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奇跡のサードステップ

54歩目 ドワーフ船が来ない

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「さてさて、今日は何をして暇をつぶそうかな」


僕たちがこの村に滞在して既に4日が経ちました、サージュエルさんは僕の教えた村に交易を広げる為仕事中です、そしてここの商人たちがソワソワし始めています、もうドワーフ船が着いてもおかしくないからです、僕たちが来た時の倍はいます。


「買い物はしちゃったものね、アマンダと訓練でも」


イーシャが提案しようとしてアマンダを見ると、顔を左右に動かして嫌がっています、僕との訓練は大変ですからね。


「じゃあ屋台でも・・・って、ダメなのねハイハイ」


イーシャが次に屋台をやろうと提案しようとして、今度は僕も一緒にアマンダと嫌がります、もうウエイトレスの服装は嫌です、仕方ないので僕たちは何の目的もなく村をブラブラ歩くことにしました、3人で散歩です。


「お!?屋台を出してる商人がいるぞ、見て行こうぜ」


船が到着しているかもって事でまずは港に来ました、昨日到着予定だった為か屋台を出しています、僕たちは近づくと店員が笑顔でいますよ。


「いらっしゃーいお姉さんたち、おひとつどうですか」


店員の青年がこぶし大の茶色い果物をカットしてお皿に乗せてくれました、僕はお金を3人分(銅貨15枚)払って受け取りその場で一口食べます、味は梨でしたね。


「うん、美味しい」

「う~ん、アタシはもう少し甘い方が好きだな」

「ワタシは冷やしてほしいかも」


思っていた感想をふたりが口に出して言ってしまい、目の前にいる店員さんがガックリと体勢を落とします、ふたりは僕のリンゴやブドウを食べているので、これは仕方ないですよ。


「これはナシかな」

「そうですよお姉さん、これは北東の国ウンダスって水の国で仕入れたんです」


青年がそう言ってちょっと苦笑いです、本当はこれをドワーフ船に買い取ってもらいたかったのかもです、僕は他にもフルーツが売ってないか屋台を回りました、そしてイチゴやキウイなど、見つけたフルーツは多めに買い全種揃えました。


「いやいや買ったねぇ~」


またタンス畑が増えるととても嬉しいです、そして味も改良しますよ、もっとおいしくして二人に食べて貰うんだ。


「買い過ぎだ・・・まぁ相手も嬉しそうだから良いけどな」


店員が笑顔でおまけをしてくれたのをアマンダがチクッと言っています、僕も女性じゃないといちいち指摘しません、相手がそうやって対応してくれるんだからそのままだよ、アマンダとイーシャもいるから、僕が男と告げても対応は変わらないとも思ったから言わなかったんだ、決してめんどくさいからではないですよ。


「あの人達も本命は船だからね、まだまだ在庫は残しているよ、お酒の研究に使う為に毎回買いこむらしいからね」


ドワーフだからかお酒の研究は熱心みたいです、でも予定よりも到着が遅いと言う事は、今回はそこら辺の費用を減らしている可能性があると噂が流れています、だから少し屋台の方を増やし回収しようとしているんだ、商人さんたちの対応力はすごいね。


「でも遅いわね、遅れてても昨日の昼過ぎには来るって話だったのに、まだ見えないわ」


イーシャが水平線を見ています、僕もマップで確認していますが、10キロ先にはいません。


「っとなると、もしかして事故にでもあったのかな?」


口に出して気付きます、この世界なら事故以外の海賊やモンスターと言う可能性はあります、僕は誰もいない海岸に向かい準備することにしました。


「アユム・・・もしかして」

「そうだよアマンダ、船の方角は闇フクロウのブラックに見つけてもらってる、どうやらモンスターに攻撃をされて動けないみたいなんだ、近くの小島に停船して修理してる」


ちょっと大きめの木造船を収納からだし海に浮かべます、もちろんこれはゲームの船で魔力とかで動くすごい性能のやつですよ。


「アユム、この船ってあの馬車と同じよね?」

「そうだねイーシャ、でも船員は必要だからモンスターたちにも手伝ってもらうよ」


イーシャに説明して、僕は今まで仲間にしたみんなを出しました。


「鬼ちゃんとアラァー(アラクネ)とラミーア(ラミア)はイカリを上げて、スラッチとチュー太とウサビラーは帆に魔力を注いで、クレムス(ゴーレム)とバジリー(バジリスク)は舵をお願い、トンビラーとポッポ(ツバメ)とブラックは空から方角を教えて、ライガー(ブルーウルフ)とウルフファングとコボルは海の敵を警戒、見つけたらスギちゃん(トレント)に頼んで木を海に浮かべて戦ってね」


モンスターたちに指示を出し配置に付いてもらいました、スギちゃん以外にも水魔法の得意なカワウソのソギーや、土魔法の得意なモグラのモグというモンスターがいて、海の中で警戒してもらっています、もちろん空部隊にも戦ってもらいますよ。


「こう見ると、ほんと増えたなアユム」


モンスターたちに船を動かして貰っていると、アマンダがちょっと呆れた顔をしています、僕はまだいるよって残りのドラゴンたちも思い浮かべます、でも言わずに自重しました。


「せっかくだから、海のモンスターも仲間にしたいね」


アマンダに言いつつ、既に僕は画面で海のモンスターと戦っています、海のモンスターはイカやタコ、大きいのでサメがいます、もっと遠くに行けばクジラとかもいるかもですね。


「まぁそれは良いんだが、この光景を見たらドワーフたちに攻撃されないか?」


アマンダが心配そうな顔をしています、イーシャもそう言えばって顔をし始めました、僕のモンスターたちは首や頭にストラップを付けているので問題は無いと説明しました。


「あの小さいのが見えるかなぁ?ワタシなら外見を見て直ぐに報告しちゃわよ」

「イーシャの言う事も一理あるね・・・じゃあ島が見えたら、僕たちが目立つようにして接近しよう、そうすれば冒険者って分かるでしょ」


モンスターを見せない作戦を提案すると二人は頷いています、これで攻撃をしてきた場合、恐らく向こうは相当危ない状態です、そうなってない様に祈りますよ。


「僕は声に出してないから、フラグにはなってないはずだけど・・・どうして攻撃してきてるんだよ」


島が見えてきて、ある程度近づいて僕たちは甲板の先で手を振ったんです、それなのに今、大砲の弾が飛んできています、こちらの速度が速くて全然当たらないけど、それでも困っています。


「おお、お前たち何者だ!」


船に乗り込めるくらいの距離まで来たので、僕たちは飛び乗り攻撃の意思がない事を示しています、でも相手は魔法を唱える準備をしていますよ。


「ドワーフ船なのにドワーフがいないぞ、どうなってんだ?」

「そうね、でもいるにはいるでしょ?」


ふたりが僕の後ろでそんな事を話しています、僕はマップで分かりますがドワーフ15人に人種10人、ハーフエルフが4人で獣人4人の船員です、船はかなり大きいです。


「100mくらいかな?僕たちはサイエンス商会の者です、サージュエルさんの依頼で皆さんを探していました、話の分かる人はいますか」


僕はちょっと大きめに声を出して聞きます、僕のモンスターたちの事ももちろん言いましたよ、船員たちがザワザワして1人が船の奥に呼びに行きました。


「マップがあって良かったよ、さてさて誰を呼ぶのかな」


マップで見ていると、船の中の船長室にさっきの人が入りました、そして一緒に出て来たんです、その人はドワーフです。


「ドワーフだな」

「そうみたいね」


ふたりが見て当然の事を言っています、僕は見れば分かるよねって思いながら、名前を確認して相手を待ちます。


「儂はこの船の責任者をしているドルードじゃ!お前たちがサイエンス商会の者だという証拠はあるか?」


船長のドルードさんがそう言っています、サージュエルさんに貰っていた契約書を見せると、遠目から確認する為にみんな顔を前に出して見てます。


「ふむ・・・確かにサイエンス商会の紋章じゃ、攻撃してしまってすまなかったな、まさかこんなに早く救援が来るとは思わなかったんじゃ、変装した海賊じゃとな」


僕は気にしていないと伝え、手を下ろします、船員たちはそれと同時にグッタリしました、疲れた顔をしていますよ。


「皆さんお疲れですね」

「う、うむそうなんじゃ・・・そなた、偉くべっぴんさんじゃな」


ドルードさんがそう言ってきました、僕は男ですよって伝えて状況を聞きます、船はイカのモンスターに攻撃されて船底が破損して浸水しているそうです。


「何とか沈む前に島に着けたんじゃが、修理には何日もかかる、それに修理材も足りんのじゃ」

「そうでしたか、では僕たちも手伝いますよ、ちゃちゃっと直しちゃいましょう」


ドルードさんは驚いていますが、僕たちはモンスターと共に作業を始めました、魔法部隊で邪魔な海水を除去し、船底をスギちゃんの木材で修理、アマンダとイーシャには船員の手当てと食事を頼みました、そこにはアラァーとラミーアが手伝いにいます、スラッチたちは島の捜索です、島のモンスターが襲ってこないとも限りませんからね。


「す、すごいなお主、さすがサイエンス商会といったところじゃな」


ドルードさんがちょっと引くついた顔をして言ってきました、後ろには被害状況を紙にまとめて持っている青年がいます、その人は人種で同じ様に頷いています。


「もう少しで作業は終わりですドルードさん、直ったらすぐに出発しますか?」


僕はマップで海に敵がいるのを確認しています、今出発すれば逃げる事が出来ます、正直船員の状態を見て無理だとは思っていますよ。


「みな疲れておるからのう、出来れば明日にしたい」

「そうですね、では僕たちも明日出発することにします、皆さん見張りは僕のモンスターたちに任せて休んでください」


ドルードさんに提案して、船員たちには休んでもらいました、そしてその夜、海から敵が来ました。
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