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3章 支店
51話 姉の断罪
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「あのクソハーピーめ、ワタシが軍を動かす様になったら真っ先に始末してやる、見てなさいよ」
ターシャちゃんたちが家に帰って報告をしてから3日後、街の前に馬に乗る1人の女性がいました、彼女は村を経由して馬を借り、やっと目的の街に着いたんです、彼女が門に着くと門番が近づいてきたので、貴族の証であるリングを門番が見ました、詰め所で確認すると言われ予定と違う場所に通されます、それは馬車でない場合の対応なので、おかしいとは思ったんです、でも自分が無事だった事を父親に知らせ、感動の再会をするのかと思っています、彼女も詰め所の固めの椅子で寛ぎます、でも門番たちは違う理由で屋敷に走っていったんです。
疲れもあってコックリコックリと女性は居眠りを始めます、しばらくして女性の肩を叩く者が現れ目を覚まし、まだ夢の中なのかと思う状況に会い動けません、でも現実なんだと分かると顔を真っ青にし始めたんです。
「どうしたの姉さん?そんなに顔を青くして、もしかしてオレの顔に何か付いてるのかな」
クレスが質問すると、彼女は逃げようとします、でもいつの間にか椅子に縛られていました、寝ている間に拘束しておいたとクレスは笑顔で話します。
「あ、あんた生きていたの」
「やだなぁ姉さん、生きてるに決まってるじゃないか、もちろんターシャ様もね」
女性はそれを聞き、自分はおしまいだと悟ります、でも何とかこの場を逃れようとクレスに泣きながらお願いしました、クレスは静かにそれを聞き女性が言い終わるのを待ちます。
「お願いよクレス、ワタシを・・・姉であるワタシを助けて」
「姉さん・・・いやキャミージェ、助けるも何もないよ、オレもターシャ様も感謝してるんだ、おかげであのお方に会うことが出来た、ターシャ様にかけがえのない人が出来たんだ」
よく話が掴めない、キャミージェはそう思っています、でも命が助かると心内では思い涙を流したんです、でもクレスはそれを見て笑顔ではなく真剣な顔に変えました。
「だけどねキャミージェ、感謝しても許してはいないよ、ターシャ様はあのお方の事で頭がいっぱいだけど、オレは違う、もうお前を姉とは思わない」
「そ、そんな!?クレス!」
扉に向かって行くクレスにキャミージェは叫んで止めます、クレスはドアノブに手を添えて顔を向けずに止まります、キャミージェは何度も謝りますがクレスは振り向きすらしません。
「クレスこっちを向いてよ!」
「キャミージェ、お父様は悲しんでいたよ、まさかこんなことをするとは思ってなかったと泣いてた・・・だからオレは、命は取らないでとお願いした、ターシャ様もエリック様もそれを受け入れてくれたんだ」
命は助かったとキャミージェはホッとします、でも振り向いたクレスの顔は、ものすごく怖かった、キャミージェはそれを見て緊張します、この後何かがある、そう思わせるのには十分でした。
「喜びなよキャミージェ、オレを恨むほど婚約者を探してる君の嫁ぎ先が決まった、あの有名なヒポルトトス伯爵の所だ、隣国の国との関係を築く為の糧となれるんだ、良かったね」
「そ、そんな!?」
キャミージェが青ざめて真っ白になります、その伯爵は隣の国の有力貴族です、ハイヒューマン問わず、誰もが知っている拷問好きな貴族で、そいつを通さないと国のトップとは話せないくらいの権力を持っています。
「君は顔もスタイルも良いからね、きっと気に入ってくれるよ、じゃあね」
クレスはそれがけ言って部屋を出ました、その顔は暗くて寂しそうなモノです、深呼吸して落ち着きながらクレスはターシャの屋敷に向かいます、ターシャは優雅に庭でお茶をしていました。
「クレスお帰りなさい」
「ただいま帰りましたターシャ様」
頭を下げてクレスは報告をします、それを聞いてターシャは、カップを置きクレスを抱きしめました、クレスは泣くことはありません、でも悲しいとは思っています。
「姉妹なのに恨むなんて悲しいわよね、でも彼女はそれだけの事をしたの、仕方ないわ、あなたが許してもワタシは許さない、クレスにあんな痛みを受けさせたんだもの当然よ」
あの時の事を思い出しターシャは怒ります、クレスは抱きしられながら頷き、涙を流したんです、しばらくして一緒にお茶を楽しみ、話題を今後の事に切り替えました。
「魔王軍と和平会談ですか」
「最終的にはよクレス、今はまだ無理、だからそこに向かう為に動くの、シンジからの支援を使って隣国と友好関係を築くのよ」
交易に力を注ぎ隣国とより良い関係を築く、これはターシャの父親に話した事でもあります、国王兵も支援を貰えれば暮らしやすくなると賛成しています、もちろんそれは表向きで物資を使って戦争できると喜んでいます。
「その為の第1皇子との会合に他国とのパーティーですか」
クレスの質問にターシャは頷いて答えます、そして紅茶とクッキーを口にしてそれを掲げたんです。
「あなたも食べたでしょ、あそこの美食の数々を、あれが出せるシンジが力になってくれるのよ、怖い物なんてないわ」
「ですが、危険ではないですか?いくら協力してくれると言っても、これってクーデターですよ」
ターシャは頷いて肯定します、今の国王を落とさないと戦争は回避できません、平和を主張しているのが第1皇子なので話を持ち掛けて協力する事になりました。
「わかってくれないのだもの、それは必要よ・・・でもね、第1皇子もどうなるか怪しいわ」
表向きそういった事を言いふらしているだけどだと、この時のターシャは予感しています、調べてからになるけど戦争派の国王がその動きを黙って見ている、その事からかなりの確率で裏切ってきます。
「じゃ、じゃあどうするのですか」
「だから、ほんとにそう願ってる人をあぶり出すの、その為の第1皇子接触よ、その会合で見極めるわ」
ターシャはやる気を出して紅茶を勢いよく飲みました、クレスはそれを見て笑顔になり一緒にお茶を楽しみます、そしてターシャは落ち着いたところでリングを起動させました。
「もしもし?」
「シンジ様、お久しぶりです」
僕に連絡を入れて挨拶をしてくれました、でもお久しぶりと言うほどの時間が経っていません、僕は朝ぶりだねっと返答しました、ターシャはいつまででも話していたいと言ってきます。
「僕と連絡を取ってるなんて知れたら大変でしょ、出来るだけ控えてね」
「もうっ!わかっていますわ、でもお声が聞きたいのですわよ、それに物資の輸送場所が決まったのです、それを早くお知らせしたかったのですわ」
僕のダンジョンを伸ばす場所は、クレスの屋敷にするかターシャの屋敷にするか、それとも別の何処かと悩んでいました、そしてターシャの父親であるエリック侯爵様も考えてくれています、街の一角を全て買取場所を確保したんです。
「場所が確保できたのなら良かったよ、でもそんなに大々的に動いて平気なの?」
「ワタシを心配してくださるのですね、嬉しいですわ、ですが御心配にはいりません、既に他種族との支援強化を図っていたのでそれの準備と思われています、全て思惑通りです」
他種族とのパーティーも皇子との会合も、全てそういった話し合いだと思われます、だからほんとに隠しておきたい僕と言う協力者の事は見えないとターシャは言っています、僕もそれはわかっています、でも欲が絡むと何をしてくるのかわからないから問題です。
「何かあったらすぐにリングで知らせるんだよ、命あっての物種なんだからね」
「わかっていますわシンジ・・・でも、やっぱりあなたに会いたいですわ」
ターシャが無事に戻ったと連絡をしてきた時、ターシャから支援の提案をされました、僕は平和になるならと賛成したんですけど、ターシャのほんとの狙いは僕に会う為なんです、頻繁に外に出る口実を作れば会えますからね。
そう言った個人的な欲が絡むと、計画は破綻するのは良くある話です、僕はそう思いつつも賛成しています。
「王族との会合が終わればすぐにでも会えるよ、えっと1ヶ月後だっけ?」
「もうっ!1週間ですわよシンジ、1か月なんて待てません、ワタシ死んじゃいます」
冗談を本気にされてしまったと、僕は謝って再会を楽しみにしていると伝えました、この時の僕は知らなかったんです、友達としてではなく恋人として会いたい、そうターシャが言っていて、その顔は紛れもなく恋する乙女だったんですよ。
ターシャちゃんたちが家に帰って報告をしてから3日後、街の前に馬に乗る1人の女性がいました、彼女は村を経由して馬を借り、やっと目的の街に着いたんです、彼女が門に着くと門番が近づいてきたので、貴族の証であるリングを門番が見ました、詰め所で確認すると言われ予定と違う場所に通されます、それは馬車でない場合の対応なので、おかしいとは思ったんです、でも自分が無事だった事を父親に知らせ、感動の再会をするのかと思っています、彼女も詰め所の固めの椅子で寛ぎます、でも門番たちは違う理由で屋敷に走っていったんです。
疲れもあってコックリコックリと女性は居眠りを始めます、しばらくして女性の肩を叩く者が現れ目を覚まし、まだ夢の中なのかと思う状況に会い動けません、でも現実なんだと分かると顔を真っ青にし始めたんです。
「どうしたの姉さん?そんなに顔を青くして、もしかしてオレの顔に何か付いてるのかな」
クレスが質問すると、彼女は逃げようとします、でもいつの間にか椅子に縛られていました、寝ている間に拘束しておいたとクレスは笑顔で話します。
「あ、あんた生きていたの」
「やだなぁ姉さん、生きてるに決まってるじゃないか、もちろんターシャ様もね」
女性はそれを聞き、自分はおしまいだと悟ります、でも何とかこの場を逃れようとクレスに泣きながらお願いしました、クレスは静かにそれを聞き女性が言い終わるのを待ちます。
「お願いよクレス、ワタシを・・・姉であるワタシを助けて」
「姉さん・・・いやキャミージェ、助けるも何もないよ、オレもターシャ様も感謝してるんだ、おかげであのお方に会うことが出来た、ターシャ様にかけがえのない人が出来たんだ」
よく話が掴めない、キャミージェはそう思っています、でも命が助かると心内では思い涙を流したんです、でもクレスはそれを見て笑顔ではなく真剣な顔に変えました。
「だけどねキャミージェ、感謝しても許してはいないよ、ターシャ様はあのお方の事で頭がいっぱいだけど、オレは違う、もうお前を姉とは思わない」
「そ、そんな!?クレス!」
扉に向かって行くクレスにキャミージェは叫んで止めます、クレスはドアノブに手を添えて顔を向けずに止まります、キャミージェは何度も謝りますがクレスは振り向きすらしません。
「クレスこっちを向いてよ!」
「キャミージェ、お父様は悲しんでいたよ、まさかこんなことをするとは思ってなかったと泣いてた・・・だからオレは、命は取らないでとお願いした、ターシャ様もエリック様もそれを受け入れてくれたんだ」
命は助かったとキャミージェはホッとします、でも振り向いたクレスの顔は、ものすごく怖かった、キャミージェはそれを見て緊張します、この後何かがある、そう思わせるのには十分でした。
「喜びなよキャミージェ、オレを恨むほど婚約者を探してる君の嫁ぎ先が決まった、あの有名なヒポルトトス伯爵の所だ、隣国の国との関係を築く為の糧となれるんだ、良かったね」
「そ、そんな!?」
キャミージェが青ざめて真っ白になります、その伯爵は隣の国の有力貴族です、ハイヒューマン問わず、誰もが知っている拷問好きな貴族で、そいつを通さないと国のトップとは話せないくらいの権力を持っています。
「君は顔もスタイルも良いからね、きっと気に入ってくれるよ、じゃあね」
クレスはそれがけ言って部屋を出ました、その顔は暗くて寂しそうなモノです、深呼吸して落ち着きながらクレスはターシャの屋敷に向かいます、ターシャは優雅に庭でお茶をしていました。
「クレスお帰りなさい」
「ただいま帰りましたターシャ様」
頭を下げてクレスは報告をします、それを聞いてターシャは、カップを置きクレスを抱きしめました、クレスは泣くことはありません、でも悲しいとは思っています。
「姉妹なのに恨むなんて悲しいわよね、でも彼女はそれだけの事をしたの、仕方ないわ、あなたが許してもワタシは許さない、クレスにあんな痛みを受けさせたんだもの当然よ」
あの時の事を思い出しターシャは怒ります、クレスは抱きしられながら頷き、涙を流したんです、しばらくして一緒にお茶を楽しみ、話題を今後の事に切り替えました。
「魔王軍と和平会談ですか」
「最終的にはよクレス、今はまだ無理、だからそこに向かう為に動くの、シンジからの支援を使って隣国と友好関係を築くのよ」
交易に力を注ぎ隣国とより良い関係を築く、これはターシャの父親に話した事でもあります、国王兵も支援を貰えれば暮らしやすくなると賛成しています、もちろんそれは表向きで物資を使って戦争できると喜んでいます。
「その為の第1皇子との会合に他国とのパーティーですか」
クレスの質問にターシャは頷いて答えます、そして紅茶とクッキーを口にしてそれを掲げたんです。
「あなたも食べたでしょ、あそこの美食の数々を、あれが出せるシンジが力になってくれるのよ、怖い物なんてないわ」
「ですが、危険ではないですか?いくら協力してくれると言っても、これってクーデターですよ」
ターシャは頷いて肯定します、今の国王を落とさないと戦争は回避できません、平和を主張しているのが第1皇子なので話を持ち掛けて協力する事になりました。
「わかってくれないのだもの、それは必要よ・・・でもね、第1皇子もどうなるか怪しいわ」
表向きそういった事を言いふらしているだけどだと、この時のターシャは予感しています、調べてからになるけど戦争派の国王がその動きを黙って見ている、その事からかなりの確率で裏切ってきます。
「じゃ、じゃあどうするのですか」
「だから、ほんとにそう願ってる人をあぶり出すの、その為の第1皇子接触よ、その会合で見極めるわ」
ターシャはやる気を出して紅茶を勢いよく飲みました、クレスはそれを見て笑顔になり一緒にお茶を楽しみます、そしてターシャは落ち着いたところでリングを起動させました。
「もしもし?」
「シンジ様、お久しぶりです」
僕に連絡を入れて挨拶をしてくれました、でもお久しぶりと言うほどの時間が経っていません、僕は朝ぶりだねっと返答しました、ターシャはいつまででも話していたいと言ってきます。
「僕と連絡を取ってるなんて知れたら大変でしょ、出来るだけ控えてね」
「もうっ!わかっていますわ、でもお声が聞きたいのですわよ、それに物資の輸送場所が決まったのです、それを早くお知らせしたかったのですわ」
僕のダンジョンを伸ばす場所は、クレスの屋敷にするかターシャの屋敷にするか、それとも別の何処かと悩んでいました、そしてターシャの父親であるエリック侯爵様も考えてくれています、街の一角を全て買取場所を確保したんです。
「場所が確保できたのなら良かったよ、でもそんなに大々的に動いて平気なの?」
「ワタシを心配してくださるのですね、嬉しいですわ、ですが御心配にはいりません、既に他種族との支援強化を図っていたのでそれの準備と思われています、全て思惑通りです」
他種族とのパーティーも皇子との会合も、全てそういった話し合いだと思われます、だからほんとに隠しておきたい僕と言う協力者の事は見えないとターシャは言っています、僕もそれはわかっています、でも欲が絡むと何をしてくるのかわからないから問題です。
「何かあったらすぐにリングで知らせるんだよ、命あっての物種なんだからね」
「わかっていますわシンジ・・・でも、やっぱりあなたに会いたいですわ」
ターシャが無事に戻ったと連絡をしてきた時、ターシャから支援の提案をされました、僕は平和になるならと賛成したんですけど、ターシャのほんとの狙いは僕に会う為なんです、頻繁に外に出る口実を作れば会えますからね。
そう言った個人的な欲が絡むと、計画は破綻するのは良くある話です、僕はそう思いつつも賛成しています。
「王族との会合が終わればすぐにでも会えるよ、えっと1ヶ月後だっけ?」
「もうっ!1週間ですわよシンジ、1か月なんて待てません、ワタシ死んじゃいます」
冗談を本気にされてしまったと、僕は謝って再会を楽しみにしていると伝えました、この時の僕は知らなかったんです、友達としてではなく恋人として会いたい、そうターシャが言っていて、その顔は紛れもなく恋する乙女だったんですよ。
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