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1章 開業

12話 妨害を受け始めて

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「あれから一週間、どうも調子が上がらないね」


サーヤさんのお店は、前よりはお客が入って来てるけど、それ以上には増えないし、それ以上に問題がありました。
それは、給仕と料理人が雇えないと言う事で、どこかから圧力が掛っているようです。


「ど、どうしましょうイバラさん」
「サーヤさん、それは向こう次第だよ」
「つ、ついに来るんですか?」
「うん、外を見て」


向かいのお店からこちらに向かって来るのは、あっちのお店の責任者【フバレチェフ・キンチャル】で、部下の人が扉を開けて堂々と入ってきたよ。
リフィーナたちは怒ってるので、僕が3人を止めてサーヤさんに任せます。


「いらっしゃいませ」
「これはこれは、キラキラと光ってるだけの店ですねぇ」
「ご注文はテーブルで受けます、文句だけならお引き取りください」


最初から嫌な感じを全開な相手に、サーヤさんはテーブルを勧めますが、相手は座ろうとしないで店を歩き始めた。
リフィーナたちが耳を振るわせて怒り始めたので、頭を撫でて落ち着かせたけど、サーヤさんもそろそろ我慢の限界です。


「あの、お食事でないなら他のお客様のご迷惑です」
「そうだな、じゃあ単刀直入に言わせてもらうわ、ワッチに付きなさい」
「どういうことですか?」


相手から吸収合併のお誘いだけど、規模からみても良いように使われて捨てられるのは見えています。
でもね、僕たちはこれを待っていて、サーヤさんは満面に笑顔で受け入れたんだ。


「おやおや、考える時間はいらないのかい?」
「ええ、この1週間お客が増えないからねぇ」
「そうでしたか、それはお可哀そうに」


ではっと、店を出ていく相手を見て、お客の数名がサーヤさんを心配してくれます。
でも、そんなみんなからの言葉に、サーヤさんは力強いやり返しという言葉を贈ったんだ。


「で、でも店長」
「ご安心ください皆さん、アタシは絶対に負けません」


相手が大きな商会だから不安そうだけど、書面でのやり取りもまだないし、これからなんだよ。
僕たちは次の段階に向かって動き出し、これで雇う人たちは手に入り、こちらに引き入れて見せるよ。


「まぁ正直な話ね、この衣装を嫌がってる人たちばかりで困ってたんだよね」
「可愛いのにねぇ~」
「そうだねリフラ、とっても可愛いよね」
「うん、イバラお姉ちゃんも可愛いよ」


ありがとうっと、僕は心にグサッと言葉が突き刺さってきたけど、リフラは本当にそう思っていて、僕も鏡で見ての思ってしまった。
その方が安全だし、これは誰にも言わない僕の心の叫びだったんだ。


「イバラさん、ちょっとこの後良いですか?」
「分かってますよサーヤさん、二人を寝かせたら戻ってきます」
「ありがとう、正直怖いのよ」
「分かりますよ、でも平気です」


サーヤさんは震えていて、あれだけの演技をしたとは思えませんでした。
でも、これからが本番で相手を利用しなくてはいけないんだ。


「イバラお姉ちゃん、リフラも聞きたい」
「リップルも」
「二人は眠いでしょ、だからダメよ」
「「ぶぅ~」」


リフィーナに文句を言うしぐさも可愛いけど、僕はリフィーナも寝て貰いたいと言うのが本音で、出来れば作戦は僕だけで済ませたかった。
でも、相手が取り込む気満々だったから、僕たちも危険なのでサーヤさんのお店を閉めて、リフィーナにも協力してもらったんだ。


「それでイバラさん、これからどうするの?」
「まずですね、相手はこちらが挨拶に来ると思ってるだろうから、僕たちは無視します」
「む、無視ですか?」
「はい、相手のお店に行けば、必ず悪い条件で契約をさせられます、だからその予防策です」


サーヤさんが頷き、リフィーナはニッコリとしていました。
主導権を取るためで、相手がしびれを切らしてこちらに来ることを待つと説明です。


「で、でも相手は怒るんじゃないの?」
「そうだろうけど、それが狙いだし言い訳なんていくらでもあるよ」
「た、例えば何かしら?」
「大手と契約したから、用意する物が沢山あるとかだね」


この店に使ってるお花の量産や僕の作った服とかで、確かにっとリフィーナまで納得してきて、僕は更に次の手を伝えます。
それが欲しいから声を掛けて来たし、そう言った契約書を作るはずだからっと、本題の所で止めたんだ。


「な、なんでそこで止めるんです」
「あいつらは、僕たちが手を貸している事を知らないからだよ」
「なるほど、サーヤさんから奪うような内容なのですね」
「そういう事だよリフィーナ」


それは本来大変悪い事だけど、サーヤさんがいないと手に入らない様にしてしまう。
僕が提供するのはサーヤさんだけで、サーヤさんに悪い事が起きれば、僕からの提供は無くなると条件を突きつけるんだ。


「そうすれば、こちらがいないと商売にならなくなる」
「なんだか、アタシが勧誘した時に似てるわね」
「サーヤさんの時は優しく言ったけど、あっちにはそうはならないよ」
「そ、そうよね・・・うん、ありがと」


何故か赤くなるサーヤさんですが、これで大手の力を僕たちは手に入れる事が出来ます。
悪い事をしたら、その代償はとても高くなると言う見本とリフィーナに教えたよ。


「イバラさんが相手だからですよ」
「そうよ、普通の人じゃこんな事考えない」
「それもそうだね」


そこまで分かったので、二人も納得して相手を待つことになったんだ。
そして、僕とリフィーナはお店を出て車に戻ったんだけど、そこで最近の悩みである植木鉢を見てガッカリしたんだ。


「まだ若葉のままだね」
「最初に成長したままですねイバラさん」
「そうなんだよね、何がいけないんだろう」


次の商品の為に植木鉢を沢山用意していますが、その商品がいつまでたっても成長しません。
何か条件があるのかと思って葉っぱを触ってみると、何やら押した感があり、植木鉢に他の若葉が生えたんだ。


「うえっ!」
「も、もしかしてイバラさん、今伸びた葉っぱが本体なんじゃ」
「そうかもしれない、こっちのは成長させる為の葉っぱだったみたい」


最初に生えた2枚の若葉を両手で持ち、僕はボタンを押すように葉っぱを押してみました。
すると、新たに伸びて来た葉っぱがグングンと成長して、100回くらい押してハンバーガーが出来上がったんだ。


「凄い、花びらが包み紙になった」
「それ以前に、食べ物が実の代わりみたいになってるのが凄いです」
「ほ、他のもやってみようリフィーナ」


ハンバーガーの様にだんだんと成長するのだろうけど、どうやって生えるのかが気になり、リフィーナと一緒にポテトとナゲットを作ってみました。
ポテトは、入れ物が最初の生えた後、中身がニョキニョキと入れ物の中から伸びていったんだよ。


「な、なんだか、少しキショイかも」
「ナゲットの方も箱が出来て、中身が中に生まれていましたね」
「これって食べれるんだよね?」


すっごく疑問だったけど、完成すると幹からポロリと落ちてくれて、更に押すとまた生えてくるようだった。
つまり、1種類1個の植木鉢があれば済むことで、これはかなりの利益が生まれる予感です。


「でも、もっと早く気づいていればぁ~」
「仕方ないですよイバラさん、これから増やしていきましょう」
「そうだね、明日から頑張ろう」


失敗もありましたが、これで僕たちの懸念は無くなり、明日からもいつも通りの日々が続くと思って眠りにつきました。
でも、そんな僕たちのお店に朝から、変わったお客が来たんだよ。
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