上 下
10 / 86
1章 開店

10話 ミントの本音

しおりを挟む
「ほ、ほんとに良いにゃ!?」


シンジがダンジョンに再度入って来たキャットミーアたちと交渉をしてるんだけど、内容が変なの、ワタシとキャットミーアたちはそれを聞いて疑問を抱いてる、シンジが報酬に変な物を言ったからなの。


「何を驚いてるんだよクロネオ、君たちの毛はとても品質が良いし、何よりモフモフっと出来るのは立派な報酬でしょ」

「そ、そうにゃ?」


キャットミーアたちがワタシを見て首を傾げてる、ワタシにそんな顔をされても分からない、シンジが良いって言うならそれで良い、ワタシも何か役に立ちたくて、ここでちょっと頭を使ったよ。


「じゃあ毛並みをもっと良くして、そうすればシンジの為になる」

「それは良いねミント、じゃあ毛の品質を良くするのに、ここのお風呂にも入ってよクロネオ、それに元気になったらで良いからさ、他の種族たちにも食料を配達する仕事も頼めないかな?報酬ははずむよ」


ワタシの提案から更にシンジが増やした、これはきっとワタシが言うのを待っていたんだと思う。
シンジは小さいのに凄い、こうやってワタシやキャットミーアたちを導いてくれる、シンジが自分ですれば手間がかからないのに、あえて提案させてる、なんだかそれを受けると胸がキュってなる、きっとこれがシンジの記憶にある、愛って感覚なんだと思う。


「にゃ、にゃんだか、こちらに良い事しかにゃいのにゃ」

「それは価値観の違いだよクロネオ、僕は料理の感想が何よりも聞きたい、僕にとっては情報が大切で、ここでは手に入らない素材も欲しい、クロネオたちは何より食料が欲しい、どちらも欲しい物だけど、それの違いだよ」


ああ言ってシンジは誘導する、欲しい物は全部手に入れる、頭の中ではすごく考えてる、ワタシにはマネが出来ないほどすごく複雑に考えてる、ダンジョンもすごく考えて深く広くなった、シンジは小さいのにほんとにすごい。


「これなら次の情報も渡しても良いと思う・・・でも、シンジはキスをさせてくれない、話すのはまだ苦手なのに困る」


シンジに情報を渡すとワタシもシンジから情報が貰える、でも前回の情報は少し変なの、ワタシが使うとシンジが修正してくる、だから治したくてまたしたい。


「でもシンジはすごく嫌がる、そう言う事はもっと深く関係を持ってからとか言ってさせてくれない、だから時間がもっと経たないとダメ・・・すごく複雑」


きっとダンジョンがもっと深くなるくらい時間が経たないとダメ、なんでダメなのか分からないけどダメなの。
最初のキスでは基本情報だけしか渡してない、一度に渡せる情報には限りがあるから仕方ない、でも上手く話せる為に次をしたい、シンジにも情報を渡せて良い事ばかり、でもシンジは必要ないってワタシの顔を押し返してくる、ちょっとショックなのは言わない。


「次の情報で魔法が使えるようになるのに拒否される、シンジは戦わないって作戦だから要らないのは分かってる、でも魔法は便利だから使えた方が良い・・・と思う」


魔法には生活に便利な物もある、火や水を出したり汚れを取る事も出来る、それに自分のステータスを見る魔法もある、シンジとワタシのステータスはダンジョンに比例する、HPとMPはダンジョンの階層分で210でそれに1000倍が数値、攻撃力とか他の数値はモンスターの数と同じ、だから今は36億1550万7441になってる。
スキルや称号も見る事が出来る、シンジならそこから更に色々考えを膨らませると思う、基本情報だけで210階まで深くしたシンジならきっと出来る、ポイントもすごく手に入れたんだもん、きっと出来る。


「でも、シンジにはそれもいらないのかもしれない、スライムがいればほとんど出来るもん・・・でもシンジなら、その情報を元にまた色々出来るようになりそう・・・でも、本当はシンジに撫でて貰えればワタシは幸せ」


いつも一緒にいられるからそれが一番大事、ワタシはあいつに閉じ込められてからずっと一人だった、暗い空間でずっと一人、シンジはそこからワタシを救い出してくれた、連れ出してくれたの、だからシンジと一緒ならどこでも良いの。


「でも今は複雑、キャットミーアたちをブラシで撫でてるシンジを見てると・・・何だかモヤモヤする、ワタシもしてほしい」


シンジの報酬が今支払われてる、キャットミーアたちの毛をブラシを使って取ってる、ブラッシングと言う作業をしてるシンジが凄く嬉しそう、ニヤニヤしてて嬉しそうに黒い猫を撫でてる、あれはきっと至福だから、ワタシもシンジに撫でられてあんな顔がしたい。


「後で絶対にしてもらう、それにぎゅっとして撫でても貰う、これは絶対」


キャットミーアたちを見てワタシは決心する、シンジの撫で撫ではワタシのモノ、あれは誰にも譲らない。
キャットミーアたちがいなくなったから、すぐにシンジを捕まえる、そしてぎゅっとする。


「ね、ねぇミント・・・どうしてそんなにくっ付くの?」

「言いたくない、くっ付きたいの」


忘れられないようにシンジに後ろからくっ付く、シンジの撫で撫でにはレベルがある、一番気持ちいいのはシンジが良い笑顔の時だけ、言うとそこまでにならないから言わない、言えばほんとになるとシンジの情報にはある、だけどそれはならない、ワタシはすごく言いたいけどダメなの。


「良く分からないけど、僕の身長を考えてもう少し位置を下げてくれないかな」


撫で撫でが気持ちいい時は、大抵ワタシの胸に顔をうずめてる時、だから高い位置からぎゅってする、でも最近シンジは嫌がる、だから何でなのかキスで情報が欲しい。


「ワタシはシンジを胸に埋めたい、キスでも良い」

「いやキスはダメだから、ほっぺなら」


言葉が足りないからシンジを説得できなくて拒否してくる、頬っぺたでは意味がない、ワタシが説明できればいいのだけど難しい、だからついでにぎゅってする、胸にシンジをうずめて誤魔化す。


「むぬぅ~」

「シンジは嫌がってるけど、キスをしてくれないから止めない」


シンジの記憶を貰った時、イヤよイヤよも大好きだからっというのがあった、きっとシンジはそれなんだと思う、だって抱きしめるとニヤニヤしてるもん、その状態で撫でてくれるととても気持ちいい。


「僕は小さくないんだよ、ミントが大きいだけだからね」


シンジがプリプリ怒ってる、昔の女たちの事をブツブツ言い始めた、小さいのが良いとか、頑張ってるシンジを攻めるのが好きだったとか言ってる、シンジがそうなっているとすごく可愛いから分かる、でもこの状態のシンジの撫で撫では弱い、だからぎゅってして治す。


「うふふ、これが良い」


シンジは嫌がるけど、最近のワタシはそれも気に入ってる、撫で撫でもワタシが好きなレベルになる、もう放したくない。


「まったく、これからクロネオたちの毛を糸にするから作業区に行くよ」

「うん、ワタシがシンジを運ぶ」


ダンジョンの扉を開けてマスタールームを経由して階層を変える、これもシンジが思いついた移動方法、普通は出来ない事、出来ない事が多いのがあいつに力を取られたワタシのダンジョンなの、だから出来る様になってすごい、ヨシヨシってシンジの頭を撫でる、こうするとシンジがワタシを撫で返してくれる、この時に胸に埋めてると一番気持ちいい撫で撫でになる。


「むふふぅ~」

「機嫌がいいねミント、今度クロネオたちが仲間を連れて来るって話だからさ、ミントもブラッシング手伝ってね」

「うん・・・うん?」


適当に返事をした後ワタシは頭を傾けた、また邪魔者が増えるかもしれない、ちょっと心配。


「子猫たちらしいからすごく楽しみなんだ、クロネオたちの服もボロボロで治してあげたいから、今日中にこの毛を糸にして布を作っておきたいんだ、可愛いのを作るからね頑張るよ」


部屋に着いて、早速シンジがスライムを使って作業を始めた、全部新種で良く分からないけど、全部シンジが作った、ほんとにすごい、これからもシンジはこうやってダンジョンを広げていくんだと思う、とても楽しみ。
しおりを挟む

処理中です...