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1章 開店

13話 進化の原因

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「はぁ~気持ちいいのみゃ~」


僕は今、超が付く程がっかりしています、それと言うのもね、あれだけ可愛かったクロネオたちが進化したんだ、それは喜ぶ所かもしれない、みんな嬉しそうだしね。
でもね、僕よりも大きくなっちゃったんだ!最初見た時「ライオンが歩いてきた!?」とか思ってビビったんだよ!よく見るとクロネオたちだと分かったんだけど、体はムキムキだし、体毛も胸やお腹など部分的になっちゃって、モフモフ度が減ってかなりショックを受けたんだよ、もちろんそこまでジロジロは見てないよ、少し発狂したけどね。

それにね、前よりも毛が堅いんだ、今はシロチーの髪の毛をブラッシングしているけど堅いからブラシを変えました、スタイルもボンッキュッボンッて感じで、髪と腕しかブラッシングできません、背中とかはミントに任せたよ、正直ブラッシング自体も迷ったけど、シロチーたちががっかりしていたから仕方なくなんだ。


「大きくなってもみんなは変わってないみたいで良かったよ、どうして急に大きくなったの?」


シロチーが僕の膝に少し爪を立ててモミモミしています、ネコのモミモミのようだけど、大きくなってちょっと痛いです、良かったのは肉球が大きくてプニプニしているから気持ちが良い所だね。
そんな事を思いながら、横で服を選んでいるクロネオに進化の理由を聞いたよ、クロネオたちも急に大きくなったから困ってたんだ、着る物を求めて僕の所に急いで来たんだ、みんなの毛から作った糸や、スライムの布を使って大きさの違う服を作って置いて良かったよ。
こんな事もあろうかと大きな種族用のもあるから、3mくらいになったクロネオたちでも何とか入る服がありました、僕の身長はその半分もないと、羨ましさを感じながら見ています。


「それはこっちが聞きたいにゃよシンジにゃん」


クロネオがベストのボタンが上手く留めれなくて困りながら言ってきたよ、動きやすい様に半ズボンを履いて、進化したいきさつを説明してくれました、話によると僕が恩恵を与えたと言うんだ、僕には全然覚えがありません。


「お母ちゃんがそう言ってたにゃ、ほんとに分からにゃいのにゃ?」


ムキムキの腕を組んでクロネオが体を傾けて不思議そうだよ、前だったら可愛いしぐさだったんだけど、今はライオン顔の大男が可愛くしていてギャップ萌えだね。
少し離れた場所では、大きくなって大人感が凄いミャオサーさんが子猫たちをブラッシングしています、本人に聞いてもいいのだけど、僕はすごく躊躇うんだ、あの状態で迫られたらまずいからだね、あるとすればスライムたちを使った食事のせいです、あれは元々スライムだから、それだけで経験値になるんです。


「実はねクロネオ、僕の作ってる料理はスライムの核を使ってるんだ、色々な種類の核を大量に使っているから、もしかすると経験値になっているのかもしれないよ、みんなはステータスとか見れるかな?」


僕に質問されてクロネオたちが「ステータスオープン」とつぶやきました、するとクロネオたちの前にダンジョン画面の様な、20インチくらいの四角い板が現れたんです、それを見てクロネオたちはびっくりしています。
僕も自分のステータスを見たいから唱えたんだけど、出て来てくれませんでした、何か足りないのかもですね。


《ステータス》

【名前】クロネオ
【年齢】2歳
【種族】キャットミーア
【職業】バトルマスター
【レベル】15
【HP】82万【MP】41万
【力】82万【防御】82万
【素早さ】164万【魔法抵抗】41万
【スキル】
身体強化レベル2
格闘レベル3
嗅覚強化レベル3
【称号】
ダンジョンマスターの恩恵
故郷を追われた者
復讐者


「15レベルにゃけど・・・ハイエンダに進化するには、各クラスのレベルを100にしにゃいとダメにゃ」

「つまり、前のクラスから考えてハイエンダは3段階目、その姿に進化したんだから、300は上がっていたって事でしょ?」


僕は簡単に計算しました、クロネオがすごくうれしそうに頷いたんだよ、僕はどれだけすごいのか分からないけど、数値をみる限り高いんだろうね、クロネオは僕に説明してくれてるけど、シロチーたちは興奮して落ちつきがないよ、みんなが落ち着くまで頭の中で考えをまとめ始めます。
スライムは外にいない合体した者です、つまりそれだけですごい量の経験値を貰っていると考えられるんだ、みんなにその仮説を話し納得してもらいました。


「にゃるほど、スライムを合体させて食材を作っていたのにゃ?」

「そうだよクロネオ、例えばこの鶏胸肉を串に刺した焼き鳥はね、鳥スライム+2から取れるんだ、串は茎スライムで食べれないけど、鳥スライムを作るのにタネスライム+8と風スライム+8を合体させてるんだ、スライムの数で言うと8+8で16体になる、その鳥スライムを2体合体させてるから取得経験値が1でもそれなりに貰えてるよ」


クロネオがそんなに貰ってないって顔しています、鳥スライム自体はそんなに多くないと追加説明をします、その後の味付けが大きいです。
塩やコショウと単品で作れる物から、七味やタレと色々な物を混ぜて生産したモノとあります、それに必要な各属性スライムは専用の部屋を使って合体させるんだ、鳥などの動物スライムは内装を変えたりして量産します、すごく色々と試行錯誤して使ってるんだ。
そこまで説明して、クロネオたちの思考回路が限界を迎えたみたいです、ミントみたいに頭から湯気を出していますよ。


「つまりね、この焼き鳥一本で・・・大体5000くらいの経験値が手に入ってるかもしれないって事だよ」

「「「「「!?」」」」」


クロネオたちは声にならない程驚いてます、ミントの情報で取得する経験値は最低でも1は貰えます、ブルースライムでも4です、串に刺さった胸肉は、1回の生産で採れる量なので32そのままの数値でしょう。
これは動物スライムたちに共通してて、取れる肉の量は100グラムなんだよ、だから分ければそれだけ取得は減るかもしれない、でも味付けには塩コショウを振っているし、コショウは木スライムから1粒が採れる、だからすごく高いよ、何せタネスライムを256体合体させたスライムが木スライムだからね。
塩は石スライム2体と水スライムを合体させて出来る、岩塩スライムから取れます、兎に角沢山のスライムを合体させてるんだ、それも一度に採れる量はそれほど多くありません、大量に必要な料理はそれだけ取得出来ると言う訳です。
細かく砕いたりして振りかけているから、完全な数値は分からないけど、大量に使っているのですごい数値になるのは確実だよね。


「ってことなんだ、今日の献立は胸肉の串焼き5本に豚バラ丼、たくあんとキュウリの漬け物に味噌汁だから・・・10万くらいはあるんじゃないか?」


クロネオたちがしっぽをピーンと立たせ、毛まで逆立てて驚いています、ちょっと可愛いけど僕は計算をしていません。
正直分からないんだよ、どんぶりで使ってる豚バラの味付けはかなり凝ってるし、漬け物に関してはもっとかもしれない、味噌は核が1粒1粒の大豆を使っているし、米はどんぶりに何粒入ってるか分からない、もうほんと大変な計算になるよ。


「レベルアップにいくつ必要なのかは知らないけど、クロネオたちはそれをおかわりしているからね、進化してもおかしくなかったと言うわけだよ」


外の人たちも、狩りをして食事をしていますよね、きっとそれなりに貰っていると思うけど、丸ごと摂取はしていないから、知られていないんじゃないだろうか。


「にゃるほど、大きくて強いモンスターは戦えば経験値はもらえるにゃが、その肉を食べても少量ににゃってしまうにゃね」

「そうだね、スライムたちが1つ1つは小さいから大量に摂取できる、まさに塵も積もればってやつだよ」


僕がうんうんうなずいて解説をしていると、クロネオたちは首を傾げています、コトワザはなかったかとちょっと恥ずかしくなりました。
そしてブラッシングとお風呂を済ませて食事の始まりだよ、ミャオサーさんには子猫たちの世話をしてもらっていたので、さっきの話を食事中にしました、納得した感じで聞いてくれました。


「そうだったのにゃん」

「はい、なので僕が恩恵を与えたのではなく、ただ単に食事で経験値を取得していただけなんですよ、だからミャオサーさん、そんな顔をして見ないでください」


進化してかなり女性っぽくなってしまったミャオサーさんに、僕はちょっと困っています、このスタイルで迫られたら僕の自制が崩壊するよ。


「でも与えてくれていることには変わらないにゃん、シンジ様はわたいたちの救世主にゃん」


僕はその時の目を見てミャオサーさんに襲われるんじゃないかと、ゾクってしました、僕の大学時代にそう言った先輩たちがいたんです、でもミャオサーさんは手を握って来るだけだったよ、僕はホッとしたけど、その後の言葉は強烈でした。


「わたいはいつでも待っているにゃん、そちらのお方が済んだら、必ず娶ってくださいにゃん」


ミャオサーさんの目線の先にはミントがいました、こちらを燃えるような目で見ていたんです、僕はミャオサーさんに握られた手をすかさず放しましたよ。


「シンジ、浮気はダメ」

「いやいやミントさん、僕と君はそういった仲じゃないよね?家族みたいなものでしょ」

「う~ん・・・知らない」


ミントがそれだけ言って、プイッて感じで子猫たちのテーブルの方に向かいました、ミャオサーさんがクスクスと笑っていたけど、こっちはそれどころではないよ。


「後でしっかりと説明しないとまずいかも」

「がんばってくださいシンジ様、それではわたいたちはこれで失礼しますにゃん、一緒に暮らせる日を楽しみにしているにゃん」


ミャオサーさんが最後にそんな事を言って投げキッスをしてきました、僕は無心で手を振りましたよ。
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