便利なスキルは釣りスキル、異世界で娘と釣り三昧

まったりー

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2章 選択

28話 最前線の船団

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「ほらイッチニ、イチッニ」


マーメイドの国を出て1週間が経過した、ハルサーマルとネニネイの2人は今、腹筋をしている。


「き、きつい」

「がんばれハル〔ハルサーマル〕私もつらい」

「ネネ〔ネニネイ〕」


2人で見つめ合って腹筋をしている、これでしっかり出来るんだから問題ない、だが亜生奈にはちょっと刺激が強いから見せられないよ。亜生奈は今、少し離れて釣りをしている、ノームと玄武が一緒で気を付けて貰っている。


「二人いるとやはり練度が違うな、互いに高め合ってなによりだ」


腹筋を終わらせ休憩中だが嬉しそうに会話を楽しんでいる、最初の頃のハルサーマルはテーブルに顔を付け、死んだように寝ていた、ネニネイが来てくれて良かったかもな。


「それじゃあ昼食にするか」

「「はい先生!」」


ハルサーマルは分かるんだが、ネニネイにまで先生と呼ばれるようになってしまった、まぁ様を付けられるよりは良いがちょっと恥ずかしいな。


「これは?見たことのない食べ物だなハル」

「ネネ、それはコメを調理したチャーハンっていうんだ、先生のチャーハンは最高だよ」


ハルサーマルはガツガツ食べている、亜生奈も同じ感じだ、ネニネイがそれを見て一口食べると、その後はハルサーマルと同じ感じになった、美味いよな。


「さて、そのまま食べながら聞いてくれ、この後2時間でカンチュ船団に着く、今日はそこで一泊の予定だが、物資を運んで貰ったらすぐに出発だ」


戦闘船団なので、観光の出来る場所はないとハルサーマルに言われた、戦闘を行うトビウオ隊やマンタ隊を見て見たかったが、向こうはピリピリしているだろうと自重することにしたんだ。


「でも先生、ネネは人魚ですから船には上がれませんよ、自分としては嫌な目を向けられるのは許せないんですが」


ハルサーマルが少し怒っている、確かにそれはある、長時間の足変化は出来ないとネニネイがあらかじめ言われているからな、そして船で待ってもらう事にしても遠くから監視が入り、見られたら俺たちは拘束される可能性が出てくるんだ、逃げれば問題はないんだが、この後の輸送もあるから何もない方が良いんだ。


「監視は俺たちにも付くだろう、だがもし俺の許容範囲を超えていた場合、ハルサーマルだけ手続きをして物資を運んで貰いそのまま出発する、輸送組合でサインを貰ったらすぐに帰ってこい」


戦いがいつ起きるか分からない船団だ、相当緊張していると考えて行動する、火の子はあげない方がいいからな。


「おとしゃん、あれがカンチュなの?」


昼食の後、2時間でカンチュが見える位置まで来た、今ハルサーマルが連絡をしている、だがまだ離れているのに殺気がすごい、これは早々に退散した方が良いだろう。


「おとしゃん怖いの」

「亜生奈も感じたか、おとしゃんから離れないようにな」


亜生奈を抱っこしてやりながら俺は思っていた、子供の亜生奈ですら感じるほど空気がピリピリしている、ネニネイも少し緊張が見られた、これは急いで他の2つとも接触しないと、接触すら出来ないかもしれない。


「先生連絡が取れました、近づいていいそうです」


ハルサーマルの報告を聞いて俺たちは船を動かした、船団は戦艦と大きなクジラで構成されていて、大砲や銃火器がすごく並んでいた、まさに戦闘団だな。


「ようこそカンチュへ、俺は輸送班の班長をしているサーバントだ、長旅の疲れをゆっくり取ってくれ、っと言いたいが、今の状態では歓迎できない、すまないな」


船を付けると早速荷物を運ぶ船員たちが動き始めた、もちろん俺の船ではない、コンテナ船だけだ、ハルサーマルの方に乗せていた物資もコンテナに乗せ換えた、今の状態の船員は乗せられないよ。


「状況は知っている、俺たちも早々に他の船団に行かないといけないからな、どれくらいで終わる予定だ?」

「そうだな、大体2時間と言ったところだ、それまでには輸送組合に行って手続きをしてくれ」


班長と名乗ったサーバントがそう言いながら、運搬されている荷物を気して話してくれた、急いでるのを俺に強調しているようだ、やはり戦闘が近いのかもな、ちょっと聞いておくべきだろう。


「それはもう一人の男がすでに向かったよ、だがこれだけ警戒していると言う事は、そろそろなのか?」


この緊張はさすがに息が詰まる、これが数か月となると戦闘をする前に疲れてしまうぞ。


「いやまだなんだが、海賊からのちょっかいがひどいんだ、3日に一度顔を見せるだけして去って行く」


すごくいやそうな顔をしてきた、俺はそれを聞いて少し引っかかった、エリアサーチを使っているが、外には反応はない、それなのにこれだけピリピリしている、これはおかしいんだ。

相手は心理戦をしてきている、これは相当激しい戦いになるだろう。


「どこかで気を抜きたいが、そう言うわけにはいかないって訳か、辛いな」

「そうなんだ、だからみんなを悪く思わないでくれ、ほんとなら危険な場所に物資を運んでくれた者たには、それ相応の歓迎をするものなんだ」

「気にするなサーバント・・・だがこの状況は心配になるほどだぞ、数名に分かれて息抜きをしてはどうだ?全員はまずいだろうが、このままじゃ戦闘をするときに疲れて戦えないだろう」


輸送員たちを見て俺は提案した、ここにいる人は気力で何とかなるかもしれない、だが動物たちは違うだろう、乗り物として前線で使う予定の、オトシゴやトビウオやマンタは使えないかもしれない、そうなったら大変だ。


「確かにな・・・分かった上層部に報告してみる、ありがとうケンゴ殿」

「いいさサーバント、それより予測で良いんだが、いつ戦いは始まると思う」


俺としてはそれが一番問題だ、だが分からないと言われてしまった、接触してきても小型艇だけだから、まだ全然なのだろう。


「ただいま帰りました先生」


俺が先が長そうだと思っていると、かなりぐったりしたハルサーマルが帰って来た、組合で何があったんだ?


「ハル、随分疲れているな平気か?」


ネニネイがハルサーマルの肩に手を置いて心配そうだ、だが大体予想は出来るな。


「ネネ、せっかく物資を運んだのに海賊の仲間だと言われたよ、早く出て行けってさ」


ハルサーマルは必至で違うと言ったそうだが、輸送組合の者たちは全員信じなかったそうだ、輸送の報酬は貰えたが嫌な目で見られ、気分が悪くなったそうだ、そしてここに来るまでにも色々あったらしい。


「許せん!これが人種のやることなのか、先生答えてくれ」


ネニネイがかなり怒り、ヒレで床をバシバシ叩いている、亜生奈も怒っているよ。


「ネニネイ、人はな、過剰なストレスを受けるとまともな判断が出来なくなるんだ、ここの人は今、それだけの状態にされている、あまり悪く思わないでやってくれ、亜生奈もな」


亜生奈を撫でて俺はそう説得した、他の種族はどうか分からないが、相手はそう言った作戦を取ってきたんだ、凄く頭が良い、俺が今まで会った海賊にはいなかった奴だ、相当な凄腕なんだろう。


「まぁ先生がそう言うなら・・・でもあたしはここを早く出たいです」

「そうなの!ここはいやなの」


ネニネイと亜生奈はそうだろう、ハルサーマルもかもな。


「そうだな、じゃあ作業が済むまで食事でもしてよう、俺たちの行動を見れば少しは分かってくれるさ」


相手はピリピリし過ぎなんだ、こちらがどう動くか気になってしょうがない、それならそれを利用する。俺たちは船でバーベキューを準備した、エールで乾杯して俺たちは一気に飲み干したよ。


「くぅ~最高ですね先生!」

「そうだろハルサーマル、さぁどんどん焼くから食べるぞ」


肉や魚、野菜を焼いて匂いを漂わせた、作業員たちがこちらをチラチラ見ているよ、作戦通りだ。


「よし、ここで次に行くかな」


俺は肉や魚を山にして皿に盛り、サーバントの所に向かった、ここで話が分かりそうなのはこいつだけだからな。


「サーバント、少し休憩しないか?」


皿を差し出して、俺はその中の肉を一つ食べて見せた、これで毒が入ってないのが分かるだろう。


「なるほどな・・・あんたたちには悪い事をした、すまないな」

「良いんだサーバント、他の作業員も一緒に休憩をしないか、まだまだいっぱいあるんだ」


サーバントにそう提案した、ネニネイと亜生奈は嫌がるだろう、だが俺とハルサーマルが対応すればいいだろう、これは少し嫌でもやらないといけないことだ。相手の思い通りになっている今のは、相当にまずい状況だからな。


「「「「「う、うめぇーーー!」」」」」


サーバントが作業員を人選し食べ物を取りに来た、そいつらが食べたら歓声が上がったよ、船には上げられないが、しばらくはお祭り騒ぎだ。


「ケンゴ殿感謝する、これで少しは息抜きが出来たよ」


ローテーションで食事を済ませた作業員たちが、速度を上げて作業をしている、サーバントが俺の所に来てお礼を言ってくれたよ、これで少しは変わってくれるだろうが、まだ足りないだろう。


「戦いはこれからだ、この空気を変えないと戦闘で勝てないぞ、これをやるから住民と一緒に食べてくれ」


バーベキューをしている最中に俺は釣りをした、そしてある小さな鞄を釣ったんだ。


「この鞄になにが、ん?・・・なな、なんだこれは!?」


鞄を空けてサーバントが驚いている、俺は当然の反応だなと思ったよ。


「それは魔法の鞄だ、今認識した物が大量に入っている、それでしばらくガス抜きをしてくれ」


俺が釣ったのは魔法の収納鞄だ、良く異世界である物で、10種類の物が100個入り、中いれた物は時間が経過しないんだ、だから俺は食料をいっぱいまで入れた。


「こんな物始めて見たぞ!い、いいのか?」

「ああ、お前たちが戦えないと困るって言っただろ、頑張ってくれよなサーバント」


これでこの船団は普通の状態で戦えるだろう、俺はサーバントと握手をした後作業が終わり、俺たちは出航した、作業員たちが手を振ってくれたよ。


「先生はすごいですね、あれだけ警戒されてたのに今は全然です」

「俺がすごいんじゃないぞネニネイ言っただろ、冷静ならばみんながああなんだ、悪い奴らもいるかもしれないが、普通はああだよ」


船員たちに手を振って俺はネニネイに答えた、ネニネイも最後の方は手を振っていたよ。次の船団もああかもしれないが、同じ感じで対応すれば何とかなるだろう。
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