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4章 繁盛

69話 今こそ

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「ダメよキキルー伯爵、今は動けないわ」


キキルー伯爵は拒否されて顔をしかめます、だって仕方ないのよ、ハイヒューマンたちの命令に従って魔王に戦いを仕掛けろって話なんだから断るのは当然。
今私たちがここを出たら、ボボルザークのヒューマンたちが攻めて来るわ、それだけここの物資は膨大で重要になってるのよ。


「ですが、ハイヒューマン様たちの命令ですよ」

「エリック侯爵がいなくなって、勝手に言い出した奴でしょ、名前も知らない新しい侯爵の言う事を聞いてる場合じゃないわ、適当に理由を付けて断りなさい、それよりも優秀な冒険者は引き入れられたの?」


どちらが有利か、それが判断できない今、冒険者たちは迷っています、命を落としては意味がないので仕方ないです、傭兵みたいな感じで集めたけど、それほど集まらなかったわ、保存食を作り有利だと思っていたけど、私たちのトップにいたエリック侯爵の街が魔王に落とされた時、それは全部ひっくり返ってしまったの。
でも私の質問には、キキルーは良い笑顔を見せてくれました、予想ではダメだと思っていたけど、顔を見て安心ね。


「お喜び下さい、ブルースフィアという、世界初のアダマンタイトクラスのPTが参戦してくれました、同時にクランを形成し、200名の冒険者を先導してくれました、クラン名は英雄です」


朗報なんてレベルではありませんでした、これで力関係は変わります、そして私たちが立ち上がり、動き出す瞬間でもあります。


「今その人たちは何処にいますか、今すぐに会います」

「そう言うだろうと、ブルースフィアは今ここに来ています、応接室です」


さすがキキルーさんだと思ったわ、私は早速会いに向かったの、でもそこで驚いたわ、なんとブルースフィアは、モンスターをテイムしているPTだったの、それも私の知ってるゲームのモンスターにソックリなスライムたちが沢山よ、凄く感動だわ。


「彼女たちがブルースフィアです、皆さん、この方は勇者のフブキさまです」


キキルーが私を紹介してくれたの、そして向こうの方たちも名乗ってくれたわ、そしてスライム騎士の1人の名前を聞いて『あれ?』って思ったのよ。


「あなたのお名前はピエールと言うのよね」

「そうでゴザルよ、フブキ殿は拙者を知ってるでゴザルかな?」


スライム騎士を知らないなんて、あのゲームをやってたらありえない、そう思ったわ、でも彼は私の知ってるゲームのキャラじゃないわ、だから私の答えはこれね。


「いいえ、似ている方を知ってただけなので気にならさらないで、この度は協力感謝します」


手を差し出してスライム騎士のピエールさんと握手をしました、感激で泣きそうです、でも仕事なので笑顔を絶やさずにいたわ、頭の中ではもう飛び上がってるけどね。
他の人達とも握手をしたわ、リーダーの女性を最後にしてね、最後にお礼を言わないとだもの。


「ありがとう、ほんとにありがとう」

「とんでもないですよ勇者様、それでこれから魔王のいる大陸に進軍ですか?」


当然の質問を聞かれたわ、私はもちろん頷いたの、でもそこでレイラさんがピエールを見たの『どういうこと?』って私も釣られました。


「ふむ、実は拙者たちは戦いを止めに来たのでゴザル」


ピエールさんの言葉に驚きを隠せないでいました、魔王側は戦いをしたくないそうです、私と同じ考えを聞いて驚きです。


「でも、確か魔王側が戦いを仕掛けたって」

「それは情報操作をされているでゴザル、おかしいと思わなかったでゴザルかなフブキ殿?」


ハイヒューマンの大陸の街を落とした時は私も思ったわ、でも宣戦布告してきたし、違うのだと改めたのよ。


「宣戦布告は本当でゴザル、しかし宣言の目的は他にあったでゴザル」


ピエールさんがキキルーを見ると、後ろに忍者の服装のスライム騎士さんがいました、そしてキキルーを縛り上げたんです、私はどういうことって叫びましたよ。


「こやつは密偵だったでゴザル、だからエリック・フォルト侯爵殿の街が襲われたでゴザル」

「そ、そんな!?・・・でも、確かにあの段階で情報を持っていたのは、上層部の少数でした、まさかキキルーだったなんて」


誰かが情報を流しているのは分かっていたわ、でもまさかキキルーだったなんて信じられない、でも言われてみれば思い当たる事が多いわ、いえそうじゃないわ、私が違うと思いたかっただけ、彼を信じたかったのよ。


「キキルー・・・何か言いなさいよ」


拘束されても伯爵は何も言いません、私はそれが許せません、余裕の表情を浮かべてるんです。


「ふんっ!お前たちはお終いさ、ハイヒューマンの恐ろしさを知らない」

「そうでゴザルか、しかしそなたも知らないのでゴザル、弱い者たちでも団結すればすごい力を持つでゴザル、それを見ているでゴザル」


キキルーはそう言われても余裕でした、それだけハイヒューマンは強いんでしょう、私はそれが怖くなったわ。
レイラさんたちも同じみたい、みんな顔色が青いです、ここで平気そうなのは、兜で見えないピエールさんたちだけね。


「ピエールさん、私たち勝てますかね?」

「フブキ殿、拙者たちのクラン名をご存じかな?」


ピエールさんに頷いて答えました、彼らのクラン名は英雄、その名の通り彼らは英雄になろうとしています、そう答えるとピエールさんは頭を左右に振ったんです。


「フブキ殿、英雄とはなろうとしてなれる物ではゴザラン、成果を上げ皆に呼ばれなければならないでゴザル、拙者たちはそれを目指しているのでゴザルよ」

「そう・・・私は勇者って言われてるけど、ほんとはまだ全然勇者じゃないって事ね、手を貸してくれるかしら?」

「もちろんでゴザル、じゃあ行くでゴザルかな」


何処に行くの?と聞いたら、なんと驚きの場所を言われたわ、そこではある人が待ってるそうなの、私はその時てっきり魔王がいるのかと思ったわ、でも違ったのよ。
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