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1章

4話 復讐完了

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「やっと来たわね、さぁ今までの恨み晴らしてやるわよ」


待ちに待った8日が過ぎたわ。
いよいよあいつらが姿の見せ、ダンジョン画面が目の前に映ったわ。ワタシは、マスタールームでダンジョン画面を眺め、胸がゾクゾクしたわ。あいつらは最初に長い通路があって驚いているわね。


「驚いているわね、でも驚くのはこれからよ、さぁそのまま来なさい、その先にはあなた達の大好きな経験値が待っているわよ~」


あいつらもいつもと違うのを察知して武器を構えます。そしてゆっくりと歩いて進み警戒しているわ、それを見て力をくれた者の作戦通りなんだと感じたわ。
普通に歩いているだけならば、きっと小粒ダイヤスライムたちには気付かない。でも、スキルを使い警戒して進めば必ず見つけるのよ、そして奴らはそれに食らいつく。


「相手の思考を読み、それを使って誘導して罠に嵌める。ワタシは今まで弱くても正面から戦っていたわ、でも間違っていたのね・・・こんな戦い方があったのよ」


誰かは分からない者を尊敬しつつ画面を見ます。あいつらは罠を解除しながら進み、予定通りあの子たちを発見しました。よく見ないと分からないあの子たちを見て、喜びながら武器を振りかぶったわ、そしてすごい音をさせてあの子たちは遠くに飛んで行った、奴らの武器にはヒビが入ったわよ。
予定通り、画面を見ているワタシは笑いが止まらないわ。あれだけ嫌だったあいつらの顔だったのに、今はとても楽しく見れました。


「ふふふ、あの子たちは敵の力を使って飛ばされながら遠くに逃げる。捕まえようとした場合、その固い体を回転させ逃げ延びる。普通ならここで諦めるだろうけど、奴らは違うわよねぇ~」


バカだものねぇ~っとニヤニヤして画面を見ます。そこには必死に追いかけて走る奴らが映っているの、新たな子を発見すると何も考えずに攻撃した、今度は斧のあいつよ、バカ力で斧を振り下ろし、同じ様に武器にヒビが入ったわね。子供は今まで通り飛んで行って逃げ延びた。そこで一番歳をとってる回復魔法士の奴が動いたの、さすがにまずいと先に進む事を提案しだしたわね。
武器が壊れる前に決めるなんて、なかなか判断が早いじゃないと称賛してあげたのよ、それがダメな提案なのを知ってるから、余計笑いそうなのを抑えてね。
こいつらは、本来ならば引き返すのが得策なのよ。主力の剣士ふたりの武器は、既に壊れかけてるのだから当然よね。でも、ここはいつも余裕で行き来していたワタシのダンジョン、だからそんな考えは最初からないわ。


「さぁ壊れかけの武器で2階に来たわね、あの子たちを知っていれば逃げる子たちを追いかけないわ。でも、きっと知らずに追いかけるわよね」


ジュエルスライムは、ワタシたちの種族の伝説の存在だから知らない可能性もあったの。でもここを作った方は、それも踏まえてあの子たちを配置していた。上層階でモンスターと遭遇したら戦おうとする、もし知っていたら一目散に逃げたでしょう、その時はワタシは力を蓄える事が出来る。
あいつらがどちらに行動しても、ワタシの願いは叶っていたの、仕返しがとても楽しみよ。
ワタシも知らなかった擬態スライムを知るのは、相当な博識な者だけだから、あいつらは喜んで武器を構えたわ、擬態スライムは、あいつらがノロノロ構えた時点で逃げたわよ、それを見たあいつらの行動は笑えたわね。


「あははは!追いつけるわけないのに追いかけて行ったわ、ほんとバカね」


必死に走るあいつらを見て、ワタシは大笑いよ。
どんなに頑張っても絶対に追いつけない。擬態スライムは既に見えないほど先にいるわ、少し走ると止まってる擬態スライムが見えるから、どうしても余計に追いかける事になってる、バカでほんとに楽しかったわ。
2時間して頭を使い始めたのか、あいつらは二手に分かれます。回り込んで追い詰めて倒すつもりみたいだけど、それも無意味で無駄な足搔きよ。力を注いだあの子たちの速さは5000なの、絶対に捕らえる事なんて出来ないのよ。


「ほらほら、息が切れてるじゃないだらしないわね、早く諦めちゃった方が良いんじゃないの、転んだわっ!?あははは!」


あいつらが画面の中で擬態スライムに翻弄されるのを見て、ワタシはとても楽しいわ、こんなに楽しいのは生まれて初めて、これを作ってくれたお方にはほんとに感謝しかないわ、今までの恨みが晴れていくようよ。


「あらあら、ついに座り込んじゃったわね、食事でもして休んだ方が良いんじゃない?帰るなら二度と来るんじゃないわよ」


帰られるとワタシ的にはまだまだ物足りないのだけど、あいつらがそんな事はしないのを知ってるので楽しめるわ。あいつらはイライラを抑えられず、食事を済ませて立ち上がり、先に進み始めたの。
ここで帰っていれば命は助かったのに、これで命の保証は無くなったわね。


「まぁ帰っても許さないわ、力を付けた数ヶ月後には、あいつらの村ごと殲滅してやる」


あいつらにワタシと同じ気持ちを味わってもらうわ、大切な者がいるか知らないけど、必ず復讐する。
決意をしていると、あいつらは擬態スライムを諦め3階に降りました。そこは草木が沢山生えている階でびっくりしてるわ、シーフの奴がしゃがんで採取を始めた、あそこら辺には罠もないし子供たちもいないの、あれは油断させる為の布石なのよ。


「あそこには高価な草である、霊薬草が生えてるわ。MPポーションの材料だから必ず採取する、そしてそれが手に入ると知ったら、目の色を変えるのは当たり前、それが冒険者よね」


疲れが吹き飛んだように採取をしているわ、それを見てワタシは笑みを浮かべたの。あいつらの喋っている内容は画面じゃわからないから予想しか出来ません、ワタシのレベルが上がると出来るらしいのだけど今は無理。
でもね、手に取るようにあいつらの考えてる事が分かるわ、だって目の色を変えたもの。


「安全に採れるのは最初だけなのにバカね、ほら毒ガスを吸っちゃったわ、ほんとバカ!あははは」


次々に採取をしていて変化に気付かなかったの、それを見て指を差して笑ってやったわ。ゴホゴホと咳き込み回復魔法士に治して貰ったから、予想通りで更に笑えたわ。
これでMPも消費し、後がなくなり始める、この先にはまだまだ罠があるのよ。


「っと思ってたけど、直ぐに罠を警戒するなんてやるじゃないの」


次の採取場所では、シーフが罠を発見したわ、その罠は簡単に解除され矢は飛ばずじまい、あいつらはそれを見て採取を始めたの、余裕も見せ始めたわ。でも、あれは矢を飛ばす為の罠ではないのよ、解除させ余裕だと思わせる為の物なの。
通路を進むとまた採取場所があったわ、罠を難なく解除したので採取を始めた。余裕のシーフに頭上には、火属性の子が準備万端で、シーフ目掛けて降りてきたわ。急に襲われあいつは驚き暴れてる、皮膚は焼かれ悲鳴をあげてるの、仲間が無理やり引きはがそうとして、逆に皮膚が剥がれて余計痛そう、そこで襲撃した子は逃げたけど追撃はなかったわ、あいつらはシーフのダメージを心配してそれどころじゃないのよ、みんなで集まりポーションで回復を始めたわ。


「今は良いけど、それがまたダメなのも知らず、仲間なんか心配しちゃってイヤねぇ、さぁ次も頑張りなさいな」


あいつらはまだ諦めず、回復を済ませて進みます。次は部屋になっていて、中央に宝箱が設置してあります。明らかに罠だと思ってシーフが慎重に宝箱を調べ、他の奴らは周りを警戒したの。シーフに背を向けて周りを見張った事で、シーフの後ろはがら空きよ、ラージスライムが床の表面から伸びて広がり、シーフを後ろから覆う様に包んだわ、シーフは誰にも気づかれずに襲われたのよ。
悲鳴に驚いたあいつらは、ラージスライムを引き剥がそうと、さっきと同じ様になったわ。バカねと笑ったけど、あの子はハードクラスだからちょっと強いの、時間が掛かればそれだけシーフのダメージが蓄積し、下手をしたら命を落とすわ、攻撃しようにもシーフにあたってしまう。
順調に痛め付ける事が出来て嬉しいのだけど、ここでワタシは違う心配が出て来ちゃったわ。


「これはまずいわ、この階で終わってしまいそうね」


全員でシーフを助けようとして、あいつらに降りかかるもう一つの罠に対応できないと感じたの。あそこには、もう1体子供が隠れていて、部屋の罠を起動させるのよ、トラップスライムというハードクラスで、罠のスイッチに近づきそれを押すだけの存在です。
壁や床のスイッチを押し続けるあの子を誰も止められない、中央に集まってるあいつらはまさに的よ、痛がるシーフに注目が向いて、罠がどうして発動しているのかも分からず、飛んで来る矢や石をまともに受けてしまう、そしてそれはしばらく続いたのよ。
ダメージを受けてボロボロになり始めると、シーフが自らラージスライムに刃物を突き付け倒したわ、回復魔法士がずっとヒールを唱えたおかげよ、でもMPはそこで無くなったわ、ワタシは少しホッとした。


「あそこで倒しても良かったけど、それじゃワタシの気がすまないわ、逃げるかもしれないから迎えに行かなくちゃね」


あいつらの顔を見るのもイヤだったはずなのに、ワタシは今とても会いたいわ。ゆっくりと移動をしてると4階の所で少し急ぐことにしたの、さっきの部屋で座り込んでるあいつらは、あそこで引き返すかどうか話し合ってるみたいなのよ、逃がしたくないのよ。


「まあ逃げようにも、きっとあいつらはもう出る事が出来ないわ。このダンジョンを作ってくださった方が誰か分からないけど、ほんとに良く考えてるわね、ワタシじゃこんな事思いつかない」


3階の帰り道には、既にストーンスライムが道を塞ぎ迷わせるようにしているわ。普通冒険者は帰り道にスキルを使わない。同じ道だからモンスターだけを警戒するの、しかもあいつらはしゃがんで採取を優先したから、道が塞がっていても間違ったと思い込み、他の道を選んで進んでしまうのよ。
関心しながら画面を見て、ワタシはあいつらの元に向かいます。宝箱だけは開けようと話が決まったらしく、部屋の宝箱にシーフがヨロヨロと手を掛け開けたわ、中には大きな袋が入っていたわ、袋を開けると白い粒が沢山入っていた、あれは塩よ。


「塩はとても高価だものねぇ喜ぶのは分かるわ、さぁあなた達はどうするのかしら?決まったばかりなのに揺らぐわよねぇ」


ワタシの言葉通り、さっき決まった引き返す提案を変えようと口論が始まります。しめしめと3階に通じる階段をあがりワクワクした、その少し先にあいつらがいるわ。
今のあいつらなら、ワタシでも楽勝だけれど、護衛を1体連れもっと絶望を味わってもらうの。ワタシの護衛は、鎧を纏い剣を操れるリビングスライムよ。


「来た道を帰れば、まだ生きていられたのに、ワタシがとどめを刺してあげる」


あいつらが口論している声が聞こえ始め、ワタシは更に興奮した、胸の核は光だし今までで最高潮よ。
いよいよあいつらを倒せる、長年待ち望んでいた事があと少しで叶うの、扉を開けてあいつらが驚いて武器を構えた、だからワタシは言ってやったわ。


「あらあらボロボロじゃない、いい気味ねお前たち」

「こ、このクズスライム、いい加減にしやがれよ!」


まだまだ元気だったのかと、ちょっとうれしくなったわ。でも体はもうガタガタで鎧もボロボロ、こんな奴らに怯えていたのかと笑いそうよ。
ワタシのそんな顔を見て、大剣の奴が怒り出したわ、そして無防にも剣を頭上に振り上げて突撃してきた、回復魔法士の奴は止めてたみたいだけど、もう遅いわよね。


「ぎゃっ!?」


大剣の男が小さく悲鳴をあげたわ、護衛をしていたリビングスライムの剣が男の胸に刺さったの、そしてそのまま倒れちゃった、あっけなくてつまらないわね。
倒した男の胸に足を乗せ、ワタシは言ってやったのよ。


「弱いわねあなた、この子もつまらなそうにしてるわ、もう少し頑張りなさいよね」

「こ、このやろ」


男が口から血を吐いて喋ってきます。最後の力をそんな事に使ってバカねと、ワタシは男の額に尖らせた指を刺したわ、他の奴らはそれを見て男の名前を叫んだけど、もう遅いのよ。
動かなくなった男を蹴り飛ばし壁にぶつけてやったわ。他の奴らは壁の方を向いたけど、直ぐに私を睨んで来た、両手を広げて掛かってこいと宣言したの。あれだけ憎かった男を倒した、その高揚感を抑えるのが大変ね。


「さぁ次はあなた達よ、泣いて謝るなら許してあげなくもないわ、その時は椅子として飼ってあげる」


ワタシのその言葉を聞き、あいつらは陣形を組んできたわ、やる気十分で嬉しくなっちゃうわよ、リビングスライムに遊ぶように指示を出したわ、直ぐに倒しちゃ勿体ないモノね。
リビングスライムが前に出た事で、斧を持った奴に回復魔法士が補助魔法を掛けたわ、残り少ないMPを無駄に使っちゃってとニヤニヤが止まらないわ。斧を振りかぶり攻撃してきたけど、リビングスライムは守らず、鎧で受けて斧を破壊したわ、斧を壊され驚いてる男の肩に、リビングスライムの剣が突き刺さり男は倒れた。攻撃魔法士がそれを見て火の魔法を放ち、リビングスライムは火に包まれたけど、ワタシは動揺なんてしないのよ。


「バカね、あの子は火が食事なのよ、今は火に包まれてるけど、ダメージにはなってないわ」


あいつらはそれを知らず喜んでるけど、リビングスライムが火に包まれたままで突撃していきます。あいつらは焦って陣形を崩しバラバラよ、守らないといけない攻撃魔法士が最初に攻撃を受け、横に位置取っていたシーフがリビングスライムのタックルで倒された。
起き上がるそいつらにワタシがトドメをさしてあげたのよ、残るはMPの残っていない回復魔法士だけ、ワタシは倒れてる2人にとどめを刺して回ったわ、そこはワタシの役目ね。


「く、来るんじゃねぇ!」

「あらあら怯えちゃって、怖いのかしら?」


魔力が残っていない男は怯えだします。今までの逆の立場をワタシは存分に堪能しているわ、とどめを刺すのが勿体ないと思うくらいね。


「た、頼む助けてくれ」

「いやよそんなの、ワタシはあなた達に酷い目にあっていたのよ、これは当然の結果よね」

「た、頼む命だけは・・・わ、儂には帰りを待ってる妻がいるんだ」


それを聞いてワタシはゾクってしたわ、まさかほんとにいたとは思わないわよね。
ワタシは早速村にいるのかを聞いたわ、それにとどめを刺した奴らにもいるかどうかもね、そうしたら男はペラペラと話てくれたわ、シーフにはいるらしく人数と場所まで教えてくれた、これで復讐決定よ。


「分かったわ」

「ほ、ほんとか!?」

「ええ、あなたはその人たちがここに来るまで生かしておいてあげる、そしてその人たちを目の前で殺してあげるわ、死に目に会えるのだもの感謝しなさい」


男は喜びの顔から絶望の顔を見せてくれた、とても良い顔をありがとうって伝えたわ、そしてリビングスライムに拘束してもらい、マスタールームの手前の部屋に張り付けてやったわ。
うるさく何か言っていたけど、ワタシはそんな事聞かない。マスタールームに入り体が震えるのを感じたの、とても高揚してるわ。


「やったわっ!やったのよっ!!憎かったあの冒険者どもを倒した、それもこんなにあっさりと、どこの誰かは知らないけど、ほんとに感謝します」


ワタシは心の底から感謝しました。そして1月後にワタシは動いたわ、あいつらの大切な者を誘拐し復讐を完了させたのよ。
それから少しして、冒険者がたびたびダンジョンに来るようになったけど、あまり深くまでは入ってこなかった。ワタシもそいつらには恨みはなかったから、あまり積極的になれなかったの、だから奥まで来ない限り放置したわ。
復讐を終えた今、他の奴らなんてどうでも良くなってた、おかげで子供たちもワタシもどんどん強くなっていき、数ヶ月後には、魔王様に仕える騎士を生み出すほどになる、それはまだ先の話ね。
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