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1章 開店

6話 念願の料理

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「はやく食べたい」

「そう焦らないのミント、まだできあがっていないよ、良く耳を澄ましてみて、音がしてきたでしょ?」


野菜料理を作り始めて1週間が経ち、画面のスライムたちも順調に増えて来ています、スライムの移動は、マウスを使ってワンタッチで出来ます、その日は部屋から出ないで画面を見て操作をして過ごしました、アイテム庫代わりの小部屋には、食材とかになったコアが沢山入っています。
「食材が腐る」とか心配でしょうけど、心配ありません、元がスライムの核だからか腐らないのですよ、だから発酵スライムを使わないと発酵はしません、今スライムたちは10億匹以上います、食材とかになったコアは、モンスターとしてポイントにはならないけど、それでもかなり増えました。


「ポンポン音がしてる、ねぇシンジ、中はどうなってるの」


ふたの閉じられたフライパンを眺めてミントが不思議そうです、今はおやつの時間なんだよ、トウモロコシ(茎スライム【+2】+火スライム)をフライパンで熱してポップコーンを作っているんだ。
音がしなくなったのでふたを開けると、ふわふわのポップコーンができあがっていました、ミントが早く食べたいってスゴく幸せそうに見てます、そこに塩とバターを掛け、ふたをして更に振って出来上がりだね、僕たちはテーブルに移動して一緒に食べたんだ。


「うまうま、シンジ!これもすごくおいしい」

「喜んでもらえて良かったよミント、夕飯はなにが食べたい?」


ポップコーンを頬張っているミントにリクエストを聞きます、試行錯誤のおかげでタレも完成しています、肉を使った料理も作って食事が楽しみなんだ、食べなくても僕とミントは平気なんだけど、楽しみとして食べてるんだよ。
ちなみに肉などの1回の収穫量は、各部位で100グラムくらいの大きさです、ぽろっと落ちるのは変わないけど、大豆とかよりは多く取れて良かったよ。


「う~ん・・・ショウユを掛けたお魚もいいけど、トロッと溶けたチーズを乗せたピザもいいなぁ~シンジに任せる」


ミントの答えに僕はちょっと悩みます、どれもおいしいけど、一度作っているので違うのを作りたいです、発酵スライムの試しが終わり、発酵が上手く出来る様になったんだ、調味料の生産量も増えたんだよ、画面でタッチしてほとんど自動で出来ちゃうんだ、スライムたちはほんとに有能です、合体させればどんな事も出来ます。


「僕任せでいいんだね・・・一昨日が和食で昨日が洋食ってきてるから、次は中華にしようかな、ラーメンを作ろうかミント」

「ラーメン?」


ポップコーンを飲み込んで、いつものように首を傾げています、ミントを撫でて作り方を説明して一緒に制作だよ。
フライパンとかと同じに岩スライムを成形して臼を作ったんど、それを風スライム+4で自動で回転させます、そこに小麦を入れて粉にして麺を作ったんだ、そして箱スライムに風スライムを設置して水分を飛ばしてカツオブシも作ったよ。
風スライムの進化スライムである、タイフーンスライムで硬くなったカツオを削りかつお節を作るんだ、水は水スライム+2を使って水道代わりです、鍋に他の魚介も入れて煮込みます。


「ミントはお椀を準備して、僕は麺を茹で始めるからね、出来るまでに上に乗せる具材も準備だよ」

「スゴくいい匂い、楽しみだよシンジ」


ミントが抱きついていますが作業を指示します、具材はタケノコを発酵させたメンマや魚の練り物のナルトを用意です、他には豚肉を乾燥させたハムや、極めつけの海苔です、岩スライム+2と川スライム+8を合体させて作った塩の川で育てた、海藻スライムの海苔を平らに整形したんだ、かつおの様に乾燥させて作っておきました、これを作るのはかなり苦労しましたよ。


「できあがった出汁をお椀に入れて、麺と具材の投入っと・・・カツオダシの中華ラーメンの出来上がりだよ」

「やったー!早く食べよう」


出汁ができあがるまで4時間掛かるんだけど、時スライム(光8+闇8)+8を合体させたお鍋で時短して、4分で出来上がりです、スライムたちを使って全自動の作業もあるけど、僕が手を掛けないといけない部分も結構あります、料理は手間が掛かってる方が美味しいので大変です。
時スライムの進化スライム、逆時スライムを合体させ、時間を止めた箱スライムに作り置きした料理を入れて置けば、温かいままで保管できるんだ、ほんとにスライムたちは有能だよ。
新料理を作った時は、ミントと一緒に食べるのが僕の楽しみになっています、テーブルに移動してさっそく食べ始めます、とてもいい味が出ていると喜びました。


「煮込む時間をもっと長くしても良いね、後は他の味とかも必要かもだ」

「ワタシは十分おいしいよシンジ、次はなにを食べるの?」


毎回違う料理を作り、ミントのおなかを幸せにしているのでミントも楽しみなようです、僕もおいしい料理が作れるのは楽しいです、それに一緒に食べる人がいると更に幸せだよね、次はなにを作ろうかと色々考えちゃうよ。


「保存のきくベーコンとかもできあがってきた事だし、そろそろ本格的に1階を作って店の準備を始めようかミント」

「お店?」


不思議そうなミントを撫でてダンジョン操作で料理屋を作っていきます、出来上がった1階に早速移動すると、ミントが目をパチパチさせています、椅子やテーブルが並ぶレストラン風のお店です。
僕は調理場になっている奥に行きミントに説明です、日本の様にステンレスでは無いですよ、煉瓦のカマドにオーブンが設置されているんです、キャンプ場で作るような感じだね、部屋の内装設定ではそれしかありません、おそらくこの世界ではこれが標準なんだと思うよ。


「シンジが使ってた道具が沢山、これがお店?」

「お店は最初の部屋だねミント、ここは厨房って言うんだ、料理を仕込む場所でさっきの方がお店だよ、お店がメインだから向こうが広いけど、カウンターの先でも作れる様に出来てるんだ、今日はこっちで時間の掛かる料理を仕込んで行こう」


大鍋を持って水スライム+2が設置されている洗い場から水を汲み、ちょっと火力の強い火スライム+4のカマドに鍋を置いて沸かし始めたんだ、鍋はもちろんスチールスライムだよ。


「シンジ、時間の掛かる料理ってどんな料理なの?」

「コンソメスープって言うんだ、透き通ったスープに具材のうま味が入っているスープで、時スライムじゃ作れないすごく繊細な料理なんだ、とてもおいしいんだよ」


カマドは他に3つあって火力を変えてるんだ、そこでは別々の料理をする予定なんだよ、食材を刻み他のカマドの鍋に投入していき、手を動かしながら解説すると、ミントの口が崩壊しているのが見えたよ、さっき食べたばかりだけど、食材の焼ける臭いがしているから食べたいんだろうね。
タマネギと牛肉を鉄串に刺して残っていた弱火のカマドで焼いてミントに渡します、味付けは、僕特性の焼き肉のタレだよ、壷に作って用意してます、作り方を勉強しておいて良かったとつくづく思うね。


「コンソメの食材も入れたし、やはりこれに合うのはパンだよね、今のうちに生地を作っておこうかな」


大鍋3つを煮込む行程まで終わらせたので、次はパンを作ります、パンもそうだけど、醤油などを作るには発酵させなければいけません、その為には菌が必要だけど、それもスライムにいたんだ、原理は分かりませんけど、スライムを乗せると菌が着いて来るみたいだよ。


「パン生地完成っと、何度見てもどうなってるのか分からないけど、後は生地を時スライムで寝かせてカマドで焼くだけだ、残ったら逆時スライムで止めてる箱スライムに入れて保管だね」


時スライムや逆時スライムは、袋スライムやボックススライムとも合体させるのがメインです、部屋の時間が止められればいいんだけど、それはできませんでした。


「他に時間の掛かる料理は・・・ブタの角煮とグラタン、パスタ類も作らないとだね」


時間の掛かる料理と言っても食材だけしかないここでは、加工品を使う料理はすべて手間が掛かります、それを忘れていたとパスタなども作っていったんだ、ちょっと変わったもので餃子の皮やシュウマイの皮、それとカレーに合うナンも作ったんだよ。


「スゴく沢山作ったねシンジ、こんなに食べれないよ」


ミントが串焼きを両手に持って僕の横に来ました、口にはタレがべったりだったので拭いてあげます、それが嬉しかったのかミントは抱きついてきました、串のタレが肩に付いてしまったけど、それはいつもの事です。


「僕たちも食べるけど、それ以外にも食べて貰う予定なんだよミント、前に言ったでしょ店を開くってさ」


ミントが思い出したのか、嬉しそうに頷きました、串焼きは頬張っていてミントが僕にも一つくれます、受け取るとミントが【あ~ん】としてきました、僕にくれたんじゃなかったのねと、ミントの要望に答えたんだ。
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