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1章 モフモフの為に

11話 グゥガは働き者

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あの子が産まれて半年、まだ半年しか経っていない事に、ワタシはビックリしています。


「カカ様、みんなは平気なのにゃ」
「ミーケ、信じましょう」
「でも、グゥガ兄ちゃんも行ったのみゃ」


子供たちは、数名の親と共に集落に残り、他の集落でも同じでグゥガたちが負けた場合には、ワタシたちだけで逃げる準備をしていたわ。
でもね、それをする事は無いと思っているわ、だってあの子が娘たちと遊ばずに準備をしたのだからね。


「あの子は戦ってるのよシーク」
「そうみゃけど」
「心配ないわよシーク」
「キキの言う通り、みんなで待っていましょ」


シャムも分かってるみたいで、毛繕いをしてもらうのを楽しみにしていたわ。
あの子は、それだけ家族を大切にしてて、みんなも信じて待っているの。


「だから待ちましょう」


娘たちは、頷いて戦いが起きている東を見ました。
戦いの音はこちらには聞こえませんが、あの子の話ではもう直ぐ知らせが来て、その結果で私たちは逃げるか迎えに行くかが決まります。


「もう直ぐ結果が」


東を見ていたら、クウシャ様が走って来て、戦力であるクウシャ様が見えて笑顔だったから、それだけでもう結果が分かって安心したわ。
クウシャ様は、東に集まる様に指示をされ、私たちは戦いの起きた場所に集まったのです。


「クウシャ様、いったいどういうことですか?」
「クウヤよ、お前の息子がナーガたちの生き残りを味方に引き入れたのだ」
「そ、それは凄いわね」
「ああ、おまけに、倒した者たちの弔いもするそうだぞ」


それはまた凄い事を考えたわねっと、走りながら心配になったわ。
そんな事他の種族が反対すると、私は思い争いが始まってしまうと思ったの。


「でも、それもないんですか?」
「ああ、既に説得は済んでいる」


こうして、森の平穏が戻りもっと安全な場所になったの。
でもね、私の息子は更に忙しくなってしまい、娘たちと遊べない日が伸びてしまったの。


「んにゃ~」
「不満みゃ~」
「そう言わないの、夜は毛繕いをしてくれてるでしょ」


妹ふたりはそれでも不満で、姉の二人の様に落ち着いてほしかったわね。
数秒しか違わない生まれなのに、どうしてそこまでの差があるのか、それはグゥガの存在が大きいわね。


「甘える側と甘えさせる側、両方別だからグゥガに甘えてるのよね」


夜にグゥガが帰って来るとその両方をあやしてくれて、私は助かるのだけど、その内倒れるんじゃないかと、まだ帰って来ないあの子を心配したわ。
本人は、癒しと言って満面の笑顔で相手してるけど、ほんとにそうなのかと心配していたら、息子が戻って来てみんなで向かえてあげたわ。


「みんな、ただいま~」
「兄ちゃん、早くブラシにゃ~」
「クシでも良いみゃ~」
「はいはい、順番だからねぇ~」


帰って来て、2時間はこうして娘たちの世話をしてくれて、日付が変わる頃にやっと食事になるの。
その間は姉たちの時間で、食事をしてるグゥガの毛繕いをしてあげるのよ。


「ねぇグゥガ、ほんとに平気なの?お母さん心配」
「平気だよカカ様、逆にこれがあるから耐えれるんだ」
「でもね、姉たちは昼まで寝てるから平気なのに、あなたは朝早く出てるじゃない」


睡眠時間が3時間と、とても短くて心配です。
でも、それも今日で終わるらしく、やっとナーガの集落が完成したようよ。


「でも次はドライアド様でしょ」
「ああそれね、そっちは指示だけなんだ」
「じゃ、じゃあ」
「そうだよキキ姉さん、明日から遊べるんだ」


姉のふたりがそれを聞き、グゥガを抱きしめて喜んだわ。
私もホッとして、これでゆっくりできると思ったんだけど、姉ふたりの話を聞いて首根っこを引っ張り止めたわ。


「グゥガが疲れてるのよ、朝から晩まで遊ぶなんて許しません、昼までお休みです」
「「そんな~」」
「良いじゃん、みんなでゴロゴロしようよ」


グゥガが賛成すると、みんなで1つのベッドで寝る事になったわ。
家族全員で寝るのはとても久しぶりで、やっと戻って来たとホッとしたの。


「良かったわ、これで疲れが取れるわね」
「カカ様、僕はカカ様の方が心配だよ」
「私?」
「そうだよ、僕が帰って来るまで起きてるし、朝も見送ってくれるじゃん、いつ寝てるのさ」


私の方を心配してくれる息子は、ほんとに私たちを思ってくれてる良い子で、抱きしめる思いを止められなかったわ。
娘たちがズルいとか言って来るけど、私はもう大切で仕方なかったのよ。


「私はねグゥガ、あなたがお仕事に出た後寝ていたの、だから心配しないで」
「それならいいけど、無理はダメだよカカ様」
「無理をしてるのはグゥガでしょ」
「そうよ、シャム姉さんの言う通りよ」


私からグゥガを奪い、ふたりが心配して抱きしめたけど、ほんとにその通りでこれからは身体をいたわってとお願いしたわ。
ひと段落したから今後は平気と言って来るけど、そう言った数日後にあの戦いが起きて、グゥガがいそがしくなったのよ。


「今後もないとは限らないでしょ」
「その為のナーガ取り込みで、早急な集落作りだったんだ」
「「どういう事?」」


娘2人が、布団を用意しながら聞いたのだけど、森をぐるっと堀で囲む為の準備が出来たそうよ。
ナーガたちがその作業を行い、グゥガの手足となるそうなの。


「だから集落完成を急いでいたのね」
「うん、他の種族に分かってもらう為にもね」
「それが終わったから、明日から休めるのね」
「うん、遅くなったけど、明日はミーケとシークと遊べるよ」


とても楽しみっと、家族を大切にしている事が良く分かったわ。
元からそうだけど、今もミーケとシークを抱きしめて寝ようとしてて、ほんとにそれが楽しみなのが伝わって来たの。


「アタシたちも明日が楽しみね」
「そうねキキ、こうしてゆっくりグゥガと寝れるんだものね」


グゥガの背中に抱き付き、ウトウトしていくキキとシャムは、そのまま眠ってしまったわ。
私も眠いけど、最後に一つ聞きたくて、私は最後に聞いたのよ。


「僕たちが生き残れるのか?」
「そうよ、今回は勝てたわ・・・だけど、次も勝てるとは限らないでしょ」
「そうだねカカ様、だけど勝つよ」


絶対に勝って見せると、強い目をして言ってくれたの。
グゥガは、今までも出来ないと思っていた事を簡単に成して見せたわ、だからその答えが無理とは思わなかった。


「じゃあ安心ね」
「うん、だから楽しい毎日を過ごそう」
「そうね、それがグゥガの楽しみで願いなのよね」


最初からずっと言ってる事で、それの為にグゥガはいつも頑張っているの。
相手が大きくとも、難関な事でもグゥガは乗り越える、それが良く分かったの。
安心したワタシは、みんなと一緒にグゥガを抱きしめて寝たのだけど、獣化してとかグゥガに言われたから拒否したわ。


「な、なんでだよカカ様」
「あなた達よりも大きいから、ベッドに入りきらないわ」


潰れたいの?っと私が注意したら、グゥガはガッカリしていたわね。
そんな所が子供っぽくて可愛いのだけど、普通にしている時との差があって、ドキッとしたわ。
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