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希望のファーストステップ

21歩目 ボス戦は簡潔に

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「この辺かな」


僕は今、ある場所に立っています、ほんの数分前に壁を修復し、北壁に集まっていたモヤが王都の上空に集まり出したからなんだ、モンスターになると予想して急いでここまできました。


「ライフルのセットは完了だね、後は王都に当たらない様に上半身を狙える角度にホーミングを調節っと」


王都の外にも行くようになって周りの地形は完璧です、装備やスキルも色々試してみました、ライフルとハンドガンのスキルはもちろん、それぞれのレベルも200まで上げています、今回は敵がボスと言う事で威力を上げて撃つつもりです、その分電力を使ってしまうけど、充電は道中出来ますから問題はありません。


「我が名はスカイドラゴン、魔王様の配下にして14将軍の1人である、今からこの王都は俺様が支配する!」


丁度日の落ちる時間、暗闇を纏ってそいつは現れました、山くらい大きい骨のドラゴンです、王都の人たちはそいつが突然現れたから見上げて恐怖しています。

今頃城では、勇者たちが騒いでいるんだろうね。


「登場だけで尻尾と足の下は崩壊しちゃったよ・・・それにしてもスカイドラゴンって言ってるけど、あれじゃスカルドラゴンだよね?どうしてなのか知らないけど倒すよ、どうせ勇者たちは「序盤で出て良いレベルじゃない!」とか言ってて逃げる算段だろうからね・・・さてさて威力は50%くらいかな」


僕はちょっと愚痴を口にしつつライフルを構えます、そして威力を調節して狙い始めたんだ。


「まず手始めに、邪魔な王族たちを蹴散らし・・・な、なんじゃこれは!?」


50mはある骨の龍が右手を上げどうしてか驚いていました、僕はそのタイミングで引き金を引いたんです、スカイドラゴンと名乗った魔族の上半身は跡形もなく消え去りました。


「エネルギー50%で使ったけど、ちょっとオーバーキルだったかな?まぁ攻撃力が200万だから、50だと1億かな、これくらい仕方ないか・・・じゃあねみんな」


僕は充電器ライフル(ジュウライホウ)を肩に乗せその場を離れました、僕が居た場所からも声が聞こえるほどの大きな魔族でした、上半身だけでもまだまだ大きくそびえ立っています。


「どど、どうなってるんだ!?」


僕が山を降りてみんなに聞こえない別れを告げている頃、城では大騒ぎになっていました。


「落ち着かれよ勇者殿、魔王が攻めて来たのだ、そなたらも急ぎ出発じゃ」


王様が廊下で騒いでいた勇者を諫め、出発の準備を始めようとしています、でもそこで話に入ってきた人がいたんです。


「お父様!それは早すぎます、勇者様たちはまだ力が足りません、何故なのかは分かりませんが魔族は光の柱によって倒されたのです、ここはもっと訓練をするべきですわ」

「その必要はないぞサリーサ、十分訓練はした、魔王が動いた今動かずしてどうする」


王様は反対しています、うしろめたい事がなければ姫様もそこで賛成したでしょう、でも辛そうな顔をしてあの書類を出したんです。


「本来ならばそうでしょう、ですがお父様が横領していたせいで低性能の装備です、それでは勇者様たちが被害を受けると言ってるんです、誰かお父様を拘束なさい」


姫様の指示を聞き、兵士が国王様を拘束して連れて行きました、その場にいた生徒たちは呆然とした顔です。


「そんなに驚かないでください勇者様、お父様は自分の私利私欲の走ったのです、皆さまに支援するはずのお金を使っていた、これは当然の対応ですわ、これからはわたくしサリーサ・メロー・ガルバルディが国を動かします、どうかよろしくお願いします」


姫様が淑女の礼をすると、勇者たちもテレながらお辞儀をしました、そして姫様の変わり様に気付いた人がいたんです。


「あの王女様、あんな性格だったっけ?もっとギスギスしてたイメージだったんだけど、笑顔なんて始めて見たわ、ロクハちゃんはどう思う?」

「ウチもそう思いますアケミ様、あのお方は笑ったりしません、ずっとイライラしている感じでした」


ふたりのそんな言葉は王女様には聞こえません、そして王女様が提案しました。


「あの魔族の素材を使い勇者様たちの装備を作りましょう、そうすれば更に旅が楽になります、47番のウサヤミさん、至急職人を募りなさい、種族は問いません腕が確かな方をお願いしますね」

「はは、はい!」


ウサギ族のメイドが普通に呼ばれた事を驚き返事をしました、ふたりも驚いています。


「うそ!?今名前で呼んだわよ、一体どうしたのよ」


この城の人はメイドを呼ぶ時、ベルを鳴らすだけで済ませていました、ふたりは顔を見合って信じられないという顔です、他の人はそれどころではなく、装備を作ってくれると喜んでいます。


「変です!絶対に変ですよアケミ様、それに他の兵士たちも何だか明るくなった気がします、どうしたというのですか」


ふたりがそんな事を話していますが、状況はそれと関係なく急速に変わっていきます、数日前から城には他種族を入れるようになっていました、それが更に加速したんです、訓練の時も勇者たちには腕の良い他種族の冒険者が付き指導が始まっています。


「そうそう、魔力を使う時はイメージが大事よ、変換する対象を良くイメージしてね」

「はい」


委員長が狐の獣人に指導され魔法を練習しています、委員長は唸っていて何とか制御していますよ。


「なかなか難しいわ、どうして魔力がどんな物質にも変わるのよ、意味が分からない・・・ねぇコンフォーさん、どうしてなのよ?」

「そう言われても、魔力は最初無属性です、そこから使用者が操作してあらゆる属性になるんです、そして魔法を唱えるとそれが倍増し、凄い威力になります」


そう説明するだけで、どうしてなのかという答えが出てきません、それで委員長は困っています。


「うぅ~・・・魔法も言葉が変わるだけで威力が違うし、どうなってるのよ」


魔法の基準が分からないとすごく混乱しています、他の魔法職の生徒も同じ感じです。


「まぁ何となくで思っていた方が良いかも知れないわ、要は魔力を集め、それをどの系統に変えるかをイメージ出来れば良いのよ、さぁ頑張って行きましょ」


生徒たちを元気付け委員長は頑張っています、そして剣技の指導もアマゾネスの彼女だけでは足りず、更に冒険者ギルドから呼ばれ指導に力が入り始めたんです。


「はぁ~疲れたわぁロクハちゃん、昼ご飯は何かしら?」


城の食事はちょっと濃い目の味付けです、猛牛と言う牛モンスターのステーキ肉と白パンがです、後はサラダが付いていてそれぞれ必要かどうかを聞かれます。委員長は既に食べ飽きてしまっていました、疲れているからロクハにマッサージをしてほしいくて聞いたんです。


「お喜びくださいアケミ様、今日は王都の街で話題の料理人が来ています、料理人の指導をしてくれて全然違う食事になっています、何でもタコスというそうですよ」


ロクハがそう言いながら委員長の肩をもんでいます、そして委員長はかなり驚いて振り向きロクハを見たんです。


「ねぇロクハ、それってこの世界にあったのかしら?」

「いえ、初めての物ですよ、しっかりと商業ギルドに申請して登録も済ませてます、そのおかげで彼女が指導した人じゃないと作れないんですよ」


ロクハが説明した通り、その日の昼食はかなりにぎやかに摂られました、そしてその日の夜。


「ねぇロクハ、どう思うかしら?」


部屋にロクハを呼び、委員長が意見を聞いています、ロクハは迷わずに答えたんです。


「これは間違いなく、あの魔族を倒したからです、ウチたちの言い伝えに似てるのがあります」


ロクハが僕の聞いた話をしています、委員長がそれを聞いて考え込み、難しい顔をしていますよ。


「それがほんとだとしたら、ワタシたちは魔王を倒せないんじゃないの?英雄はその人になるわよね」

「どうなんでしょう?言い伝えでは歩いただけで人々が優しくなり、仲良く平和に暮らしたと書かれているだけです、戦ったという言葉は一言もありません」


ロクハが言うには、歩いてこの世界を周り平和にしたとされていて、光の柱も死闘を繰り広げたなどの記載はないそうです。


「それは・・・また変わったお話ね」

「そうなんです、大人はこのお話を子供にして、暴力は悪い事だと教えるんです、ウチも今まで大人の作った作り話だと思っていたくらいなんですよ」


魔族を光の柱で倒しているから違うかもしれないと、ロクハは付け足します、でも委員長はかなり唸っていますよ。


「お話って少しは捻っているモノよ、あの魔族を倒しても王女様たちの心までは変わらない、現に王様は変わってなかったみたいだしね・・・でも原因が見つからないわ、そのお伽話も気になるわ」


委員長がそう結論を出してロクハも頷きます、そしてそれを行った者が誰なのか、それを委員長が考えていました。


「ワタシたち以外となると・・・まさか歩君が?そんなことないわよね」


ロクハに聞こえない程の声で委員長が呟きました、でもそれが分かるのはもっと先のお話です。

それから1か月後、委員長たちは訓練を終えて旅に出発する事になりました。
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