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2章 モフモフ同志の為に

38話 反対行動

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「皆よくやってくれた」


国王様は、とても嬉しそうに戦争の報告を話してくれて、アタシの功績が大きいと学園の存在が示されたの。
勿論、アタシはその言葉に応えたのだけど、戦いがこれで終わりと言われたのには疑問でした。


「攻め込まないのですか?」
「そうしたいのだが、国の安定が先だと言う声が大きくてな」
「ですが、帝国が諦めるとは思えません」


帝国とは停戦協定を結んだと、凄く早い対応を伝えられ、裏取引があったのが見て取れたわ。
奪われた物も大きかったのに、民が納得しないと思いましたね。


「幸い、学生が頑張ってくれたから、国を元に戻すのも早いだろう、ほんとによくやってくれたよ」
「それでしたら、相応の説明をお願いします」
「それもそうだな、後日演説をしよう」


国王様が約束をしてくれたけど、分かっているのかが疑問でした。
取り返せたのは奇跡の様なモノなのに、また襲って来るんじゃないかって心配なのよ。


「では、会議はこれで終了する」


国王様が退出した後、誰もが納得していない感じで、アタシ達は話し合いを続ける事したのよ。
停戦なんて直ぐに無い物とされ、絶対に攻めて来ると、全員の意見は一致していたわ。


「当然よね」
「そうじゃな、誰か良い案は無いのか?」
「それなら、裏取引の情報を探りましょう、それが分かってからでも国王は何とかなるわ」


そう、国のトップが悪さをしているのなら、それを正さなければこの戦いは終わりません。
それに、もしかしたら帝国が攻めて来た理由もそれなのかもしれないと、みんなに伝えたわ。


「ローゼンバークス殿、それはさすがに言い過ぎではないか?」
「イクソーン殿、相手の動きが早すぎたのです、こちらが撤退を決めた時の占領速度を見たでしょう」
「た、確かにそうだが、だからと言って」


まだ分からない段階ですが、停戦に持ち込んだ速さを見れば分かるのよ。
そして、他の王族も怪しくて、ここはライデンシュバ公爵だよりになって注目が集まったわ。


「お、俺に振られてもな」
「確か、ライデンシュバ公には、今学生のご子息がいましたよね?たしかイクシーメでしたか」
「いるにはいるが、それが何だと言うんだ?」


ここまで言っても分からないのかと思ったけど、戦場の詳細を知らないから当然でもありました。
今回の戦いで指揮を取り、多大な成果を上げたフォーミ・ポートスと婚約してもらう様に伝えましたわ。


「しょ、正気か?」
「当然ですわライデンシュバ公、それだけの逸材です」
「し、しかし、相手は準子爵だろう」
「いえ、戻ってきたら伯爵になる予定です」


それでもまだ釣り合わないと言ってきますが、最低限の範囲で今取り込むべきと宣言です。
私の娘が男性なら、そんな考えもありましたが、性別は変えられませんし、まだ8歳ですからね。


「そう言う訳ですので、手ごまを用意しいつでも戦えるようにしなくてはなりませんわ」
「しかし、停戦協定を結んだばかりだぞ」
「停戦協定は、しょせん止めているだけですわ、ですのでいつ始まるかは分かりません」


宣言して直ぐに攻めて来た今回と同じになると説明し、次が無い事を伝えましたの。
その為にも、国王の悪事を暴き失脚させるのです。


「王子たちが黙ってないのではないか?」
「イクソーン殿、実は彼らは既にこちら側ですわ」
「「「「なっ!?」」」」


皆さまが驚きましたけれど、一緒に戦って来た仲間ですから、それくらいは当然ですわ。
彼らの指揮をしていたミルティーという女性にご執心で、王族としての地位も捨てるとか言っています。


「ミルティーさんも、爵位は貰っていますから、王族では無くなるだけですわ」
「そ、そこまで進んでいるのか」
「ええ、ですので悪事を暴くだけなのですわ」


ここにいるメンバーを集めず、停戦協定を結んだ時点で終わっていて、もうこれしかありません。
帝国を潰せるほどではなく、公国が団結出来るだけですが、戦争には勝っているので及第点です。


「しかし、何も得られない戦いだったな」
「ええ、巻き込まれた感じですわね」


皆には言えませんし憶測ではあるのですが、今回の戦は王子たちを暗殺する為に行われた可能性があります。
学園の成績を見ても、王子4人は酷かったですからね。


「では、調査をしてからと言う事でお願いします」


私の言葉で本当に解散したのですが、私の方はここからが本番で、ラビルス伯の待つ食事屋に向かったわ。
到着すると、獣人と一緒にラビルス伯が座っていたわ。


「待たせたわねラビルス伯」
「お待ちしていました、会議はどうでしたか?」
「予想通りよ、もうあれは確定ね」


そうですかっと、ラビルス伯は余裕で隣の獣人と頷き合っていたわ。
その獣人は、物資を送り続けてくれた商会の長で、自己紹介をしてもらったの。


「それで、ハク殿はどうなさるのかしら?」
「はい、帝国に入り商業から乗っ取ろうかと思っています」
「そ、それは難しいのではなくて?」


そうでもないと余裕があり、物資を提供できる強みを思い返します。
戦争では、向こうが損失したのは人だけで、中に入っても乗っ取れないと疑問を飛ばしたわ。


「平気です、ちゃんとコネがあります」
「そ、そうなのね・・・それが進めば勝てますか?」
「勿論、その為にここまで来ましたからね」


とても頼もしい言葉を貰い、私は国王を失脚させることに全力を出す事にします。
その為の準備も手助けしてくれるそうで、ラビルス伯も納得してくれたわ。


「では、ワタクシ共も動きます」
「お願いするわラビルス伯、学生が頑張ってくれたのに、国が裏切ったらどうしようもないもの」
「そうですね、内乱が起きるでしょうが、帝国との戦いよりは楽でしょう」


そうでも無い気はしていたけど、順調ではあったので了承の返事を返しました。
数日後の国王の演説で、王子たちが反旗を翻して国王を失脚させたけど、王子たちが見違えるほどに立派になっていたのは驚きでしたわ。
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