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2章 モフモフ同志の為に

36話 厳しい訓練

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「そこ、遅れてますわよ」


私の声に、返事も出来ないでゼェゼェと息を切らせ、ペースは上がらずに走って行く男子たちは、もう周回遅れで目も当てられません。
たかが1時間全力ダッシュでこれでは、相手の魔法が飛んで来たら確実に死にます。


「あなた達は死にたいんですの」
「そ、そう、言われ、でも」
「ぜぇぜぇ、話し、ぜぇぜぇ・・・掛けんな」


もう限界のようなので、隣でやれやれと見てるハクアに指示を出しました。
ハクアは炎の魔法を準備して、男たち目掛けて放ちました。


「「どぁっ!!」」
「ほらほら、死にたくなければ走りなさいっ!」


死ぬ気で走ればまだまだ走れる様で、炎から逃げて速度を上げて走って行きます。
やっと1時間が立ち、見張り台からの私の終了の指示を聞き、走っていた人たちは地面に寝て息を切らせてるわ。


「この程度で、仕方ありませんわね」
「うん、次は当てる」
「そうですわね、少し当てるくらいなら良いですわよ」


見張り台から次の指示を伝えると、まだ誰も動きませんよ。
疲れて動けないとか、戦場で死を意味しているのにそれも分からないのかと、私は見張り台から降りて喝を入れに向かいます。


「ほらほら、いつまで寝ていますの、早く起きて次に行きますわよ」
「も、もう少し休憩させろよ」
「そ、そうだぜ、どれだけ疲れてると・・・思ってるんだよ」


それは分かってるからこそ次の事を行うのだと伝え、私は戦場での事を語ります。
疲れていても動こうとする意志は生き残る為に必要で、今動かない兵士は死んだと宣言です。


「な、なんでだよ」
「何でも何もありませんわ、剣を振り下ろされてもそのまま斬られますのよ」
「そ、その時には逃げるさ」
「だったらそれを証明して見せなさい、じゃないと本番で死にますわよ」


次は腕立てと指示を出し、訓練を再開させましたの。
ノロノロとした動きですが、何とか筋トレを始め30分後にやっと次の戦闘訓練ですわ。


「も、もう腕が上がらねぇ」
「お、オレもだ」
「腕が上がらないなら足を使いなさい、頭で頭突きでも良いですわ」


兎に角攻撃しろと指示を出しますが、それが嫌だったのか剣を上げて振り下ろしたのよ。
まだ上がるじゃないっと、私は腕がほんとに上がらなくなるまで続けさせたわ。


「も、もうダメだ」
「ほ、ほんとに上がらねぇ」
「やれやれですわね」


ヘロヘロの打ち込みは1時間で終了し、その場に全員が倒れてしまったわ。
寝ている兵士もいて、これは収集が付かないとみんなで運んだけど、これでは戦場には出せないと思いました。


「村の復興があったから後1週間、死ぬ気で頑張ってもらいますわ」


昼食前でまだ時間はあり、起きたら食事を取ってまた頑張ってもらいますが、動けないと困るのでグゥガのアイテムを使います。
魔法石を近くに置く事で、動けない程の疲労も回復する、とても頼もしいアイテムなのですわよ。


「まさにチートですが、永続できて強力な回復魔法なんて規格外ですわ」


それが1つの魔法石で出来るとか、普通は思いもしません。
それと言うのも、魔法の発動方法が普通ではなく、魔法陣を使って6つの魔法を使い威力を上げているんです。


「そんな方法、誰が思いつくのか」


グゥガだからさすがと言うほかないし、そうでないと勝てないのも分かっています。
前回の砦侵入もそうだったし、どれだけ訓練しても出来ない事があったんです。


「ほんとにグゥガがいて良かったわ」


彼がいなかったら、被害覚悟で戦う事になり、恐らくここまでにはならなかったわ。
相手が可哀そうになる程の差があり、後は突き進むだけなんだけど、ゲームの主人公が使えないと王子たちがダメなままなので、この戦いの中で変えてもらいます。


「その為の小山での戦いで、上級生を当てがったのにこれですからね」


3年生にはもっと強くなってもらわないと困るから、起きた者から食事を取ってもらい、同じメニューの訓練を続けさせたのよ。
それは24時間行われ、私たちの学園の訓練を思い出す兵士がいて、ちょっと嫌そうな者が出てきました。


「でも、これできっと間に合うわ」


それが分かり、私は空からの情報を聞く為、グゥガの待つ集落に転移したの。
そこでは、グゥガをブラッシングしているファシミアがいて、ズルいっ!と私も参加したのよ。


「モフモフが更に良くなったわねグゥガ」
「ぬふふ~そうでしょフォーミ、実はね、新しいクシを開発したんだ」
「開発って、いったいどこにそんな暇がありましたの」


それが不思議で、グゥガはいつも一緒だし、暇な時間なんてありません。
それなのに、いつの間にか新しい魔道具を作っていて、今回もシャンプー時に使うクシを作った様なの。


「そんな事は良いから聞いてよフォーミ、これはね遠征中でも汚れが取れる優れものでね」


シャンプーを使った時の様にツヤツヤになるとか言って来て、そのクシを見たら魔法陣が所狭しと刻まれてて、そんなの作れないと思ったわ。
量産は終わってるとか言って、軍に配ると言って来たから、口の堅いメンバーだけと制限を掛けました。


「どうしてだよぉ~」
「どうしてじゃないですわ、それを改良したら武器が相当変わりますわよ」
「ええぇ~この細かさなら見えないって」
「ダメです」


毛のお手入れの事になると、凄くワキが甘くなるグゥガなので、私は心配です。
でもね、武器とかはチートを駆使しないし、ちょっと安心してもいるのよ。


「ねぇグゥガ、もし本気になったら、帝国を落とすのにあなたはどれくらい掛かるのかしら?」
「7日あれば余裕だね」


空挺降下や爆撃と色々出来ると言って来て、私たちの負けがない事が分かったわ。
その力も、帝国を倒したら振るわれることはなく、グゥガは集落でのんびりするわけで、私もそれに同上します。


「早くのんびりしたいですわね」
「そうだねぇ~」


クシをグゥガ自信が使って見せて来て、ほんとにツヤツヤになったわ。
ファシミアたちが喜びそうで、とても良いお土産が出来たけど、訓練の事をお話したわ。


「ふむ、学生組は上手くいったんだね」
「ええ、余裕が出来たら、他の兵士たちもするわ」
「嫌がるだろうけど、リーダーたちが苦しんでいたのを見てるから、まぁ断れないね」


そういう事っと、私はニヤリとしました。
グゥガも一緒に笑っていたんだけど、これで3段階くらい強くなれるはずなのよ。


「でも、次はほんとに難関だから仕方ないね」
「そうですわ、公国の砦最後の奪還場所【グラーラス】砦ですわ」
「地図も図面もない、街も含めた砦とか、どうやって攻めるの?」


街の住民も敵に回る場所で、帝国が唯一武力で制圧してない場所です。
情報では、そこを占領した相手の騎士が恩情を与えた様で、街の責任者を説得したそうです。


「それが無ければ、もう少し進軍の時間を稼げましたのに」
「でも、それもゲームであったんだよね?」
「そうですわ・・・そして一番問題がある場所で、ある勝負に勝たないといけませんの」


その方法とは賭博に勝利する事で、相手があり得ない程強いんです。
幸運と呼ぶにふさわしく、チートと言っても良い運営側の設定で、何度もセーブしてやり直しました。
それなしで勝てるのか、私はとても心配だけど、戦わないといけないので2週間後に私たちは出発しました。
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