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2章 選択

42話 感動の再会

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「やっぱり勝てそうもないな」


あれから9日が経過した、そして今、俺の目の前で二人の少女が抱きしめ合っている、感動の再会だ。


「ケンゴさん、あの子がいつもアイナちゃんが手紙を送っていた子ですか?」

「そうだイナーク、メナーサちゃんって言うんだ、あの子は心臓が悪かったんだが、それが治って今は元気になってる」


俺の隣でイナークが泣いている、感動して泣いているんだ、俺はその隣にいる男性の方が気になってそこまでには至っていない、やはりというか、あの箱は開けたんだなとか思い、エリアサーチで上層部の奴らを見ている。


「ケンゴさん、ご無沙汰しています」


ある程度目星をつけると、亜生奈が二人を引っ張ってきた、そして俺も久しぶりの再会だ。


「元気そうで良かったヨースド、それにメナーサちゃんもな」


メナーサちゃんを撫でた後、ヨースドと握手をした、色々あったのは召喚獣のウィローに聞いている、ただこいつの報告は「ふたりは元気よぉ~」とか断片的なんだ、もっと詳しく聞きたいと思っていた。


「ケンゴさんのおかげです、この子がいなかったらわたしたちは今頃、拘束されていたかもしれません」


2人に見られてウィローが無い胸を張っている、出来ることなら使わない方が良かったんだが、あれだけの薬を使ったんだ可能性は高かった、良かったよ保険を掛けておいて。


「じゃあ船団長にも言っておかないとな、そんな奴らはお仕置きだ」

「そうなの!絶対許さないの」


亜生奈が俺の後に続いて言っているが、恐らく何を言っているのか分かっていない、分かるのはメナーサちゃんが下を向いてしまったから、辛い事があったのだと察知したからだ。


「それじゃ島の案内は亜生奈とイナーク頼むな、俺はエブラルタ船団のタラント殿に挨拶をしてくる」

「分かりました、それでは行きましょうヨースドさん」

「メナーサ行くのー」


メナーサちゃんを引っ張り、亜生奈が先頭を歩きだした、それを見てヨースドとイナークは笑いながら後に続いたよ。

楽しそうでいいよな、俺はこれから仕事だ、のんびり出来る時間はないな。


「どうもタラント殿、そちらのご老人は?」


心の中で愚痴を言いながら俺は仕事に向かった、エブラルタ船団の船団長であるタラント殿が、車いすを押していたので俺は早速挨拶をした、タラント殿は元気そうではある、俺たちの再会を見て待っててくれた、空気を読んでくれるのは助かる、もしあの感動の再会を邪魔したら、俺は怒りが爆発したかもな。


「こちらは俺の父親で、元船団長のワーカイン・エブラルタです」


タラントが父親を紹介してくれた、俺はワーカインと握手を交わし思っていた、ヨースドの手紙に色々書いてあったから大体は知っている、鑑定を掛けて見たが確かに寿命で弱ってきている。


「俺はここの代表って事になってる健吾だ、これからはここが家だ、ゆっくりしてくれ」


宿泊施設に向かいながら島の事を話した、驚いて聞いていたが残念なことに寿命は延びない、ここの食事は栄養が高くバランスが良い、少しは寿命が延びるだろう。


「こ、これはほんとにすごい」

「大したことはないぞタラント殿、他の船団が着いたら更に島を大きくする予定だ、仕事の分配は明日話すとして、今日はパーティーでも開こう」


既にほかの者たちは準備をしてるだろう、その日は楽しい夜を過ごした。そして次の船団が来る毎にどんどん宴を開き島に上陸してもらったよ。


「よし!島の増設完了っと、ノームそっちはどうだ?」


エープル大船団の合流船団が残り4つとなり、俺はノームと一緒に島を大きくし始めた、やり方として全体を大きくするのではなく、生活施設の反対側を丸く伸ばしている、そして中心の森をそちらに伸ばすとともに少し伐採したんだ、村をそちらに広めてな、もう街と言っても良いのだが、そう言った概念がないようで船団と呼んでいる、俺の名前を取ってケンゴ船団だそうだ、とても恥ずかしい。


「当然出来てるぜ主、これなら残りの船団が来ても問題ないだろ」


今までの島の面積と同じ位を増設した、後は追加施設を設置するのだがこちら側には木を植える事しかしない、何故ならば戦闘が関係している、今後生活施設の反対側だけで戦う事になるんだ、そして中央にはエネルギー施設を追加した、マーメイドたちの水の魔法を今までよりも長く使えるようにしたかったからだ、防衛にも使っているクラゲたちのおかげだ、そのクラゲも地中に触手を刺すとそれだけで持続力が上がった、調べたらこの島は大きな魔力タンクになってるようだったよ。


「まぁそうだな、じゃあ木を植えて行くか」


木を収納から取り出して俺は植え始めた、だがノームがジト目をしだしたんだ、原因は分かっている、俺のせいだ。


「そんな顔するなノーム、もう少しだけだ」

「主~働き過ぎだ、これだけやっておけばもう休んでも良いだろ、アイナも寂しいって言ってたぞぉ~」


俺の心を突き刺す言葉がノームから飛び出した、俺はかなりの痛手を負い膝を付いた。

それを言うなよノーム、俺だってのんびりしたいんだぞ。


「防衛の為なんだ・・・そう俺は、みんなの為に働いてるんだ」

「良く言うよ主、アイナをメナーサに取られただけだろ」

「ぐはっ!?」


ノームにとどめを刺され、俺はその場に倒れこんだ。

そうさ俺がいけないんだ、仕事ばかりしていたせいで亜生奈はメナーサちゃんとずっと遊んでいる、それだけではなく、勉強も一緒にしてるんだ、気づいた時には既に遅かった、俺が釣りに誘っても断って来るんだぞ。


「くくく、そうがっかりするなって主、その内良い事ある」


倒れている俺の肩をポンポン叩いてノームが言ってきた、だがお前が俺に言ったんだろ、分かってはいたが他人に言われると破壊力は抜群だ。


「そうだなノーム、何かあれば・・・そうだ思い出した!?これだ、これしかない!」


俺は亜生奈の気を引くにはどうすればいいかと考え、あることを思い出した、それは亜生奈の誕生日だ、もう過ぎている、もしかしたら亜生奈が冷たいのはそのせいもあるかもしれない。


「この世界では誕生日は祝う事をしない、だが!ここではお祭りとしてみんなで祝っても良いだろう」

「なるほどな、さすが主、転んでもただじゃないな」


作戦を立てるのは得意だ、問題はプレゼントをどうするか、それに子供たちを一緒に祝ってしまうのも良いだろう。


「っと言う事で知恵を借りたい、頼むイナーク、ヨースド教えてくれ!」


最近ずっと森にいたので、亜生奈たちがハマっている物を知らないんだ、だから2人と一緒にいる者に聞いてみた、ハルサーマルとネニネイはダメだ、ここで他の仕事の指揮を取ってるからそれほど一緒ではない。っというか聞いたら分からないと言われた、自分たちの子供なら分かるとか言って惚気を聞かされたよ。


「ケンゴさん、かなり前に言いましたよね私、だから言ったんです」

「イナーク、そこを何とか頼む、なんでもいいんだ」


イナークにもノームのようなことを言われていた、だが俺としては自分が納得いくまで各施設を作っておきたかった、やっと安心できるようになった時には遅かったんだ。


「だそうですよヨースドさん、どうします?」


イナークが怒りながらヨースドに意見を託した、だがヨースドも困っている感じだ、ヨースドにはそう言った事は言われたことはないが、きっと話は聞いていたんだろうな。


「仕方ないですね、ケンゴさんはわたしたちの為に頑張っていたんです、お教えします」

「ありがとう・・・それで最近、亜生奈は何をしてるんだ?」


ふたりの意見を聞き、俺は密かに準備を始めた、これで娘の俺に対する株をあげる、そしてまた一緒に遊ぶんだ。
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