上 下
83 / 95
最終章 平和に向かって

69話 ハルサーマルたちの秘密

しおりを挟む
「まったく次から次に、ハル!また来るぞ」

「了解ネネ、邪魔だ!クロネコ」

「ギャン!」


自分の蹴りを食らい、ネコっぽい獣人が吹っ飛んで行った、今自分たちは先生に持ち場を託され、空中都市の街長を護衛しながら通路を移動しています、通路の先には、獣の姿をした奴らがかなりの数待ち構えていて、爪を出して襲ってきているんだ。


「すごいの!ハルちゃんもネネちゃんも頑張るの」


アイナちゃんがそう言って、ウォーターバレットのボールを使い、獣人たちを吹っ飛ばし壁にめり込ませて倒しています、まるで遊んでいるように倒すそれを見て、自分はまだまだだと思ったよ。相手が飛び道具を使わず、爪や牙と格闘系だから、この数でも何とかなっている、そう感じるんです。


「もっと精進して先生の後に続かないと、マイマイそろそろ限界かな?」


マイマイが息を切らしていたので、自分は加勢に向かい、敵を蹴り飛ばしてマイマイの背中を守りました。

かなり息を切らせてる、自分とネネは先生と一緒にいたから、こんなの慣れっ子だけど島での訓練だけのマイマイには、この数はきついんだね。


「ま、まだまだである、あたいはまだやれるである」

「マイマイさん下がって!イナークさんサポートを」


そんな時、後ろからメナーサちゃんの声が響いたよ、メナーサちゃんは自分たちの指示係をしています、イナークと交互にしているんだけど、これだけの数が相手だと、メナーサちゃんが主に指示を出さないと間に合わない、戦闘からイナークが抜けれないんだ。


「あの・・・皆さんお強いのですね」


イサナミ副船団長たちと共に、テトラアンドロイドたちに守られ街長の獣人さんがちょっと呑気に言ってきた、先生がいなくなって口調を戻したけど、そっちの方が自分たちには聞きやすいので助かっているよ。

でも自分は余裕と言いたいけど、ぎりぎりで押さえている状態なんだ、確かに危機的状況にならないようにしているから、守られていると分からないかもしれない、先生と比べると自分はそうは思えないんだ。


「そんな事はないですよ街長さんこれでもギリギリです、でもあと少しの辛抱です、この広間を抜ければ」

「お待ちくださいハルサーマル氏」


自分が通路を抜け、街の道に出ようとしたら、イサナミ副船団長と一緒にいた、テトラアンドロイドの1人が手を挙げ言ってきた、テトラアンドロイドたちはメイド服なんだけど、その一体だけは容姿が少し違う、髪の色が赤でアンドロイドたちの隊長をしているんだ。


「テラミ、何か気になる事があるんだね」

「はいハルサーマル氏、この障害物のない場所では狙撃の可能性があります、アイナ様、玄武様のシールドをわたくしに」


テラミがそう言ったので、アイナちゃんが抱えている、玄武様が魔法を使った。先生の話では、そのシールドは、島のバリアよりも強力だそうです。


「カメー」

「ありがとうございます玄武様、では見ていてください」


テラミがそう言って道に飛び出した、その瞬間、銃声がしてテラミが自分たちの方に吹っ飛んできたよ。


「ほらね、狙撃がありました、ここを通るには玄武様のシールドが必須です」


倒れたままでテラミが自分の方を向き、笑顔でそう言ってきた、何だか申し訳ない気になるよ。


「カメーカメカメ~」


テラミが立ち上がり、服の汚れをはたいていると、玄武様が何か言っていた、言葉が分かるのはアイナちゃんだけなので、通訳を待ったよ。


「ゲンちゃんが言ってるの、全員にシールドを張ると、ドローンに着くころにはヘトヘトになるの」


そう言って玄武様を撫でています、となるとその後の防衛が辛くなるかもしれない、玄武様のシールドは、切り札として出来るだけ取っておきたい。


「自分は、あまり無理はしない方が良いと思うけど、イナークとメナーサちゃんはどう思う」


ふたりが顔を合わせて頷いた、どうやら話し合う必要はなさそうです、ここで無理はしない作戦で行くよ。


「私は、アーマーがあれば行けると思うんだ、ふたりがそう言うならそちらの方が良いな」

「ネネが言うならあたいも良いである」


ネネとマイマイもそれでいいようです、あのアーマーがあれば防衛はかなり楽になる、だけど自分たちの役目は敵を倒すことじゃない、街長を守る事だ、狙撃などで街長が撃たれては意味がない。


「じゃあここは通れないね、街長殿、何処か隠れる場所はありませんか?」

「でしたら、わたくしの社に行きましょう、あそこなら獣化が解けてしまうし、森が広がっています、今よりは楽に戦えるかと」


そう提案されたので、道を戻る事にしました、後ろで街長に案内をしてもらいながら、自分たちは狭い通路を向かってくる敵を倒しながら進んだ、そして違和感を感じたんだ。


「これは・・・ハル」

「ネネも感じた?やっぱり敵が待ってそうだよね」


遭遇する敵の数が、明らかに少なくなってきているんだ、かなりの数を自分たちが倒したから減ったのかもしれない、でも最悪の事態を考えないとね。


「僕もそう思うよ、相手はここを知ってる者たちだからね、何か企んでいるのかも」


メナーサちゃんが直ぐに言ってきました、だからと言ってドローンの所には戻れない、社に向かうしかない、もし通路でも飛び道具を使われていたらと思うと、ぞっとするよ。


「護衛ってこんなに大変だったんだね、先生はいつも自分たちを守ってくれていた、こんな事をいつも1人でしてたんだ」


先生のすごさを再確認したよ、でも自分たちは一人じゃない、みんなで役割をこなせばきっと出来る、先生が託してくれたんだから。


「あれがそうです、どうですか?」


さっきと同じ感じの広い通路に差し掛かって、その先に木で出来た大きな建物が見えます、自分はテラミを見たけど、どうやら敵はいないようです。


「じゃあこのまま行くよ」


自分の合図で走りだし、社に向かいました、何処からも攻撃がないので、どうやら安全みたいです。


「でもおかしいよね、こんな絶好の場所で、誰も待ち構えていないなんて」


そう言いながら、自分は周りの気配を探りました、そうしたら段々気配が増えていったんです。


「まずいですねハルサーマル氏」


自分が感じた気配をテラミも感じたようで、困った顔をしています、でももう少し焦ってほしいな。


「でもまだ距離があるから、移動すれば」


自分が言ったタイミングで、玄武様のシールドが周りに張られました。


「カメッ!?カメカメ!」

「ゲンちゃんが言ってるの!銃撃が来るの」


アイナちゃんの言葉が発せられた直後、周りから凄まじい銃声が響きました、玄武様のシールドが無かったら、自分たちはやられていたかもしれないよ。


「こ、これってまさか!?」

「そうだねネネ、これはガトリングガンだ、それもかなり性能が良くて数もいる」


ネネに応えて自分は周りを見まわしました、銃撃のせいで社がもうほとんど残っていません、そして銃声が鳴りやむと、遠くから声が聞こえたんです。


「あーあー聞こえますかな?こちらフクーロと言うものです、街長はご健在ですかな?」


のんびりとした口調でそう言われた、自分たちは街長を見た、街長は頷いているから、どうやら知ってる者のようだった。


「やられました、あの者は闇に潜むことを得意とする種族、フクロウ族の長です」

「ホウホウ、小声でわたくしめのご紹介ですかな?ご紹介ありがとうございます、まだまだご健在のようで喜ばしい事ですな、ホウホ~ウ・・・ではここで提案です、街長をこちらに引き渡してください」


自分たちの小声の話を聞かれていることに驚いていると、すかさず向こうから要求が来ました、自分たちは考える時間を与えられず、混乱してしまったんだ。


「ど、どうするハル!イナークもメナーサもしっかり考えろ!」


ネネがすごく動揺して言ってきた、だけどここで冷静だったのは、イナークとメナーサちゃんだ、持っていた紙に何かを書き始めた。それを読んで自分とネネは顔を見合い、同時に頷いて、ある事を始めたんだ。


「ネネ落ち着いて、まだ方法はあるよみんなで話し合うんだ」

「何を言っているハル!このままではハチの巣だぞ、もうだめだ!」


自分は諦めない、でも深刻そうにネネが言って頭を抱えて叫んでいます、防御は完璧だけどずっとは続かない、早く決めないといけないんだ。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ

真輪月
ファンタジー
お気に入り登録をよろしくお願いします! 感想待ってます! まずは一読だけでも!! ───────  なんてことない普通の中学校に通っていた、普通のモブAオレこと、澄川蓮。……のだが……。    しかし、そんなオレの平凡もここまで。  ある日の授業中、神を名乗る存在に異世界転生させられてしまった。しかも、クラスメート全員(先生はいない)。受験勉強が水の泡だ。  そして、そこで手にしたのは、水晶魔法。そして、『不可知の書』という、便利なメモ帳も手に入れた。  使えるものは全て使う。  こうして、澄川蓮こと、ライン・ルルクスは強くなっていった。  そして、ラインは戦闘を楽しみだしてしまった。  そしていつの日か、彼は……。  カクヨムにも連載中  小説家になろうにも連載中

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

処理中です...