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1章 開店

4話 研究して1週間

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「う~ん」


ダンジョンの画面を見て僕はうなっています、ミントもマネをしているけど、困っているからではなく順調だからなんだ、今僕たちは、スライムの進化条件を簡単に書き出し、画面に映して眺めているんだよ。


・タネスライム+16⇒茎スライム
・茎スライム+16⇒木スライム
・土スライム+16⇒砂利スライム
・砂利スライム+16⇒石スライム
・水スライム+16⇒流水スライム
・流水スライム+16⇒川スライム
etc


「スライムたちは、16体合体させると次のスライムに進化するんだね」

「そうなの?ミントよくわかんない、意味難題?」


ミントが画面を見て不思議そうです、僕は意味不明じゃないかな?とツッコミを入れて、スライムのステータスを見ます。


【タネスライム】
レベル1
HP0.02MP0.01
攻撃力0.01防御力0.01
速度1

特性
核が育つとそこから植物が伸び実をつける。
※注意
実を付けるには栄養が必要です、栄養によって実が変化します。
【育つ物】
土スライム無し(小豆)
土スライム有(ジャガイモ)
土スライム+水スライム(サクランボ)
土スライム+火スライム(青唐辛子)
土スライム+風スライム(パセリ)
etc

「色々試して、タネスライムは植物を育てるモンスターだと、ここまでは思ってたんだよね」


僕はステータスを見て呟きます、タネスライムをどんどん合体させ、+4までは全部植物でした、でもプラス8になって変わったんだ、属性スライムたちを合体させて出来あがるのはこんなふうになったんだよ。


【タネスライム+8】
レベル1
HP0.16MP0.08
攻撃力0.08防御力0.08
速度8

特性
核が育つとそこから植物が伸び実をつける。
※注意
実を付けるには栄養が必要です、栄養によって実が変化します。
【育つ物】
土スライム無し(落花生)
土スライム有(ヤマイモ)
水スライム【海藻スライム】
氷スライム【若牛スライム】
風スライム【殻スライム】
火スライム【イノブタスライム】
電スライム【羊毛スライム】
光スライム【ヒールスライム】
闇スライム【微小発酵スライム】


「これを見たら、タネスライムは生き物の元となっているって見るのが良いよね、それを他のスライムと合体させて変化させる・・・僕は思っていたよりもすごい事をしているのかもね」


外ではスライムたちは弱かったからやられちゃうけど、そのエネルギーは土や水に残るんだ、だからそれを使って生き物が生まれる、全部がそうじゃないかもだけど、分かった気がしました。


「タネスライムの合体数を増やして、他のスライムも合体数を変える、すると収穫物もまた違って来るんだ」


例えば風スライムです、単体の場合はタネスライムたちの上に位置します、そこから収穫物を吸い込み、浮き上がらせてから通路に落とすんだ。
最初それを見た時、分裂を妨害しているのかと思って焦りました、他にも闇スライムは魔素の無い空間を作りだしたりするし、光スライムは逆に魔素を多くすることが出来るんだ。


「更にタネスライムを使わずに3体のスライム(水・火・風)を合体させると、入れ物スライムが出来る、これは助かったよねミント」


ミントが嬉しそうに頷きました、収穫が大変だったのを思い出しているんだ、僕は収穫した食料を貯蔵する為の部屋を作ってダンジョンを増築したんだ、風スライムで収穫は勝手に出来るけど、道に落ちた食料を運ぶのは僕たちしかいません、だから収穫は大仕事だったんだよ、何せ30分毎に出来上がるんだからね。


「僕がすぐに気付いたから何とかなったけど、あのままだったら大変なことになってたね」

「うん・・・あれは大変、二度と御免」

「そうだねミント、でも運んでくれるスライムと容量が見た目よりも多く入るスライムとか、便利すぎだよね、16体合体させるまでにはすごく数がいるけど、分裂区と生産区に分けてるからまだまだ増える、これは順調すぎるくらい順調だよ」


ミントと一緒に画面を見て頷きます、食材以外にも色々出来上がっていて、各階層で取れる物を整理したんだ。

《ダンジョン階層別表》
1~10階【生活区】
11~20階【+なし食材】
21~30階【+2食材】
31~40階【+4食材】
41~50階【+8食材】
51~60階【木材区】
61~70階【鉱石区】
71~80階【エネルギー区】
81~90階【収納区】
91~100階【不思議区】
101~110階【分裂区】
111~120【戦闘区】


「広くなったねシンジ」

「そうだねミント・・・次に行くには十分に揃ったけど、ミントの情報だと外は危険だから、戦闘を考えたスライムも欲しいんだよね」


ここで新たな試みです、ミニスライムたちの研究は既に次のステップに進んでます、4体合体で出来る新たなブルースライムたちです、彼らはタネ・土・光・闇で出来るんだけど、普通のブルースライムとは違います。


「ミニから作ったブルースライムたちは分裂と合体をするけど、最初からブルースライムだと出来ない・・・これはどうしてなのかな?」


ポイントが億を超えた辺りから試している事です、日数で言うと5日目からだね、どうしてかミニから作って行くと出来るんだ、10分と言う法則に従って分裂して増えます、ミントも分からないって頭を傾げているんですよ。


「まあ、おかげでどんどん強くなるからいいけど、ハードクラスのビッグスライムでも頭が良くない、出来れば指揮が出来るスライムまで行きたいよ、武器とかも用意できたんだしね」


見るからに堅そうな石や鉱石スライムたちは、生まれたばかりだと柔らかいんだ、その時に僕たちが形を整えてあげると、その形状を覚えてくれます、そのスライムはその形のままで繁殖が始まり調理器具などに代用できます、おかげで鍋や包丁なんかは大量に出来ているよ、それを使って食材の味見もし始めています。

もちろん珍しい鉱石も存在していて、僕はすでにそこも作っています、異世界ならではの鉱石たちだね。


「まぁいつ使うか分からないけどさ、備えておいて損はないよね」

「そうなの?ミント良く分からない、そっちのは食べてもおいしくないもん、ボックススライムと風スライムで運んで終わり」


画面を見てミントが食欲を爆発させています、箱の様に四角くくぼんでいる箱スライムや、3連になってるボックススライムが食材を運んでいるのが見えるんだ、ボックススライムはそのまま運んでいき、ある部屋に入ると勝手に中身をおいていきます、また元の位置に戻って運搬をしてくれる、それをただただ繰り返すスライムなんだよ。


「便利だよね・・・でも外で会ったら、あの子たちって用途が無いよね、やられちゃうだけだよ」

「うん、沢山合体していてもステータスは弱い、だから雑魚とかいらないとか言われてる」


ミントがプンプン怒っています、僕は「そんなことないのにね」って撫でてあげます、機嫌の直ったミントは僕に抱きついてきます、いつもの事なので頭を撫でるのを継続です、ミントの為にも次の行程に移ろうと思います。


「さてミント、今度から本格的な料理をするよ」

「今までと違うの?」


抱きついたままでミントが首を傾げます、かわいいと思いながらも説明を始めました。
今までは味見なので、切るだけで生のままで食べていたんです、鍋もあるけど焼いた物がくっ付いてしまったりと、処理が済むまで出来なかったんだ、それに食材の味を素のままで確かめる為でもあります、そしてだいたいの味が分かり調味料も十分整ったんだ。


「そうだよ、火を通したり煮たりするんだ、今までよりもすごくおいしいんだよ」

「おいしいの!?食べたい!早く食べたいよシンジ!」


ミントが嬉しくて抱きしめを強くしてきます、僕はちょっと苦しかったけど、ミントはフニフニしていて気持ちいいので、とても幸せです。


「じゃあまずは、スチールのフライパンを火スライムで暖めて、オリーブオイルをたっぷり入れて暖めるよ」


僕は調理を開始しました、木ベラを使いフライパンで野菜を炒めていきます、部屋にはオリーブオイルの良い香りが漂い始め、ミントもウットリしています。

今使ってる道具たちも、もちろん全てスライムから作ったんだよ、木スライム+風スライムから採れたオリーブの実を使ってます、風スライム8でぎゅぎゅっと絞ってオイルを摘出したんだ、他にも茎スライム+土スライムで出来た枝を削り箸も作ったんだ、今使っているヘラやスプーンもそのスライムの採取物だよ、枝のままだったら燃やすだけかもだけど、どれも便利で助かっています。


「最後に塩とコショウを少々足して、肉の入ってない野菜炒めの完成だよ」


木スライムを削って作った木製の大皿に盛りつけて、木のテーブルにおきます、お皿や箸なども、オリーブオイルを塗って臭い消しや消毒も済ませてあるんだ、家庭科の教師になる為、他の事をいろいろ勉強しておいて良かったです。


「おいしい!?シンジ!これおいしいよ」


僕がしみじみ思っていると、ミントはすでに食べていて、感想を言った後すごい早さで食べていました、僕も椅子に座って食べます、なかなかうまく作れましたね。


「だけど・・・やっぱり肉が食べたいねぇ、ブタスライムとかの肉も解禁しちゃおうかな」


野菜炒めを食べながら僕は不満を漏らします、肉スライムたちは加工も色々出来るので量が出来るまで待っています、ミントはうれしそうだけど、僕はもっとおいしい物があるのを知っているから、作って食べたいと漏らしたんだ。


「でも、それを存分に楽しむには調味料も増やさないとだよね、味噌や醤油は当たり前だけど、タレは欲しい・・・でも、作るのが大変だからまだ量がなぁ~」


茎スライム【+4】と火スライム【+4】を合体させたスライムからコショウが作れたのも良かったです、だけど日本人として、醤油と味噌は譲れませんよね。


「大豆はすでに量産してあるけど、発酵スライムの作業は時間が掛かるんだよね、樽を作って量産は出来てるんだけど・・・早く出来ないかな」


それ以外にも僕は楽しみにしている物があります、それは米です、ダンジョン内に水田を作って量産体制は出来ています、だけどスライムたちから出来るのは1粒なんだ、小豆や大豆もそうでしたが米も1粒だったんだよ、早く数が出来てほしいんです。


「シンジ食べないの?貰っちゃうよ」

「たた、食べるよミント!?僕の分まで取らないで!」


ミントに取られそうになって、僕は急いで野菜炒めを食べました、向かいに座って食べているミントを見て、スライムは有益だと分かります、決して縛りではありません、スライムの可能性は無限です。


「ミント、僕頑張るよ」

「ふえ?」


口いっぱいに野菜炒めを頬張ってミントは不思議そうです、僕はちょっとテンション高めに野菜炒めを食べたんだ。
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