の弟さん、それと僕の事を知ってる千穂だねって思ったよ。
「もう少し驚くと思ったけど、そんなに意外じゃなかった?」
僕の質問にふたりが当然って顔をしましたね、千穂なんて早く辞めて自分で会社でも作れとか言ってきます。
僕には出来ないよと返し料理を一口食べたんだ、誰にだって苦手なモノはあるんだよ。そんな言い訳を聞き、今度は吾郎さんが相手の様です、ナイフとフォークを置いて僕をジッと見てきます。
「な、なんでしょうか吾郎さん」
「学君、ワタシの仕事を手伝わないか?君なら大歓迎だ」
僕は突然すぎで驚き停止します。千穂はそれを見て嬉しそうだよ、もしかしたらふたりはこれの為に来たの?そうふたりに聞くと頷いて来た。
僕が呼んだはずなのにどうして?そんな疑問は、吾郎さんがある資料を出して来て吹き飛びます。
僕は、資料にあるそれを良く知ってるんですよ。
「僕がさっきまで作ってた、先輩の設計資料じゃないですか」
「そうだよ学君、これを頼んだのはワタシの会社だ、名前を変えて分からないようにしていた。君はその期待に答え、仕事をしてくれたんだ、だからヘッドハンティングをさせてほしい」
「ちなみにウチな、その会社の社長なんよ、これからこき使うから覚悟しぃや学」
僕の答えがまだなのに、既に了承する感じです。でも、この後の吾郎さんの説明を聞いて、賛成する事になるんです。
「君の会社は横領をしていた、兄さんの報酬を改ざんしていたんだ、君に分からないよう、向こうの会社と口裏を合わせていた」
「なっ!?」
吾郎さんはその後も続けた、建設費の水増しに耐久度の数値改ざん、それに契約を取る時にも、ぎりぎりの接待をしていたそうです。
「君もお見合いを強要されただろ?あれはそう言う条件が入ってたんだ、君が手に入れば、兄も手中に収められるからね」
「し、信じられない、そんな事をしていたなんて」
先輩の設計はかなりの高額です。僕の知ってる限りでは、1億から15億するものまであった、それが引かれた額なんて信じられないです。
僕は自分の不甲斐なさに怒りが沸き上がりました。でも、吾郎さんが自分を責めないでくれって言ってくれで、先輩がそれを望まないと付け足してきた。
「兄さんはお金なんてどうでも良いんだ、自分を裏切らない人達がいてくれるだけで良い、復讐も望んでない・・・まぁワタシは違うから、会社は潰すけどな」
吾郎さんが凄い怖い事を呟き、ブツブツ言い始めます。それを見て、千穂が僕に耳打ちしてくれた。なんでも、僕以外にもヘッドハンティングした人がいるらしく、その人たちがいなくなれば、あの会社は崩れる一方なんだそうですよ。
「そ、それはやり過ぎじゃ」
「なに言っとるんよ学、相手は利益しか見てない裏切りもんや、それだけじゃ足りひんよ・・・それに、ウチの学にちょっかいを掛けたんや、絶対に許さへん【ブツブツ】」
千穂までブツブツ言い始め、食事も味わえないまま、僕はヘッドハンティングを受けました、そして先輩に顔見せに行くことになったんだ。
数日後、大きな会社が何社か倒産しますが、それは世間には出ません。僕がそれを知った時、吾郎さんがとてもすごい人なんだと思ったよ。
仕事をしただけなのに、僕は部長に呼ばれ部屋で褒められています。謙遜ではなく、僕は本当に普通に仕事をしただけだと伝えたんだ。
褒めてあげるのは、僕ではなく頑張った先輩の方なんですよ。そうしっかりと付け足すけど、部長は謙遜するなと言って、今後も期待してると聞いてません。
仕方なく、僕は返事をして頭を下げ退出しました。ドアを開ける時、例の話もよろしくなって言われ、返事をしないで部屋を出で、僕はため息を付いてグッタリです。
「はぁぁ~~・・・まったく部長にも困るよ、僕には恋人がいるんだ。何処の誰か知らないお嬢さんと、結婚なんてしないよ」
何処かの社長令嬢が相手だと言われ、お見合い写真も貰った僕は、しっかりと断ったんです。でも、お見合いだけでもとゴリ押しされ、仕方なく受けました。
相手は僕を気に入っているそうで、前向きに検討してとか言われてます。
だから嫌だったんだと部長にも伝えたよ、でも仕事の為だと、何度も考え直してとか言われてるんだ、千穂と別れるなんて、僕には考えられない。
「もうこの会社を辞めるしかないかも、先輩の事が気になるから、今回の仕事まで待ってたけど、もういいかな」
自分のデスクに戻り、先輩の設計したビルを窓から眺めます。どこかの漫画で見たような、顔に見える建物だけど、それがまたいいんです。
先輩の設計を見て満足した僕は、机の横の引き出しを開けます、そこには辞表の文字が書かれた封筒があるんだ、いつでも渡せるように用意していました。
「先輩に伝えたら、これの出番だろうね・・・先輩はなんていうかな」
もう分かっている答えを思い浮かべ、僕は笑います。
先輩なら喜んで賛成してくれます、だって先輩はそう言った人なんだ、僕の憧れの人で命の恩人です。
先輩はそれを知りません、僕がネットに投稿されていた先輩の絵を見て、勝手に感じただけです。
この会社に先輩が雇われる前、先輩はネットの有名人でした。設計した建物を絵にして公表してた、それが独創的ですごいって評判だったんだよ。
それを見て、僕は感動してこの会社に入りました。
「この会社に何かあるのかと思って入社したけど、全然普通だった。きっと先輩はどこでも良かったんだ、そう言った人だもん」
課長の机に辞表の封筒を置いて、僕は会社を出ます、そしてある人に連絡を取り、直ぐに来てくれると言う事なので、いつものレストランで待ちました。
「っで、どうして千穂がいるんだよ、呼んだのは吾郎さんだけだよ・・・っと言うか千穂、先輩の弟さんといつ親しくなったのさ」
僕がレストランでワインを飲みながら待っていたのは、先輩の弟さんで、名前は吾郎さんと言います。
釣り目の先輩と違い、少しタレ目で優しそうな人なんだ。その人がどうしてか、僕の恋人で幼馴染の千穂と一緒に来た、僕が嫌そうな顔をしていると、千穂はしてやったりって顔してます。
「良いやん学、ウチとあんたの仲やろ、ウチだって竣さんに会ってみたいんよ、ウチの恋人がいつもお世話になってますってな」
僕はすごくいやな顔をして聞いてます。今までもそう言ってきたのを断って来たんだ、先輩は人見知りで、人嫌いだから当然だよ。
僕だって会えるようになるまで大変だったんだ、先輩の家の前で、ずっと待ったりもしたんだよ。雨だろうと雪だろうと先輩が出てくるまで待った、あの時はほんとに死ぬかと思った、そのおかげで家に上げてもらったけど、普通だったら車に退避していたよ。
千穂と僕が言い合っていると、吾郎さんがまあまあって感じで間に入ってくれました、そして食事を始めたんだけど、僕は二人に会社を辞めた事を伝えました。ビックリするかと思ったけど、全然そんな表情は見せず、2人は食事を進めます。
さすが先輩の弟さん、それと僕の事を知ってる千穂だねって思ったよ。
「もう少し驚くと思ったけど、そんなに意外じゃなかった?」
僕の質問にふたりが当然って顔をしましたね、千穂なんて早く辞めて自分で会社でも作れとか言ってきます。
僕には出来ないよと返し料理を一口食べたんだ、誰にだって苦手なモノはあるんだよ。そんな言い訳を聞き、今度は吾郎さんが相手の様です、ナイフとフォークを置いて僕をジッと見てきます。
「な、なんでしょうか吾郎さん」
「学君、ワタシの仕事を手伝わないか?君なら大歓迎だ」
僕は突然すぎで驚き停止します。千穂はそれを見て嬉しそうだよ、もしかしたらふたりはこれの為に来たの?そうふたりに聞くと頷いて来た。
僕が呼んだはずなのにどうして?そんな疑問は、吾郎さんがある資料を出して来て吹き飛びます。
僕は、資料にあるそれを良く知ってるんですよ。
「僕がさっきまで作ってた、先輩の設計資料じゃないですか」
「そうだよ学君、これを頼んだのはワタシの会社だ、名前を変えて分からないようにしていた。君はその期待に答え、仕事をしてくれたんだ、だからヘッドハンティングをさせてほしい」
「ちなみにウチな、その会社の社長なんよ、これからこき使うから覚悟しぃや学」
僕の答えがまだなのに、既に了承する感じです。でも、この後の吾郎さんの説明を聞いて、賛成する事になるんです。
「君の会社は横領をしていた、兄さんの報酬を改ざんしていたんだ、君に分からないよう、向こうの会社と口裏を合わせていた」
「なっ!?」
吾郎さんはその後も続けた、建設費の水増しに耐久度の数値改ざん、それに契約を取る時にも、ぎりぎりの接待をしていたそうです。
「君もお見合いを強要されただろ?あれはそう言う条件が入ってたんだ、君が手に入れば、兄も手中に収められるからね」
「し、信じられない、そんな事をしていたなんて」
先輩の設計はかなりの高額です。僕の知ってる限りでは、1億から15億するものまであった、それが引かれた額なんて信じられないです。
僕は自分の不甲斐なさに怒りが沸き上がりました。でも、吾郎さんが自分を責めないでくれって言ってくれで、先輩がそれを望まないと付け足してきた。
「兄さんはお金なんてどうでも良いんだ、自分を裏切らない人達がいてくれるだけで良い、復讐も望んでない・・・まぁワタシは違うから、会社は潰すけどな」
吾郎さんが凄い怖い事を呟き、ブツブツ言い始めます。それを見て、千穂が僕に耳打ちしてくれた。なんでも、僕以外にもヘッドハンティングした人がいるらしく、その人たちがいなくなれば、あの会社は崩れる一方なんだそうですよ。
「そ、それはやり過ぎじゃ」
「なに言っとるんよ学、相手は利益しか見てない裏切りもんや、それだけじゃ足りひんよ・・・それに、ウチの学にちょっかいを掛けたんや、絶対に許さへん【ブツブツ】」
千穂までブツブツ言い始め、食事も味わえないまま、僕はヘッドハンティングを受けました、そして先輩に顔見せに行くことになったんだ。
数日後、大きな会社が何社か倒産しますが、それは世間には出ません。僕がそれを知った時、吾郎さんがとてもすごい人なんだと思ったよ。
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