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2章 モフモフ同志の為に

39話 僕とググラの選挙

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「どうしてこうなったかな」


僕は今、集落の壇上に同じオスのググラと立っています。
それと言うのも、僕が前に行った親父との争いに似ている事が起きたからなんだ。


「でも、あの時とは違って、ググラと仲良くしていたからとか、ちょっと恥ずかしい」


兄弟みたいに仲が良い僕たちが誰が好きとか言う流れになり、ググラが言えない状態を見て心配になった所から始まり、ググラ強化月間に入ったことが原因です。
ググラが気にしてる子が僕を選んだら、その時はググラがショックで寝込むだろうけど、その為に頑張って来たんだ。


「それじゃあ、繁殖の相手をどちらにするのか、好きな方に並んでくれ」


族長が宣言すると、ほとんどの人が僕の方に並ぶけど、その中には問題の子はいません。
ググラの方にその子はいて、他にも10人が並んでくれてほんと安心したよ。


「さすが兄様です」
「ありがとうググラ・・・でもね、僕は君の方が心配だから、この後ちょっと良いかな?」
「勿論です兄様」


こうして、僕は自分が相手をする108人に手を振り、ググラと一緒に実家に入ります。
そして、とても重要なお話である繁殖の事です。


「ひひひ、ひっ掻かれるんですか!?」
「そうなんだ、とても痛いし避けてはいけないから、僕たちオスはその時期ボロボロになる」
「そ、そんな事って」
「でもね、僕たちだけが痛い思いをするわけじゃないし、嫌いになった訳でもないんだ」


好きな子に叩かれたら、ググラは嫌われたと思いしょげてしまいそうなので、僕はそこを注意しました。
それに叩かれると言う事は、相手も痛いからそんな行動をとるわけで、僕たちだけではないんだ。


「そ、そうですね」
「うん、それに子供を産む時もみんなはとても苦しい思いをする、それなら僕たちの痛みなんて些細な事だよ」
「分かりました兄様」


ググラも分かってくれたみたいで、頑張る決意をしてくれました。
余談だけど、僕の父親だったあいつは、痛いのが嫌だからって叩かれそうになったら避けていたらしいです。


「でも兄様、傷を治すお薬持ってましたよね?」
「ああ~それも治してはいけないんだよググラ、こういったモノを名誉の負傷と言うんだ」
「さすが兄様です、何でも知ってますね」


はははっと笑って、僕はそうでもないと返しておきます。
入学してから、もうそろそろ1年が経ちますが、ボロボロになった僕をみんなはどう思うのか、ちょっと心配であり、嫌われたらどうしようと思っています。


「冬の長期休暇に間だから余計だよね」
「兄様、断っても良いのでは?」
「そうもいかないんだよググラ、今は人数を増やす事を止めたくない」


多いと言っても、200にも満たない人数で、他の種族もやっと100人を越える数だから、まだまだ森を広げるまでにはなっていません。
ドライアド様もそこは賛成していて、もう少し増えたら考える事になっているとググラに教えたよ。


「そうだったんですね」
「うん、ググラも年を越えたら立派な大人だからね、少しずつお勉強だよ」
「うぅ~ちょっとそれは苦手です兄様」
「こればかりは仕方ないよ、頑張ろうググラ」


良い返事を貰い、僕は早速勉強のスケジュールを組みますが、大切な事を言うのを忘れたので、再度注意したんだ。
繁殖が始まると、他のメスとは会えなくなり、終わるまでは寂しい思いをすると教えると、とてもショックだったのか青くなっていたよ。


「まぁネコの顔だから青くはなってないけど、そう感じる表情だねググラ」
「ににに、兄様どうすれば良いんですか」
「大丈夫、繁殖は昼から夕方に掛けてだから、それ以外の時間は僕の家に来ると良いよ」


料理も用意するし、お話は聞くとググラの頭を撫でてあげます。
僕の時にはいなかったオスの協力者、ググラにはそれが必要だし、オス同士助け合わないといけない。


「兄様の時はいなかったんですか?」
「いたんだけど、殺し合いになったんだ」
「うぇっ!?」
「僕たちは助け合うからそんな事は無いけど、僕には他にも人種族の同志がいるんだよ」


正直な話、フォーミがいなかったら僕もショックを受けて、それどころではなかったかもしれません。
持つべきものはモフモフ仲間と、王都で頑張ってるフォーミを思いました。


「兄様、その人の事好きなのですか?」
「好きだけど、これは愛じゃないんだ、仲間としての好きなんだよ」
「そうなのですか?」
「うん、向こうもそう思ってると思うよ」


フォーミは婚約者が決まり、とても大変な毎日を送っていて、僕たちも支えながら進めています。
ファシミアとハクアが羨ましそうで、僕とサズラをチラチラと見て来るので、もしかしたらどちらかに気があるのかもだけど、帝国を倒すまでは聞かないつもりです。


「それが同志と言うモノなのですね兄様」
「うん、お互いの気持ちが分かっていても、その人と番になるとは限らない、助け合う事は辞めないけど、離れる事も無いんだ」
「そうなのですか、難しいですね」
「ググラも大人になれば分かるよ」


その為に叩かれるわけで、傷を治してはいけない理由です。
そして、僕はその行為を1日4回行う事になっていて、1月で終わらせないといけないハードスケジュールです。


「僕、今度こそ死ぬかもしれない」
「兄様?」
「ググラ、辛かったら言うんだよ、一緒に寝て助け合おうね」
「は、はい」


ググラは、何でか顔を赤くしていたけど、遠慮しているのが見て取れました。
僕もニャンコを抱いて寝れるし、始まればそれも叶わないので助かります。


「それじゃあ、お勉強を早速しようか」
「はい、よろしくお願いします兄様」
「うん、まずは読み書きからだね」


ネコの手だとペンは持ちにくいから、爪を伸ばしてまずは持つ練習です。
ググラはその日にペンを持てる程度にはなりました。


「わずか3時間で持てる様になるなんてすごいよググラ」
「そ、そうですか兄様」
「うん、これなら明日からは本番が出来る」


読み書きの練習が進めば、彼にも集落の経営を教える事が出来て、族長が出来なかった仕事も任せられます。
繁殖期に入ればしばらく教えられるし、向こうは心配だけどちょっと安心です。


「でも兄様、しばらくあの人達も来れないんですよね?」
「うん、準備は出来てるから、きっと僕が行けるようになったら終わってるよ」


戦いは既に終わっていて、後は占領するだけですから、きっと1ヶ月で終わります。
傷だらけの僕に驚かされそうだけど、獣人はみんなそんなモノなのできっと分かってくれます。
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