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2章 選択
45話 防衛施設の指導
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「座標来ました」
「よし、撃ち方始め!」
メナーサちゃんの悩みを聞いた夜から1週間が経った、あの後ヨースドが血相を変えて俺の所に来たんだ。
なんでもな、次の俺たちの旅にメナーサちゃんが同行したいと言ってきたそうだよ、そしてヨースドはどうすればいいのか分からないようだった、俺としては頼みたいくらいなんだがあれは言えない。メナーサちゃんは、既に亜生奈と旅の準備をし始めているから、もう少ししたら話す予定だ。俺はと言うと、防衛施設の使い方を指導中で今撃っている目標は的ではなく俺本人だ。
「ふむ、ちょっと右に逸れたかな『左に2目盛り修正してもう一度だ』」
無線で海軍部隊の指令室に連絡しながら俺は構えている。
『はっ了解しました船団長・・・聞いたな2目盛り修正だ』
『りょ、了解』
ここの海軍部隊の隊長が俺の指示を砲主に伝え、もう一度遠くに置いた的(俺)に魔力弾が発射された、今度は俺の胸に命中だ。
『良いぞその調子だ!海面すれすれにいるから、狙いにくいかもしれないがよく狙って撃てよ、次はウキからの情報を読み取ってやってみろ』
次の的はウンディーネが担当してる、幾つもの的を運んで一定距離に置いて貰っているんだ、そして陸にはノームが待機している、的を壊したら新しい的を作ってもらう為だ、こういった事は反復練習が物をいう、何度もやって覚えないと使う時に出来ませんって事になるからな。
「それにしてもすごいですね」
隊長が砲主に指示を出し終わると驚いた顔をしていた、海水を拭きとりながら指令室に来た俺を見て言ってきたが、隊長が驚いているのは俺の作っているウキの事だぞ、この島を囲んで10キロ間隔で50キロまで設置してある。波や海流に流されないように作られていて、それもまた釣りスキルだから出来たことだ、それのおかげでここに接近する船はすぐに索敵出来るし座標も正確だ、さっき手動で撃ってもらった時は外したのに、今は外すことなく1発で命中している。
「これに頼ると砲主の腕が鈍る、訓練では座標を読む者を外に置くようにな」
「はっ承知しております、船団長は次はどこに行かれる予定ですか?」
俺が部屋の入り口に体を向けたから隊長が聞いてきた。海に撃ち込む魔導砲は最初の防衛ラインだ、次は上陸するタイミングで攻撃する部隊を設置する予定なんだが、まだまだ人が足りない。なのでそこではなくその次だ。
「防壁防衛部隊の所だ、あそこも砲主が要だからな」
「え!?・・・上陸の阻止はされないのですか?」
「そこに人は要らないんだ、ちょっとした施設を設置したんでな、だから次の場所になる」
砂浜に落とし穴が設置してある、そこに落ちると地下にある牢獄に入る事になってるんだ、そしてその設備は緊急時しか作動しない。これもウキが敵を認識したら発動するんだぞ。
「そ、そうでしたか、では我々は訓練を継続いたします」
「頼むよメッシーナ、1時間したらこちらは終了にしてくれよ、休むことも大切だからしっかり時間を守るようにな」
「はっ」
茶髪のロングヘアーが特徴的な女性隊長のメッシーナにそう言うと、綺麗な敬礼をしてきた、他の兵士たちも遅れて立ち上がり俺の方を向いて敬礼してきたんだ、さすが軍人って感じだ。
戦いが始まった場合、最初に攻撃を始めるこの者たちが島の要だ。忠告をして戦うかどうかの判断をしてもらう、今の戦力なら戦った時点で終わりそうだが、相手の数が多ければ分からんからな。
「一度実戦をしておきたいが、相手がいないからそうもいかない・・・誰か攻めてこないだろうか?」
ちょっと愚痴のように言いながら、俺は緊急時に地中から出現する防壁の場所に向かった。訓練なので事前に防壁が伸びていて既に見える位置だ、森に入る前の平原地帯がそうなっている。壁には長方形の穴が開いていて、兵士たちが顔を出しているよ。
「撃ち方ー始めぇ!」
俺の到着を確認したからだろうか、防壁の方からそんな声が聞こえ、緑色の玉が長方形の穴から平原に向けて打ち出された、あれに触れると体が痺れて動けなくなる、鎧を着ていても痺れるんだ。
「ふむ、もう少し隙間を開けて撃ってもらわないといけないな」
草原が緑色に染まったがちょっと染まり過ぎだ、もう少し隙間を開けて攻撃しないと大人数が襲って来た時、次弾が間に合わない。
「まぁ防壁に着いても壁の電撃で失神するんだがな、それに入り口が無いから壊さないと結局通れない」
地中から出現させている壁なので門などの入り口が一切ない、長方形の穴は人が通れる大きさでもないんだ。ありえないことだが、もし味方が草原から走ってきた場合は、誕生日会で渡したイヤリングが反応し、小さな入り口が一瞬開ようになっている、そしてそれはその者にしか反応しないので、奪われてもそいつらは使えない、身分証みたいなものだな、大人の日を早急に作り配ったのはそれが理由でもある。
決して、俺が遊びたかったとかではないぞ、先を見据えた準備だ。
「しっかりやってるか?」
防壁の隊長はアンナジナーだ、イサナミももちろんこの島に到着していて、今は計理の仕事をしてもらっている、最初大変だったんだぞ、ふたりが俺に抱き着いて来てな。
「おうよ、当たり前だろケンゴ・・・っと今は船団長だったな」
「ははは、アンナジナー俺たちの仲だろ、健吾と呼んでくれていい」
「そう言うわけにはいかねぇよ、今は仕事中だ・・・個人的な時間なら、その・・・良いと思うけどな」
そう言って何故かモジモジしている、アンナジナーはもう少ししたら産休に入る、お腹が大きくなる前に長い休みを取ってもらうんだ、イサナミもその予定で他にも数名予定している、島では早急にする仕事は防衛訓練しかない、急ぎでないなら休んでもらい丈夫な子供を産んでほしい。
もちろん医者は船団に1人ずついたので、ヨースドがトップで統括してもらっている、ウィローが張り切っているよ。
「じゃあ、今夜食事に来いよ、報告も兼ねてな」
「ほんとか!?やったぜ」
「いでっ!」
そう言って隣に立っていた兵士をバシッと叩いた、隣の兵士は兜が取れ背中を痛そうにさすっていた。よく見たらジンキャーだったので、後で何か差し入れしてやろうとは思ったよ。
「じゃあ後でな、俺は森の最終防衛ラインに行ってくる」
「おう!楽しみにしてるぜケンゴ」
射撃の点を注意して俺は次に向かった・・・不思議に思っているかもしれないので言っておく、島の作りからしておかしな点があるよな。
この島は円形だ、そして住宅などの居住地エリアを海沿いに作っている。だが防衛しているのは反対側の海岸で住宅エリアには一切ない、島を囲っているウキに秘密があり、強力な阻害魔法を発しているんだ、この島に近づくにはその方角からしか来れないほどだ。欠点としては、魔法は海から来る場合で空には効かない、その場合はクラゲのバリアで防ぐ事になっている。
「さて、森に着いたが・・・誰が最初に来るかな」
気配を消さないで俺は森を歩いた、これは最初の訓練だから見つけやすくしたんだ。そして最初に来たのはハルサーマルとネニネイだった、俺の背後をとり攻撃してきた、俺は二人の斬撃を振り向かずに躱し、2人の武器を掴んで投げた、2人は飛ばされているが空中で体勢を整え綺麗に着地した、そして距離を取って構えている。
「なかなか良い初撃だったぞふたりとも」
「さすが先生ねハル」
「ほんとだよネネ、しっかり気配は消してたのに、どうして分かるんですか先生!」
ハルサーマルとネニネイが不思議そうにしながらもネニネイが槍を構え、ハルサーマルが片手剣と短剣を交差させて戦闘態勢だ。防壁を突破された時点で、もう俺たちに余裕は無くなる、今までは捕獲前提の作戦でここからは確実に仕留める方向なんだ、その為ここで戦う者たちは、ハルサーマルたちのような凄腕たちになる、ここまで来たら相手も凄腕だろうから容赦はしない。
「二人は気配を消したと言っているが、攻撃の一瞬だけ殺気を感じたぞ、まだまだだって事だな」
そう注意すると、2人は顔をポリポリかいていた、まぁ木から降りてきて攻撃が当たる瞬間だから、それに気づいても普通は間に合わない、反応できるのは俺くらいだから二人はかなりの腕前だ。
「仕方ないわ、ハル行くわよ!」
「ああネネ、新しいコンビネーションだね」
ふたりが縦に並んで俺に突っ込んできた、身長差で後ろのネニネイが見えないから本命はネニネイだろう。だがハルサーマルも本気で決めに来ている、俺がハルサーマルの片手剣と短剣の攻撃を躱すと、絶妙な距離を保っていたネニネイが槍の突きをしてきた。二人の同時攻撃はかなり洗礼されていて、俺は驚いたぞ。
「息の合った二人ならではだな、剣速も申し分ない」
普通の者だったら絶対に防げないだろう、それほどに息の合った素晴らしい攻撃だった、俺も躱さず両手で槍を掴んで止めたほどで、躱すことはまず不可能だろう。
俺の本気モードなら別だが、あれは範囲外だ。
「やった!?ついに先生に手を使わせたよ」
「そうねハル、やっとここまで来れたわ」
俺は二人の指導の時、攻撃を躱すだけにしている、俺に手を使わせてみろといつも言っているんだ。それが今日、初めて出来て二人は嬉しそうだ。
「よくやったなふたりとも、俺も嬉しいぞ、今日はお祝いをするか」
「「はい先生!」」
ふたりが嬉しそうに返事をした、そしてそのタイミングで他の者たち(マーメイドの騎士たち)が木の陰から攻撃してきたんだ、俺はそれをすべて躱し一瞬にして全員の頭を軽くたたいた。
「「「「「痛あぁぁー!?」」」」」
「他の者はまだまだだな、もっと精進するように」
軽めに叩いたのに凄く痛がっていた、大げさだよとか思ったんだが、ハルサーマルたちが自分たちが受けてた時のことを思い出し、同じ感じで頭を抑えていた。
だからそんなに強くしてないんだぞ。
「まぁいいか、これで今日の訓練はお終いだ、各自報告書を作って提出するようにな、それと今日は初の演習って事でお祝いをする、広場に集まるようにな」
「「「「「やったー!!」」」」」
今日一番の歓声を聞いた。みんな宴が好きだよな、幸せをかみしめることが出来るのかもしれない、この世界ではギリギリの生活をするのが普通だからな。
そしてその日の夜は演習の話で盛り上がり、録画を出来る何かを釣っておけばよかったと思ったな。
「よし、撃ち方始め!」
メナーサちゃんの悩みを聞いた夜から1週間が経った、あの後ヨースドが血相を変えて俺の所に来たんだ。
なんでもな、次の俺たちの旅にメナーサちゃんが同行したいと言ってきたそうだよ、そしてヨースドはどうすればいいのか分からないようだった、俺としては頼みたいくらいなんだがあれは言えない。メナーサちゃんは、既に亜生奈と旅の準備をし始めているから、もう少ししたら話す予定だ。俺はと言うと、防衛施設の使い方を指導中で今撃っている目標は的ではなく俺本人だ。
「ふむ、ちょっと右に逸れたかな『左に2目盛り修正してもう一度だ』」
無線で海軍部隊の指令室に連絡しながら俺は構えている。
『はっ了解しました船団長・・・聞いたな2目盛り修正だ』
『りょ、了解』
ここの海軍部隊の隊長が俺の指示を砲主に伝え、もう一度遠くに置いた的(俺)に魔力弾が発射された、今度は俺の胸に命中だ。
『良いぞその調子だ!海面すれすれにいるから、狙いにくいかもしれないがよく狙って撃てよ、次はウキからの情報を読み取ってやってみろ』
次の的はウンディーネが担当してる、幾つもの的を運んで一定距離に置いて貰っているんだ、そして陸にはノームが待機している、的を壊したら新しい的を作ってもらう為だ、こういった事は反復練習が物をいう、何度もやって覚えないと使う時に出来ませんって事になるからな。
「それにしてもすごいですね」
隊長が砲主に指示を出し終わると驚いた顔をしていた、海水を拭きとりながら指令室に来た俺を見て言ってきたが、隊長が驚いているのは俺の作っているウキの事だぞ、この島を囲んで10キロ間隔で50キロまで設置してある。波や海流に流されないように作られていて、それもまた釣りスキルだから出来たことだ、それのおかげでここに接近する船はすぐに索敵出来るし座標も正確だ、さっき手動で撃ってもらった時は外したのに、今は外すことなく1発で命中している。
「これに頼ると砲主の腕が鈍る、訓練では座標を読む者を外に置くようにな」
「はっ承知しております、船団長は次はどこに行かれる予定ですか?」
俺が部屋の入り口に体を向けたから隊長が聞いてきた。海に撃ち込む魔導砲は最初の防衛ラインだ、次は上陸するタイミングで攻撃する部隊を設置する予定なんだが、まだまだ人が足りない。なのでそこではなくその次だ。
「防壁防衛部隊の所だ、あそこも砲主が要だからな」
「え!?・・・上陸の阻止はされないのですか?」
「そこに人は要らないんだ、ちょっとした施設を設置したんでな、だから次の場所になる」
砂浜に落とし穴が設置してある、そこに落ちると地下にある牢獄に入る事になってるんだ、そしてその設備は緊急時しか作動しない。これもウキが敵を認識したら発動するんだぞ。
「そ、そうでしたか、では我々は訓練を継続いたします」
「頼むよメッシーナ、1時間したらこちらは終了にしてくれよ、休むことも大切だからしっかり時間を守るようにな」
「はっ」
茶髪のロングヘアーが特徴的な女性隊長のメッシーナにそう言うと、綺麗な敬礼をしてきた、他の兵士たちも遅れて立ち上がり俺の方を向いて敬礼してきたんだ、さすが軍人って感じだ。
戦いが始まった場合、最初に攻撃を始めるこの者たちが島の要だ。忠告をして戦うかどうかの判断をしてもらう、今の戦力なら戦った時点で終わりそうだが、相手の数が多ければ分からんからな。
「一度実戦をしておきたいが、相手がいないからそうもいかない・・・誰か攻めてこないだろうか?」
ちょっと愚痴のように言いながら、俺は緊急時に地中から出現する防壁の場所に向かった。訓練なので事前に防壁が伸びていて既に見える位置だ、森に入る前の平原地帯がそうなっている。壁には長方形の穴が開いていて、兵士たちが顔を出しているよ。
「撃ち方ー始めぇ!」
俺の到着を確認したからだろうか、防壁の方からそんな声が聞こえ、緑色の玉が長方形の穴から平原に向けて打ち出された、あれに触れると体が痺れて動けなくなる、鎧を着ていても痺れるんだ。
「ふむ、もう少し隙間を開けて撃ってもらわないといけないな」
草原が緑色に染まったがちょっと染まり過ぎだ、もう少し隙間を開けて攻撃しないと大人数が襲って来た時、次弾が間に合わない。
「まぁ防壁に着いても壁の電撃で失神するんだがな、それに入り口が無いから壊さないと結局通れない」
地中から出現させている壁なので門などの入り口が一切ない、長方形の穴は人が通れる大きさでもないんだ。ありえないことだが、もし味方が草原から走ってきた場合は、誕生日会で渡したイヤリングが反応し、小さな入り口が一瞬開ようになっている、そしてそれはその者にしか反応しないので、奪われてもそいつらは使えない、身分証みたいなものだな、大人の日を早急に作り配ったのはそれが理由でもある。
決して、俺が遊びたかったとかではないぞ、先を見据えた準備だ。
「しっかりやってるか?」
防壁の隊長はアンナジナーだ、イサナミももちろんこの島に到着していて、今は計理の仕事をしてもらっている、最初大変だったんだぞ、ふたりが俺に抱き着いて来てな。
「おうよ、当たり前だろケンゴ・・・っと今は船団長だったな」
「ははは、アンナジナー俺たちの仲だろ、健吾と呼んでくれていい」
「そう言うわけにはいかねぇよ、今は仕事中だ・・・個人的な時間なら、その・・・良いと思うけどな」
そう言って何故かモジモジしている、アンナジナーはもう少ししたら産休に入る、お腹が大きくなる前に長い休みを取ってもらうんだ、イサナミもその予定で他にも数名予定している、島では早急にする仕事は防衛訓練しかない、急ぎでないなら休んでもらい丈夫な子供を産んでほしい。
もちろん医者は船団に1人ずついたので、ヨースドがトップで統括してもらっている、ウィローが張り切っているよ。
「じゃあ、今夜食事に来いよ、報告も兼ねてな」
「ほんとか!?やったぜ」
「いでっ!」
そう言って隣に立っていた兵士をバシッと叩いた、隣の兵士は兜が取れ背中を痛そうにさすっていた。よく見たらジンキャーだったので、後で何か差し入れしてやろうとは思ったよ。
「じゃあ後でな、俺は森の最終防衛ラインに行ってくる」
「おう!楽しみにしてるぜケンゴ」
射撃の点を注意して俺は次に向かった・・・不思議に思っているかもしれないので言っておく、島の作りからしておかしな点があるよな。
この島は円形だ、そして住宅などの居住地エリアを海沿いに作っている。だが防衛しているのは反対側の海岸で住宅エリアには一切ない、島を囲っているウキに秘密があり、強力な阻害魔法を発しているんだ、この島に近づくにはその方角からしか来れないほどだ。欠点としては、魔法は海から来る場合で空には効かない、その場合はクラゲのバリアで防ぐ事になっている。
「さて、森に着いたが・・・誰が最初に来るかな」
気配を消さないで俺は森を歩いた、これは最初の訓練だから見つけやすくしたんだ。そして最初に来たのはハルサーマルとネニネイだった、俺の背後をとり攻撃してきた、俺は二人の斬撃を振り向かずに躱し、2人の武器を掴んで投げた、2人は飛ばされているが空中で体勢を整え綺麗に着地した、そして距離を取って構えている。
「なかなか良い初撃だったぞふたりとも」
「さすが先生ねハル」
「ほんとだよネネ、しっかり気配は消してたのに、どうして分かるんですか先生!」
ハルサーマルとネニネイが不思議そうにしながらもネニネイが槍を構え、ハルサーマルが片手剣と短剣を交差させて戦闘態勢だ。防壁を突破された時点で、もう俺たちに余裕は無くなる、今までは捕獲前提の作戦でここからは確実に仕留める方向なんだ、その為ここで戦う者たちは、ハルサーマルたちのような凄腕たちになる、ここまで来たら相手も凄腕だろうから容赦はしない。
「二人は気配を消したと言っているが、攻撃の一瞬だけ殺気を感じたぞ、まだまだだって事だな」
そう注意すると、2人は顔をポリポリかいていた、まぁ木から降りてきて攻撃が当たる瞬間だから、それに気づいても普通は間に合わない、反応できるのは俺くらいだから二人はかなりの腕前だ。
「仕方ないわ、ハル行くわよ!」
「ああネネ、新しいコンビネーションだね」
ふたりが縦に並んで俺に突っ込んできた、身長差で後ろのネニネイが見えないから本命はネニネイだろう。だがハルサーマルも本気で決めに来ている、俺がハルサーマルの片手剣と短剣の攻撃を躱すと、絶妙な距離を保っていたネニネイが槍の突きをしてきた。二人の同時攻撃はかなり洗礼されていて、俺は驚いたぞ。
「息の合った二人ならではだな、剣速も申し分ない」
普通の者だったら絶対に防げないだろう、それほどに息の合った素晴らしい攻撃だった、俺も躱さず両手で槍を掴んで止めたほどで、躱すことはまず不可能だろう。
俺の本気モードなら別だが、あれは範囲外だ。
「やった!?ついに先生に手を使わせたよ」
「そうねハル、やっとここまで来れたわ」
俺は二人の指導の時、攻撃を躱すだけにしている、俺に手を使わせてみろといつも言っているんだ。それが今日、初めて出来て二人は嬉しそうだ。
「よくやったなふたりとも、俺も嬉しいぞ、今日はお祝いをするか」
「「はい先生!」」
ふたりが嬉しそうに返事をした、そしてそのタイミングで他の者たち(マーメイドの騎士たち)が木の陰から攻撃してきたんだ、俺はそれをすべて躱し一瞬にして全員の頭を軽くたたいた。
「「「「「痛あぁぁー!?」」」」」
「他の者はまだまだだな、もっと精進するように」
軽めに叩いたのに凄く痛がっていた、大げさだよとか思ったんだが、ハルサーマルたちが自分たちが受けてた時のことを思い出し、同じ感じで頭を抑えていた。
だからそんなに強くしてないんだぞ。
「まぁいいか、これで今日の訓練はお終いだ、各自報告書を作って提出するようにな、それと今日は初の演習って事でお祝いをする、広場に集まるようにな」
「「「「「やったー!!」」」」」
今日一番の歓声を聞いた。みんな宴が好きだよな、幸せをかみしめることが出来るのかもしれない、この世界ではギリギリの生活をするのが普通だからな。
そしてその日の夜は演習の話で盛り上がり、録画を出来る何かを釣っておけばよかったと思ったな。
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