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友とのセカンドステップ

24歩目 現状把握と目標

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「それで・・・何があってこんな状態なんですか?やっぱり病気とかですかね」


ローナちゃんの家に着き、紅茶を配って話し合いが始まりました、僕の質問にふたりは頷いています、僕はやっぱりって思いましたよ。


「身体中に赤い点が幾つも出てくるんだ、そして熱がどんどん上がりその点から血が噴き出し命が尽きる、ここから西に向かうとアードンって街がある、そこに知らせる為に向かったアタシの仕事仲間は帰って来ていない」


向かった人は同じ門番をしていたそうで症状が出なくて元気でした、大人で動けるのが二人だけだったから外に薬を買いに出たそうです、アマンダさんがかなり深刻そうに話しています、帰ってくることを願っているんでしょう、西を見ていますよ。


「アマンダはダリルが心配なんだよね」

「なっ!?」


ローナちゃんがそう言って笑っています、アマンダさんが真っ赤になって否定しています、どうやら恋人なのかもですよ。


「いつも仲良く見張りをしてたじゃん、みんな言ってたよ?」

「ふ、ふんっ!あれは仕事だからだ、報告とか色々あるだろう、そうでなければ誰があんな奴と・・・それにあいつはどんくさい、アードンで薬を買って帰って来ると言って2月経ってしまった、それなのに帰ってこないのがその証拠だ!まったく帰ってきたら説教してやる」


腕を組んで怒っていますが、ローナちゃんはそれを見てやれやれって顔してます、きっといつもの事なんでしょう、仲がいいって事ですね。


「話しを戻しますけど、それが起きる前に何かありませんでしたか?それと症状が出た人たちしか食べてない物があるとか、何か気になっている事があれば教えて下さい」


門番をしていた二人以外の大人全員ってのが気になります、ふたりが掛かっていないと言う事は、大人だけがなるわけではないと思います、何か原因があるはずです。


「それなんだが・・・最初に症状が出る数日前、アユム殿と同じく行商人が来た、そいつとの交渉をローナの父親である村長がしていたんだが、そいつの売っていた物が原因じゃないかとアタシは思っている」


アマンダさんが何か確証があるかの様に言ってきました、きっと僕が来た時の警戒はそれが理由でしょう、その行商人との取引は、ここで作っていた麦をお酒と交換して貰ったそうです、大人たちはそれを美味しそうに飲んだからじゃないかって話しです。


「アタシとダリルは酒を飲まない、もしかしたらそれかも知れないってダリルが言い出したんだ」


症状が治まらないのでどちらかが街に向かうことになり、言い争いの結果今の状態になったと怒っています、ローナちゃんは笑っていますけどね。


「街までは5日掛かるもんね、モンスターもいるし、心配なんだよねお姉ちゃんは」


ローナちゃんがまた言ったからアマンダさんが「違う!」って怒っています、でも顔を見れば心配なのが分かるよ。


「そうすると、その街も心配だよね」


アマンダさんの話では、その行商人が向かった先にはその街があるそうです、ダリルって人は、それもあったから知らせに行ったみたいですよ。


「アードンは結構大きな街だ、解毒薬も豊富だし魔法でも回復が出来る、それほど深刻じゃないはずなんだ、だからあいつが帰って来るまで待っているんだ」


アマンダさんはダリルを信じているみたいです、出来れば僕が行きたいけど、ここの暮らしを良くしてからだと思うんだ、さっきのオークだって、スラッチとチュー太がいたから何とかなった、アマンダさんでは勝てなかったよ。


「ここが全滅してたら帰って来たダリルさんが悲しむ、ここはアマンダさんの言う通り待つべきたね、じゃあ明日も頑張ろうね」


僕の言葉にふたりが賛成して話し合いは終了です、家の奥に進み空いていた部屋に案内されました、アマンダさんも今日はローナちゃんと一緒に寝るそうです、案内をした後、ふたりは2つ先の部屋に入って行きましたよ、僕も部屋に入ってベッドに横になってその日は寝ました。


「って見せかけて、僕はベッドで調査中です、ベッドの長さは2mだね」


ベッドに2mの物差しを合わせ大きさを確認します、枕の位置から自分が寝ていた場所を測りガッツポーズですよ。


「やった183センチもある、やったよ!」


声も出てしまい咄嗟に口を押えました、今は二人が2つ先の部屋で寝てるんです、起こすと悪いので静かに喜びました。


「どうしてなのかは分からない、異世界の気候とかレベルが上がったからかもしれないよ、なんにしてもこれで少しは男らしくなる・・・じゃあ張り切って畑を回復させに行こう」


僕はルンルン気分で窓を開け、村長宅を抜け出し畑に向かいました、レベルが上がっているので僕は全然寝なくても平気なんです、王都から出てまだ数回しか寝ていません。

畑にはサツマイモの苗が綺麗に列を作って植えられています、肥料を与えるのも良いですが今日は他の物を使います、ゲームの畑で使われていた特殊な栄養剤を土に刺して行ったんです。


「これでしばらくしたら土が元気になるかな・・・後は、あいつらだ」


装備のスロットを選択して剣を装備しました、そして僕は村の外に出たんだ、相手は南の森から出て来たオークたちです。


「どうもぉ~」


オークたちの前に出て簡素にご挨拶をしました、相手の反応を見たかったからです、こいつらが出て来た森は僕がコンプした森です、みんな優しくなっているのでコイツらの様な顔立ちじゃありません、殺気を出しちょっと嫌な笑みを浮かべています。


「グブ、美味そうな女じゃないか、ボス!ガキばかりと聞いていたけど、オデやる気出て来た」


先頭から2番目のオークが先頭のオークに涎を垂らして言っています、こいつは6mはあるとても大きなオークです、僕はそれを聞いてガッカリしています、顔は変わっていないので仕方ないんでしょうか。


「そう言えば、アマンダさんは僕をどう見てるのかな?村長の家に泊めてくれたけど、完全に警戒を解いたわけじゃない、ローナちゃんと一緒に寝たのもきっとそれが原因だよね、女性と思っていたからそれ位で対処できると思っていたかも・・・気になるね」

「待て待て、オレが相手をしてからだ」


僕がそんな事を気にしていると、先頭のオークが舌なめずりをしています、大きな鉈を肩に乗せて見てきました、僕は背筋がゾクってしましたよ。


「悪いけどさ、僕は女じゃなくて男なんだよ、それに村には近づけさせない、逃げないならここで倒させてもらうよ」


剣を構えて凄みを出して言ったんだけど、舌なめずりを止めません、むしろ余計喜んでいる感じです、僕は更にゾクってしましたよ。


「お前一人で何が出来る・・・それに男でも問題ない、両方楽しめそうで良かったぜ、行くぞ野郎ども!」


先頭のオークの掛け声が響き、他のオークたちもそれに習って叫びます、そして武器をそれぞれ出して突撃してきました。


「あれ?あいつ何処に行った?」


オークたちがキョロキョロしています、それもそうです、僕はオークたちの一番後ろまで一瞬で移動したんです、そして全員既に切り付けています。


「本当は誰の差し金か聞きたかったけど、気持ち悪すぎたよオークさんたち」


僕のその言葉の後、オークたちの身体は斜めに切れて崩れました、全員倒したのは森に残っていた小さなオークがいたからです、スラッチとチュー太の他に新しく召喚したコボルトのコボルにより運ばれてきます。


「は、放せグブ!」

「ありがとみんな・・・君は斥候だよね、誰の差し金か言ってくれないかな?」


僕はみんなを撫でながらダメもとで聞きました、そして結果は言うまでもないですかね。


「言うわけないグブ、早く放せグブ」


オークがそう言ってきたので、僕は触手で拘束しているスラッチに放すように指示を出します、オークは拘束を解かれて驚いていますよ。


「な、何のマネグブ」

「ここで君を倒すのは簡単だけど、それだとまたモンスターが来るでしょ?だから君のリーダーに言ってほしいだ、もうモンスターを送るなってね」


剣を月の光に当てて脅します、小さなオークはそれが分かり、凄くビビった表情です、頷かないのでもう一度言葉に出し近づくと、オークは後ろに下がって逃げて行きました。


「返事は聞けなかったけど、これで相手の居場所が分かるね、頼んだよハエッチ」


山で新たに仲間になった、斥候用のハエ型モンスターを召喚してオークを追ってもらいました、これでボスは倒せるでしょう。


「病気はそいつの仕業かもしれない、村の守りも強化する必要があるね、ダリルも出来れば何とかしてあげたいけど、コンプしているのが南の森だけじゃちょっと心配だ、それに街は遠いんだよね」


歩いて5日なら、僕が走れば数時間で着けるかもしれません、でも街での行動時間と戻って来る時間を考えるとちょっと厳しいです、もう少し村が安定してから行くことにします。


「オーク肉も手に入ったし、明日は生姜焼きにでもしようかな」


ちょっとウキウキしながらオークを回収して僕は村に帰ります、しばらく他の作業をしていると朝日を浴びました、僕はローナちゃんとアマンダさんが起きる前に家に戻り、朝ご飯を作り始めたんだ。


「おはよローナちゃん、それにアマンダさん」

「お、おはようございます」

「アユム早いな・・・おはよう」


僕が笑顔で挨拶をすると、ふたりはどうしてか顔を赤っかにしていました、きっと朝日かな?って気にせずに料理を続けます、村の子供たちの分もあるのでかなり沢山です、出来上がった先からアイテム欄にしまいます。


「もう直ぐ出来るから、外で顔を洗って来ると良いよ、ついでに子供たちも呼んでくれると助かるかな」

「そ、そうだね・・・お姉ちゃん行こう」

「あ、ああそうだな」


ローナちゃんはモジモジしてアマンダさんを連れて行きました、手を引っ張られるアマンダさんは空返事でしたよ。
トイレでも我慢しているのかと料理をしていきます、そして堤防の前に集まって食事です、集まったみんなは新しくなっている中央広場を見て口をあんぐりです、どこかのキャンプ場の様にテーブルとイスを並べ、屋根も作りました、食事が済んだら堤防に登り水遊びをするのも良いかもです。
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