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2章 宣伝

23話 実験

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「相手はどう出るポコかなぁ~」


横にいる者に呟いたポコ、シンジ様のお作りなったスライムモンスターがポヨンポヨンしながら手綱を持って笑ってるポコ。
ワシたちアライグーマ族実力者5名、シンジ様の指令によりある場所に馬車5台で移動してるポコ、シンジ様のお作りになったモンスターも同じ数がいるポコがワシはドキドキポコ、今とても重要な事をしてるポコ、それはワシらを助けてくださった森長シンジ様の【事業】と言う物ポコ、それを手伝うというのはとても名誉な事なんだポコ。


「ヌシは心配性ぜよ、相手は未来ある子供を追いやったぜよ、わしの作る農具とヌシの酒があれば余裕ぜよ」

「自信があるポコねスライム鍛冶屋殿は、ワシたちの結果でシンジ様に迷惑が掛かるポコ、とても重要だポコ」


スライム鍛冶屋殿は、それを聞いても笑ってるポコ、兜を付けてるから表情は分からないポコ、でもきっと笑顔なんだポコ、どちらに転んでもシンジ様の計画には支障はないと言ってるポコ。


「しかしポコ、出来れば成果をあげたいポコ」

「それはそうぜよ、しかし焦りは禁物ぜよ・・・それに」


スライム鍛冶屋殿が途中で話すのを止めたポコ、その顔は兜で分からないポコ、でもそれは直ぐに分かる事になったポコ。
ここはヒューマンたちの住む大陸ポコ、ワシたちがどんなに好意的に接触してもモンスターが村に近づくポコ、やって来ることは分かるんだポコ。


「とと、止まれっ!」


予想通り、村の入り口に近づくと武器を持ったヒューマンたちが集まって来たポコ、ワシたちは抵抗せずにヒューマンたちが囲んでくるのを待ったポコ。


「落ち着くぜよ、ワシたちは敵ではないぜよ」

「そそ、そんな事が信じられるか!」


ヒューマンたちが武器をこちらに向け凄い警戒ポコ、でもここまでは予定通りポコ、スライム鍛冶屋殿はゆっくりと袋から肉の塊を出したポコ、相手は何を出したのかと見てるポコ、スライム鍛冶屋殿は気にせずにどんどん出して御者席に並べたポコ、そして20個目を出すと手の上に乗せてヒューマンたちの方を見たポコ。


「このこぶし大の肉を見るぜよ!これは燻製という特殊な方法で味付けをしている絶品の品ぜよ、友好の証として譲るぜよ」


スライム鍛冶屋殿とワシは肉を置いた場所から離れたポコ、ヒューマンたちは馬車に近づき確認してるポコ、でも黒っぽい肉のせいか、あまり欲しそうにしないポコ、タダで貰えると顔がニヤ付きはじめてるやつはいるポコ、それほど甘くない事を教えてやるポコ、肉を持って運ぶのを確認してスライム鍛冶屋殿が実行ポコ。


「受け取ってくれて感謝するぜよ、そこで提案があるぜよ、わしたちは酒も持ってきたぜよ、それは先ほど渡した肉にとても良く合う極上の品ぜよ、わしとゲームをして勝てたらそれも差し上げるぜよ」


ヒューマンたちの顔色が変わったのをワシたち全員が確認したポコ、スライム鍛冶屋殿が襲ったりはしないとか、負けても肉は取らないとか、危害は加えないと言ってるポコが相手からしたら信じられることではないポコ。


「そ、そんな事を言って、オラたちを襲うつもりじゃねぇべな」

「ふむ、確かに戦えばわしらが勝利するだろう、わしたちはユニーククラスのスライム騎士の変化版ぜよ、強いのだから仕方ないぜよ、しかしわしの職業は鍛冶屋ぜよ、職人として誇りも仁義も持ってるぜよ、ルールは守るし友好関係の為のゲームぜよ」


スライム鍛冶屋殿が兜の上から笑いながら宣言したポコ、そしてワシたちが勝ったらささやかなお願いを聞いてほしいと付け足したポコ、相手はそれを簡単に了承したポコ。
ささやかという、極少ないと思えるお願いだと勘違いしたポコ、これでワシたちの計画は成功ポコ。


「ではゲームの説明ぜよ、ルールは簡単ぜよ、順番に石を取って行き最後に残った石を取った者が負けぜよ、1回で取れる数は3つまでぜよ」


スライム鍛冶屋殿が石取りゲームと言って20個の赤い小石を袋から出したポコ、ヒューマンたちは代表者である村長を呼び、スライム鍛冶屋殿の前に来たポコ。


「おヌシが村長ぜよ?」

「そうだ、エリングと言う」


とても若い村長だと、スライム鍛冶屋殿が付け足したポコ、エリングと名乗った男性は成人したばかりに見えるポコ、顔だちもなかなか良いポコ、恐らく何かあれば責任を彼に取らせるつもりポコ、スライム鍛冶屋殿が少しイラっとしたのを感じたポコね。


「では、先手を決めるぜよ」


スライム鍛冶屋殿が銅貨を一枚上空に弾いたポコ、そして裏か表かエリングに選んでもらったポコ、それはどちらを選んでも先行はスライム鍛冶屋殿ポコよ、その後順番に石を取り勝利を収めたポコね。


「負けてしまいました」

「惜しかったぜよな、では酒はお預けでこちらのお願いを聞いてもらうぜよ」


スライム鍛冶屋殿がお願いを提示し、ヒューマンたちが顔を青ざめてるポコ、それほど難しい事ではないポコ、ワシたちは顔を見合ってしまったポコ。


「そそ、そんな!?モンスターが私たちの村を統治するなんて、話が違います!」

「わしたちにとっては些細な事ぜよ、村のトップが変わるだけぜよ?」


スライム鍛冶屋殿が村の生活は変わらないと話してるポコ、でも反対している者が多いようだポコ、予定通りポコね。


「そんなに嫌なら出れば良いぜよ、子供たちにもそうしていたぜよ、わしたちは勝負に勝ったのだからここを貰う、それは決まった事ぜよ」


これがシンジ様の指令ポコ、自分たちが生き残る為に子供たちを追いやり、経験豊富な年長者までも切り捨てた者たちなんていらないポコ、ここにいるヒューマンたちが全員痩せていればそれは考えなかったポコ、でも見るからに違うんだポコ。


「本当の村長は誰ぜよ!そいつの考えを聞かせてもらうぜよ」


スライム鍛冶屋殿がピョンピョン飛んでヒューマンたちの方に詰め寄ったポコ、ヒューマンたちは恐怖を感じて左右に分かれて行き、その先に村長らしき男がいたポコ、目の前まで迫られて腰を抜かしたポコね。


「おんしが村長ぜよ?」

「そそ、そうじゃ!ここは渡さんぞ」

「それを決めるのはお前じゃないぜよ、ヒューマンたち!よく聞くぜよ」


スライム鍛冶屋殿は言ったんだポコ、ここで暮らしていて辛くないか、ここにいる者たちで体格に違和感を感じなかったのかと聞いてるポコ、見れば一目瞭然ポコ、だからすぐに判断させたポコ。
村長の座っている場所から離れていく者が半分、それはみんな細く弱っている者たちだったポコ。


「じゃあ残りは村長派と言う事で出て行くぜよ」


そう言って済めば楽ポコ、村長以外は武器を構えているポコよ、ワシたちも爪を出したポコ、でもどうしてかスライム鍛冶屋殿たちは構えないポコ、ワシたちの所に戻って来て振り返りヒューマンたちを見ているだけポコ。
どうしたのかと、ヒューマンたちも不思議そうポコ。


「何故、おんしたちは争い奪う事しかしないぜよ、おんしたちが追いやった者たちの気持ちが分からないのか?」


兜の上からでも分かるほど、スライム鍛冶屋殿は悲しそうだポコ、それを見てこちら側に来たヒューマンたちの中から、エリングが少し前に出て行ったんだポコ「このまま一緒に村を良くしていきましょう」と、でも村長たちは頷いてはくれなかったポコ。


「モンスターと一緒に生活はできんよ、隣の村にオラたちは行く事にする、食料と身支度をさせて貰うぞい」

「あぁっ!?おんし、ふざけるのも大概にするぜよ!子供たちはそれすらも出来ず追いだされたぜよ、食料だって渡さないぜよ、さっさと出て行くぜよ!」


スライム鍛冶屋殿のその声は、とても重くヒューマンたちに響いたポコ、悲鳴をあげて逃げるように村を出たんだポコ。


「スライム鍛冶屋殿・・・子供たちの無念は晴らせたポコ」

「そうでもないぜよ、きっとここと同じ村はいくらでもあるぜよ」

「その為の我らですぞ、これから減らして行きましょうポコ」


ここを補給拠点にして逃げて来る人達を救うポコ、そしてシンジ様の最大の指令である、食事の挨拶を広めるんだポコよ。
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