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幸せのフォースステップ

58歩目 商売の提案

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「ほらほら高いだろー」

「すごいよアマンダ姉ちゃん!」


クレープを作り終わり外に出ると、タナトがアマンダに肩車をしてもらっていました、アマンダは見た目怖いけど、子供好きだし慣れてるからね、仲良くなるのは早いよ。


「出来たよ~お待ちどう様~」

「良かったなタナト、美味いオヤツが出来たみたいだぞ」

「うん、ありがとうアユム姉ちゃん」


アマンダは肩車をしたままでタナトを運んできました、僕はタナトにクレープを渡しアネーシャさんにも渡したんです、でもアマンダの目が食べたいと訴えています、僕は予想通りってクレープを新たに出して食べさせました、アマンダは手が塞がっていたので嬉しそうにしていますよ。


「美味いなタナト」

「うん!すごくおいしいよ、姉ちゃんたちはここに屋台を出しに来たの?」


アマンダが口を開けて追加を要求してきたのでクレープを食べさせていると、タナトがそんな事を言っています、僕はそれを聞いて衣装問題が解決すればそれも良いかもって思いましたよ。


「僕たちは行商人なんだ、でもそう言った商売も良いかもね」


アマンダがクレープを全部食べたので、イーシャの方にも行って同じようにクレープを食べさせました、二人を平等にしないと後で僕がひどい目に会います、主に寝る時です。


「そうなの?こんなにおいしい物なら絶対に売れるよ、アユム姉ちゃんたちは綺麗だし、宣伝すればすぐじゃないかな?」


タナトがそう言ってアマンダの上でクレープを食べています、僕はちょっと顔をヒクヒクさせています、アマンダは笑っていますよ。


「あのねタナト、僕は男なんだよ、だからお兄ちゃんが良いかな、それに僕は料理を作る専門なんだ」

「「え!?」」


アネーシャさんも横で聞いていて一緒に驚いています、僕はやっぱりねって思ってヒクヒク笑顔です。

獣人でも分からない人もいるんだねって、ちょっと複雑な心境ですよ。


「で、でも絶対売れるよ兄ちゃん、オレは買いに行く」

「ありがとタナト、本業の商売が終わったら作るかもしれないから、その時は買いに来てね」


アマンダの上のタナトを撫でて僕は言いました、タナトはまた耳を立たせてフリフリさせています、僕はとても可愛いって思いましたよ。


「では、私たちは先に行きますね」

「じゃあね兄ちゃんたち」


門番に呼ばれ、やっとアネーシャさんとタナトの順番になりました、ふたりは身分証を見せて直ぐに通して貰っていたんです、僕たちは手を振って見送ったよ。


「変わったモンスターに馬車を引かせてるなお前たち」

「すごく力が強いんですよ」


門番さんが手を出して不思議そうです、僕は身分証を渡しながら営業スマイルです、そして用件は商品の卸しですと告げます。


「ふむ行商人か、では入試税は要らんな、卸す時にそれに税が加わることになる、商業ギルドで良く話をするようにな」

「はい、ありがとうございます」


僕の返事を聞いて、門番さんがちょっと顔を赤らめて通してくれました、僕は頭を下げて通りましたよ。


「それにしても・・・アユムは得だな」


アマンダが僕の後ろから抱き着いて来てそんな事を言っています、僕は二人がいたからだと言い返したよ。


「それはどうかしら?アユムの顔は綺麗だもの、ワタシたちがいなくてもきっと変わらないわ」

「そうだぞアユム、それにあまり見ない黒髪をキラキラさせてるのも良い、似合ってるのから更に増している、普通はこうはいかねぇって」


アマンダが僕の頭をクンクン嗅いでいい匂いとか言ってます、ふたりも同じシャンプーを使っているんだから変わらないはずです、きっと嗅ぎたいだけだと僕はスルーです、最近僕は髪型だけを変えたりします、後ろで縛ってポニーテールにしてみたりですね、ふたりに進めら言われるがままと言うのは言いませんよ、今は髪を後ろで織り込んで上げて留めています、髪留めは僕が作ったアクセサリーで、ちょっとした付与がしてあります。


「じゃあまずは商業ギルドだね、行くよふたりとも」


僕はニヤニヤしているアマンダを引き剥がして、山をそのまま使っている城の近くまで向かいました、冒険者ギルドの手前にギルドはあるんですよ。


「金属の建物か・・・さすがドラルダってとこかな」


アマンダが商業ギルドを見上げて言っています、他の街は魔法のレンガでしたがここでは黒い鉄を使っています、魔法鉄って僕のマップにはありますよ。


「でも良いのアユム?普通はここの相場とかを確認してからだと思うんだけど、村でも街でもしてないわよね?」


イーシャが馬車から降りて心配そうです、僕は馬車を固定して言いましたよ。


「僕はいつもそこに住んでる人やギルド職員に聞いてるんだ、もし違っている情報をくれたら、そこの信用がなくなる、これはそう言った方法なんだよ」


事前に調べ、話し合いの時にちらつかせる方法もあります、僕は相手を信用したいのでこちらにします、間違っていても僕からは何もしません、噂が流れるかもですがそれは仕方ないです、もちろんここに来る前にお店をタップして値段は分かっていますよ。


「そうなのね・・・アユムってほんとに商人だったのね、やっと分かったわ」


イーシャがそんな事を言って僕の後ろを歩きます、商売をしながら一緒に旅をしているのにどうして?って思いましたよ、ギルドの中は天井が高く銀行の様に広々です、受付は10か所ありますから、僕は真っすぐ歩いてたどり着ける受付に適当に行きました、そこには若い男性が座っています。


「ようこそドラルダ商業ギルドへ、ワタシはロラルドと申します、どんな御用でしょうか?」


20代くらいに見える茶色髪の男性が営業スマイルで挨拶をしてくれました、僕は商品を卸したいことを伝えます、男性は笑顔で対応してくれます。


「では査定をしますので、奥の部屋にどうぞ」


男性が早々と立ち上がり受付から出てきました、机の端が持ち上げられるようになっているのをこの時初めて知りました、男性はギルドの端にあった階段を登り2階の個室でソファーに座り商品を出して交渉の始まりです。


「ふむ、変わった芋ですね、それにボウボウドリの毛で出来た布ですか・・・この茶色くて四角いのは何ですか?」


品物を確認していますが、芋ようかんは分からないようです、僕は包丁を出して切り分け、小さなお皿に乗せて職員さんに渡したんです、そして僕たちも食べると職員さんが一口食べ納得していました。


「なるほど、これは甘くておいしいですね」

「そちらのサツマイモを加工したお菓子でようかんと言います、これはロンゾ村で作っている物でかなり良い品ですよ」


僕は早速商品の売り込みをします、ロンゾ村で生産していなければ本来は秘匿するものだけど、他にもまだまだ作ったモノはあります、これは一番遠くの村の売り込みをして布石にする為です、本来のオススメ商品は、ここの人たちが大好きな物で、もう少しすれば量産できるようになるお酒です。

まずはこの人が信用できるのかを見ます、これで商品の値段が悪ければ他に回します、それだけ水田を作るのは大変だったんだよ。


「これはすばらしい、是非買い取らせていただきます」

「それは良かった、最初なので100個ずつの納品でいいですか?」


僕の提案を聞き、職員さんは驚いています、収納魔法を持っているのはさっきの包丁で分かっているはずなので、数の総数に驚いているんでしょう。


「も、申し訳ありません、ただいま時間経過のない収納庫はいっぱいでして、芋の方は大きいので10個でお願いします」

「売れ行きで決めるって事ですね、分かりました」


と言う事で、僕はサツマイモを10個と芋ようかんを50個、最後のボウボウドリの布は最初の100枚で出しました、職員さんは品質を確認しています。


「どれも良い品物です、では金額はこちらでどうでしょうか?」


羊皮紙の金額を見て、僕は唸っています、アマンダとイーシャがどうなのって顔で僕を見てますよ。

サツマイモ
銀貨1枚(1000メロー)
芋ようかん
銀貨2枚(2000メロー)
ボウボウドリの布
銀貨5枚(5000メロー)


「何か気になる点がおありですか?」

「食料が安いのは、それだけ豊富と考えて良いのですか?」


僕はちょっと不満です、一番遠くのロンゾ村で仕入れた商品なのにこの値段です、普通食べ物なら割り増しできるはずなんですよ、布だって傷んだりします、もし再度ロンゾ村に仕入れに行くとなると、時間経過のない収納魔法の使い手を雇わないとダメです。


「そうではないです、ここの需要を考えての値段ですよ」


そう言って職員さんが話してくれました、ここではドワーフが半数を占めています、そして次に多いのがフェアリーで次が獣人、最後が人種です。


「つまりこう言いたいんだな、お酒に合う食べ物じゃないと売れない」


アマンダが僕の顔を見て答えました、僕は頷き今はこれが限界だと思って書類にサインをしました。


「ありがとうございましたアユム様」

「こちらこそありがとうございましたロラルドさん、それでですねロラルドさん、僕たちの品物を良く見てくれたあなたに、とっておきを見せたいと思います」


ロランドさんは良い目をしています、値段はちょっと気になりましたけど、まだ未知数の商品ならあれくらいが妥当です、マップの情報では3倍までは出ています、そんな判断の出来るロランドさんにポイントで交換したお酒をテーブルに置き見せます、ロラルドさんは先ほどとはかなり違い、興奮してテーブルに手を強く打ち付け身を乗り出してお酒の瓶を見てきました。
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