上 下
2 / 42
1章 モフモフの為に

2話 技術の向上

しおりを挟む
「無理しちゃダメじゃないグゥガ」
「そうよ、あなたは大切な存在なのよ」


ごめんなさいっと、僕は正座をしたままで謝るけど、どうしてもみんなの暮らしを良くしたいと説得に入ったんだ。
みんなの笑顔と僕がモフリたいのは止められない、だからこそお願いします。


「外に出る許可を貰う為に手伝ってよ姉さん」
「まったく、困った弟ね」
「でもシャム姉さん、アタシたちの為ってのが良いわね」
「そうねキキ、分かったわウチたちも手伝ってあげる」


ふたりが約束してくれて、僕はふたりの手で立たせてもらった。
足がしびれてるから、そのままふたりに運ばれ妹たちも合流したんだよ。


「それでグゥガ、料理ってどうやるの?」
「まずは火を使って石を焼くんだ」
「「「「石?」」」」


器具のない今の状態では、蒸し焼きが一番と考えてて、ミーケに香草を持ってきてもらい、3人には爪を使ってお肉を切り分けます。
その間に僕は焚火を作り、そこに石を投入したよ。


「後は、穴を掘って準備オッケーだ」


塩コショウを振ったお肉の香草包みが出来上がれば、穴に焼いた石と一緒に入れて土を被せ、120分待てば出来上がりです。
みんな、良く分かってないけど、楽しみなのか尻尾が振られてたよ。


「僕も楽しみだから同じだけど、やっぱり可愛いね」


みんなでフリフリと尻尾を振って120分待つと、出来上がった香草を取り除き、その香りで顔が緩みます。
匂いだけで美味しいと分かる良い香りに、みんなもウットリしてて、一口食べようと切り分けます。


「はい、まずはシャム姉からだよ」
「い、良いのかしら?」
「勿論、あ~んして」


シャム姉さんに、あ~んっと食べてもらい、頬を押さえてウットリしてくれます。
次がキキ姉さんで、ミーケとシークにも順番に食べてもらったんだ。


「どうかな?これが料理で外に出たい理由だけど」
「絶対説得しましょう」
「そうね、グゥガが食べさせてくれるなら、アタシも賛成」


毎回【あ~ん】は出来ないけど、手伝って貰える様なので良かったと、僕たちは族長の所に走り、丁度大人たちが集まり夕食を食べていました。
そこで、残っていた香草包みを渡して、料理のすばらしさを伝えたんだ。


「確かに、これは素晴らしいわね」
「美味しいですよね」
「ウム、口の中に味が広がり素晴らしかった、しかしグゥガが危険じゃないか?」
「みんなが付いていますし、危ない事はしません」


ここに留まる方が危険で、シャム姉さんたちが倒れてる僕を発見した時の事を報告しちゃったよ。
怒られそうで焦ったけど、外に出る許可を貰えれば絶対させないと僕を守ってくれたんだ。


「しかし、お前たちも生まれたばかりだ」
「それなら、カカ様も行きましょう」
「シャムの言う通り、あたいも行きますわ族長」


その提案には、族長は少し考えた後に了承してくれて、僕は嬉しくてカカ様に抱き付いたんだ。
カカ様は僕を撫でてくれて、その手はとても気持ち良かったよ。


「では、明日の昼から美味い食事を作ってくれ、期待しているぞグゥガ」
「はい、任せてください族長」


こうして、僕は次の日から集落の食事番になったんだけど、僕が倒れた事をカカ様がすっごく怒って来ました。
大切な存在とか言われるけど、僕にとってはみんなの方が特別で、もっと極上のモフモフを堪能したいんだ。


「それで、外では何をするのかしら?」
「食材の調達だよカカ様」
「そう、普通なのね」
「うん、その間にレベルも上がるでしょ」


目的はレベル上げだけど、経験値アップがあるので狩りをしていればいいんだ。
そして、ある程度手に入れればMPも上がり、欲しい品はスキルで手に入れられる。


「調理器具は欲しいけどMPが足りないし、コンロとかなんてもっと無理だ」
「何が無理なのか分からないけど、兎に角外に出て狩りをすれば良いのねグゥガ」
「うん、護衛よろしくカカ様」


カカ様が倒せば僕たちにも経験値が貰える様で、カカ様は張り切ってくれたけど、本番は明日で今日は寝るだけでした。
次の日の朝食であるフルーツを食べて出発したけど、スキルのおかげか匂いや音で獲物の場所が分かったんだよ。


「あそこ、ラビットがいるね」
「まぁグゥガ、種類まで分かるのね、凄いわ」
「カカ様、倒してみても良いかな?」
「ラビットなら平気よね、頑張って見なさい」


カカ様に許可を貰い、僕は爪を出してスキルを使ってみる事にします。
格闘の戦技である【双牙】を放ち、ラビットを3つに裂きました。


「凄いわ、やっぱりグゥガは天才ね」
「カカ様、言い過ぎです」


僕を抱きしめてくれるカカ様は、喜んでいて聞いてないけど、初歩の戦技を使っただけです。
その後、カカ様が見せてくれた動きは、全然見えない物凄い物で、シャム姉さんたちが対抗しようと頑張っていたよ。


「姉さんたちも僕と同じ年齢なんだから、無理だよ」


数秒しか違わない生まれなのだからっと、息を切らせて倒れる姉さんふたりに注意しました。
でも、僕の為とか言ってくれて、ちょっと僕も嬉しかった。


「でも、無理は行けないよ」
「「は~い」」


どっちが付き添いなのか分からなくなってきますが、それでも楽しく狩りは進み、妹たちの香草採取を手伝う事にします。
根元を器用に爪で切り取り、なかなかうまいので撫でて褒めました。


「もっと撫でてにゃ~」
「シークもみゃ~」
「はいはい、でも全部は取っちゃダメだからね」
「「は~い」」


やれやれっと、キノコを採り始める僕は、カカ様の方にも気を配り、血抜きも担当したんだ。
森には沢山の獲物がいるのが分かり、僕はスキルで器具の取得を優先出来そうでニコニコが止まりません。


「嬉しそうねグゥガ」
「カカ様、食料が沢山手に入ったからね」
「それは良かったわ・・・でも、今日は特別だったのよ」


たまたまと言って来るカカ様は、ちょっと不安そうな表情をして来たので、取れなくなっているのが分かりました。
狩りが安定しないのは当然で、僕はそこにも手を入れるべきと考えます。


「150回の転生が生きる時だ」


その為に僕はここにいる、そんな気分になったけど、僕はそれ以上に大好きなニャンコたちが困っているなら助けて見せるよ。
沢山の獲物を持って僕たちは集落に帰り、本格的な調理をする準備に取り掛かります。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ボクは55歳の転生皇子さま!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:127pt お気に入り:2,528

最弱職【村人】を極めた最強の男、過去へ戻って人生をやり直す

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:184

処理中です...